「あ、そうだ。こちらの一つ目巨人私たちが貰ってもよろしいでしょうか?」
とりあえず準備を整えて出発、となったのだが、誰も一つ目巨人の死体に目をくれる様子がなかったのでそう聞いてみた。
ちなみにこの一つ目巨人にも鬼のような角が生えていた。ひょっとしたらこの角はこの世界におけるモンスターの証なのかもしれない。
「それは、貴殿らが倒したのだから元々貴殿らのものだ。しかし、解体などしている暇はないぞ? サイクロプスで一番高く売れるのは眼球だが、それは貴殿らが真っ先に潰していたしな……」
「大丈夫です、お時間は取らせませんから」
そういうと俺はクレジット変換のアプリを起動、する前に普通にカメラのアプリを起動する。
取りあえず異世界感マシマシのサイクロプスを写真に収めてユウカに報告するのだ。
死体の写真より、生きてる動画の方が信ぴょう性は上がるのだが、あの時はそんな暇もなかったから仕方ない。
サイクロプスの死体を写真にとり、きちんと保存されたことを確認すると、次はクレジット変換のアプリを使ってサイクロプスを変換する。
「サイクロプスを25,000クレジットに変換します。よろしいですか? YES/NO」
おお! 25,000にもなるのか。アルの攻撃2発で沈んだのにこれはかなりコスパいいな。とにもかくにもYESっと。
YESを押した瞬間、サイクロプスの死体が掻き消え、チャリーンという音と共にスマホにクレジットが供給された。
よしよし、ガチャで引いたクレジットといい、このサイクロプスのクレジットといい、結構な収入だぞ。しばらくは安心だな。
「ひ、一つ目巨人が消えた!? 先生何やったの!?」
あ、そういえばアルにはこのアプリの説明はしてなかったや。
「クレジット変換というアプリを使ってサイクロプスをクレジットに変換したんだよ。クレジットは主に弾薬の補給で使うからあって損はないよ。
アルの弾薬も補給しておこうか?」
「いえ、まだ2発しか使ってないし弾薬にも余裕があるから大丈夫よ。少なくなったら頼むわね」
「サイクロプスが消えた? もしや貴殿は収納の魔法が使えるのだろうか?」
魔法! いい響きだなぁ。せっかく異世界に来たんだから俺も魔法が使えないだろうか。多分使えないだろうなぁ。なんてたって非戦闘員であることに定評のある先生だ。
戦闘能力が生えるようなパッチが当たってるとは思えない。
「いえ、魔法ではないですよ。いや、よく考えたらこれ魔法みたいなものか? でも、科学の産物って言うのも絶対に違うしなぁ。ともかくサイクロプスを収納したわけではないです」
「そうか。よくわからぬということがよくわかった」
ロイさんはそれだけ言うと出発の準備を再開した。しばらくして姫側の準備が整ったのか、兵士たちを先頭に行進を始める。
俺たちもそれに追従する形で歩き出す。
出来れば馬車の中に入って楽したいところなのだが、馬車は明らかに貴人用って感じの豪奢な馬車だから入ること自体が不敬につながる可能性がある。
あとまぁ、一応は護衛という体で雇われているので、外で警戒しないといけないという当たり前の事情もあるのだが。
そんな中俺は警戒をアルに任せ、スマホをポチポチしていた。俺みたいなパンピーが警戒しててもしょうがないという事情もあるが、取りあえず事態が大きく進展したのでユウカに報告をしていたのだ。
そして、報告ついでにアレを検証することにしたのだ。
そう、青輝石購入である。この世界のリアルマネーが必要と俺は見ている青輝石購入だが、まだ実際にアプリを起動したことはない。
今回アルのおかげで、リアルマネーをゲットできたので、実際にこれで青輝石が買えるかどうか試してみることにする。
『購入する青輝石を選択してください』
ダイアログと共に、ズラっと並べられたのはブルアカでおなじみの青輝石購入画面だ。
ブルアカとほぼ同じなのだが、違う点もいくつかある。一番わかりやすいのは売っている青輝石の値段というか単位が違うことだ。
「単位はゴルドか。安直ではあるが分かりやすくはあるな。そして、1万ゴルドでMAXの4800個。ガチャ40連分だな」
ついでに言うならば、1プレイ1回だけや、一か月に3回まで買える特別なパックも表示されてる。
値段は先ほどのと同じで、青輝石の量はそれぞれ8000と6600だ。これもブルアカ本編と同じときてる。
「でも、新任教師用のパッケージやら、毎日石とチケットもらえるマンスリーパッケージとかはないな。マンスリーパッケージはあったのなら是非とも買っておきたかったんだが」
他にも装備、贈り物、レポートのパッケージもないが、こっちは青輝石はおまけであるし、現実化した今それらのアイテムが使えるとは思えないので無いのは納得だ。
「で、購入してみたらどうなるんだ?」
とりあえず、一番石がもらえる1万ゴルドのプレミアムパックを購入することにする。
『1万ゴルドを投入してください』
投入ってどこにだよ、スマホにか? とりあえず、先ほどもらった金貨を1枚スマホの画面に押し当てる。
すると、スルッと金貨がスマホに吸い込まれ、ピコン、と課金したときの効果音が鳴る。
『青輝石を購入しました』
無事青輝石を購入できたようだ。そして、お釣りが排出されることもないし、残金がチャージされてる様子もないのでどうやら金貨1枚が1万ゴルドということなのだろう。
「つまり、俺は今30万持ってるってことなのか……」
正確には1万使ったから残り29万だが。しかし、円と同じ価値と考えると、王族の命を救った報酬が30万円ってのは確かにかなり安い値段だろう。
護衛の報酬と合わせてもう少しもらっておきたいところだ。
「さて、これで生徒を引けるようになったわけだが……」
今すぐ生徒を引くべきか否か、それが問題だ。
即戦力を呼べるという点では護衛業務をしている今引くべきなのだが、俺が懸念している問題は別にある。
それは”限定ガチャ”である。
ブルアカには他のソシャゲの多分に漏れず、限定キャラというのが存在する。
それは主に別衣装キャラがそれだったりするのだが、普通の生徒でも限定キャラだったりするのがある。
その中で一番重要というか、外してはならない存在がいる。
ブルアカをプレイしたことのある諸兄なら分かるだろうが、ユウカのスマホを強奪してメンヘラトークを送ってきた存在。
そう聖園ミカである。
メンヘラ入ってることもあって、個人的にはミカはあまり呼びたくない部類のキャラなのだが、その個人武勇はピカイチだ。
銃を持ってるのは手加減、素手で壁を破壊するゴリラ、等と言われるように、そのストーリー上の強さは論をまたない。
呼べば間違いなく戦力になってくれる頼もしい存在ではある。
だが、そんな存在に対して「限定ガチャなんて待たずに石全部使い切っちゃった、ごめんね!」等と言おうものならどうなるのか。
間違いなく愉快なことにはならないだろう。
まぁ、ああ見えて根底にあるのは「先生に嫌われたくない、迷惑をかけたくない」という思いなので、表向きはおとなしく引くだろうがそれはそれでミカに負担をかけることになるので”先生”としてはそういうことはしたくはない。
だが、同時にこのガチャには限定キャラなんていない、という可能性もまたある。それであればさっさと引いて少しでもミカを当てる努力をするべきである。
「どうするのが正解なのか……」