「というわけで、お待たせしました皆さま。ガチャの時間です」
「わーぱちぱちぱち」
宿に戻るなり、そう宣言してベッドに腰掛ける俺だが、反応したのはアリスだけだった。悲しいなぁ……。
あ、ちなみにアコはすでに腕を組むのをやめている。俺の内なるビーストと戦い続けるのは大変だったぜ。
「先生、是非魔法の書を! 魔法の書を当ててください! アリス的にはそれ以外はハズレです!!」
「滅多なこと言うのやめようねアリス。当たりなのは生徒のみんなだから」
アリス以外の反応は薄いが気にせず、スマホをいじって青輝石を購入する。
今回購入するのはマンスリーの青輝石パック2つである。前回1つ購入済みなので、これでマンスリーのパックは買い切ったことになる。
これがこの世界基準で来月になったとき補充されるのか、その辺りは要検証である。
これで、前回残った200と合わせて、13400個の石があることになる。これで11回10連を回せて200余ることになる。
「10連ガチャ11回。いくぞー!」
気合の声とともに、スマホの画面をタッチする。ポチっとな。
以下結果である。
魔法の書:
風魔法の書
回復魔法の書
クレジット:
249,000クレジット
生徒:
ハレ
「これはまた扱いにくいというか、こっちに来たがらなさそうな生徒が当たったな……。しかも一人か」
ミレニアム、ヴェリタス所属のハレ。
超々インドア派のハレなんかにこっちの世界に来たがらないと予測できる。
だが逆に考えればハレに関してはユウカに代わって連絡役を任せることが出来そうだ。
「えっと、ミレニアムの生徒ですよね? 来たがらないというのは?」
アコが疑問を述べるのでそれに対して説明してあげる。
「うん、ハレはインドア派かつカフェイン依存だからなぁ……。まぁ、一応ダメ元で打診してみるね」
ではハレにトークを飛ばす。
先生『ハレ。いま大丈夫?』
ハレ『あれ、先生? 今先生は異世界に行ってるはずじゃ……。ってモモトークが私に来るってことはガチャで引いたってことだよね?
そっかぁ……、ということは異世界に行けるんだね。やっぱりゲームみたいに魔王がいて勇者がいてっていうファンタジー世界なのかなぁ。楽しみだなぁ』
あ、あれ? なんかハレが乗り気だぞ? おかしいな、俺の想定では外出を嫌がるかと思ったんだが。
となると、ここですぐに断ったり連絡役の交代なりを打診するのは悪手だ。とりあえず慎重に会話を進めねば。
先生『乗り気だね、ハレ。そんなに異世界楽しみ?』
ハレ『異世界自体楽しみってのもあるけど、なにより先生と一緒に冒険できるってのがいいかな。しばらく会ってなかったし、一緒に冒険してみたいな』
ヤバイ。ハレが想像以上に乗り気だ。ていうか、先生への生徒の好感度を甘く見てた! インドア派のハレを外出する気にさせるとは! これがSENSEIパワーなのか!!
ここは鬼札を切るしかない!
先生『でも、こっち多分ハレが好きなカフェインないよ。あったとしても、貴族とかが飲むようなもので庶民では飲めないようなものだと思う』
ハレはカフェイン中毒者! ここを付くしかない!
ハレ『う……。そ、それがあったか。エナドリ大量に持ち込むからそれで過ごすのはダメ?』
先生『ハレ……。いい加減そのカフェイン中毒治療した方がいいよ。ていうか、こんなことハレに言いたくないけど、こっちは命がけで戦ってるからね。余分な荷物は出来るだけ避けてほしいってのが本音かな』
ハレ『うぅ、正論が私に突き刺さる。でもなぁー、異世界は行ってみたいしなぁー』
よし、ハレが迷いだした。ここが勝負所だ!
先生『だったら、ユウカと交代で異世界に来るってのはどうかな? 私も鬼じゃない、エナドリも幾つかは持ってきてもいいから、ユウカと交代で異世界に来るというのはどうだろう?』
ハレ『ユウカと? うん、ずっと異世界に行くわけじゃないならそれがいいかも。あ、でもユウカって今異世界との連絡役やってるんだよね? ひょっとしてそれ私もやらされたり……』
先生『まぁ、そうなっちゃうね。誰もキヴォトスとこことの連絡が出来なくなると暴走する生徒が増えるだろうから』
ハレ『そっかぁ……。まぁ、先生に会えるならそれぐらいは。で、いつ召喚してくれるの?』
先生『それに関してなんだけど、ハレには残念なお知らせです。ここはちょっとユウカを優先して欲しいんだ。ユウカ自身意に添わぬ連絡役を押し付けちゃったからね、その補填じゃないけど、ユウカを優先させてあげてほしい』
ハレ『うーん。ちょっと不満だけど、先生がそう言うなら我慢するよ。でも、いつかは私をちゃんと召喚してくれると嬉しいな』
先生『それは勿論だよ。じゃあ、ユウカと会話するからいったんトーク終えるね』
ふぅ。なんとかユウカとの交代役をやらせることで合意できた。次はユウカとトークだな。
先生『ユウカ。今大丈夫?』
ユウカ『大丈夫ですよ先生。なにかありましたか?』
先生『さっきガチャでハレを当ててね。ユウカと連絡役と異世界召喚役を交代してくれるように打診したから、その報告』
ユウカ『それは私としてはありがたいんですが、ハレは大丈夫でした?』
先生『確かに、異世界に来たがってたけどね。カフェインが無いって聞くと迷いだしてね』
ユウカ『ハレェ……。まぁ、ハレには悪いですが、ようやく先生のもとに駆けつけることが出来るというわけですね』
先生『うん。交代のタイミングについても、こちらで決めてもいいし二人で話し合ってもいいし、そこは臨機応変にね』
ユウカ『分かりました。じゃあ引き継ぎとか色々準備がありますので、1時間後ぐらいに呼んでいただけますか?』
先生『分かった。じゃあまた一時間後に』
そういってユウカとの通信を終える。
「ん。ハレと交渉したけど、ユウカが来ることになったよ」
「せっかく引いたのに、なんでユウカの方が来るの……?」
アルの疑問ももっともだが、説明するのめんどいな。
「まぁ、一応は戦力が増えるわけだからいいじゃない。
あと、ハレは交代要員として確保はしてるからね。ユウカを優先する理由があったからそうなっただけで」
「まぁ、どっちがこようと関係ありません。少なくとも戦力増強にはなったわけですから」
「でも、お金はまだあるよね? もう少し追加で引くわけにはいかないの?」
シロコからそんな疑問が飛ぶ。うん、追加で引くこと自体は可能なんだが――、
「別に引いてもいいんだけど、ガチャで必要な青輝石の変換効率がこれ以上だと悪くなるんだよね。1か月に3回買えるパックで6600個買えるんだけど。それ以外の通常時だと4800個なんだ。
一応まだ、リミテッドって言ってマンスリーと同じ変換効率で石が3回買えるパックもあるんだけど、こっちは回復しないんだよね。だから、よほど切羽詰まらない限りマンスリーの3回で切り抜けたいというか」
「なるほど、確かにそれは効率悪いね。現状戦力としては足りてる以上無理をする場面じゃない、か」
まぁ、リミテッドや既に使い切ったプレミアムは周年で回復はするんだが、この状況で周年ってなんやねんって状態だし、それを期待するのは現実的じゃないだろう。
つまるところマンスリー以外は回復しないものとして割り切った方がいい。
「で、あの妖怪女が来るわけですか。時に先生に一応お尋ねしますが、どのくらいを異世界に常駐させるおつもりで?」
「やっぱり、チームが組める6人かな。それ以上は私の指揮限界を越えそうだから、あとはキヴォトスの交代要員と変えながら、色々模索していくつもりだよ」
「とするとあと一人は入る余地がある、と。ならば先生、なおのことガチャは引くべきです。例え効率が多少悪かろうと今なら資金のごり押しが効く段階です。今のうちに交代要員含め引いておくべきかと」
なるほど、アコの言うことももっともだ。石の変換効率が悪くて躊躇してたけど、交代要員を増やしておくってのはこれ以上ない正論だ。流石にこれで打ち止めはダメだろう。
「分かったよアコ。それじゃリミテッドを3つ購入してっと……」
リミテッドを早々に切るのはちょっと抵抗があるが、これで青輝石は20000個。10連を16回引ける計算だ。現実だとこんなに一息に課金したことないからちょっとドキドキする。
「それじゃ160連。いきまーす」
以下結果である。
魔法の書
闇魔法の書
火魔法の書
クレジット:
305,000クレジット
生徒:
ヒナ
カヨコ
アズサ
ホシノ
「おっと、これは……」
交代要員としては申し分ない相手が当たったが、なんかこのガチャ妙にゲヘナに偏ってない? すでにいるアコとアルと合わせて4人目なんだが?
トリニティなんか今当たったアズサ一人だけだぞ。まぁ、それ言ったら山海経と百鬼夜行、SRT、ヴァルキューレ、アリウスあたりは一人も当たってないが。
ていうか、確率って本当に3%か? 現実でこんなに当たったことないぞ。まぁ、当たる分にはこっちは得だからいいんだが。
ともあれ、中々いい面子が当たったから交渉開始といきますか。
当初の予定ではハレは連絡役専業にするつもりだったのですが
書いてて途中で、多分それはハレが承服しないだろうなと思って改稿してます。
ユウカだって不承不承なんだから、他の生徒もいわんや