異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

51 / 64
51.装飾品のダンジョン

「マジッグバッグよし、ダンジョンの地図よし、人数分の携帯食料よし、キャンプ道具よし。みんなも忘れ物はないね?」

 

 装飾品のダンジョンに出発する前に、最終確認をし、皆にも忘れ物がないか聞く。

 

「こちらも問題ありません。それにしてもマジッグバッグとは便利ですね。あれだけあった荷物がこんなにコンパクトになるんですから。資金に余裕があったら全員分欲しいぐらいです」

 

 俺の言葉にアコが返事を返す。ちなみに、ダンジョンアタックするメンバーは、アコ、カヨコ、アズサ、ミカ、アリス、ハレとなっている。

アビドス組が抜けて、アズサとミカが同時に入っているが、ミカの要望を満たすのと、野外ダンジョンという性質上、レンジャーの真似事が出来るアズサがダンジョンアタックに必須の為、ホシノとシロコには悪いが涙を飲んでもらった。

 アコは俺の指揮の補助を、カヨコはひょっとしたら効くかもしれない恐怖オーラでト〇ロス効果を期待して。アズサとミカは前述の理由で。アリスは言うまでもなく。ハレはあまり冒険に連れて行ってやれてないのでバランスを取るため。

というのが各人の採用の理由である。

 

「でも、これ帰りの荷物も考えていれないといけないから、全部は入れれないのが面倒といえば面倒だよね」

 

「それでも、便利なことに違いはない。キヴォトスでも使えるなら私も欲しい」

 

 カヨコの呟きに対して、そう答えるアズサ。

 

「それにしても、地図が思いのほか高かったね。やっぱりあまり人が潜らないダンジョンだから、需要と供給のバランスが合ってないのかな?」

 

「剣のダンジョンとかは競争原理が働くのか地図が安いらしいけど、こっちはそうじゃないみたいだね。まぁ、地図なしで挑戦とか無謀そのものだから必要経費だけど」

 

 ハレとミカがそういうが、実際地図がちょっと高くて辟易したのは事実。10階分の地図で締めて大金貨1枚である。マジックバック買う時の値切りがなかったら普通に足が出てる値段だ。

まじユウカが値切り交渉してくれて助かったわ。

 

「じゃ、準備が万端なら出発しようか。ダンジョン自体には今日中に着けるらしいけど。出来るだけキャンプする回数は減らしたいしね」

 

「はい」「うんわかった」「了解だ」「わかったよー」「いざダンジョンです!」「いよいよ冒険だ。楽しみー」

 

 6人から了解の返事を受け、俺たちは装飾品のダンジョンへと出発した。

乗合馬車でも出てくれれば楽できたのだが、やはり需要がないのか乗合馬車の便は出ていなかった。

色々ままならんものよなー。

 

   ------------------------------------------------

 

「これは……。ファンタジーの神秘だね」

 

 俺たちは朝に出発し、昼頃に装飾品のダンジョンにたどり着いたのだが、そこで目を疑うような光景を目にする。

 

「明らかにワープゲートっぽい何かが中に浮かんでるね……。一体どういう仕組みなんだろう? ファンタジーな事にそんなこと考えても仕方ないのかも知れないけどさ」

 

 そう。装飾品のダンジョンがあると思しき場所にたどり着いたのだが、そこには中空にぽっかりとゲートのような物が浮かんでいるのだ。

一応その周りには簡単な屯所というか、冒険者協会が出してる派出所的な何かがあって、そこに協会の職員が屯していたりして全く何もない場所というわけではないのだが。

 

「でも、本当に寂れてるねー。こういうダンジョンの周りってダンジョンの資源目当てで街ぐらい出来てもいいぐらいなのに」

 

「確かにこうも寂れていると私たちにとっては逆風ですね。栄えているなら、ハズレのアーティファクトを売って得た金で、目的のアーティファクトを買い求めることも出来るわけですし」

 

 ハレのセリフにアコが懸念を表明するが、全く持ってその通りだ。こう寂れていると俺たちだけで当たりのアーティファクトを当てなければならないため、金で物を言わす作戦が使えない。

杖のダンジョンとかにも、同じような効果のあるアイテムでも出土しないもんかね。

 

「じゃあ、私から入るね。みんな後から続いて」

 

 俺はそう言うと意を決してワープゲートに突入しようとし――、

いきなり首根っこを捕まれる。

 

「何考えてるんですか先生! 出た先で、いきなりモンスターが待ち構えていたらどうするつもりなんですか! 先陣を切るのは私たちに任せてください!」

 

「ご、ごめん。ちょっと得体のしれないゲートに先に生徒をくぐらせるのは危険だと思っちゃってさ。よく考えたら私が先に入る方が危険だよね」

 

 俺の首根っこをつかんだのはアコだったようだ。自分でも言ったように、こんなあからさまに怪しい空間に生徒を先に潜らせたくないという心理が働いてしまったのだ。

 

「そうだよ先生。パーティーを崩してわざわざ私をいれたぐらいなんだ。気持ちはうれしいけど、先頭は私に任せてほしい」

 

 アズサがそう言うと、一瞬躊躇したのちワープゲートに飛び込んだ。すると、すぐにゲートからアズサが出てきた。

 

「うん、問題ない。ちゃんとダンジョン(?)の中にワープ出来てる。私が警戒しておくからみんな入ってきて」

 

 そういうとアズサは再びワープゲートの中に戻り、皆もそれに続く。俺が殿をするわけにもいかないので、殿はミカに任せて俺もちょうどいいぐらいの順番でダンジョン内に侵入する。

 ダンジョンに侵入すると、そこはあらかじめ聞いていたように空があり光があり自然がある、これがダンジョンとか言われても納得しかねる光景が広がっていた。

 

「本当にダンジョン? なんだよね? 空も太陽もあるし、とてもダンジョンには見えないよね」

 

「でも、あの空も太陽も偽物なんだよね。ダンジョンの不思議だね」

 

 ミカとハレがそんな感想を述べる。俺もダンジョンと言えば、石造りの迷宮を思い浮かべる為、こんな自然あふれた場所をダンジョンと言われても違和感しか感じない。

 

「とりあえずは地図に従って、下の階層を目指そうよ。トラップとかは毎回ランダムで配置されるらしいから、その辺りはアズサに頼んだよ」

 

「了解。任せてほしい。そのあたりは私も専門というわけではないけど、トラップを仕掛ける側の思考が出来る私なら、他の生徒よりはトラップの発見率は高いだろう」

 

 そういってアズサが張り切りだすが、よく考えたらシッテムの箱で、というかアロナでトラップの発見が出来ないだろうか、と考える。

ていうか、幽霊事件終わったらプラナのこと調べるって言ったのにまだ後回しになってしまってる件。

なんもかんも、除霊してくれなかった教会が悪い。

閑話休題。

ともかく、アロナの側でもトラップ探知が出来るかもなので、シッテムの箱をチェックすることを忘れないようにしておこう。

 

「それじゃみんな。攻略開始だよ」

 

 俺が音頭を取ると、皆頷いて進軍を開始する。さてさて、一体どのようなダンジョンなのか。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。