財団調査隊   作:茶漬四郎

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マンダリン

 さくらみこが「マンダリン」へやってきたのは少し時間が経ってからだった。ここには彼女の学友アリスが配属されており、心強さと期待を抱いて扉へと手をかけようとしていた。

 

 室内では夜勤明けの班長志村とアリスが気合を入れて追加業務がやってくるのを待っていた。回らない頭に無理やり血液を送り込み、来たるべく業務に支障がないように構えている。支部から「H公園の後始末」を命ぜられ、部下の伊東を情報収集に向かわせたのである。

この公園の特異性は前から彼らの注目を浴びていた。

行政と利用者の我儘を全て詰め込んだ設計は多くの弊害を生んだ。

そのうちの一つは死亡災害の発生である。

公表されているもので1件、2名の作業員が亡くなっている。そのほかにも失踪者が確認されており、建設関係者を中心に発生していた。

多すぎる要望を狭く、限られた敷地に収められたとこは驚愕で興味をそそられる事実だが、その代償は何なのか。そんないわくつきの場所に若手2人だけを送り出すことは手抜きとしか言いようのない命令だった。

 

 カラン、と開かれた扉の先にいるみこは一回り小さく見えた。黄緑色の瞳はどこをみるわけではなく虚だ。心配するアリスの声に覇気のない返事をすると、志村の前にちょこんと座った。そして頭を下げる。

その動きはいつもの彼女らしくなく、違和感しか感じない。

「課長に何か言われたのか。」という志村の問いに何も答えない。

腹の中から何かが勢いよく出てきそうだった。

「俺らが手伝ってやる。今からあの公園について調べるぞ。着いて来い。」

式神も相棒も消えてしまった今、孤立無援の彼女を待っているのは処分までの待機である。

黙って見過ごすわけにはいかなかった。

その場にいたアリスは班長の意を汲んだように賛成したが、感情で走りすぎてはいけないと意見を述べた。理性をなくせば、彼女も大いに賛成なのである。

しかし組織の一員として活動する限りは申請を待たずに行動することはのちのち危険になると告げた。

冷静な彼女の意見に対して、志村もなるべく感情を殺して答えた。

「今すぐできる限りの申請はするさ。待っていたら好機を逃す。」

それに、と付け加える。

「人が関わる限りどうしても感情はついてしまうのだ。出すか否か、制するか否かは納得する理由も加えて都度都度で対応すべきだ。」と持論を述べた。

少なくとも式神はそうそう消えない。35P捜索の為、適材な人員を一時的に起用できるように申請を出した。

 

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