異世界捜査部シャーレ   作:幽塊和尚

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63.回し読み

「さて、それでは皆さま御集りいただいたところで、魔法の書の回し読み会を始めたいと思います」

 

宿の部屋に集まる実に14名。

アル、カヨコ、ヒナ、アコ、シロコ、ホシノ、ミカ、アズサ、アリス、モモイ、ハレ、ユウカ、サオリ、そして先生である自分である。

 

「とまぁ、そんな前口上はおいといて、まずは希望者いる? 希望者がいるなら優先的に読ませてあげたいのだけど」

 

「はいはい! 私! 私が希望するよ。魔法覚えたい!」

 

 そこで真っ先に手を挙げたのは先ほどモモトークでも魔法覚えたい。と主張していたモモイだ。

 

「モモイだけかな? それじゃモモイがトップバッターでみんな円陣組んでー。あ、アリスは一番最後だからね。その直前に私、かな」

 

 モモイをスタート地点とし反時計隣にアリスを配置し、みなで円陣を組む。そして、モモイの前に差し出される魔法の書。

攻撃魔法、氷魔法、土魔法、闇魔法×2、時空魔法の書、だ。

後者二つは今まで誰も覚えれなかったもので売りにも出してなかった奴だ。売ろう売ろうと思って後回しにしていたが新しい生徒が来るなら取っておいてよかったというものだ。

 

「それじゃ読むね。……これはダメ。こっちもダメ、これもダメだ。うぅー、私じゃ魔法覚えられないのかなー」

 

 次々と魔法の書読むが、その調子は芳しくないが次に手に取った魔法の書でモモイの顔が輝く。

 

「お、読める! この本なら読めるよ! おぉー、文字が浮かんでる。これで私にも魔法が!」

 

 そう言ってモモイにインストールされた本は闇魔法の書だった。ん? この闇魔法って最初みんなが失敗しまくったやつだっけ? 混ぜてしまったからどっちか区別つかんな。

 

「おめでとうモモイ。ちなみに、最初に使える魔法はどんなのかな?」

 

「ダークネスっていう暗闇を作り出す魔法だね。攻撃力はなさそうだから、それは残念かな」

 

「逆に考えるのですモモイ。敵と戦う必要もなく魔法を発動できるので、魔法を鍛えるには非常に向いている魔法なんだ、と。私のライトもそういう意味で非常に魔法の鍛錬に向いている魔法でした」

 

「なるほど! 経験値を稼ぎやすいってのはいいよね!」

 

 モモイの言葉にアリスが応えるが、なるほどそういう側面があったのか。アリスがいつの間にか光魔法鍛えてたのって、ライトをこまめに使ってたりしたからなのかも。

 

「それじゃ、他の魔法の書もどんどん読んでいこうか。サオリも読んでみる? ひょっとしたら魔法を覚えられるかもよ」

 

「先生がそう言うなら私も読んでみよう。…………、む、これは読めるな。時空魔法の書? 使える魔法はディクリース・ウェイト。物体の重量を減らす魔法のようだ。これも攻撃系ではないな」

 

 なんと、俺が読みたいと切望していた時空魔法の書をサオリが読めるようになるとは。でも、使える魔法が攻撃系というより便利系みたいだな。

ひょっとしたら時空魔法でキヴォトスとここを行き来出来るのではないかとちょっと期待するのだが、そう簡単に出来るほど甘くないだろう。

 

「新しく魔法を覚えられたはいいけど、どっちも攻撃系がないのね。今欲しいのは攻撃系統の魔法だからそれは残念かしら」

 

 ヒナが俺が言いたかったことを代弁してくれた。まぁ、今魔法の書を読んでるのもモンスターに通用する魔法を習得したいからだからな。

まぁ、まだ魔法の書はある。これで攻撃系魔法を覚えてくれれば。

 

「お、これおじさんにも読めるよ。土魔法の書かぁー。覚えてる初期魔法はストーンバレット。石のつぶてを敵にぶつける呪文だね。……攻撃系なのはいいけどこれって魔法ダメージ扱いでいいのかな?

そこらの石を浮かせて射出する魔法のような気がするんだけど……」

 

 土魔法の書はホシノが覚えたようだ。多分そこは不思議パワーで魔法ダメージ扱いになってくれるんだよ、多分!

 

「これは……私にも読めますね。攻撃魔法の書ですか。初期魔法はファイヤーボールにアイスアロー、ウィンドカッターにストーンバレットですね」

 

 次に魔法の書の解読に成功したのはユウカだった。よしよし順調に魔法を覚えていってるな。

 

「ユウカずるい! 一気に4つも魔法覚えて! 確かに私はその本読めなかったけどさぁ。一度に4つも使えるようになるなんて」

 

「いや、私にそんなこと言われても。相性問題なんだから仕方ないじゃない。ていうか、こんなに一気に覚えると逆に選択肢が増えて使いにくいだけよ?」

 

 一気に4つも取得したユウカに文句を言うモモイ。でも、確かにユウカ自身が言う通りあまり一気に選択肢が増えすぎるのも考え物だからな。

まぁ、ユウカは頭いいしそこらへんの取捨選択は上手くやるであろうという信頼があるが。

 

「これは……、氷魔法の書ね。うん、読めた。初期魔法はアイスアローって言う氷の矢を敵に射出する魔法ね。これから考えるにユウカの攻撃魔法の書は各属性魔法の初期魔法を習得出来てる感じなのかしら」

 

 氷魔法の書はヒナが習得した。これで、残る魔法の書は闇魔法の書のみ。ていうか、これ前も残った魔法の書なんだよな。

一応モモイが覚えられたから、覚える難易度が高いとかそういうことはないとは思うんだが。

 

「じゃ、最後にもう一個の闇魔法の書だけど、順番に読んでいこうか」

 

 そう言って回し読みを開始するが、結局誰も覚えることは出来なかった。この本呪われてんじゃねーかな……。

 

「うん、これで魔法の書の回し読み会は終了だね。あ、そうだ。明日から王都見物するんだけど、いつもの6人制限じゃなくてみんなで見て回ることにしない?

戦闘じゃなければ私もそれぐらいの引率は出来るしさ。修学旅行だと思ってみんなで楽しもうよ」

 

「賛成です! 正直モモイを召喚して置き去りも覚悟していましたのでその提案は渡りに船です」

 

 真っ先にアリスが挙手し賛意を示す。そうか、そういえばアリスは交代するつもりだったから折角王都見物する予定だったのに、キヴォトスでお留守番になるところだったのか。

ついさっき思いついた提案だったが、提案してよかったといえよう。

 

「でも先生。連絡役を向こうに残さなくていいのでしょうか? 流石に丸一日連絡がないでは、向こうも困ると思うのですが……」

 

「まぁ、それを考えないでもないけど、それだと置き去りにされるその子が可哀想でしょ。折角の異世界見物なんだ。楽しめるならみんなで楽しみたいしね」

 

 ユウカが真面目にそんな提案をしてくるが、修学旅行なのに一人だけお留守番ってのは流石に可哀想じゃん? 集合写真の右上隅に丸い枠で写ってる子みたいじゃん。

まぁ、どうせやることは王都見物だけ。なんかイベントとか起こらないでしょ。

 

「まぁ、先生がそう言うならいいですけど……」

 

 というわけで、明日は全員で王都見物という名の修学旅行を楽しむとしよう。生徒の引率するとかまるで先生だな。

 

 

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