IS 烈火の戦士   作:ダレ狐

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クラス代表編
クラス代表編 眠れる力


3月某日 IS学園 第2アリーナ

 

この日IS学園ではISでの適性検査が行われていた。 本来であれば歩行、浮遊や、動作確認等、さほど難しい要求では無いが…

 

「っ!? くそ! まだや……諦めるか!!」

 

「最近の生徒の中では威勢の良さでは1番だ…まぁ、吠えるだけでは私に1太刀を浴びせられないぞ!!」

 

 

先程から、このアリーナでは最早、適性検査の域を超えて模擬試合を行っていた。 1人は2人目の男性操縦者、喜多山 哲也

もう1人は8年前で16歳で、第1回モンドグロッソで優勝を果たし戦乙女(ブリュンヒルデ)の称号を手にした者 織斑 千冬

 

両者がこのような模擬試合したのは些細な切っ掛けだったが、次第に戦いは血風の中で激しい剣劇が繰り広げられていた。

 

試験官である織斑千冬の中では既に彼が合格の域を達しているため、ここで切り上げるのが無難だが…そうはしなかった。

 

「良い目だ…そんな目をしてる奴に半端な真似は出来ないな、来い」

 

彼女にとっては久方ぶりの勝負に挑む挑戦者に最早、試験官の立場では無く、1人の選手として全身全霊で迎え撃つ覚悟をして刃を構えた。

 

「行きます!」

 

喜多山は最後の一太刀に全力でぶつけるつもりで、納刀し、抜刀の構えをした。

 

そんな両者の戦いを静観して見ている1人である副担任の山田真耶は適性検査の一環であることを忘れ、1人の観客として見ていた。

それほどまでの激しい剣劇だった、コレが公式戦でないことが悔やまれるほどであった。 実力差があり過ぎて、一撃も食らってない千冬に対して、喜多山は既にボロボロでシールドエネルギーも残り僅かになっていた。 それでも、この戦いは山田真耶の中でもベストバウトに入る戦いだった。

 

しかし、その戦いも次の一撃で決まる…………

山田真耶はこの嵐の前の静けさに冷や汗かいて、その汗が頬を通り過ぎて地面に落ちる瞬間に両者は動いた。

 

「来い……」

 

 

「ウォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月 IS学園 放課後 1年4組

 

「と言う経緯があり、俺の専用機はオーバーホールが居るらしくて、とてもじゃ無いですがクラス代表戦には出れないので」

 

今日から俺はIS学園で通うことになり、挨拶やら学校内容の説明の後に担任の黄泉川愛穂先生から俺か簪ちゃんにクラス代表をやらないかっと打診されたが、俺は断った、その理由をIS学園の入試時の実地テストで織斑千冬先生との試合で、機体がボロボロになり修理にかなり時間が掛かることを説明した。

俺自身も正直試合の途中から集中しすぎで、記憶が無く、目が覚めたら。包帯ぐるぐる巻きで病院のベットに来ていて、2週間入院をしていた。

 

「そうか、それなら仕方ないじゃん 更識はどうだ? やってくれそうか?」

 

「私は、クラスの皆が納得するなら構いませんよ」

 

「それなら助かるじゃん、喜多山も更識のフォロー任せるじゃん」

 

「勿論やりますよ」

 

「まぁ〜その事は私から明日クラス説明するから、2人は部屋に戻って良いじゃん」

 

「はい、これ部屋の鍵」

 

副担任の吉川桔梗先生から部屋の鍵を渡されたが1つしか無い…あれ?

 

「先生、鍵1つしか無いですけど? もしかして?」

 

「えぇ、喜多山君と更識さんは同じ部屋よ、部屋割りの手違いでね、暫くは男女同じ部屋だけど、淫行とかはしないでね、色々面倒になるから」

 

「えっ!?/////」

 

「マジですか!? てっきり男子と女子で別けると思ったのに」

 

「まぁ、当人達には話すべきだと思うから話すけど、この事はクラスメイトには話さないでね」

 

「え? そんな重要なことなんですか?」

 

「簡潔に言うとだな、女性権利団体が喜多山含め、1組の織斑一夏の入学に反対な事をかなり言って来てな、理由の一つとして、お前達が女子生徒に手を出す恐れがあるからと言われてな、で学園の管理体制だけでは信用ならねぇーから、1ヶ月間男女一緒にして間違いが起きない事を証明すれば良いらしいじゃん」

 

「1組の織斑一夏君は幼なじみと一緒で貴方達2人は既に一緒に住んでる中だからと言う理由らしいのよ」

 

「理由は解りましたが、簪は大丈夫? 俺としても嬉しいけど」

 

「コイツ担任の前で堂々言うとは度胸あるじゃん」

 

「うん、哲也なら手を出さないって信じてるから大丈夫だよ」

 

「(グサッ)うん、勿論やで」

 

信頼されてる事は嬉しいけど、何か男として意識されてない事を思うと……複雑やわ

 

俺の複雑な心境を置いといて、とりあえずそのまま部屋に向かった。 さて、部屋に入ろうとしたが…

 

「なぁ、簪…このまますんなり入れる事に違和感を感じるのは俺だけかな?」

 

「うん…イタズラ好きのお姉ちゃんが何も仕掛けてこない方が怪しいよね」

 

そう思い俺は部屋の扉の上の僅かの隙間から、催涙スプレーを細いノズル付けて噴射すると

 

「ぎゃー!! 目が目が!!」

 

何故か中から大きな声が聞こえドタバタと暴れる声が聞こえて来たので、1年生の寮の寮長である織斑千冬先生を呼び出し部屋の扉を開けると悶絶している楯無さんが居た。何故か裸エプロンで

 

「何をしているんだ、この馬鹿者は」

 

「いえ、織斑先生、コレにはと言うか催涙スプレーをいきなりする哲也君も酷く無いですか?」

 

「部屋を無断で侵入する人だけには言われたく無いですよ」

 

「お姉ちゃんの事だから私達に何かイタズラすると思ってたから、ちゃんと先生に指導してもらった方が良いと思って」

 

「酷い! 私、簪ちゃんに喜んで貰おうと頑張ったのに」

 

「何処の世界で裸エプロンされて喜ぶ妹が居ると思うの?」

 

「しかも、涙と鼻水垂らして凄い顔ですね(笑)」

 

 

「ちょっと!? 誰のせいだと思ってるの!!」

 

「お前のせいだ、馬鹿者!」

 

織斑先生の拳骨が見事に命中して、楯無さんはそのまま何処かに連れられた。あの人入学式の挨拶出ないで何してるんやろうな。

 

「んじゃ、部屋に入るか」

 

「うん…」

 

部屋に入ると綺麗な部屋で驚いた。何かテレビで見る高級ホテルのような感じで驚いた。

 

「んじゃ、俺廊下のトイレとか使うかもしれんから入口側のベッドでええかな?」

 

「うん、それで大丈夫」

 

「俺はシャワーは整備室や更衣室の使うからここのは簪が自由に使ってな…あっ!使う時は鍵と使用中の札とかしてくれるかな……その間違わんように////」

 

 

「うん、わかった、でも哲也も部屋で使いたい時は言ってね体調悪い時は流石に部屋で使いたいと思うから」

 

「ありがとうな、んじゃ 俺は特訓のランニング行くから、簪先寝てても大丈夫やからね」

 

「わかった、哲也も初日だからあまり無理しないでね」

 

「了解〜ほな行ってきます」

 

俺は部屋を出て近くの階段を降りて寮周りを走り出すと…先程、楯無さんを連れ出してくれた織斑先生が居た。

 

「こんばんわ」

 

「ランニングか? 関心だが、消灯時間までには戻れよ」

 

「はい、織斑先生はパトロールみたいな物ですか?」

 

「そんな所だ、初日で問題を起こす馬鹿どもが多くてな」

 

「なるほど…織斑先生は俺の姉貴、喜多山 華を知ってますか?」

 

「あぁ、山田先生から話は聞いてるサポート科で優秀な生徒で在校生の時に企業から声が掛かるほどだと言ってたからな」

 

「山田先生か、あの試験の時にどっかで見た事あると思ったら、姉の携帯に残ってる写真で写ってましたね」

 

「山田先生は彼女とは同級生で、彼女が時々整備する仲だと聞いた…本当に悔やまれるな」

 

3年前、ある企業のISの新規事業の実験で姉貴もそのスタッフにスカウトされ、その実験に参加したが、機器のトラブルで大爆発が起きて、多くの人が亡くなり、姉の遺体は見つからなかった。あったのは黒焦げになったIDカードが発見され、それが姉貴が亡くなった決定な証拠扱いになった。

 

「えぇ……だから、俺は姉貴が好きだった家の会社を残したかった…自分の力の無さに嫌になりますよ」

 

「喜多山、お前はお前に出来ることを精一杯したんだ。悔やむなとは言わないが、その足だけ止めるなよ」

 

「はい…」

 

「そうだ、確認したかったが、あの試験の時の事は覚えてるのか?」

 

「正直途中から記憶が無く、気が付いたら病院のベッドでしたね」

 

「そうか…」

 

「でも、あの時、俺は織斑先生にあの勝負を申し込んだ事は覚えてますよ」

 

「なら、改めて聞こう、何故態々、あんな勝負を吹っかけたんだ?」

 

先生の言う勝負はIS学園の実施試験の時、俺は試合形式を頼んだ。普通試験の時にそんな事する奴は居ないだろう、俺もあの時織斑先生以外なら、普通に試験をしていたと思う。 でも、あの時に織斑千冬が目の前に居る。しかも現役を引退したのに、量産機とは言えISに乗って俺の目の前に居る。 恐らくここから先の人生で次にこんな機会が巡り会える保証は無い。 そう思うと自然と言葉が出た。

 

「決まってるでしょ、目の前に世界チャンピオンが居るんですよ、挑んでみたいっと思った。 それだけですよ」

 

「ほぉ〜」

 

「あの時は初対面だから、挑めた…もし、学生生活始まれば自由に勝負は出来ない。何より、今の自分の実力がどれくらいなのか確かめたかった」

 

「……ふっ、お前は面白い生徒だな」

 

「そうですか?」

 

「案外、お前みたいな奴が今の世の中を変える一石になるかもしれないな」

 

「そんなオーバーな事言わなくても」

 

「まぁ、良いそろそろ部屋に戻りな」

 

「解りました。おやすみなさい」

 

俺はそのまま部屋に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時の事を覚えてないか…その方が良いかもな、何にしても何れまた、見れるかもしれないなヤツのゾーンを…」

 

この時の織斑千冬の言葉を知る者は居ない。 だが、運命の歯車は回り始めていた。 その事を知る時はそう、遠くは無いかもしれない

 

 

 

 




4組の先生たちはとある魔術の禁書目録より、一方通行の保護者になります

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