異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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44.幽霊退治 2

「ミカ! 地下だ! 地下に向かうよ! この屋敷で探索してない場所はあそこしかない!!」

 

「違います先生! 上です! ゴーストの気配は上にあります!」

 

「ア、アリス!?」

 

 俺が地下に向かおうと決めた直後、アリスがいつもにもまして強い口調で否定する。

 

「大丈夫です! アリスに任せてください。ともかく上を目指しましょう!」

 

「そ、そうはいってもアリス。もうここは2階で最上階よ!? これ以上上なんて……」

 

「屋根裏……かな? 昨日の掃除ではそれらしい場所は見つからなかったけど」

 

「と、ともかく。上にあるというなら探すだけです。先生を担いだままで移動も遅いですが、なんとしても――」

 

「待って、アコ。書斎だ! 書斎のクローゼットから上部に空間がある。おそらくそこが屋根裏への入り口だ!!」

 

 俺はアコに担がれたままの状態だが、カヨコが俺の眼前に構えてくれてるシッテムの箱を見ながらそう大声を張り上げる。

俺自身は目の前のそれを全く操作できないのだが、アロナが頑張ってくれていたのだ。屋敷内を走査して屋根裏部屋を見事探し当ててくれた。

 

「分かった! 書斎に向かうね。――邪魔!」

 

 俺の大声を聞いて、ミカが先陣を切って走り出す。行き掛けの駄賃に道中のゴーストに銀の弾丸をぶち込むことも忘れない。

そして、書斎の前までたどり着くと、そこには例の西洋人形が群れとなってたむろしていた。一体どこにそんなにあったんだと思うほど全人形が包丁を標準装備済みだ。

こんな場所にこんな大量に揃っているということは、やはりここが大元とみていいだろう。

 

「ホシノ、蹴散らして!」

 

「まっかせてー」

 

 ホシノのショットガンが連続して炸裂し、哀れ西洋人形は壊され、吹き飛ばされ、粉々にされ、どんどんとその数を減らしていった。

 

「よし、これで通れる! みんな突入突入!」

 

 人形の圧力がだいぶ減ってきたところで全員に突入を指示する。アコに抱えられながら雪崩るように書斎に入り、殿を勤めていたアリスが最後に部屋に入ると鍵をかける。

ゴーストは鍵かけたぐらいでは防げないが、チャッキー人形ならこれで防げる。

 

「ミカ。銀のマガジンはまだ余裕ある? なら、そこでゴーストの警戒を。ユウカも銀のマガジンに交換してミカとツーマンセルでお願い。

他のみんなはクローゼットの探索を。中に屋根裏への階段がでる仕掛けがあるはずだ」

 

「先生は私が絶対守るから安心してね」「分かりました」

 

「分かりました。先生、一旦置かせてもらいますよ。手分けしてさっさと探しましょう」

 

 アコも一旦俺を地面に起き、他のみんなと一緒に探索を始める。散発的にゴーストが襲い掛かってくるがそれは全てミカとユウカによって撃退されている。

 

「あ、分かったよ。カヨコ、その左だ。そこにボタンがある。おそらくそれが階段のスイッチだ」

 

 うーん、マジアロナ様々だな。ていうか、いつも思うがタブレットの中からどうやって外界の諸々を把握してるんだろうか。

まぁ、原作においても謎の防御フィールド展開してたりして、機能が色々謎なアロナだ。気にしてはいけない気がする。

 

「ん、これだね」

 

カチッ

ギギギギギィ バタン

 

 カヨコがボタンを押すと油の切れた機械みたいな音を立てながら、クローゼットの上部から跳ね階段が降りてくる。

この部分もメンテせなあかんかもなー。なんてのんきなことを考えていたら、アコに再び抱えられる。

 

「おっと、道は開けた! アリス! ここからは任せていいね!?」

 

「はい! 私にお任せください!!」

 

「アリスを先頭に、屋根裏に行くよ! ミカとユウカは引き続きしんがりをお願い」

 

「オッケーだよ」「分かりました」

 

 抱えられながらも、そのまま階段を上り屋根裏へと侵入する。

 

「うっ!」

 

 屋根裏に入るや否や、鼻をつく悪臭が漂ってくる。

 

「こ、この臭いは……」

 

「これって、多分死臭だよね……。この臭いはちょっとキツいかな……」

 

 俺たちが死臭に鼻を歪めていると、アリスが臭いなど構わずずんずかと奥へと進んでいく。

ていうか、俺縛られてるから鼻をつまむことが出来なくて死臭がダイレクトなんだが?

 

「そこにいるのですね」

 

 ォォォォォォォォ

 

 アリスが言ったようにそこには先ほどのゴーストと違う、だが何か不定形な靄みたいなものが渦巻いている。

そしてその下には……、うっ、腐乱死体と白骨死体の中間ぐらいのぐずぐずになった死体だ。住んでた住人はよくこれに気付かずに生活してたな、オイ。

 で、肝心のアリスだが、レールガンを構えることもなくその不定形な靄に近づいていく。

 

「ターンアンデッド!」

 

 って、そこでなんかいい感じに会話して、説得で除霊するんじゃないのかよ! 魔法での力業かよ!

いやまぁ、アリスらしいっちゃアリスらしいんだけどさ!

 

 ァァァァァァァァァァ!!

 

 アリスのターンアンデッドが炸裂すると目に見えて苦しみだす靄。ていうか、ターンアンデッドは除霊までは出来ないんじゃなかったっけ?

 

「やはりこれではダメですか……」

 

 ダメって……。本当に大丈夫なんだよな、アリス? 信じていいんだよな?

 

「ならば、新技です! 浄化してあげます。ライトビーム!」

 

「アァァァァァァ!! イタイ、クルシイ! ナンデワタシガ! ココハワタシノイエナノニ! ナンデ、ダレモワタシノコエヲキイテクレナイノ!」

 

 続いていつ覚えたのかも不明な、ライトビームとやらでゴーストを浄化しようとするアリス。

ていうか、光魔法って勇者の魔法とか言ってたけど完全に僧侶の魔法だよな。アリスは実態を知ってがっかりしてないだろうか。

それはともかく、そこでようやくゴーストの意思らしきものを確認できた。

なんだ、何かしゃべりたいのか?

 

「そこのキミ。何か喋りたいことでもあるの?」

 

「え? 先生?」

 

 俺を担いでるアコがなぜか不思議そうなトーンでそう声を掛けるが、アコにはあの声聞こえてないのか?

 

「アコ、ちょっと縄解いて」

 

「先生、何をするつもりですか!? まだ除霊出来てないんですよ、危険です!」

 

「いいから」

 

「で、ですが……」

 

「分かったよ先生。縄、解くね」

 

「カヨコさん!?」

 

「先生にはどうやらなにか考えがあるみたいだから。いざとなったら私が責任を取るよ」

 

「カヨコそれには及ばないよ。私は大人だからね。自分のしでかしたことは自分で責任を取るよ」

 

 そうカッコつけるがまだ縛られてる状態なので微妙にカッコウはつかない。取りあえず、カヨコに縄を解いてもらって久しぶりに自由になる。

 

「うううう……、覚えてる限りの対アンデッド呪文を使ったのにまだ浄化できません。このままではアリスの勇者ロードが……」

 

 今やってんのは勇者ロードというより、僧侶ロードじゃねーかな、と思わなくもないが、それは口には出さない。

 

「アリスもういいよ、大丈夫。あとは私がやるから」

 

「先生?」

 

「そこのキミ。話したいことがあるんだろ。ちょっと私にその内容を話してみてくれないかな?」

 

「エ!? ワタシノコエガキコエルノ?」

 

「うん、聞こえるよ。もう、浄化はさせないからキミの話を聞かせてくれるかな?」

 

「アナタハダレ? ワタシノコエガキコエルヒトナンテイママデダレモイナカッタ」

 

「私は先生。先に生き、後に続くものを導く者だ。そのままじゃ話しにくそうだね。私に取り憑けばもっとスムーズに話せるかな?」

 

「先生!?」

 

 後ろから、抗議の声が聞こえるが今は無視だ。流石に自分にゴーストを取り憑かせるのは怖くもあるが、ぶっちゃけこのゴーストの声聞きとりにくいんだよな。

でも、流石に生徒の誰かを人身御供にするわけにもいかんから、自分しか選択肢がないのだが。

 

「トリツクッテナニ?」

 

「その返しは予想してなかったなぁ……」

 

 なんだよ、このゴースト憑依とかできないタイプなのかよ。チャッキー人形とかモロに取り憑いてる感じだったのに、あれはポルターガイスト的なアレで操ってただけなのか?

ていうか、憑依できないタイプだったら俺完全に縛られ損じゃん……。いや、正体が不明だったからしゃあないんだけどさ。

 

「まぁいいや。ちょっと聞き取りにくいけどこのまま行こう。まずはキミの名前から教えてもらおうかな」

 

「ワタシハ……」

 

 そこからゴーストとのお話が始まった。

 

 

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