アリス→アルは見つかったのに逆は見つからなかったので
それほど接点はないとしています。
というか、絡みを探しても野球でアリスがアルにボール投げてるシーンぐらいしか見つからんかった
「へぇ、新しく生徒を引けたのね。天童アリス、だっけ? たしかユウカと同じミレニアムの子よね?」
「うんそう。で、召喚していいものかちょっとアルに相談したくて」
まずはアルに召喚するかどうかの相談をしてみる。まぁ、頭数が増えるわけだから反対はしないだろうが。
「私に相談しないといけないぐらいの問題児なのその子!?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
「だったら召喚すればいいじゃない。護衛任務は慣れてるけど、私一人じゃやっぱり手が足りないもの。頭数は必要よ」
アルは賛成、と。ユウカにも聞いてみるけど、ユウカはアリスに甘いからなぁ。普通に賛成されそう。
先生『ユウカ、今大丈夫?』
ユウカ『どうしました、先生? 何かトラブルですか?』
先生『いや、トラブルじゃなくて、さっき現地通貨を手に入れたって報告したと思うけど、その現地通貨を使って生徒募集が出来たんだ』
先生『で、その募集でアリスを引いたんだよね。すぐに召喚すべきかどうか迷ってしまって』
ユウカ『アリスですか……、その世界って確か魔法が存在するファンタジー世界なんですよね? 彼女なら永住しかねませんね』
先生『だよね。だからどうしようかと思って』
ユウカ『普通に召喚する、でいいのではないでしょうか? アルさんの実力を疑っているわけではありませんが、やはり先生の安全のためには人数がいたほうが安心できます』
先生『やっぱりそうなるかぁ』
まぁ、二人に相談して二人とも召喚一択のようなので、俺もあきらめて召喚をするのだが、ちょっと待ってほしい。
さきほどは最初の10連でアリスを引いたため忘れかけてたが、まだ石は6800も残ってる。あと5回も10連ガチャを引けるのだ。
アリスを召喚するのはその石を使い切ってからでも遅くはないだろう。
なにせ、召喚には大人のカードを使う必要があるのだ。推定寿命を削るカードを何度も使いたくはない。使うならば出来るだけ圧縮というかまとめて召喚したほうが回数も減ってグッドだ。
「では、残り50連だ」
ポチっとな。
残念ながらもう一度生徒が引けることはなかった。そしてガチャ画面にずらりとならぶハズレアイテムの山。
有用なのはクレジットだけ、と思いきや一つ目を引くものをゲット出来ていた。
そのアイテムは「回復魔法の書」というアイテムだった。
他は軒並みごみのようなアイテムばかりだったのに、この名前から醸し出される当たり感。ひょっとしたらこれを読めば俺でも魔法が使えるのではないだろうかと期待せざるを得ない。
まぁ、このアイテムの検証は後にして、アリスを召喚するとしよう。大人のカードを取り出して――、とその前に兵士さんたちに先に言っておかないとな。
「すいません、ロイさん。これから護衛のための新しい人員を召喚しようかと思います。あ、人員が増えると言ってもそれはこちらの都合なので護衛料の上乗せなどを要求する気はないのでその点はご安心ください」
「召喚……? 貴殿は召喚士だったのか? しかし、みたところ触媒も魔法陣もないようだが……」
この世界には召喚士って職業の奴がいるんだな。召喚には触媒と魔法陣が必要、と。心のメモ帳にメモしておこう。
「大丈夫です。ではいきます。 こい! アリス!」
アルを召喚した時と同じように大人のカードを掲げ、アリスを召喚する。
大人のカードがカッと光った、ような感じがして、俺の目の前にどでかいレールガンを背負った黒髪の少女が現れる。
もうちょっとこう、エフェクトとかあってもいいようなものだが、アルを召喚したときも特にエフェクトとかなかったしな。
「先生! ここが! ゲームでやったような! 魔法のあるファンタジーな世界なのですね!!!」
アリスはすでにユウカから聞いていたのか、呼ばれた事情を把握しているようだった。らんらんと目を輝かせ、両手を大きく広げ、全身で喜びを表現している。
「よく来てくれたねアリス。事情は知ってるようだけど、さっそく頼めるかい?」
「先生、魔王は!? 魔王はいるのですか? アリスは魔王を倒す勇者をやりたいです! あと魔法! ファンタジーな世界と来れば魔法です!
勇者は攻撃回復補助とバランスよく使えるのが特徴ですので、色んな魔法を覚えたいです。他にはRPG定番の冒険者活動です!
勇者とその仲間がクエストを受注しお金や経験値を稼ぐ、あの冒険者です。他にも他にも――」
「オッケーアリス。少し落ち着こうか」
なんとなくこうなるんじゃないかなぁ、とは思ったが召喚されて即のアリスのマシンガントークである。異世界にこれてよっぽど嬉しいらしい。
しかし、俺はまだ可能性あるけどアリスは魔法使えないんじゃないかなぁ。アリスってキヴォトス人ですらなく、正体はアンドロイドっぽいからな。
機械の身体で魔法を扱えるかと聞かれると疑問符が浮かぶ。
「あっ、そうだ。大切なことを忘れてました!」
「ん?」
「パンパカパーン! アルと先生がパーティーに加わりました!」
「いや、逆じゃない? あなたがパーティーに入ったんじゃ?」
アルがツッコミをいれるが、ここらへんのナチュラル上から目線はまぁ、アリスなので。
「満足した? アリス」
「はい! では、今受注してるクエストを遂行していきましょう! その豪華な馬車を護衛すればいいのですね! 勇者であるアリスにすべてお任せください!!」
アリスはウッキウキ状態で、レールガンを構えると馬車と並行して歩き出す。
「…………、あの先生殿少しいいだろうか? 聞きたいことは山ほどあるのだが、どうしても一点だけ。その少女は先ほどから自分のことを勇者と言っているのだが……」
うん、そりゃそこ最大のツッコミ所だよな。この世界リアルに本物の勇者がいてもおかしくなさそうな世界だし。他にもツッコミ所たくさんあったろうに、その一点に絞ることにしたロイさんの苦悩がうかがえる。
「すいません、彼女は勇者ごっこが好きなんですよ。勇者に憧れる年齢といいますか、時期といいますか……。勇者になりたくてなりたくて仕方ない年頃なのです」
まぁ、実際半分ぐらいは間違っていない。ただ、アリスの勇者自称は割とアリスのアイデンティティの根幹に関わることなので、正面切って否定することはアリスのアイデンティティの崩壊を招きかねない。
ゆえに、この言葉はかなり声を抑えてアリスに聞こえないようにしている。
「そ、そうか。勇者ごっこか。驚いたぞ、今代の勇者はまだ出現していないと聞いたから、よもやあのような少女が、と思ったのでな」
おっと、この世界勇者がいるそうですよ。また新情報をゲットだ。今代の勇者とか出現とか言ってるから、どっかに突然変異的に現れる現象かなにかなのだろうか。
とりあえず、アリスの勇者自称に関してはこれでごまかせ――、
「む、遠方にモンスター発見です! アリス、光の剣を発動させます! 光よ!!」
バシュゥゥゥゥ!!
轟音と共にアリスの光の剣からビーム砲が放たれ、射線上にいたであろうモンスターと樹木を薙ぎ払う。
「…………」
「…………」
「討伐完了です! アリスが護衛をしている間はこの馬車にモンスターなど近づけさせません!」
「あの、先生殿、いま光の剣と……。それはまぎれもなく勇者の扱う武器で、今の発動もどう見ても……」
「気のせいです」
「いや、確かに」
「気のせいです。あなたは何も聞いてないし見てもいない、いいですね?」
「アッハイ」
世の中には知らなくていいこととか一杯あるのだよ、ロイ君。