氷元素片手剣使いのオリ主が無茶苦茶する話   作:あおーいあお

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色々とツッコミどころ満載ですが回収するまで待っていただけると幸いです。


二つの色

 

 

 

「失礼するぞ、ジン殿」

 

「白梨、今少し立て込んでいて…」

 

忙しくしているジン殿。

天空のライアーに関しての伝達がもうされているらしい。

さすがに大事件なだけにすぐに伝わったようだった。

 

「天空のライアーが盗まれたという話じゃろう?その件について俺も話に来たんじゃ」

 

「なぜ…、あぁ、そういう事か。まずは話を聞く」

 

「いんやぁ、話が早くて助かるのう。実はトワリンを止めるために天空のライアーが必要でさすがに1週間も待ってられずに俺が作戦を立てて忍び込んだんじゃが、ファデュイにしてやられてのう。もれなく奪われたんじゃ」

 

 

 

 

「へえ、つまり貴方が原因ということかしら?」

 

 

 

 

 

 

「まあ、そういうことじゃ…っ!?リサ殿!?」

 

ジン殿だけが団長室にいると思っていたが、リサ殿も部屋の中に居たようで背後を取られていた。

これが一番恐れていた事態、リサ殿に出会うことだ。

本当はジン殿経由で謝罪して合わないつもりだったのだ、何故なら彼女の罰は少しばかり厳しいからで……。

 

「あのぉ…俺の気のせいじゃと思うんじゃが、手枷を付けてないかのう?あの、リサ殿?無言で捕縛はさすがに良くな…ごめんなさい、黙ります

 

「リサ、白梨はモンドのことを思って…「ジン、甘くしちゃダメよ、この男は拘束しとくのがやはり正しいわ」ひっ…分かった」

 

リサ殿の顔はこちら側からは見えないがジン殿が目を逸らして仕事を再開したのでかなりやばいのだろう。

 

そのままリサ殿が普段から管理している図書館まで連れていかれる。

ジン殿は目ですまないと伝えてきたが、それなら助けてくれ…。

 

「事後処理とか、考えたことあるかしら?私の仕事が増えるのだけれど、"責任"取るわよね?」

 

「(なんの責任じゃ)」

 

「そうね、貴方にはちゃんと言わなきゃ分からないわよね。私の自由時間を減らした訳だし、しばらくの間、私の周りで仕事してもらおうかしら?」

 

サラっと心を読まれたことに戦慄しつつも、表情に出さずに返事をする。

 

「分かった、天空のライアーを取り戻したら働くので手錠を外してくれないかのう?期限はいつまでじゃ?」

 

「期限…?そんなものがあると思っているのかしら?今まで貴方が起こした問題で仕事が増えた件数はそろそろ3ケタに達するのだけれど、それでも期限が欲しいかしら?」

 

リサ殿が雷元素をビリビリしながらこっちに振り返ると、すごくニコニコしているが圧が凄まじい。

怖さで言うと仙人がキレた時と遜色がない。

 

「あ、はい、一生働かせていただきマス…」

 

「あら、私が許すまでで良かったのに一生なんて、プロポーズかしら?」

 

「(どう考えたらそんな考えに至るんだよ)」

 

「やっぱり、住むなら一軒家がいいわね…、騎士団を寿退団して…それから畑を耕しながら暮らすのも良いわ…。そして子供も…」

 

「(なんかぶつぶつと呟きながらジタバタしてるし、今のうちにジン殿に協力を要請して逃げるとするか)」

 

余談だが、この男は無意識で人の好意を倍増させる男である。

つまり、リサの好感度も爆上げしている。

具体的には"寿命問題を解消させた"とかだ。

 

…無自覚系なろう主人公なのである。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「おそかったじゃないかぁ…、ぱいりぃ…」

 

ジン殿に協力の約束を取り付けて酒場に帰ってくると、アホが酔い潰れていた。

人が苦労してる間に何してんだ?

 

「ディルック。こいつ何杯飲んだんじゃ?」

 

「…数十杯だ、途中から数えていなかったが。少なくとも二十は超えている」

 

ディルックが呆れたように言う。

 

「うーむ、俺も酒には強いがのう。さすがに…いや、飲めるな。ディルック、蒲公英酒があれば頼む」

 

「わかった。……今回の一件以外でアビスやファデュイに関する手掛かりは何か掴めたか?」

 

「俺のところはあんまり芳しくないのう。アビスの魔導師を最近よく見かけるが、…まあ、今回の風魔龍に関しては絶対にアビスが関わっていると思う」

 

アビスがトワリンの呪いにつけ込んでいる…と、俺は考えている。

 

「…そうか。僕の方も少しばかり行き詰まっている」

 

「あ、ところで今回の天空のライアーの件はどうなったんじゃ?」

 

「旅人が探し回ってくるらしい。アビスやファデュイ絡みだろうし僕も協力することにした」

 

「ふむ、お主が居れば百人力じゃのう。さっき騎士団に行って団長殿でなくジン殿として手伝ってくれと頼んできたところじゃし、これは捗るのう」

 

ディルックと会話していると隣から首に腕を回されてグイッと引っ張られる。

 

「ぱいり〜、君も飲もうよ〜」

 

そして、酒を1杯飲まされる。

こいつ…まあ、たまには酒を一緒に飲むのもいいか。

このアホもちゃんとトワリンを救うために真面目にやってたらしいしな。

 

「はいはい、たまには付き合うから1回離せ。ディルック、料金はこいつの含めて先に払っておくが、足りなかったら俺の腰に着けてる袋から抜いてっていいからのう。というわけで酒が欲しい」

 

そして白梨は飲みまくって"しまった"。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

…白梨さんは不思議な人だ。

急に現れて、私の手伝いをしてくれている。

実際はウェンティに頼まれてやってるらしいけど。

 

初対面の時、狂風のコアを一撃で真っ二つにしていたが、あの時、全く動きが見えなかった。

見た限り白梨さんの神の目は氷元素で、元素の力を使ったようにも見えなかった。

 

そして白梨さんには違和感を感じることがある。

常に仮面を被っているというか、なにかすごく違和感…?を感じる。

彼本来の姿ではないような気がして仕方がない。

過去に会ったことも無いし、そこまで知っている訳じゃないけれど、白梨さんっぽくないと感じる…?

 

言い表せないけどやっぱり不思議な人だ。

今は天空のライアーを取り返すために準備を済ませたのでエンジェルズシェアに行ってウェンティ達に会う予定だ。

 

「た、旅人…なんか中が騒がしいぞ…?」

 

エンジェルズシェアの中から声がすごく聞こえるので中にすぐに入った。

するとカウンター席で大量の空ジョッキを積み上げている白梨さんとウェンティが居た。

 

「あ、旅人がきたよ〜、ぱいり」

 

ウェンティが白梨さんをつつく。

 

「ん、蛍さん、こんばんはぁ…」

 

蛍"さん"…?

殿と呼ばれているはずだが、聞き間違いだろうか。

 

「僕、ちょっと飲みすぎちゃったかなぁ〜…、どうしたのぉ…?」

 

振り返った白梨さんは今までと全く違った。

落ち着いた感じのあった暗めの水色の目は"燃えるような紅"になっており、腰に着いていた白色の神の目はこれまた"暖かい紅"になっていた。

 

「え、白梨さん…?」

 

「そうだよ、どうしたんだい蛍さん。僕は白梨だよっ!」

 

尻尾があったらブンブン振りそうな白梨さん。

テンションが壊れている…というより別人である。

でも、これは白梨さんらしいというか、納得がいくというか…仮面を外したかのようなイメージだ。

 

「僕は、止めたんだ。もう二人とも三十杯はゆうに越えている」

 

ディルックさんはずっと絡まれていたのか疲れ切っている。

 

「蛍さん、どうしたんですか?僕になんでも言ってください。天空のライアーも取り返しに行きますよ。…"悪は徹底的に滅さねば"」

 

背筋が一瞬で凍った。

最後の一言は軽く言っているが恐ろしいほどのプレッシャーを放っていた。

絶対に悪を滅殺するとも言わんばかりの、炎元素のように見えて実は氷元素なんじゃないかと思うほどの絶対零度。

 

「むぅ…ダメですか…?じゃあ、少し外に出てください!僕の本気の力、見せちゃいますっ!」

 

と言いながら飛び出して行ったので慌てて外にパイモン、ウェンティと出る。

ウェンティは酔いが一瞬で冷めたようで、風元素を扱う準備をしているようだ。

 

外では白梨さんは刀を抜いて構えていた。

刀身は火花を散らしている。

 

 

 

「獄炎よ─────────────「白梨!!」うっ…」

 

 

刀に向けてピンポイントで風元素を放つウェンティ。

周りに引火しないように流れを変えたのだろう。

そのまま元素を使おうとした状態で頭を抑えて苦しみ出す白梨さん。

先程まで刀に灯っていた炎は既に消えている。

 

「白梨!大丈夫か!?」

 

「あぁ、すまんのう。飲みすぎたようじゃ……畜生…」

 

パイモンの言葉にすっかり酔いが覚めて返答する白梨さん。

最後に畜生とつぶやき、立ち上がる。

あぁ、また仮面を被ったかのようになってしまった。

 

「本当にすまんのう。悪酔いしたんじゃ」

 

白梨さんはそのまま、エンジェルズシェアの中に戻っていく。

 

「…旅人。彼のあれ、気になるかい?」

 

「気になる。白梨は氷元素の神の目のはずじゃ?」

 

酔いが完璧に醒めているらしいウェンティが、白梨さんについて知っているらしい。

話し方的にかなり昔から仲がいいように見えるので絶対に知っているとおもう。

 

 

「お安い御用さ、彼についてはモラクスの爺さんの次に詳しいからね」

 

そしてウェンティは語り始めた。

 

────────大昔のある時、人と仙人の間に子供が産まれた。

産まれた子供の名前は白梨。

両親は彼を残して、後の戦争によって死んでしまった。

その代わりに彼は他の仙人や、当時の人々によって支えられて成長していった。

何百と千年もの間、璃月で修行をし、正義を執行し、悪人を皆抹殺していった。

無論、魔神との戦いにも参戦したが、ここで自身の弱さを痛感し、彼は旅に出た。

モンドに滞在し、次には稲妻で。

 

そして、少し前に帰ってきた彼は炎を酷く凍らせていた。

 

「白梨は、1年前に稲妻で出された"目狩り令"に抵抗して雷神バアルに敗北し、友の命を奪われたんだ。それを悔やんだ彼は自身の正義を封じ、深く氷の中に閉じ込めた、罪悪感から生じた氷にね。

大部分を端折ったけれど、大体この話の通りさ」

 

「神の目の元素が変わることなんてあるのか!?」

 

パイモンが驚いている。

つまり、普通は神の目の元素が変わることはないということらしい。

 

「普通はありえないことさ。でも白梨はそれを成した」

 

「目狩り令って…「稲妻の雷神が出した、神の目を国内で回収するものじゃ」…っ!?」

 

「あれ、中に戻ったんじゃなかったのかい?白梨」

 

「人の秘密をバラすアホには呆れたが、まあ、いつか話すつもりじゃったしな。俺は半仙人じゃ、そして自身の力を過信していたテイワット1番の阿呆じゃ。…じゃから、今回の件は手伝うが、今回の件が終わればこんな愚か者なんぞ置いていってくれ。俺なんぞ居てもろくな事にならん」

 

「…少しいいかな、白梨。そんな風に逃げているのが正しいことなのかい?君の親友は最期に何を思ったか、深く考えてみたことはあるかい?僕は色々考えてもらうために今回の手伝いを頼んだんだ。よーく、これを機に考えなよ。僕はウジウジといつまでもしている君はあまり好きじゃないよ」

 

白梨さんはなにか言おうとしたみたいだったが、少し頭を冷やしてくると言い、どこかに行ってしまった。

 

…ウェンティは多分、わざと白梨さんが居るのに気がついててあえて教えてくれたんだと思う。

立ち直って貰うために機会を作りたかったのだろう。

私も少しばかり白梨さん…白梨と積極的に話してみよう。

境遇を憐れんでいるんじゃなくて、もう少し…いや、いっぱい話してみたいと思う。

 

白梨さんの背を追ってエンジェルズシェアの中に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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