異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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61.王都エンゲラント

「皆さまお待たせいたしましたー。王都エンゲラント到着でございますー。お忘れ物の無いようにお降りください」

 

 御者のそんな言葉と共に、俺たちは王都の駅で下車する。するとスマホからピロリンと音がする。

 

「ミッション01 王都へ行こう! クリア! ミッション報酬をお受け取りください」

 

 うん、ちゃんとミッションを達成できたみたいだな。これで実はここ王都じゃありません、とか言われたらどうしようかと思った。

と言っても、貰えるのはキーストーンが一個。クラフトチェンバーが無ければ無意味なものなので今報酬を受け取ることはしない。

 

「どうしたの先生? あ、ちゃんとミッション達成できたんだね。ここで、実は隣国の王都のことでした。ってことじゃなくてよかったよ」

 

 シロコが俺と同じようなこと思ってら。まぁ、ミッションの書き方からして隣国の王都に行っても達成はされそうだけどね。

王都エンゲラントへ行こう、じゃなくて王都へ行こうだし。ソシャゲ的にはそういう裏技的な条件の満たし方は普通によくあることなので。

 

「じゃ、褒章を受け取ったら王都の協会へ行こうか。手紙を届けないとね」

 

 駅で感謝の言葉と共に褒章金貨5枚を受け取り、協会までの道を尋ねる。どうもこのままメインの通りを進めば、通りに面したところにあるらしい。

王都の主要通りにあるとか、中々交通の便がいい場所だな。

 実際王都は広いのか、この駅からも王都内に乗合馬車が出ているらしい。その分通りの道幅も馬車が通れるぐらいの広さを確保してある。

で、協会はどこにあるかというと、門からそう遠くない場所にあるらしい。まぁ、モンスターの素材とか持って帰ったりするわけで、門から遠い場所にあると不便でしかないわな。

実際俺らはそう歩くこともなく、冒険者協会の建物にたどり着く。

 

「はぇー、でっかいねー。ペルージャの協会とは全然違うね」

 

「まぁ、王都って人が集まるだろうから、その分協会もおっきいんでしょうね」

 

 ミカとアルがそれぞれ協会の建物に関して感想を述べるが、実際大きい。奥行は分からんが横幅だけで単純目測でペルージャの倍の大きさぐらいはありそうである。

 眺めるだけというのも交通の妨げなので、見上げてる生徒たちを促し、建物内に入る。

建物内には色んな冒険者パーティがたむろしていた。以前、ペルージャの冒険者協会の建物を、銀行の待合とカフェが合体したような場所と言ったのを覚えているだろうか。

ここも基本的には同じように銀行の待合って感じなのだが、合体しているのがカフェじゃなくて食堂と来ている。

いや、正確には酒場と言えばいいのか。よくある酒場とギルドが一体化しているファンタジーあるあるな光景がそこにはあった。

 

「中も結構広いわね。先生、取りあえず依頼の方を済ませましょう」

 

 ヒナにそう促され、俺は受付の方に足を向ける。ここはペルージャの時のように男の人の受付に! と思ったのだが、受付にいる人たちはすべからく女性だった。男が一人もいやしねぇ! しかも、女性みんな美人と来てる。

流石に、王都の協会ともなると人材も豊富ってことなのだろうか。ここだと、女性の受付を回避という手が使えないので、仕方なく空いてる受付に並ぶことにする。

 

「すいません、配達依頼を達成したいのですがここでいいでしょうか?」

 

「配達依頼ですか? 割符はお持ちでしょうか」

 

「はい、こちらになります」

 

「確認いたします。……ペルージャからの配達ですね。確認いたしました。ではお受け取りいたします。……はい、確かに。ではこちらの割符を持って5番の窓口までお進みください。そこで報酬をお支払いいたします」

 

 事務的! ひたすらに事務的! なんかイベントがあるでもなく淡々と受付を済まされた。報酬は別窓口ってことだが、そこらへんもまた事務的感を醸し出すのに一役買ってる。

で、別窓口に並びなおして配達依頼の報酬である大銀貨5枚を受け取ったが、こっちでもひたすら事務的に対応された。王都の受付は人情味がないよ……。おっちゃんが懐かしい。

ていうか、大銀貨5枚(5000円相当)ってほんまお使いやな。まぁ、手ぶらで行くのが嫌だっただけなので、別に報酬額に文句を言うつもりはないのだが。

あと、ついでにガルムの死体も持ち込んだのだが、それもたらいまわしにされ、3回ほど窓口を行き来する羽目になった。ちなみにガルムの死体の報酬は金貨3枚だった。あんまり高くならなかったな。

 

「それにしても、確かにおっちゃんが言ってたみたいに王都でもディーマンって割かしいるんだね。まぁ、アルやヒナが目立たなくてよかったよ。ミカの羽もね」

 

 ミカの羽こそ最初に協会に入ったときにちょっと注目を集めた程度で、すぐに視線を逸らされたあたり、王都ではあまり他人に対して詮索しない風潮があるのか、天使の羽の持ち主が普通にいるのかのどっちかだろう。

まぁ、どちらにせよ目立つことがないというのは楽でいい。

 

「そうね。あからさまに差別されたりとかいうのがないのはありがたいわ。後は貴族にはあまり出会わないようにってところかしら」

 

 実際に差別された経験のあるアルの言葉は重い。取りあえず王都で依頼を受けるにしても貴族関係は避けた方が無難だな。

 

「で、先生。王都に着いてミッションは達成されたんだよね。なら、すぐにでもペルージャに戻る? 王都でやることって別に特にないと思うんだけど……」

 

「せっかく王都に来たのだからとんぼ返りは流石にね。どうせだから王都見物でもしていこうよ。お金には余裕あるしちょっと豪華目な宿にでも止まってさ。観光でもしようよ」

 

「賛成です! 王都と言えば、コロッセウムやら美術館やら見るべきところがたくさんあります。普通に観光しても楽しめるはずです」

 

 アリスがそう挙手して賛成するが、いつの間に王都について調べたのか。いや、俺が調べなさ過ぎただけか。

 

「じゃ、まずは宿を取ろうか。今日はそれで休んで明日から王都見物しよっか。モンスター対策に魔法の書も引きたいし」

 

「「「「「「さんせーい」」」」」」

 

 生徒全員から賛意が得られたところで、宿を取って今日は休むことにする。

ちなみに、宿は一泊大金貨1枚という少々お高いところだったが、どうせ見物で一泊、朝に馬車に乗るのに一泊の計二泊しかしないだろうし、これぐらいの贅沢はたまには許されるだろう。

 

さて、ではガチャを引くとしようか。

 

 

 




次回からまた不定期に戻ります。
多分ネ……!
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