異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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41.お掃除ミッション

 で、事故物件にクランハウスとして住むことになった俺たちだが、まず最初にやるべきことがある。そう、館の清掃である。

もうあちこちに埃が積もっているわ、蜘蛛の巣は張り放題だわで、とても人間が住める環境ではない。

それに、館もめっちゃ広いので、チーム+先生の7人ではとても手が足りない。

というわけで、交代要員も呼び、現在呼べる人員総動員で掃除に当たることにした。

 

「よし、じゃあみんなで手分けして、館の掃除していこうか。

ただ、庭の掃除に関しては後日庭師を呼んでお願いしてもらうことにするよ。流石にあの庭を綺麗にするのは私らじゃ無理だ」

 

「うぅー。異世界にきてやることが屋敷の掃除。冒険の方がしたいよー」

 

「ほら、さっさと手を動かす。さっさと掃除しないと今日中に終わらないわよ」

 

「オニー、アクマー」

 

 ハレはユウカを恨めし気に睨むが、ユウカはハレのケツを叩き掃除に強制的に参加させる。

 

「ほら、社長。バケツ持って。自分の住むところは自分で綺麗にする。当たり前のことだよ」

 

「わ、分かってるわよそれぐらい。綺麗な事務所じゃないとクライアントも即座にUターンだからね」

 

「あの、委員長? 高いところの掃除は私がやりますから、委員長は床を主にお願いしますね」

 

「うん、ゴメン。脚立があっても流石に私じゃ背が足りない」

 

「ホシノ先輩。別に掃除するのが嫌で言うわけじゃないんだけど、炊事場も掃除する必要ある? 多分食事は外食が基本になると思うんだけど」

 

「おじさんもそう思わないでもないけど、あれだよシロコちゃん。炊事場を使えるようになれば先生に手料理をふるまうことが出来るよ?

それが出来れば結構ポイント高いんじゃない?」

 

「!? ん……。なら頑張る」

 

「うーん、見事に空っぽの本棚。こういうの見ると無性に寂しくならない? アズサちゃん」

 

「とはいえ、製紙技術が発達してない中世でこれだけの本棚を埋めるのは至難だ。最初の持ち主であろう貴族は相当に裕福だったと推察できる」

 

「ぱんぱかぱーん!アリスはメイド勇者にジョブチェンジしました! お掃除ミッションを開始します!」

 

 喧々諤々。みんな楽しそう(?)に掃除に邁進している。アリスなんてわざわざメイド服を引っ張り出してきて着替える始末。

メイドアリスって奴だな知ってる。俺は持ってなかったけど。

 まぁ、俺も別にみんなを観察してただけじゃなくて、ちゃんと掃除に参加してる。

 ちなみに俺が今やってるのは井戸の掃除である。命綱を付け、井戸の壁面をゴシゴシと掃除していく。

 割と危険なミッションであるため、生徒たちに次々と反対されたのだが、強硬に押し切った形だ。

以前も言ったがこういう面倒なことを率先してやることが上手く人間関係を築くコツであるからだ。

 

「よし、井戸掃除完了。みんな、そろそろお昼にしよう」

 

 俺が井戸掃除を完了したあたりで、日が頂点に達し昼頃となった。真っ先に掃除しておいた食堂で各自昼ご飯を取る。

その昼ご飯とはなんと、フウカが用意してくれた特製のお弁当だ。

「異世界で頑張る先生と皆さんの為に」ということで、フウカが急遽用意してくれた物らしく、ヒナが召喚される際に持ってきてくれた。

 

「うん、美味しい」

 

「ほんと美味しいわね。異世界の料理のレベルがもうアレだったし……。いや、死ぬほどマズイってわけじゃないんだけどさ」

 

「ん……。先生に手料理を振舞うならこのレベルじゃないとダメってことだね」

 

「焚きつけたおじさんが言うのもなんだけど、実際シロコちゃん料理出来るの? おじさんはそこはかとなく不安なんだけど」

 

「やはりフウカさんはいい腕してますね。これが異世界でも食べられることに感謝、ですね」

 

「うん、フウカにもみんなが美味しかったって言ってたって伝えておくね」

 

「ゲヘナの子の料理……。ううん、料理に罪はないよね。いただきます」

 

「美味しい、お代わり」

 

「ううー、労働の後のご飯が全身に染みわたるー」

 

「ご飯にエナドリって……、ハレあんた味覚大丈夫? いや、今更か」

 

「ご飯が美味しいです! 素晴らしいです!」

 

 とみんなに好評なフウカのお弁当。俺も食べてみたが美味いの一語である。

しばらくみんな美味い美味いと言いながら食っていたが、全員で弁当を完食する。

そして食休みを挟んで皆で掃除を再開する。

 

 午前中には1階の掃除が完了していたため、午後は2階の掃除である。

2階の掃除に関しては2階の施設がほとんど個室であるため、掃除自体は楽であった。

問題はシーツや布団などをはじめとする寝具であった。これを洗濯しないと、今夜は寝られない。なので、午前中に洗濯だけはやってしまうべきだったのだ。

自分の段取りの悪さに嫌になるが、愚痴を言っても始まらない。取りあえず全室の寝具を回収し、洗濯を開始する。

 

 こういう時代の洗濯だが洗濯板すらないため、しょうがないので生徒を往復させて洗濯板を数枚輸入してきた。

洗濯板なんて科学の発展しきったキヴォトスでいまだにあるのか?

とお思いかもしれないが、単身者の場合一度に洗濯する洗濯ものが少ないことから、洗濯機使うよりも色々と節約になるため、需要はないわけではないのだ。

まぁ、それでも探すのに若干苦労はしたみたいだが。ちなみに、これは全てレンタルなので使ったら返さなければならない。

まぁ、洗濯板ぐらい作ろうと思ったらすぐ作れるしね。今は時短の為に借りてるだけだし。

 

 洗濯に参加しているのは、俺、ヒナ、ホシノ、アリス、アズサの5名だ。人選を見ればわかるが背の低い生徒ばかりである。

やはり背が高めの生徒に掃除を任せるのが何かと効率がいい。

 正直アリスは怪力でシーツ破ったりしないのかとちょっと思ったのだがちゃんと破らずに洗濯出来ているようだ。

 

 しばらく洗濯に没頭するが、体感で3時ぐらいか? それまでには洗濯を終え、物干しざおに干すことが出来たが――、

 

「うーん、この時間帯だと夜までには乾きそうにないなー」

 

「そだねー。せっかく家を手に入れたのに今日は宿で宿泊かな? でも、先生。ひょっとしたら上手くいくかもよ?」

 

「ん? 上手くいくとは?」

 

「いや、シロコちゃんが覚えてる火魔法、あれとアリスちゃんの風魔法を組み合わせたら乾燥機代わりにならないかなって」

 

「アリスの風魔法はドライヤー代わりですか……」

 

 ホシノのそんな提案にアリスは不服そうだが、心底から嫌がってるわけではなさそうであるので、俺が頼めばやってくれるかもしれない。

 

「でも流石にこの量を乾燥させるのは二人の負担が大きすぎるよ。やっぱり自然乾燥にしよう。今日は宿にしよう」

 

 俺の言葉にアリスが明らかにホッとしたような表情を浮かべる。実際俺も考えなかったわけでもないが、洗濯した量がはんぱないので、流石にこれを乾燥させるのは忍びなかった。

 

「まぁ、先生がそう言うならー」

 

 さて、屋敷内の掃除は終わったかな? 洗濯が終わった面子で屋敷内に戻ると、すでに2階の掃除が完了していたようで皆談話室でくつろいでいた。

寝具が乾かないため、今夜は宿に泊まることを告げると、交代要員を送還し、俺たちは宿の確保に向かった。

 さて、今日は流石に疲れた。明日は筋肉痛になってなきゃいいんだけど。

 

 

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