異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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56.神聖魔法の書

「……というわけで、初のダンジョン攻略は無事に終わった。そして、そこで手に入れた神聖魔法の書をみんなで読もうって話なんだ」

 

 協会でダンジョン踏破報酬を受け取り、宿に戻った俺たちは連絡役含め全員をこの世界に召喚し、今までのいきさつを話した。

 

「確か、相性によって読める読めないがあるんでしたっけ? あと、誰かが読めた時点で魔法の書自体はそれ以上魔法を覚えれなくなるとか」

 

「うん、改めての解説ありがとうユウカ。というわけで、先着順でやっていこう。誰か一番最初に覚えたい人ー」

 

「はい、アリスが覚えたいです!……と言いたいところですが、私の光魔法でも覚えれる可能性がある以上重複は避けたいところです。なので、今回は他の人にお譲りいたします」

 

 まぁ、流石のアリスでもそれぐらいの慎みはあったか。ここで、「アリスが覚えたいです」って素で言われたらどうしようかと思った。

 

「ちなみになんだけど、その相性って例えば信仰心が関係してるとかそういう要素はあったりするの? だとしたら、シスターフッドあたりを当てて覚えさせた方がいいかも知れない」

 

「いや、そういうのはないみたいだね。魔法の書との相性に他の要素が絡むことはないらしいよ」

 

 ヒナの疑問に俺が答える。というか、シスターフッドを狙って当てるとかそんな器用なこと出来んから。ガチャは完全に運だからな。

 

「んー、それじゃおじさんがまず立候補していいかな? 魔法自体ちょっと興味あったし、あの幽霊に関しては同情する向きもないこともないし」

 

「じゃあ、トップバッターはホシノだね。読んでみてよ」

 

「……。駄目だね。ただの記号の羅列にしか見えない。これって読めないってことでいいんだよね?」

 

 ホシノは駄目かー。まぁ、これに関しては数うちゃ当たるで行くしかないんだが。

 

「じゃもう、めんどくさいので、ホシノさんを基点に時計回りで回し読みしていきましょうか。誰かが覚えれたら儲けものです」

 

 アコがそう提案するが、ホシノの次に時計回りってなると次はアコになるんだが。

 

「いいの、アコ? 魔法の書なんて得体のしれないものは読みたくないって言ってたのに」

 

「確かに今でもそう思ってはいますが、パーティー全体の目標と言ってもいい命題ですし、そこでわがまま言ってる余裕はないかと思いますので。というわけで読みますね。……うん、私も読めません。ホッとしたような残念なような複雑な気持ちですね」

 

「じゃ次、私ね。……残念読めなかったわ」

 

 アコの次はヒナ、ヒナの次はユウカと言った感じで回し読みをしていく。誰も彼も習得出来なくて諦めかけた時、ミカの手に魔法の書が渡った。

 

「あれ? ちゃんと読めるよこの本。って、うわわ。文字が浮かんでる」

 

 魔法の書が解読した時特有の魔法の書から文字が浮かび、ミカの脳内に神聖魔法の情報が刻み込まれる。

 

「ふーん。魔法を覚えるってこんな感じなんだ。覚えた魔法は……ターンアンデッドだね。ていうか、アリスちゃんの奴と被ってない?」

 

 流石にいきなりレストを覚えるなんてことはなかったか。

 

「多分だけど、ターンアンデッドには光魔法ってタグと、神聖魔法ってタグの両方がついてるんだろうね。だから、二種類の魔法の書で覚えれる魔法が重複してるんだと思う」

 

「あと、ジョナサンさんの例を考えるに、多分レストってそれなりに高位の魔法なんだと思う。だから、魔法の書ですぐに覚えれるってわけじゃないんだろうね」

 

 カヨコそう推察するが、多分それで正解なんだろう。魔法の書で即覚えれるような低級な魔法だと、侍祭であるジョナサンが覚えれてないのはおかしいからな。

 

「ふーん、で。私が神聖魔法を覚えたわけだけどどうすればいいのかな?」

 

「はい! 新しい魔法を覚えるには、それすなわち修練あるのみです。丁度、貴族屋敷で毎夜ゴーストカーニバルが開かれるようですし、ターンアンデッドの練習台には申し分ありません。

そこにアリスも一緒に戦えばアンデッド対策はばっちりです。ついでにアリスの光魔法も鍛えれて一石二鳥です!」

 

 そうか、わざわざ幽霊退治の依頼とか受けなくても、自宅で修練を積めるのか。でも、ここは幽霊退治の依頼受けた方がお金も入るしいいと思うんだけどな。

でも、そう都合よく幽霊退治の依頼がでてるとは限らんし、自宅には早く住みたいからな。ここは、自宅で修練するのが一番か。

 

「修練かー。面倒くさいけどまぁ、仕方ないよね。それに逆に考えれば、修練を名目に先生と一緒に居られるってことでもあるもんね。うん、私がんばるよ」

 

「まぁ、ドラゴン殺しの剣の落札結果出るまでも時間あるし、自宅で神聖魔法の修練を積むのもいいかも知れないね。

それじゃ、修練の為のパーティー編成だね。メンバーはアル、ヒナ、シロコ、ミカ、アリス、ハレ、の6人で行こうと思うけどいいかな?」

 

「分かったわ!」「了解」「ん……わかった」「オッケーだよー」「了解です!」「えっ」

 

 アリスとミカ以外は幽霊退治を経験してないメンバーで固めた。他の皆は了解したが、ハレだけが何か言いたそうな顔をしてる。やっぱり幽霊苦手なのか?

科学の徒なんだから「幽霊だと!? そんなもん徹底的に科学的に解析してやらぁ!」ぐらいは言わないのだろうか。

まぁ、本気で嫌って言うんならここで主張するだろうし、今回はこの提案を飲んでもらうことにしよう。

 

「じゃ、この面子でもう一度自宅へ行くよ」

 

 他のメンツは送還して、宿を立ち自宅へと向かう。さて、どれくらいで目的の魔法を覚えれるかな。

 

 

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「ヒィィィィィィ! 無理! これは無理!! カヨコ代わってぇぇぇぇぇ!!」

 

 貴族屋敷でゴーストカーニバルを処理していたら、初夜の時点でアルが音を上げた。ていうか、そこはハレじゃないのか。

まさか君がギブアップするとは、いやまさかではないか。アルの性質考えたらありえた展開だ。

 ちなみに、アルが音を上げたゴースト現象はポルターガイストでも、チャッキー人形でもなく、集まってきた浮遊霊だった。

アル曰く、「実体があるなら怖くないけど、実体のない幽霊は無理! どう頑張っても無理!」らしい。

 

「うんまぁ、アルが無理っていうならカヨコに代えてもいいんだけど、今の時間を考えると多分カヨコ寝てるよね。少なくともこの夜が明けるまでは交代は無理かなー」

 

「うぅぅぅぅ。あそこで安請け合いするんじゃなかった」

 

「ターンアンデッドも即除霊ってほど強力な魔法じゃないからね。使って見て分かったけど、ターン(旋回)って言葉からして、アンデッドを追い払う程度の効力しかないんだよね。

ちょっと力を籠めたら、浮遊霊ぐらいは除霊出来るけど、ちょっと力の強いアンデッドだと追い払うぐらいしか出来ないよ」

 

 ミカから実際のマジックユーザーからの目線での解説が入る。なるほど、やはり最初に覚えれる魔法だけあってそこまで強力というわけではないのか。

 

「まぁ、取りあえずアルは今夜一杯は頑張って。実体のないゴーストは他のみんなに対処してもらうから、アルは実体のある人形やポルターガイストを中心にお願いね」

 

「うぅ、分かったわ。幽霊が出たらすぐに処理してよね」

 

 そして、夜いっぱいいっぱい使って魔法を鍛えたが、新たに覚えた魔法はアリスがライトウォールという防御魔法、ミカがイクソシズムという幽霊を強制成仏させる魔法だった。

強力は強力なんだが、今欲しい魔法はそれじゃねぇんだよなぁ……。

 すぐに覚えられなかったあたり、侍祭であるジョナサンが覚えてなかったという理由が分かろうというものだ。

まぁ、強制成仏魔法は今後魔法を鍛えるのに役には立つけどね。

 

 

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