「生徒募集のアプリで排出率とか見れないものかね……」
俺はそう呟きながら、生徒募集のアプリを起動し、画面を隅から隅まで見る。
すると、左下に小さく「確率情報」というのがあるのを見つけた。
「お、あるじゃん。排出率。これでメンバーを見れば……」
「先生、さっきから何をしているの? ユウカとの連絡? 定時連絡はさっきしたばかりじゃなかったかしら?」
俺がずっとスマホとにらめっこしているのをユウカとの連絡かと思ったのか、アルが話しかけてくる。
「あ、アル。さっきの報酬で生徒募集が出来そうでね。ガチャの中にちゃんとみんなが入ってるか確認しようとしてたところだよ」
「さっきの報酬でってことは、この世界のお金でガチャを引くってことよね。一体どういう仕組みなのかしら……。ていうかその物言いだと募集出来ない子もいるかもしれないってこと?」
「アル……ソシャゲのガチャには限定キャラってのがあってね、常に全員を引けるわけじゃないんだよ。まぁ、本当にこの募集ガチャにそういうのがあるかの確認なんだけど」
「そ、そう……。ヒナが限定じゃありませんように。いや来てほしいわけじゃないけど……」
後半のアルは小声になっていたが俺の耳にはばっちり届いていた。アル、ヒナは原作でも恒常キャラだから大丈夫だよ。
と言いたかったが、原作で恒常でもこのガチャでは限定になってる可能性はあるので、安易な返事をすることは避けた。
それに、アルにとっては原作とか言われてもちんぷんかんぷんだろうしな。
さて、では改めて排出率の方を見るとするか。「確率情報」をタップ。すると、ズラっと生徒の顔アイコンが表示されるが、
そこに表示された確率が「生徒 3.0%」というものだけだった。下にスクロールさせるが、一番下には「ハズレ 97.0%」と表示されるのみだ。
これの示すことは、ガチャで生徒を引けるのはブルアカの最高レアである星3生徒を引ける確率と同じ確率でということだろう。
本来なら、星2、星1キャラにも確率が設定されているのだが、その様子はない。
ざっと引ける生徒のアイコンを眺めるが、ノーマルのアスナを見かけたので、どうも星1や星2キャラも「生徒」のくくりに交じっているようだ。それに――、
「あれ、レッドウィンターのノドカとトモエがいる。こいつらって配布キャラじゃなかったっけ……?」
それに加えて、どうも正月カヨコや、バニーアスナなどの別衣装キャラもいないようだ。
まぁこれはゲームじゃないし、現実であるならば衣装を変えるだけで中身は変わってないので当然と言えるが。
「あ、いた……」
じっくりと生徒一覧を眺めると、目的の生徒を発見した。そう、聖園ミカである。
他にナギサやトキも発見したので、どうやらこのガチャに限定の生徒というのはいないようだ。
「それはそれで、安心したような不安なような……」
限定キャラということは、逆に言えば限定ガチャが来た時はピックアップされていて確率が高い状態なのだ。
だが、今の限定がいない状況だと、生徒全員からピンポイントで引かなければいけない闇鍋状態だ。
今のガチャ画面をみても特に生徒ピックアップなどはしていないようで、この中から目当ての生徒を当てるのは至難の業だろう。
「取りあえず試しに一回引いてみるか」
『青輝石1200を消費し、生徒募集を行います。よろしいですか? YES/NO』
消費する青輝石はゲームと同じか。これで誰か引ければ儲けものだが――、
「YESっと……」
『
鍋のふた(盾)
バケツ(兜)
竹槍(槍)
かっこいいブレスレット(アクセサリー)
洞爺湖の木刀(剣)
鍋のふた(盾)
「アリス」
1000クレジット
あったかいベスト(鎧)
木靴(靴)
』
「ご、ゴミアイテムばっかり……。鍋のふたなんてダブってるし。このガチャ、ハズレってレベルじゃないぞ。スタートダッシュガチャの時はいいの貰えたのに……」
この中で唯一当たりと言えるのが1000クレジットであるあたり救いようがない。排出率の所にハズレと書かれているのは伊達ではないということか。
だが、その中でも唯一よかったと言えるのは生徒がちゃんと当たったことだ。だが、その生徒というのが――、
「アリス、アリスかぁ。確かにアリスならこの世界に召喚してあげれば凄く喜びそうだけども」
だが、今アリスを召喚することはためらわれた。別にアリスが問題生徒とかそういうことではない。
先生に対しては基本上から目線で接したりと、手放しでいい子と言えるような子ではないが、別にそこは問題ではない。
問題なのはアリスの装備している武器である。光の剣と名付けられた、戦艦の主砲であるレールガンがアリスの武器だ。
レールガンというが実際はビーム砲というのが近い。で、その性能なのだが、通常攻撃で敵を”貫通する”のだ。
他の生徒の銃はスキルでもない限り基本的に一人に撃ったらそこで弾丸は止まるが、アリスのそれはどこまでも貫通する。なんだったら遮蔽物も貫通する。
つまるところ、射線上に味方でもいたら遮るものがあったとしても余裕で貫通して当たってしまうのだ。
今俺たちがやっているのは護衛任務。要人を守りながら戦わなければならない状態だ。そんな状態でどこまでも貫通するアリスの武器は危険極まりない。
流石に現実となった今は、エネルギーの減衰ぐらいはするとは思うのだが、それが分からない以上むやみにアリスを採用するわけにはいかない。
「あーでも、一旦アリスを呼んでユウカと交代してもらうって手もあるか。でも、アリスだったら帰還するのを拒否しそうでなぁ……」
アリスからすれば今俺がいる場所は夢にまで見たゲームの世界なのだ。まだ直接確認できていないが、魔法の存在もあるファンタジー世界だ。
そんな世界にアリスを召喚すればどうなるか。永住する勢いで居着くことは想像に難くない。
一応帰還させるための説得材料がないわけではないが、やはり先生としては最大限生徒のやりたいことを叶えてあげるべきだろう。
「ねぇ、アル。ちょっとどう思う?」
「いきなり、目的語もなしに言われてもなんのことか分からないわよ。どうしたの先生?」
取りあえずはアルに相談してみることにするか。後でユウカにも聞いてみないとだけど。