異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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50.ダンジョンとは

「まず聞きたいんだが、ダンジョンについてどれくらい知ってる?」

 

「ダンジョンという名前だけは知ってます」

 

「そ、そこからか……。こりゃ解説のし甲斐があるな」

 

 いや、一応一般的なコンピューターゲームに出てるダンジョンに付いては知ってるよ?

でも、それ設定がゲームごとにまちまちだし、ゲームと同じ設定が適用されてるかもわからんしで。

 

「まず、ダンジョンという場所だが。何故存在しているのか、何によって作られたのか、全く持って不明な存在だ」

 

「いきなり不安になってきたんですが」

 

 そんなところに潜れと? ちょっとおっちゃんを恨みがましく睨んでしまうのも悪くないだろう。

 

「まぁ、聞け。成立や存在は不明だが、研究者が色々研究してるおかげで色んな事が分かっている。その中でもっとも特長的なのはさっきも言ったがアーティファクトが出土する場所だってことだ」

 

「使い道の少ないアーティファクトでも大金貨50という話でしたね。ですが、疑問なのですがそんな低位のアーティファクトでもそれだけ稼げるということは、冒険者は一気に金持ちになってもおかしくないと思うのですが、その辺りはどうなっているのですか?」

 

「その辺りはちょっと冒険者にとってあまり面白くない部分ではあるんだが……。オークションの手数料に加え、売却する時にも税金がかかるんで、実際に冒険者の手元に残るのは売値の1割といったところだな。

まぁ、それであっても元値が高いからな、冒険者にとってはアーティファクトを見つけて一攫千金は珍しくない。

ちなみにだが、さっきそっちのお嬢さんが言った、手に入れた冒険者と交渉して買い上げるという話だが、売却時に税金がかかることから分かるように厳しく制限されている。気を付けることだな」

 

 つまり、先ほどの例からするとレストが使えるタリスマンは大金貨5枚ほどが冒険者に支払われるというわけか。でも、買おうと思ったら実勢価格の大金貨50で買うしかない、と。

ついでに言うとオークションだから値段は更に上下する可能性がある。なるほど、これは狙うのは確かに厳しいな。

そして、アコに対して釘を刺してくるおっちゃん。まぁ、売却時に税金が発生するなら、勝手に他人に売ったら脱税になるわな。

 

「質問なのですが、アーティファクト自体はどれくらいの確率で出土するものなのですか?」

 

「あぁ、それに関しちゃ安心しろ。基本的にダンジョンのボスを打倒すれば確定でアーティファクトが手に入る。まぁ、その分ボスは強いんだが、お前さんたちなら大丈夫だろ」

 

 おっちゃんはそこでこちらを見て言葉を区切り、続けて話し出す。

 

「で、次。そのアーティファクトだが、ダンジョンによって出土するアーティファクトの傾向というのが違ってたりする。例えばこの、剣のダンジョンなんか顕著だな。名前の通り剣系統のアーティファクトばかり出土する。

ダンジョン名ってのは基本的に出土するアーティファクトの傾向によって名付けられてるからその点は分かりやすい。で、先生たちが潜るべきダンジョンはここだな」

 

 そういって、おっちゃんは資料を出してそれを指さす。

 

「装飾品のダンジョン……。ですか」

 

 ちょっとダンジョンの名前がまんま過ぎるのではなかろうか、と思うが分かりやすさ重点なんだろうか? なんかアリスが目に見えてがっかりしてるし。

まぁ、確かに少しばかりロマンがないわな。

 

「はは、その気持ちは分かるぞ。確かに名づけにロマンがないよな。でもまぁ、現実なんてこんなもんだよ。受け入れろ」

 

 アリスの残念そうな顔を見ておっちゃんがそういうが、アリスが納得するはずもなく。

 

「で、肝心のその装飾品のダンジョンだが、先生たちに都合がいいことにこのペルージャの外れの方にある。距離もそう遠くないので通うのに問題はないだろう。

まぁ、でもこれあんまり人気のないダンジョンだからこれ目当ての冒険者があんまりペルージャに来ることがないってのもあって、この街あんまり強い冒険者がいないんだよな。これはこっちの愚痴だが」

 

「人気のないというのは? 装飾品自体色んなところに付けるものがありますし、出土すればするほど色んな所に付けれて戦力増強になると思うのですが」

 

 装飾品なんて、確かに防御的な装備だが指輪だったりネックレスだったり、腕輪だったりで色んな所に付けれると思うのだが。

 

「それはその通りなんだが、目当ての装飾品が出るとは限らんし、やはり冒険者的には武器や防具の方が見栄えがいいからな。剣のダンジョンなんて王都にあるんだがすごい人気でな。

入場制限をするレベルで人が沢山だ」

 

「そんなにですか」

 

「そんなに、だ。あとダンジョンの特徴というか、事情というか。ダンジョンは基本Cランク以上の冒険者でないと潜ることは許されてない。ま、この点は先生たちなら問題はないな。すでに全員Cランクだしな」

 

 それはランク上げててよかったと思える点だな。まぁ、潜る資格があるからこそおっちゃんも紹介したんだろうが。

 

「質問なのですが、ダンジョンの内部構造はどのようになっているのでしょうか? やはり洞窟タイプで中が迷宮になってたりするのでしょうか?」

 

「お、その話を忘れてたな。装飾品のダンジョンに関してはいわゆるフィールド系のダンジョンだな。空があり自然があり、光がある自然系のダンジョンだ。ま、全部偽物なんだけどな。そこらへんは実際に行ってみればわかることだ」

 

 つまり、じめじめした薄暗い洞窟迷宮ではないということか。光があるのは地味に良いな。アリスのライトがあるとはいえ、光源を用意するのは少々面倒だからな。

 

「階層は10階までで、地図も販売されている。探索するのに苦労することは少ないが、フィールド系のダンジョンだからレンジャーは一人は欲しいところだな。

宝箱は最後以外あまり発見されないという話だが、道中の宝箱にも稀にアーティファクトが出るって話だ。そういう意味ではシーフも欲しいな」

 

「えっと、もしかしてなんですが、最深部に出土するというアーティファクトも宝箱で開錠が必要だったりします……?」

 

「今のところ最深部の宝箱で罠や鍵があったという話は聞いたことはないな。ま、万一掛かってたとしても宝箱のままギルドに持ち帰ってくれればこっちで開錠してやるぞ? もちろんその分の金は頂くがな」

 

「やはり、シーフなりレンジャーなりを雇った方がいいのでしょうか……?」

 

 そう発言するが、でもなぁ。風の刃の時みたいにあくまでパーティは別という扱いならともかく、パーティーにいれる以上分け前とかそういう問題が発生してくる。外部から人を雇い入れるのは難しいだろう。

 

「そりゃ、居ればいた方がいいに決まってるがな。先生たちの場合、目的を考えれば分け前で揉めるんじゃないか? それをするぐらいなら、マジックバッグでも買って宝箱をそれに回収するって方が喧嘩することもなくていいと思うがな」

 

「すいません。マジックバッグとは?」

 

 いや、語感からどんなものかなんとなくは分かるよ? でも、こういうのはキチっと聞いておかないと後でトラブルの元だ。

 

「マジックバッグってのは、時空魔法を掛けられて容量が大きくなってるバッグのことだ。時空魔法の使い手と錬金術師がバッグに空間拡張の魔法をかけることで完成する。

あと、稀にダンジョンから出土することもあるな。アーティファクトってのは基本的に人間が再現できないものが多いんだが、これは人間の手で再現できるアーティファクトだな」

 

「なるほど……。ちなみにお値段の方は?」

 

 お高いんでしょ? 先生知ってる。

 

「容量によってピンキリだな。装飾品ダンジョンの宝箱を持ち帰るぐらいなら、そこまで大きなサイズは要らんだろうしな。ま、大金貨で10枚ってとこじゃねーかな」

 

「大金貨10枚……ですか」

 

 うん、別に買えないことはないな。買ったら所持金半分になるレベルのお値段だが。先行投資と思うべきか否か……。

 

「買えるぐらいの蓄えがあるなら買っておいた方がお得だと思うがな。ダンジョンアタックするならあれば便利なのは言うまでもないし、今後も冒険者するなら使い続けることになる。いい店を紹介してやろうか?」

 

「むむむ……、お願いします」

 

 苦渋の決断でマジッグバッグを買うことに決めた俺。生徒の誰からも反対意見はでなかったので、大丈夫と思いたい。

そして、紹介された店でマジッグバッグを買ったのだが、ユウカが値切りに値切って大金貨8枚で買えたことをここに記しておこう。

ユウカマジすごいあいしてる。

 

 

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