【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第103話 黄昏樹海表層

『真・覚醒』『流気眼』『適応力』『筋強化』『飛刃』『纏魔気鱗』『極光星鎧』『超耐性』『魔猪を統べる者』『武芸十八般』『権能強奪』『吸魔』『変生』『死の超克者』『玉座に座る資格を持つ者』

 

自身のスキルを画面に映しながら、樹海を進んでいく。

 

「うーん。最初は『吸魔』から使っていきたいですね」

 

“マジでバグみてえなスキルだな”

“いつ見ても頭おかしなるで”

“あ、だからスイッチは…”

 

「おいどういう意味だコラ」

 

コメントと喧嘩しながら、鬱蒼とした森を歩く。

光があまり入らず、何処を見ても草木に囲まれている。そのせいで距離感も測りづらい上に、マナドローンも窮屈そうだ。

 

「ホントに夕暮れ時って感じで、明るいのに見えにくいですねー」

 

“黄昏って名がつくぐらいだしな”

“ちょい不気味”

“ここの光源って何?”

“winner:樹海の頭上にあるオレンジの光は、ダンジョン内全てを覆う様に広がっている。光源らしき天体は無く、例えるならば室内の天井全てに灯りを点けている状態となっている”

“サンキュー先輩!”

“サンキュー先輩”

“サンキュー先輩!”

“なるほどなー”

“スイッチの魔眼だとどう見えるん?”

“流気眼なら何か分かるんじゃ?”

 

「ありがとうございます先輩(パリッ)。俺の眼にはですねー(ムシャリ)、ん。全部マナで出来てますねー(ペキ、ムシャ)」

 

マナを青い光で捉える流気眼で黄昏樹海を視る。その視界は青く染まっており、木も光源も全てが青く光っている。

試しに、近くの木から葉っぱを千切って食べる。……うん、苦い。呑み込むと、胃の中でマナとなってすぐに身体に吸収されていくのを感じる。

 

“ちょwww”

“何食ってんだよwww”

“ノータイムで食べるじゃん”

“好きなの?葉っぱ”

“何でそんな躊躇なく食えるんだよw”

“叡智ね”

“分かる”

“叡智ネキニキと分かるマンもよう見とる”

 

「あ、いや。これは違うんですよ。お腹が減って食べる物が無いから仕方なく葉っぱを食べたんじゃなくて、純粋に好奇心です」

 

“何も違わねえじゃねえか!ww”

“やっぱ好きなんじゃんwww”

“何が違う?言ってみろ”

“草。ダメだ食われる”

“これが草食系男子ですか…”

“スイッチ君に食べてもらえる!?”

“winner:あ?”

“ヒエ”

“おいばかやめろ”

“お前じゃねえ座ってろ”

“今背筋凍ったぞガチで”

 

「このダンジョン、全部マナで出来てるんですよ。だからマナで出来たこの葉っぱを食べれば、マナを吸収出来るんじゃないかなって」

 

ひょいパク。もう一枚葉っぱを千切って食べる。

 

「味は魔猪の塔で食べた時より新鮮って感じがします。後、やっぱり食べるとマナになって吸収されますね」

 

“まさかダンジョンアタック配信で食レポ聞くとは思わんかったわwww”

“ウッソだろこいつ”

“普通はね?その辺の木になってる葉っぱなんて食べないんだよ?”

“新鮮、じゃないんだよなぁ”

“重要な事をついでのようにサラッと流すな”

“味の感想が先に出るのは草”

 

スレ民と雑談しながら進んでいくと、前方から黄色い光、気が飛んでくる。

直後、樹海の奥から太い枝が伸びてきて、俺を貫こうとする。

 

「邪魔」

 

咄嗟に腕を振るう。パン、という軽い音と共に枝が中程から粉々に千切れ飛んだ。

 

“ファッ!?”

“えなにいまの”

“何が起きた?!”

“見えんかった”

 

「みーっけ」

 

モンスターはマナだけでなく気も持ち合わせているから、こういう時分かりやすくて助かる。

そう思いながら、他の木々と同化しながら攻撃してきたモンスター目掛けて突進する。

 

“視界ががががが”

“いかん酔う”

“ドローン置いてけぼりにすんな馬鹿!”

“揺れてる揺れてる”

“ホンマ糞”

 

「ギミックツリー!」

 

影に溶ける様に黒ずんだ、木の肉体を持つ植物型モンスター。木の根に擬態させた触手みたいな脚で逃げ出そうとする前に、幹で出来た肉体に指を食い込ませる。

 

「オラァ!吸魔!!」

 

瞬間、『吸魔』を発動。俺の身体を巡るマナとギミックツリーのマナが繋がり、俺に吸い込まれて……。

 

“周りの木のせいで視界がガックンガックン揺れる!!”

“木がうぜええええええええええええええ”

“第一村人に攻撃してる?”

“マジで木が邪魔だな”

 

ギミックツリーが木の枝で出来た触腕を何本も伸ばし、俺の身体を穿とうとする。

が、俺の身体には傷一つ一つ付かず、寧ろ攻撃した触腕の方が折れていく。

 

そんな些細なことはどうでも良い。問題はこの『吸魔』だ。

 

「吸魔!吸魔!吸〜〜……魔ッッ!!」

 

遅い。あまりにも遅過ぎる。吸魔の墓で吸われている時と同じくらい、ゆっくりとしたペースでしかマナを吸収出来ていない。

両手で触れてみたり、抱きついてみたり。吸収される量は少し増えるが、速度は大して変わらない。

 

「遅い!!」

 

轟音と共に大地が揺れ、蜘蛛の巣状に亀裂が走る。

 

あ、やっべ。イライラして思わずギミックツリーを踏み潰しちゃった。

…まあ良いか。()が来てくれてる事だし。

 

足を振り上げ、絡みついていた触腕ごと次の獲物を引っ張り出す。

 

“何何何”

“何も見えんぞ!?”

“突風起きたけど何した?!”

“winner:ギミックツリーというモンスターに対して吸魔を発動していたね。しかし、吸収効率が悪かったらしい。結局踏み潰して倒してしまった”

“サンキュー先輩!”

“サンキュー先輩”

“サンキュー先輩!”

“こういう時頼りになるのはやっぱ先輩だよなあ!?”

“スイッチ米に気付け!!”

 

木々を薙ぎ倒しながら、もう一体が俺に引っ張られて出てくる。

不意打ちで殺そうとしてくる事ぐらい織り込み済みだ。自分の策がハマった事が嬉しくて、思わず獰猛な笑みが浮かぶ。

 

「纏魔気鱗」

 

今度は気とマナを操作し、新たに伸ばしてきた触腕を掴む。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ね。『吸魔』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュ、と。マナを一瞬で抜き取られたモンスターは、溶けて消えてしまった。

 

「……んー、やっぱり『纏魔気鱗』を使わないと勢いよく吸えないっぽいですね……あれ?」

 

気付けば、何故かコメント欄が阿鼻叫喚となっている。

何かしたっけ?いつも通り戦ってたと思うんだけど……。

 

「あ、マナドローン君!木につっかえて逃げれなかったのか!」

 

“おせえ!”

“戦ってたから仕方ないけどさぁ…ww”

“もっと労われよ”

“まーここはマジで見通し悪いから”

“このダンジョンあんま配信に向かないな”

“慌ててるスイッチ君可愛いね♡”

“winner:あ?”

 

慌ててマナドローンを回収し、土埃や傷の有無を確認する。幸い、機能には問題が無いようで、スレ民も俺の姿がちゃんと見えているようだ。

失敗したなぁ。暗い場所は慣れたけど、狭い場所でマナドローンを飛ばすとこうなるのか。宣伝という条件付きで、100万以上の大金をはたいてDAGから買い取った物だから、もっと丁寧に扱ってあげなきゃ。

 

反省しながら、マナドローンについた葉っぱを落とし、カメラに付着している土埃を指で拭う。他に汚れや怪我がないか、優しく全体をなぞって確かめる。

 

「驚かせてごめんね。でも、無事で良かった…」

 

“エッッッッッッッッッッ”

“あーダメダメ!叡智過ぎます!!”

“これが天然ってマ?”

“あ、しゅき”

“ガチ恋距離ASMRきちゃ!!”

“あああああああああああああ”

“くっ、このイケメンが……!”

“急なガチ恋距離やめろ好きになるだろ”

“winner:良い”

“決めた絶対私のものにする”

“無駄にイケメンだから似合ってるのが悔しい”

“叡智叡智叡智叡智叡智叡智叡智叡智叡智”

“凄く分かる”

“そういうのもっとちょうだい”

 

あれ?マナドローン君の心配してるだけなのに、何でコメント欄が荒ぶってるんだ?また俺何かやっちゃいました?

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