でも、感想に返信をするかはその時の気分次第です。
アリスを召喚し、姫殿下の護衛任務を継続しているさなか、散発的に襲ってくるモンスターは遠距離でアリスかアルが発見しほぼ一撃でしとめていた。
ただ問題なのはアルが仕留めた場合は、モンスターは原型が残っているのだが、アリスが仕留めた場合原型なんて残っておらずクレジット変換が出来ないということだ。
たまに、体の一部が残ってる場合があり、その時にクレジット変換を試してみたのだが「原型をとどめないオークの死体」みたいな査定になり、変換できるクレジットもスズメの涙だったりする。
当初はアリスの誤爆を警戒していたが、一番警戒するべきはクレジットの獲得が出来ないことになるだろう。
ただ、それをアリスに正直に伝えてしまうと、アリスが気持ちよく”勇者”が出来なくなるのでアリスが残念がるのが目に見えてる。
まぁ、幸いガチャでもクレジットが手に入るため、クレジットに余裕があるのが救いだ。
「あ、アリスにアル。そろそろ弾薬とエネルギーの補給をしておいた方がいいと思うんだけど」
何体かモンスターを倒したのち俺の方から二人にそう告げる。
「そうね。私も結構使ったし、モンスターがいない今のうちに補給しておきたいところだわ」
「エネルギーの補給ですか? エンジニア部に頼まなくても出来るのでしょうか?」
「多分出来ると思うよ。ちょっと待ってね」
スマホから弾薬補給のアプリを起動する。しかし、スマホを見るたびに電池残量も見ているのだが、最初の時から一向に減っている様子がない。
まぁ、スマホが俺の生命線なので電池が切れないというのはありがたいことなのだが、どうにも不気味さを感じざるを得ない。
『弾薬補給をする生徒を選択してください。 陸八魔アル/天童アリス/全員』
『全員の弾薬を補給しますか YES/NO』
ガチャガチャチーン
『弾薬代10,984クレジット頂きました。毎度ありがとうございました』
「高っ! なんだこの値段。ユウカの時の比じゃないぞ!」
ユウカの時は確か1300とちょっとぐらいだったはずだ。何がこんなに高いのか。って考えるまでもなくアリスのレールガンだな。
アルの銃はライフル弾だから、ユウカのよりは単価は高いだろうが、使用弾数はサブマシンガンに比べて圧倒的に少ないから、そんなにべらぼうに高くなるとは思えない。
だが、アリスの銃弾(?)はエンジニア部の粋を極めて作り出された戦艦の主砲たるレールガンのエネルギーだ。その値段というのは通常の弾薬の比ではないだろう。
「私はその時いなかったから知らないけど、そんなに高いの?」
「ユウカの時は弾丸一発9クレジットだったんだよ……。アルの弾薬もそんなに高くなるはずないから、原因は……」
「わ、私が悪いのでしょうか……? アリスは今後光の剣を撃てないのでしょうか……」
アリスに申し訳なさそうな顔をさせて、ちょっと自己嫌悪に陥る。ここはフォローしておかないと。
「そ、そんなことないよ、アリス! 確かに高かったけど、今までガチャでもクレジットは補給出来てるからまだクレジット自体には余裕があるし」
実際、ガチャでは割とクレジットは当てている上アルが止めを刺したモンスターはクレジット変換が出来ているので、今現在のクレジットの貯蓄は140,957クレジットほどある。
ただ、今後も全てアリスが止めを刺すとクレジット変換できる死体にならないので、アリスにばかり任せているといずれ底をつく計算だ。
現地通貨は残しておきたいところだが、これはもう一回ガチャすべきか?
やはり、先生としてはアリスにはのびのびと異世界を堪能してもらいたいところであるからして。
「って、そうだ。ガチャで思い出した。ガチャで生徒以外でアイテムが一杯当たるんだけど、その中に回復魔法の書っていうのがあってね」
とりあえず、話をごまかす目的もあって、検証を後回しにしていた回復魔法の書の検証をしようとガチャ結果からそのアイテムを取りだす。
「回復魔法!! はい、先生! アリスが! アリスが使いたいです!!」
「うん、そう言うと思ったよ。はい、アリス。アリスが使っていいよ」
本音を言うなら俺が使いたかったが、アリスがこう言うであろうというのを予想していたし、生徒のお願いは全面的に叶えてあげたい所でもあるし、アリスに譲ることにする。
「ありがとうございます! 先生!!」
輝かんばかりのキラッキラの笑顔を浮かべて、アリスが喜ぶのを見ると上げたかいがあるなと思う。お年玉やクリスマスプレゼントを子供に贈る大人の気持ちというのはこういうのかもしれない。
「…………」
あげた回復魔法の書をじっくりと読みだすアリス。
「読めません……」
が、すぐに困ったような顔になると本から目線を外す。言葉が普通に通じてるから文字も同じかと思ったがそうは問屋が卸さなかったようだ。
だが、文字が違うとなると困ったことになるな。アリスがしたいような冒険者活動に支障が出る可能性がある。文字が読めないと契約書とかそういうのが読めないからな。
騙されても文句が言えないってことにもなる。
「アリスちょっと見せてくれる?」
とりあえず、どんな文字かぐらいは把握しておきたいので、アリスから回復魔法の書を受け取り俺も読んでみる。
「ん?」
アリスは読めないと言っていたが、普通に読めるぞこの本。ていうか日本語じゃん。もしかして日本語だからアリスは読めなかったとか?
いや、それはないだろう。いくらブルアカが韓国開発のゲームだからと言ってアリスやアルが今も日本語を喋っていることからして、日本版のブルアカであるはずだ。
とすると、ゲーム内で使われている言語は日本語。連邦生徒会室のエンブレムにもばっちり日本語で「連邦生徒会」と書かれているからそれは間違いない。
それに、アリスは起動したての頃から、ゲーム開発部の作ったゲームの文章を問題なく読めていた。アリスが日本語が読めないはずがない。
なのにこれが読めない? そう疑問に思うと同時に、本から文章が比喩でなく浮かび上がり、俺の脳内に流れ込む。
「なっ!?」
「先生!?」
その文字が浮かぶ様子はアルやアリスにも見えるのか、二人から心配そうな声がかかる。
脳内に流れ込むその文字の羅列が終わると、俺は途端に脳内にある情報が書き込まれたのを実感する。
「なるほど、回復魔法の書ってこういうことなのか……」
今の俺は回復魔法の使い方、それが脳内にばっちり書き込まれた状態だ。どうすれば回復魔法が使えるのか、それを理解できていた。
「ヒーリング」
とりあえずアルに向かってそれを使ってみる。アルは目立ったケガはしていないが、森の中を抜けていたのであちこちに葉っぱや枝がこすれた跡があった。
俺が回復魔法を使うとそのアルに付けられていた跡がきれいさっぱり消えていた。
「あら、跡が綺麗に消えているわ。ありがとう先生」
どのくらいのケガまでが治せるのかはまだ要検証だが、とりあえずアルのケガが治ったので安心――、
「ず、ずるいです先生! アリスがそれを使いたかったのに!! 先生はマスコットキャラなんです! いるとテンション上がるだけの存在なのです!! アリスは勇者なのに!」
うん、アリスが先生のこと舐め腐ってるキャラなのは知ってたけど、こう面と向かって言われると傷つくものがあるな。
「そ、それはちょっと言いすぎじゃないかなー、って私は思うんだけど……。先生だって役に立ってるわよ。なんかこう、色々と」
アル。俺のフォローしてくれてはいるんだろうけど、そこで具体的に何の役に立ってるかあげられてない以上、それはフォローになってないよ。追い詰めてるだけだよ。
ていうか、俺が回復とは言え魔法を使えるようになるとはな。アリスの言葉じゃないが先生ってマスコットキャラみたいな立ち位置だから、指揮以外で戦闘で役に立つようなこと一切出来ないと思っていたのだが。
「大丈夫だよ、アリス。勇者にも色々いて、魔法が一切使えない勇者とかも珍しくないから」
「そんなフォローは要りません! アリスが魔法を使いたかったのに!! 次! 次魔法の書が手に入ったら今度こそ魔法を覚えて見せます!!」
そこでナチュラルに魔法の書が自分に与えられると思ってるあたり、実にアリスである。