氷元素片手剣使いのオリ主が無茶苦茶する話   作:あおーいあお

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こちらの作品はPixivでも載せています。


自由人と旅人、それから非常食

 

 

 

 

 

かつて璃月で"彼"が産まれた時、あらゆる動物が騒いだ。

周囲の人間や、辺り一帯の動物の殆どが余さず忙しなく動き回っていた。

 

彼は仙人と人の間に産まれ、あらゆる人々に見守られながら育ち、そして旅に出た。

 

海を越え、嵐を越え、着いたのは『永遠』を望む雷神が収める稲妻。

そこから彼の武者修行は始まった。

ある日急に出された目狩り令にも真っ向から抵抗し、追っ手を打ち破っていった。

仲間も増え、時に戦下で失いもした。

 

そして戦いの中で彼は思ってしまった。

 

"己は非才である"と。

 

彼は1人の友が雷神に挑んだ際に自身も挑み、牙が折られてしまった。

完膚無きまでに叩きのめされたのだ。

友は死に、友の神の目だけは雷神から奪い返したが既にボロボロの体で満身創痍だった。

もう1人の友が後で駆けつけ、抱えて逃げてくれなければその場で死んでいただろう。

 

彼は友を生かせなかった事を悔やみ、救いに来た友に何も告げずに稲妻を発った。

まるで逃げ帰るかのように、傷だらけのまま璃月まで向かった。

 

璃月で療養し、すぐにモンドに向かった彼の名前は"白梨"。

 

稲妻にて"■■"と呼ばれた男である。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「…足りんか」

 

そう呟き、腕を組む薄く青みがかった灰色の髪を後ろでゴムで留めている少年。

 

スイートフラワーと鶏肉を並べて机の上に置いてあるが、やはりスイートフラワーの方が多いので鶏肉を確保しなくてはいけないようだ。

 

「外で狩るか…?いんや、1,2羽分ならば団長殿に頼めば良いかのう。そうときまりゃ、行くとするか」

 

いつも腰に差している白い鞘に水色で桜が描かれている刀を撫でながら、清泉町の少し外れにある家から出る。

 

「やあ、白梨」

 

「暇かよ、風神。帰れ」

 

白梨が家から出てすぐ目の前に緑色の帽子を被った美少年が立っていた。

 

「そんな扱いしなくてもいいじゃないか。少し協力して欲しいんだけど…」

 

「また面倒事を俺に押し付ける気か、仲良い手前断られることないと思っとるじゃろう?」

 

「断る気ないでしょ?それで頼みっていうのが旅人を助けてあげて欲しいんだ。蛍っていう異国の少女なんだけど」

 

少し黙った白梨は何かを考えたあとそれを了承した。

 

「具体的には何を手伝えと」

 

「旅人の旅路を手伝って欲しいんだ。兄を探していて色々な国に行くらしいんだけど、君も色々な国を旅していただろう?」

 

「モンド、璃月、……稲妻だけじゃが」

 

「…1回旅人と一緒に過ごしたら多分君も興味を持つはずさ。だから、1度会ってみてよ」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

どうも、自由すぎる風神に手伝いを頼まれたので旅人とやらの情報を集め、西風騎士団の栄誉騎士ということがわかった白梨さんだ。

 

「失礼するぞ、団長殿」

 

「白梨殿か、どうしました?」

 

「敬語なんて堅苦しい真似しなくても良いじゃろ。俺も敬語は外したしのう」

 

「それは…その…、白梨…うぅ…」

 

目の前で何故か悶えているのは西風騎士団の団長である長身のジン殿だ。

俺がモンドに来てからお世話になりっぱなしでそのお返しとして西風騎士団の仕事を手伝ったりしている。

一緒に任務に出たことも多々あるが、風元素を上手く戦闘に使っていて、元素抜きの剣だけの腕前も素晴らしいと思う。

彼女程の風元素の使い手は"友"を含む数人しか見た事がない。

 

 

「ま、落ち着いたかのう?それで、用件じゃが。バルバt…知り合いに栄誉騎士のことを手伝ってやれと言われてのう、どこにいるか知らんか?」

 

「…彼女ならモンド城から風立ちの地の方に向かっていったが」

 

「情報ありがとうのう。また任務があればいくらでも何処まででも着いていくから伝えてくれ」

 

あの風神…!!

端から俺に面倒事を回す気満々だったな!

今度あいつのリンゴ酒をぶどう酒に入れ替えてやる…。

 

「あ、あぁ…」

 

また悶え始めた団長殿。

理由は分からないが、まあ、放置しても大丈夫と判断してすぐに西風騎士団の本部から出てモンドの城壁をよじ登り、水を凍らせながら風立ちの地方面に突っ切っていく。

 

大きな木が生えている風立ちの地中心部ではあのアホ風神と会話する金色の髪をした異国の服を着た少女が居た。

 

そこに向かってあのアホに飛び蹴りをする準備をしながら走っていくが、近くに凄まじい暴風を吹き荒れさせる狂風のコアが現れたので鞘に手を添えて、抜刀の準備をする。

「…落ちよ」

 

距離が近づき、少女が気がついて武器を構え始めた時に狂風のコアから10m程離れているが脚に力を込めて全力で地面を蹴り、吹っ飛んでいく。

そのまま刀を抜ききり、次の瞬間、狂風のコアは真っ二つになった。

 

「な、なんだアイツ!!?」

 

「なっ!?」

 

少女の近くに浮いている白い珍妙な生物と少女自身が驚いている間に空中で向きを変え、風神バルバトス(アホ)に向かって飛び蹴りを敢行する。

 

が、下からの風によりヒュイっと体を持ち上げられて上げられて狙いが外れ、地面を蹴っただけだった。

 

「危ないじゃないか」

 

「切り捨てられぬだけありがたいと思うんじゃな、自由人」

 

刀を収めると同時に風神の額にデコピンをする。

額を抑える風神を放置して少女の方へ向き直る。

 

「初めまして、白梨じゃ。このアホにお主の旅路を手伝えと言われて来た。これからよろしく頼んます」

 

「…何者?」

 

「あー、元旅人と言ったところかのう。俺のことが信用出来ぬなら団長殿とかアンバー殿に聞くといい。ま、このアホを信用してる時点でお人好しが過ぎるがのう。それで、俺からも質問じゃが…その珍妙な生物は何じゃ?ほれ、飴でも食うか?」

 

「オイラは珍妙な生物じゃないぞ!!…食べる」

 

珍妙な生物が近付いてきて俺の手から飴を受け取ると舐め始めた。

何だこの生物…可愛いな。

 

「名前は?」

 

「パイモン」

 

「お主にとってパイモンとはなんだ」

 

「非常食」

 

「お主とは仲良くなれそうじゃ」

 

珍妙な生物…パイモンを非常食と言ってのけた少女は何故かドヤ顔をしていた。

愉快な少女である。

 

「オイラは非常食じゃないぞ!」

 

「わかっとるわかっとる。もう1つ飴をやろう」

 

「パイモンの扱いに慣れるのが早い」

 

少女が拳を突き出してきたので拳を返す。

ここまで仲良くなる速度が早いのは"あいつ"以来だな。

 

「名前をなんと?」

 

「蛍です。実は────────」

 

悲しそうな顔で事情を説明する蛍。

それを真面目な顔で聞き取る白梨。

 

…ふむ。

それは大変だな。

肉親から離れるのは辛いことだし、俺も最初肉親や友から離れた時は辛かった。

 

「おーい、僕を無視するなんて酷いじゃないか」

 

「…まあ、蛍殿と引き合わせてくれたからのう。許しちゃろう。で、何をする予定なんじゃ?」

 

「風魔龍の破壊を止めるために「天空」のライアー?という物を取りに行くらしいです」

 

「やっぱり有罪じゃ、アホ!」

 

天空のライアーはモンド城内の大聖堂の地下に保管されている。

持ち出しは犯罪である。

要するにこのアホに天空のライアーでトワリンを解放させればいいということだろうが…、その前に捕まっちゃあ意味が無い。

 

「もしかしてお前正々堂々と貸してって言うつもりか?」

 

「そうだけど」

 

「借りられるわけが無いじゃろうが!あー、もう。どうしても必要か?」

 

「無いと難しいかな」

 

「…蛍殿。このアホが風神だっていきなり言われて信じるか?」

 

「いきなり言われたら…、信じないと思う」

 

「そういうことだ。…ちっ、じゃあ、無理矢理忍びこむ算段を考えねばならんのう」

 

うーむ。

犯罪と言われても今更か…、稲妻では最後の方には指名手配されていたし。

 

「し、忍び込むって大丈夫なのか!?」

 

「それもそうじゃのう忍び込まなくともなんとかなるか…。秘密兵器を使わせてもらうぞ」

 

「秘密兵器?」

 

 

 

"コネ"じゃ」

 

 

 

 

 

 

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