異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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ブルアカ自体まだ完結してないので、色彩や神秘、ゲマトリアに関しては
作者の独自解釈、独自設定が入ってます。ご容赦を。



35.色彩

 風の刃と打ち上げをした翌日。俺は改めてパーティー編成をすることと相なった。

というのも、今いるメンツはすでにCにランクアップしたが、キヴォトスにいる交代要員はまだ低ランクのままだからだ。

出来れば全員のランクを平滑化しておきたいので、生徒たちに事情を話し交代することとなった。

ゆえに、今のメンバーは、カヨコ、アコ、ホシノ、アズサ、ハレ、アリスになる。

正直カヨコとアコは一緒にしたくないのだが、交代の関係上そうなってしまう。頼むから面倒起こすなよ?

しかし、そろそろアズサとアリスの交代要員もガチャで引いておくべきかな? お金には余裕あるし検討してもいいかもしれない。

そうなるとFからランクを上げなければいけないのが面倒だが。

あと、ゲーム開発部の面々が心配しているらしいので、アリスはアリスでそろそろ返してもいいような気がするのだが、今のところ本人に帰る意思はないようだ。

 

 それはともかく、メンバーを交代して協会の方に顔を出し、いつものおっちゃんのカウンターに行く。

さて今日はどんな依頼があるやら。

 

「お、来たなシャーレ。メンバーが代わってるみたいだが、少し時間をもらうがいいな」

 

 おっちゃんは有無を言わさずそう告げると、受付の奥に俺たちを誘導する。今度はなんだ? 昨日の事件の後日談でも話すつもりなのだろうか?

 そして、例の部屋に来ると、中にはすでに風の刃が待機していた。やっぱり、昨日のことに関する続きか。

 

「シャーレも来たから話を始めようか」

 

「昨日見ない顔もいるようだけど、いいのか?」

 

「昨日のことに関しては情報共有が済んでいるので大丈夫ですよ。残りのメンツにもここで得た情報は共有しておきますので」

 

 スミスさんがこっちの面子を見てそう言うが、生徒たちに関しては俺を中心に一本にまとまっているからそういう心配はないのだ。

 

「まぁ、取りあえず。昨日預かったこれを返しておくぜ。これのおかげで尋問は問題なく執り行えた。それにしても、先生に教えられた強化尋問ってやつはすごいな!

いくら痛めつけても吐かなかったのに、強化尋問した途端にゲロったぜ。それも含めてありがとうな」

 

「いえ、役に立ったのならなによりです」

 

 そういって、おっちゃんから渡された魔封じの腕輪を受け取る。というか、これがここにあるということはあのダークエルフはすでにここに居ないか、あるいはこの世からいない状態だろう。

なんとなく末路も想像できるので、そこに関しては深入りはしない。

 

「で、奴から得た情報はシャーレや風の刃とも共有しておくべきだと思ってな、こうして集まってもらったわけだ」

 

「それって私たちが聞いていい内容なんでしょうか……?」

 

 風の刃はともかく、Cランクに上がったばかりの俺たちが聞いていい情報なのかどうなのか。そのあたりを聞いてみたわけだが。

 

「問題ない、というよりそっちの見解も聞きたくて話すようなもんだ」

 

「それはどういう……」

 

「まずあのダークエルフの名前はドラウ。自称バエル神に仕えるダークプリーストだそうだ。どうも、嘘ついてそうな気配があったんだが、これに関しては尋問しても吐かなくてな。取りあえずそういうことで話を進める」

 

 ダークプリーストって字面からして暗黒神に仕える聖職者って感じなんだろうな。

ダークプリーストと聞いてデニスさんが渋い顔をしたところを見ると、正式なクレリックとは相容れない存在なのだろう。

 

「強欲の神バエルですか。なんとなくそれだけで何をしようとしていたのか分かりますね」

 

「そう思うだろ? だが、そうじゃなかったんだよな」

 

 デニスさんの言葉に否定の言葉を投げかけるおっちゃん。一体なんだというのか。

 

「何故バエルの信者が? と思うんだが、奴がしようとしていたことは、どうも異世界への扉を開けることだったらしいんだ」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 おっちゃんから不意に投げ掛けられた言葉に敏感に反応してしまう俺たち。

 

「そ、それって……!」

 

「ありゃー、こんなところでそうなっちゃうかー」

 

「これは……思わぬところで情報が得られそうですね」

 

 カヨコ、ホシノ、アコと次々と反応する。反応してしまう俺たち。

 

「な、なんだどうした? まぁ、ともかくその関係で色々と実験をしていたようだ。

冒険者を解剖していたのは意識だけを異世界に送る実験だったらしい。

どうも、扉自体を開けることには成功していたらしいが、ヒューマンの場合行き来するときに意識が消失するらしくて十全に異世界を行き来することはできなかったらしい

それに聞いて驚け、お前らが相手したゴブリン。あれ、異世界のゴブリンらしいぞ?」

 

「異世界の!? どう見ても、俺たちの知るゴブリンだったんだが……」

 

「でも、納得するところではあるわよね。私たちの知るゴブリンは集落を築くなんて知能はない。あれが異世界のゴブリンだとしたら納得だわ」

 

 スミスさんとエレインさんが驚くが俺はそれ以外にも気にかかることがある。

 

「あの皆さん異世界なんて存在を普通に受け入れているようですが、ここではそういうのが当たり前なのですか?」

 

「当たり前かと言われると否だが、荒唐無稽かと言われればそれも否だ。

異世界が存在するということ自体はこの世界じゃそれなりに知られてる。なにせ創世神の一柱が異世界から来訪した神らしいからな」

 

 なんと、こんなところに異世界への渡航の手掛かりがあったとは。これは創世神話をちょっと調べてみる必要があるな。

 

「話を戻すぞ。で、件のゴブリンは異世界を行き来出来たらしいが、ヒューマンはどうやっても意識が消失してダメだったらしい。

それで、ヒューマンが行き来するための実験材料として調査にした冒険者を生け捕りにして色々やっていたらしい。はた目には邪神への生贄にしか見えないがな」

 

 開腹じゃなく開頭してたのはその為か。ロボトミー手術なんてグロいうえに古い方式を……。

 

「しかし、異世界を行き来する、その肝心の目的はなんだったのでしょうか?」

 

 アコがおっちゃんに対して疑問を投げかける。確かにその目的は問題だ。

 

「そこがよくわからんのだよな。本人曰く、「色彩への対抗の為に神秘を解明する必要がある」とかちんぷんかんぷんな事しか言わないんだよ。いくら拷問してもそれ以上は言わなくてな」

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

 今度こそ俺たちは完全に言葉を失った。ちょっと待てなんでここで『色彩』が出てくるんだ!? 『色彩』と言えばブルアカにおける黒幕とも言える存在。

だが、アトラ・ハシースの箱舟で色彩の嚮導者プレナパデスと決着を付け、それに関しては終わったはずだろ!?

 い、いや、終わったのはプレ先の襲撃であって、無名の司祭や『色彩』自体には確かに何もしていないが……。

セリフからして件のダークエルフはひょっとしてゲマトリアなのか!?

 

「す、すいません! そのダークエルフに対してもっと尋問したいのですが、今どこに!?」

 

 俺は焦るあまり、普段見せないような感情を込め、大声でおっちゃんに詰め寄る。

 

「ど、どうしたんだ先生。急に大声出して。あー、残念だがそのダークエルフはもうこの世にいないぞ。聞き出すこと聞きだしたら処分したからな」

 

「な、なんてことを……!」

 

 クソッ、現状の唯一の手掛かりが途絶えてしまった。俺らだったらもっと詳細に尋問が出来たかも知れないのに!

 

「先生、これは……」

 

 アコが神妙な面持ちで俺の方に顔を向ける。

 

「あぁ。でも、目的が一つはっきりしたね。この世界にもいるであろう他のゲマトリアを探す。それが私たちの新たな目的だ」

 

「ゲマトリア? そういえば、奴もそんなような単語を発してた気がするが……。なんで知ってんだ?」

 

「少し、事情がありましてね」

 

「ふむ。何か知ってそうだな。まぁ、必要になったらお前さんらから聞き出すつもりだから、準備はしておいてくれ。

取りあえず、今回の件に関してはあのダークエルフが異世界からゴブリンを召喚して、騒ぎを起こした。それで取り合えず決着だ。

あ、お前ら。助け出したCランクパーティーから礼金が届いてるから受付で受け取ってくれ」

 

「それに関してはすべてシャーレにお願いします。実際に彼らを助けると決めたのは彼らなので」

 

「分かりました。ありがたく受け取るとします」

 

 おっちゃんが最後に礼金の話をするとスミスさんはやんわりとそれを辞退した。

まぁ、俺たちもガチャやクランハウスで金が必要だからな、ここはありがたく受け取ることにする。

 

「それじゃ、これにて解散だ。今日も冒険者活動頑張れよ」

 

「みんな。今日の依頼は中止だ。宿で話し合おう」

 

「分かった」「はい、分かりました」「分かったよー」「分かった」「分かったー」「了解です!」

 

 各自返事をすると、俺たちは依頼を受けずに宿に直行する。

これからの事を話し合わないとな。

 

 

 

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