「それでは今日は依頼を受けないため時間が余ったので、ガチャを引こうと思います」
「ガチャ。私たちを当てたシステムだね。一体それもどういう仕組みなんだろうか」
アズサがそう聞いてくるがそんなん俺が一番知りたいっちゅーねん。
「それは私にも分からない。正直な所、こうやって生徒を引くことはゲマトリアの策略かもしれないと思ってる。
でも、いい加減アリスとアズサの交代要員を引かないとね。でも、引けたらそれで事態が推移するまで打ち止め、だ。これ以上はガチャを引かない」
「私は別に交代しなくても……」
「アリス。気持ちは分かるけどいい加減ゲーム開発部のみんなが心配してるんだよ。今すぐ帰れとは言わないから、少しはゲーム開発部のみんなのことも考えてあげて」
「そんな言い方はずるいです先生……。分かりました、一時帰郷ぐらいは検討しておきます」
アリスは案の定交代要員不要と言い切ったが、貴重なキヴォトスからの連絡事項枠を使ってまで、ゲーム開発部のみんながメッセージを送ってきたのだ。それには出来るだけ報いてやりたい。
「まぁ、現状交代要員さえいれば上手く回ってることは事実だけども。でも、そうじゃなくても引くだけは引いてあげてくれないかな?
別に異世界に連れてくる必要はないんだ。引くことでモモトークが出来るようになる現状、引くだけ引いて上げてほしい。ムツキもハルカも先生と会話したがってたし」
「それは……。そうか、そういう問題があったね」
俺のガチャ打ち止め宣言に対して、カヨコから反論が飛ぶ。そうか、俺はこれ以上ゲマトリアの策に乗りたくなくてガチャ禁を決めたが、生徒たちにとってはそうではないということか。
以前、ガチャ引いた時も俺自身思ってたじゃないか、「生徒たちは俺とも会話したいんじゃないか?」って。
それを忘れてしまうとは先生失格だな。
「分かった。今後も継続してガチャは引くことにするよ。ただし、こちらに連れてくる人員に関しては私の権限で決めさせてもらうよ。出来るだけ最小限、でね」
「それでいいのではないでしょうか? というか、先生はこのガチャシステムがゲマトリアによるものだと思っているのですか? 初耳なんですが」
あ、そういえば言ってなかったか。でも、それ説明するには生徒=神秘ってことを説明しなきゃならんからなー。正直面倒だ。
「ゲマトリアがこの世界にもいると分かった以上、この謎機能も彼らの仕業ではないかと思っただけだよ。確証まではないけど」
うそです、確証を持ってます。でも、これではぐらかすことにする。正直説明が面倒なんだよー。取り合えずこれで誤魔化されてくれアコ。
「なんか怪しいですが、まぁ、いいでしょう。神とかそういう得体のしれないものの仕業よりもそっちの方がまだ納得できますしね」
半眼で俺の言うことに懐疑的なアコ。くそう頭のキレる奴はこれだから。
「じゃ、ガチャ引くよー」
そして俺は3万ゴルドを使って、青輝石を4800×3、合計14400個を購入。ガチャ120連分を確保した。
「さぁ、こい!」
ガチャ結果は以下の通り。なお、クレジットに関してはもう尽きる心配が消えるぐらい稼いだのでカットする。ゴブリンが大量だったからな。
魔法の書:
時空魔法の書
生徒:
ミカ
今回はあまりガチャが振るわず、当たったのは魔法の書1に生徒1だった。だが――、
「ついに来たか……!」
そう、ついに来てしまったのだ。初期にユウカのスマホを強奪しメンヘラトークを俺に送ってきた女! 聖園ミカが!!
「げ、ティーパーティーの聖園ミカ。なんて女を当ててるんですか先生は」
俺の反応に不審を覚えて、俺のスマホをアコが横から覗き込んできた。
「そんなん私に言われても困るよ。ガチャは確率なんだから。ていうか、トリニティ嫌いだからって「なんて女」はないでしょ。ミカはいい子だよ」
「はいはい。先生から見れば生徒はみんな「いい子」でしょうよ。ともかく、聖園ミカに関しては私の半径10m以内に近づけないでいただけますか?」
「アコ……。あんまりわがまま言うようだったらもう召喚しないよ? ヒナに代わってもらうから」
「う……。分かりましたよ、我慢しますよ。言っておきますけど先生が言ったからというのを忘れないでくださいね。トリニティとは同じ空気も吸いたくないんですから」
「トリニティの私がいる場でその発言とはいい度胸だな。ともかく、ミカが当たったということは私との交代要員ということになるのかな?」
「そうだね、アズサとの交代要員になるかな。アリスにはもうちょっと我慢してもらうことになる。ごめんね」
アリスにとっては我慢なのかどうかは大いに見解の相違があるが、一応建前上は我慢ということにしておく。
「アリスは全くもって問題ありません! でも、ゲーム開発部のみんなには返事を出しておきたいです。先生次の連絡に載せてくれますか?」
お、アリスが自分からそんなことを言い出すとはこれはいい傾向だ。
「勿論だよ。でも、そんなに長文は載せられないから、言うことはちゃんと絞ってね」
「了解です!」
さて、それではいよいよミカと相対するわけだが……。
気が重ぇなぁ。ていうか、ミカ相手だと俺が先生じゃないってバレやしないかね?
いや、多分大丈夫かな? おそらく俺が一番警戒しなければいけない生徒はハナコだろうからな。
アレは掛け値なく天才だからな。普段のしぐさとかセリフの抑揚とかの何でもないところから、こっちの正体を見抜きかねない。
ハナコはガチャで引けても、キヴォトスで終生お留守番だろう。そうさせてもらう。なんとしてもバレるわけにはいかないゆえに。
さて、そんな話はもういいだろう。いい加減ミカと話をせねば。
先生『ミカ。今大丈夫?』
とりあえずは当たり障りのないトークから始める。
が、しばらく経っても反応がない。 忙しいのかな、とは思うが既読自体はついているからミカがこのトークを見ているのは確定だ。何かあったのか――、
ミカ『先生。やっと私を当ててくれたんだね』
あれ、なんか普通の返事だ。なんでこんな返信に時間かかったんだろう。
先生『うん。さっきガチャしたらミカが当たってね。さしあたってアズサとの交代要員として頑張ってもらうことになるけど、大丈夫?』
ミカ『交代要員? 大丈夫だよ先生。今の私はティーパーティーとしての仕事もないし、暇してるから常に先生の傍にいても問題ないよ?』
うわきた。なんとしてもこっち側に居座る気だ。アリスの方はまだゲーム開発部を引き合いに出せば引き下がる面があるが、今のミカにはそれがない。
これがニートの強み……!
先生『うーん、それに関してはアズサの意見も聞かないとね。まぁ、モモトークでやりとりするのも面倒だろうし。一旦こっちに呼ぶね?』
そこでトークを打ち切ると俺は大人のカードを取り出す。
ちなみに今さらの話ではあるが、この大人のカードではどうも寿命を消費しないということが分かったのだ。
まぁ、分かったのだって偉そうに言ってみたが、それが判明したのはいつの間にかシッテムの箱に送られていた謎メッセージからなので、あまり偉ぶれることではなかったり。
そもそも、その謎メッセージだって信じていいのかどうか分からんので今までは戦々恐々だったのだが、今はこの大人のカードで寿命を消費することはないだろうと断言できる。
なぜなら、ゲマトリア的には俺にぼんぼこ神秘を召喚してほしいに決まっているのだ。それなのに召喚の度に寿命が削れるなんてことになったら召喚に及び腰になってしまう。
ゆえに、大人のカードによる生徒召喚では寿命は消費しない、が結論で間違いないだろう。
「じゃ、今からミカを呼ぶけど、アコはちゃんと飲み込んでね? カヨコは大丈夫? トリニティの子だけど……」
「私は特にトリニティに隔意はないかな」
「オッケー。じゃあ呼ぶよ。こい! ミカ!」
そして、宿屋の一室にミカが召喚される。
カヨコのトリニティに対する思いが分からなかった
ていうか、便利屋みんなロクに学校通ってないので
便利屋のメンツは全員トリニティに隔意持ってないとします。