【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第123話 入学!国立青嵐高校

「今日は何時ぐらいに帰ってきます?」

 

「8時頃には戻る」

 

「分かりました。夕飯は作り置きしておきますね」

 

「いらん。外で食ってくる」

 

「それで頼むのお酒とおつまみだけじゃないですよね?」

 

「……当然だ」

 

「お酒は一日一缶まで!外食は高いんですから…」

 

「分かった分かった。いい加減しつこいぞ」

 

「一緒に暮らして監視の仕事もされてるんですから、身の回りのお世話ぐらいは当然です」

 

俺、戸張照真!青春真っ盛りの17歳!

D災のせいで学歴が中卒の俺だったけど、ギルドマスター羽場童剛さんの計らいで、東城にある高校の編入試験を受けることになったんだ。

結果は惨敗……かと思ったのに、ギリギリ合格ラインまで届いてて無事合格!先輩が色々準備してくれてたお陰で、すぐに入学する事になったんだ!

 

「じゃあ、行ってきまーす」

 

さあ、今日から俺の新生活の始まりda

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、照真君♡」

 

「ホアアアアアアアアアアッッ!!?」

 

扉を開けた瞬間に音もなく目の前に現れた先輩に、ご近所さんの迷惑を考えず絶叫してしまった。

 

「おや?どうしたんだい?」

 

「おはよう、ございます先輩。すいません、急だったからびっくりしちゃって」

 

「ああ、すまない。君と同じ学校に通えるのが楽しみでね。()()早めに待ってたんだ」

 

「あ、あーなるほど。そうだったんですね」

 

未だに五月蝿い心臓を手で押さえながら、先輩と並んで歩き出す。

玄関を閉める直前、隙間から羽場さんの鋭い目がこちらを睨んでいた。朝からホントにすいません。

下りのエレベーターに入り、一階に着くのを待つ間、先輩が話しかけてきてくれる。

 

「高校に行くのは編入試験以来だろう?私が色々案内してあげよう」

 

「ありがとうございます、先輩。今日からは、学校でも先輩なんですね。よろしくお願いします」

 

「……ッッ!!」

 

先輩が感極まるかの様に、顔を上げ手で目を覆う。

そういえば、先輩は最初の配信から、dちゃんの方まで観てくれてたんだよな。画面越しから始まった関係なのに、俺の成長をここまで喜んでくれるなんて、ホントに良い人なんだな。

 

正直、今日は朝からちょっと緊張していた。新しい場所、初めて出会う沢山の人達と過ごす事になるからだ。

だから無理矢理テンションを上げ乗り切ろうとしてたけど、先輩が学校にいてくれると思ったら気持ちがスッと楽になった。

流石先輩、人の心の機微を見抜く才能にも長けてるのか。俺も、こういう心配りは見習うべきだな。

 

「ありがとうございます、先輩。スッキリしました」

 

「良いんだ。先輩として、当然の事だからね」

 

エレベーターが開き、外へ歩き出す。勿論、先輩を先に。

玄関を出ると、すっかり暑くなってきた陽射しが俺達を出迎え、道行く人が汗を拭きながらそれぞれの場所へ向かっている。

俺達もその中に入りながら、学校へ足を向ける。

 

「照真君、高校の事は少しは調べたかな?」

 

「え?ああ、まあ……確か、ダンジョンアタッカーの生徒が多いんですよね?」

 

今の俺にあまり魅力が無いとはいえ、これからお世話になる学校の事は少しだけ調べている。

 

ダンジョンアタッカーを世代として区別した場合、羽場さん(親)達軍人が初めてダンジョンに挑んだ世代を第一世代、その後ダンジョンから資源を持ち帰り技術革新を起こし始めたのが第二世代。

そして、それぞれの世代の人達の子供が、生まれながらにスキルを持つ事が分かり、新たな人類の先駆けとしてカテゴライズされた第三世代。

 

その高校は、国とDAGが連携して第三世代の子供達を優先的に招き、学業だけじゃなく有望なダンジョンアタッカーの育成にも尽力している新設校……らしい。

 

「……ですよね?確か」

 

「素晴らしい。やはり君は、ダンジョンに関する事は非常に覚えが良いね」

 

「遠回しにそれ以外は馬鹿って言ってます?」

 

「将来的に君がダンジョンアタッカーを続けるのか、それとも就職するかは別としても、この高校は君にとって良い刺激になるだろう」

 

刺激。そう言われて思い出すのは、黄昏樹海で出逢った『アイツ』の事。

今まで誰かと競ったり争ったりした事なんて無かった。運動会はエンジョイ勢に混ざる程度、勉強なんて言わずもがなだった。

 

そんな俺が、初めて喧嘩した男。ソイツと本気で殺し合い、本音で向き合い、本心から負けたと思ってしまう程に、全てを出し尽くして戦った……伽藍堂結城さんと羽場焔那さんの、大切な友人。

 

「……そうですね」

 

アイツ……数多洸さんと戦って分かった事がある。

どうやら俺は、とんでもなく負けず嫌いだったらしい。あの敗北を思い出す度、胸を掻きむしりたくなる程の熱が全身を駆け抜けていく。悔しさが苦味となって口から溢れ出て、火を噴きそうな程に叫び出したくなる。

 

アイツに勝ちたい。()()()()を果たす為にも、もっともっと強くなりたい。そして今度こそ、完膚なきまでに勝つ。

初めて刻まれた敗北の悔しさが新たな原動力となり、無意識に全身に力が入る。

強くなる……その為には確かに、先輩の言うように新しい刺激が欲しい。

 

「……あっなるほど!羽場さんはこうなる事を見越して、俺にこの高校の編入を薦めてくれたんですね」

 

「……ああ、そうかもしれないね」

 

うーむ、流石はDAGでギルドマスターをしている人だ。俺が危険な目に遭う事も承知で、東城で強くなれる様な環境を用意しようとしてくれていたのか。

………いや、けどなぁ。あの人が俺にそんな情をかけるか?初対面がぽっと出の死にたがりだったしなぁ。いやしかし、人の好意を疑うのは……。

 

「照真君、見えてきたよ」

 

「ん?あ、もうですか」

 

今は山櫛にいる羽場さん(親)について考えていると、先輩が声をかけてくれる。

意識を視界に戻すと、出来たばかりである事を強調するかの様な真っ白な壁が、強烈な陽射しを受けて痛いくらいに輝きを放っているのが見えてきた。俺と同じ制服を着た男女も増えており、壁の真ん中の開かれた門へ吸い込まれていく。

 

ここが、俺の新しい生活の一部……そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戸張照真君、『国立青嵐(せいらん)高校』への入学、おめでとう。ダンジョンアタッカーとして、そして先輩として、君を歓迎するよ」

 

新たな強さを見つける高校か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、これからは私の事は下の名前で呼んでくれても構わないよ。上級生は皆『先輩』と一括りにされるが、私は勿論特別だよね?」

 

「あ、はい。じゃあ伽藍堂先輩で」

 

「名前」

 

「これからもよろしくお願いします、伽藍堂先輩」

 

「名前」

 

なるほど……最初に出会うのは、押しの強さという訳か。

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