コナン君に怪しまれれば死なずに済むと思ったけどワンチャン捕まる可能性出てきた   作:Splite

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お待たせしました。掲示板回は後日になります。勘違い要素は薄め。


爆弾があるなんて聞いてない

 コナンはその日、毛利蘭、鈴木園子、世良真純と共にデパートに来ていた。元々着いていく気はなかったが、真純に半ば強制的に連れてこられたのである。その癖、特にコナンに話しかけるでもなく、三人でウィンドウショッピングを楽しんでいて、コナンはほぼ連れ回されるだけだった。疲れたのでフードコートで待っている、と告げると、三人は荷物を置いて買い物へ行ってしまった。

 

 フードコートで買ったジュースを飲みながらボーっとしていたが、とある人を見つけて、あまりの衝撃にむせながら叫んだ。

 

「ち、千代子さん!!」

「あれ、コナンくん。一人?」

 

 ーー岩舩千代子。以前事件でコナンの正体が工藤新一だと見破った人。いくら探しても見つからなかったのに、こんなところで見つけるとは。

 

 千代子はなんでもないようにコナンに近づく。この前、コナンの正体を見破ったのが嘘のような平凡っぷりにコナンは気が抜ける。

 

「う、うん。ところで…」

 

 どうしてここにいるのか、なぜ以前コナンの正体を見破れたのか、一体何者なのか、それを聞こうと口を開こうとするが、とある人物に遮られる。

 

「あれ、コナンくんだ」

「さ、桜子さん!?」

 

 千代子の後ろから姿を表したのは、米原桜子。コナンとは何回も事件で遭遇したことがある。なぜ桜子さんが千代子さんと一緒に…?

 

 そんなコナンの疑問を他所に桜子が千代子に話しかける。

 

「千代子さん、コナンくんと知り合いなんですか?」

「うん、前に事件で知り合って。桜子ちゃんもコナンくんのこと知ってるの?」

「はい、私も前に事件で知り合って…」

 

 桜子が話している途中だったが、おかまいなしに、千代子が突然しゃがみ込んだ。

 

「千代子さん?」

 

 もしかして体調が悪いのだろうか、そんなコナンの心配を他所に千代子はそのままコナンが座っているソファ席の下の隙間を覗き込んだ。

 

「千代子さん?どうしたの?」

 

 千代子の行動の意図が分からず、コナンは困惑しながら聞く。そんなコナンの言葉を無視して千代子は桜子に話しかけた。

 

「…桜子ちゃん」

「なんですか?」

「警察に連絡して」

「え」

「爆弾が、ある」

「!!」

「えぇ〜!!!!ば、爆弾〜!!??」

 

 桜子の大きな声にフードコートにいた人達が一斉にこちらを見た。そんな視線に、思わず桜子は両手で口を防ぐ。いくら桜子でも、ここで急に爆弾があると言えば、パニックになって怪我人が出る事を予想出来たからだ。

 

「見せて!!」

 

 コナンは千代子の言葉に自分も椅子の下を覗き込む。確かにそこには千代子の言った通りチカチカと赤く光る爆弾があった。

 

「爆弾処理班に知り合いがいるから、僕が連絡するよ」

 

 コナンはそっちの方が早いからと、とある人物に電話をかけた。

 

「もしもし、松田さん?」

 

 電話の相手は松田陣平。爆弾処理班のエースである。とある爆弾事件で知り合い、それ以来爆弾があると彼に電話するようになった。

 

『あー、なんだ、コナンか。今忙しいんだが」

 

 確かに電話の向こう側は騒がしい。誰かが何かを指示する声とその声にバタバタと忙しなく誰かが動いている音が聞こえた。ーー何あったのだろうか。そんな思いつつ他所にコナンは口を開く。

 

「爆弾を見つけたんだ」

『!!』

 

 電話越しに松田が息を飲む音が聞こえた。

 

『お手柄だ、ボウズ。実はさっき、警視庁宛に暗号と共に爆破予告が届いてな。高木たちが一生懸命暗号を解いて爆弾仕掛けた場所を突き止めようとしてたんだが、これで必要なくなったな』

 

 先程電話の向こうが騒がしかったのはそれが理由らしい。

 

「その暗号、送ってくれない?」

『まぁ、良いが』

「ちなみに爆破予告って言ってたけど何時に爆発するか分かる?」

『十五時ちょうどだ』

 

 腕時計を見ると、今は十四時半。爆発まであと三十分しかない。

 

『良いか、すぐ行くからこの前みたいに勝手に爆弾解体しようとするなよ』

「分かってるよ」

 

 以前、爆弾が爆発するまで時間が無くて、仕方なく爆発物処理班が到着する前にコナンが爆弾を解体したことがある。無事に解体できたが、その後松田から危ないとこっぴどく怒られた。

 

 ぴっと電話を切ると桜子が心配そうにこちらを見ていた。

 

「大丈夫、すぐ来てくれるってさ」

 

 コナンが微笑むと、桜子は緊張の糸が切れたのか、良かった〜とスルスルと床に座り込んだ。

 

 そんな桜子の様子に苦笑しつつも、コナンはところで、と千代子に切り出す。

 

「なんで千代子さんあそこに爆弾があるって気づいたの?」

「なんか視界の隅にチカチカしたものが見えた気がして…椅子の下見てみたら爆弾があってびっくりしたよ」

 

 確かに爆弾には画面がついていて、その画面が点滅していた。そこまで眩い光ではなかった気がするが、それで気がつくのだろうか。コナンにとって千代子は得体の知れない人、という印象があるのでその言葉を素直に信用する事は出来なかった。

 

 疑うようなコナンの視線に気がついたのか千代子が話題を変える。

 

「そんな事より、さっき暗号って言ってたけどどうしたの?」

「ああ、警視庁宛に爆破予告が届いたらしくて。それがこの暗号なんだって」

 

 送られてきた画像を見ると画像は二枚あり、一枚目には今日の十五時に爆弾を爆発する事やその場所をもう一枚の暗号に示していることが書いてあった。

 

 二枚目の暗号を見ると、アルファベットと数字の羅列が五文あった。一文目にHAD8S3D3D7、二文目にCAS2C4D7H5C5D10S2H4H5SQC5D4CJS2、三文目にH2SJD4H3C4H10SACKSA、四文目にS5H5D5C5、五文目にS2SQD4DJSAD6SAC6CJS2C5D2D9H8D8とある。

 一目見ただけでは流石のコナンでも暗号は解けなかった。でも、まぁーー

 

「多分ここの場所を表すものだと思うけどね」

 

 同じ日に違う人物が爆破予告を出したとは考えづらい。千代子が見つけたこの爆弾が、この予告犯の仕掛けた爆弾であろう。であればこの暗号は必然的にこの場所を示していることになる。

 

 そんなコナンの予想に千代子が否を唱える。

 

「そうかな?」

「え」

「爆弾を仕掛けられたの、本当にここだけなのかな?」

「…千代子さんは、爆弾が二個あるって言いたいの?」

「可能性としてね」

 

 確かに、一理ある。この暗号は五文もある。もし、一文ごとに爆弾の場所が示されていたとするならば爆弾は全部で五個ある可能性がある。

 

「確かに、千代子さんと出会った時の爆弾、本当は二個あったらしいですね」

 

 千代子の言葉に桜子が反応する。

 

「…桜子さん、千代子さんとどうやって知り合ったの?」

「ええっと、あの日は、風邪引いて、病院行ったんだけど、そこで椅子の前に屈んでる女の人がいて、どうしたんだろう、と思って近づいたら、今日と同じように爆弾がある、って言われて。その女の人が千代子さんだったの。千代子さん体調悪くて、私が代わりに来てくれた爆弾処理班に対応したり、事情聴取とか受けて…。その時に遊園地にも爆弾が仕掛けられてたって聞いたな」

 

 コナンがどこかで聞いたことのあるような話だな、と思い出そうとした時、後ろから声が聞こえた。

 

「コナンくん、お待たせ」

「蘭姉ちゃん…」

 

 タイミングが良いのか、悪いのか。蘭、園子、真純が買い物から帰ってきた。

 

「あれ、もしかして千代子さん…と桜子さん?」

 

 蘭が千代子に話しかける。前回コナンが初めて千代子に出会った事件に蘭もいたので、当然顔見知りである。前回第一発見者で周りから疑われていた千代子を心配して蘭がよく話しかけていたので、恐らくコナンより蘭の方が千代子と言葉を交わした事があるくらいだ。桜子の方も蘭は何度か事件で顔を合わせたことがある。

 

「えーっと、蘭ちゃん、だったかな?この前はお父様にお世話になりました」

「いえいえ、それが父の仕事ですから」

 

 警部から怪しまれていた千代子の疑いを晴らしたのは一緒にいてアリバイを証明したコナンであり、蘭であり、――小五郎でもある。正確には眠りの小五郎のふりをしたコナンなのだが、蘭はその事を知らないし、千代子もその事を知らない…知らない筈だ。小五郎の座った椅子の裏側に隠れていたコナンを覗こうとしてたので、もしかしたら工藤新一である事だけでなく、コナンが小五郎の代わりに謎を解いているのを知っているのかもしれない。

 

 ーー本当に、千代子さんは何者なのだろうか。

 

 

 

 

 

 ● ● ●

 

 

 

 

 千代子や桜子、園子や真純はお互い初めましてだったので自己紹介を済ませ、現在の状況を伝える。

 

「ば、爆弾〜!!!?」

「うん、この暗号が警視庁に届いたらしくて…」

 

 驚く園子にスマホを差し出し暗号を見せる。すると真純が僕にも見せて、と覗き込んできた。指を顎に置き、しばらく考えていたが、お手上げのようで、肩を竦めた。

 

「う〜ん、さっぱりだな」

「でも、千代子さんがその暗号の爆弾見つけてくれたんでしょう?それなら安心じゃない」

「そうかもしれないけど…」

 

 先程、千代子が言った通り、爆弾が複数ある可能性があるし、何よりコナンの性質として謎があるのに解けないままにするというのはむず痒かった。

 

「それより見て!!トランプモチーフのイヤリング。一目惚れして買っちゃった」

 

 園子が先程買い物で買ったイヤリングをみんなに見せびらかし、もー、園子と蘭が諌める。そんな様子をコナンはジト目で見ていたが、ハッと閃く。

 

 ーートランプ。そうか!!分かったぞ!!この暗号の解き方が!!!

 

 コナンがチラリと真純の方を見ると真純もコナンを見ていて目が合った。どうやら、真純も園子の言葉で暗号のアルファベットと数字の意味が分かったらしい。ニヤッと口角をあげていた。

 

「皆、分かったよ。この暗号の解き方が」

「え!」

「本当!?世良さん」

「ああ。トランプを使った暗号だったんだよ。数字の前に書いてあるSがスペード、Cがクローバー、Dがダイヤ、Hがハート。数字以外のアルファベットはトランプのマーク。Aがエースで1、Jが11、Qが12、Kが13」

 

 続けてコナンが言う。

 

「トランプで一番強いのはA、そしてマークではスペード、ハート、ダイヤ、クローバーの順に強いんだ。これに則って、abc…ってアルファベットを降っていく。トランプのカードは五十二枚、アルファベットは二十六枚だから丁度二巡する。そのルールで一文目を読むとbeika、二文目を読むとdepartment store。繋げると米花デパートメントストア。このデパートの名前だ。続けて三文目を読むとfood plaza。フードコートの事だね。千代子さんが見つけた爆弾があったのがここフードコートだった」

「その手順に則って四個目の文を読むとQRSTになる。でもこれじゃ単語にはならない」

「この四個目の文は読むためじゃなくて、五個目の文を解くための材料だったんだ。これをトランプのカードだと考えると違うマークの同じ数字になる」

 

 コナンの言葉に園子、桜子、蘭、千代子は首を傾げる。

 

「トランプで違うマークの同じ数字…?」

「全然分からない…」

「あ、もしかしてポーカーのフォーカードのこと?」

「…多分、大富豪の革命かな」

「千代子さん、ご名答!そう、これはトランプの大富豪というゲームの革命という技を表していたんだ。この場合数字の2がいちばん弱くなるから、そうして並び替えると…」

「amusement arcadeーーゲームセンターだ!!爆弾は二個あるんだ!」

 

 時計を見ると爆発時間まで残り十五分。

 

「蘭姉ちゃん達も来て!!時間が無い!!みんなで探さなきゃ見つけられない!!」

 

 走るコナンと真純を蘭と園子が追いかける。桜子も追いかけようとするが、千代子に引き止められた。

 

「桜子はここにいて。爆弾処理班の人が来たらゲームセンターにもうひとつ爆弾があるって伝えて」

「でも…っ!」

「誰かはここにいなきゃ。大丈夫、皆で爆弾見つけるから」

 

 走っていく千代子の背を桜子は心配そうに見送った。

 

 

 

 

 

 ● ● ●

 

 

 

 

 

「おい、コナン。爆弾が二個あるって本当か!」

 

 爆弾爆発まで残り十分。ようやく爆発物処理班が到着し、桜子にもう一つ爆弾があると聞いた松田はゲームセンターにかけつけた。

 

「松田さん!その筈なんだけど探しても見つからない!!」

 

 手分けをして探しているが、爆弾は見つからなかった。椅子の下もゲーム機の下も、裏も、コナン、園子、蘭、真純、千代子の五人がかりで探しているが、ある気配すらない。

 

 松田も捜索に加わる。

 

「カウンター無かったわ」

「私も色々見てるけど見つからない…」

「どこにあるんだ…」

 

 探しても探しても見つからない。爆発まで残りわずか。皆が焦り始めた、その時。一人の声が響いた。

 

「見つけた!!!」

 

 声の主は千代子だった。

 

「どこ!?」

「植木鉢の土の中!!」

 

 松田が植木鉢を見るとそこにはピカピカと赤く光る爆弾があった。コナンは自身の腕時計を見る。

 

「爆発まであと5分!松田さん解体できる!!?」

「誰に言ってやがる。このぐらい楽勝だ」

 

 コナンはハッキリと言い切った松田に安心して、安堵の息をついた。

 ふと周りを見回ると、千代子がいない。

 

「蘭姉ちゃん!千代子さんは!?」

「千代子さんなら、体調が悪いから先に帰るって、出口の方に向かったよ?」

 

 慌てて、デパートの出入口に向かうと、千代子がいた。特に体調が悪そうには見受けられず、この場から離れるための嘘なんだな、と分かった。

 

「待って!!」

 

 コナンが叫ぶと千代子が振り向いた。

 

「あれ、コナンくん、爆弾はいいの?」

「今必死に解体してもらってる。それより――千代子さん、何者なの…?」

 

 あれから何度も考えた。組織の人間なのか、もしかしたら新一だった頃にあったことがあるのか、安室さんや赤井さんのようにどこかの警察組織の人間なのか。いくら考えても答えは出なかった。

 

「前にも言ったけどただの一般人だよ」

「一般人は僕の正体知らないんだよ」

「そう?西の高校生探偵くんとか、君の腕時計を作った博士とか、君の正体を知っている一般人はわりといると思うけど」

 

 コナンは息を呑んだ。この人は、コナンの正体だけでなく、コナンの正体を知っている人物すら把握している。本当に何者なのだろうか。コナンの目には、千代子が得体の知れない化け物に見えた。本当の姿の見えない、その輪郭すら捉えることの出来ない、化け物。

 

「それでも私を疑うなら、――暴けばいい。探偵らしく、ね」

 

 

 

 

 ● ● ●

 

 

 

 

 まさか、またコナン君と遭遇してしまうとは…。最後に暴けばいいとは言ったけど暴かれて困るのは私なんだよなぁ。

 

 にしても、今世は本当に爆弾の事件に巻き込まれる。三郎と再会する前に住んでたマンションが爆弾で爆破されて住まいが無くなるわ、体調悪くて行った病院で爆弾を見つけるわ、映画館行こうとしたビルで爆発に巻き込まれるわで、本当に爆弾に縁がある。そんな縁はいらないけど。

 

 おかげで、爆弾見つけるの上手くなった気がする。数々の遭遇した爆弾の場所とここがコナンの世界だと自覚したおかげで、爆弾のありそうな場所に見当がつくようになった。コナンの世界で爆弾って椅子の下か何かの中の確率高い気がする。

 

 というか今思い出したけど桜子って原作キャラ?知らない間に原作キャラと友達になってるって…何?まぁ、原作キャラ、しかも敵キャラである三郎や陣さんと知り合いな時点で今更ではあるけど。桜子とは一緒にいて楽しいし、癒されるのでこれからも友達でいる。

 

 そして今日、松田さんいたけど、松田さんって原作では死んでなかった?普通に生きてるんだが。もしかして私が以前病院で見つけた爆弾が松田さんが命をかけて場所を知ろうとした爆弾?どんなバタフライエフェクトだ。

 

 

 今日の事を考えながら家に帰ると、また三郎が来ていた。今日は陣さんはいないらしい。三郎の作ったご飯を食べながらテレビをつけると、今日の爆弾事件が取り上げられていた。

 

「今日この事件に巻き込まれたんだよねー」

「なっ!大丈夫か?」

「うん大丈夫!二個とも見つけたの私なんだよ」

 

 大丈夫の意と二個をかけてピースをする。

 

「はぁ〜怪我がないならいいが、危ないことはなるべく避けるんだぞ」

「分かってるよ」

 

 この時、三郎がテレビの方を睨んでいた事に私は気が付かなかった。後日、この前の爆弾事件の犯人が死体で見つかったとニュースで取り上げられていた。

 

 

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