【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話 作:ゲスト047562
「でっっっか……」
都心に建つ、ビルの様なマンションを見上げる。
場所はDAG極東本部より程近く、高さや奥行きはDAGにも負けていない。一階にはコンビニのファイブテン、通称ファインや有名コーヒーチェーン店のスターパックが入っている。
これが一パーティが築き上げた努力と財力の結晶かぁ……一攫千金を夢見た人達がDAGの門を叩いた理由が分かる気がする。俺も最初はお金目当てで勉強を頑張ってたんだし。
「機材良し。
今日の配信はこの場所から始める為、簡単に準備を済ませておく。
そう、何と言っても今回は……。
「おはようございます。よろしくお願いします。戸張君……いや、配信の為にスイッチ君と呼んだ方が良いだろうか」
「あっ、こんにちは!はい、あの、これから配信するのでそっちでお願いします。今日はよろしくお願いします、三鶴城さん!」
あの『至強』のリーダー、
……ハウス?え?これが?明らかにハウスのレベルじゃないんですけど。
「あ、えっと。こっちはもう準備出来てて、あの、三鶴城さんは……」
「ああ、そんなに緊張して身構えないで欲しい。こちらからお願いした案件でもあるし、私はゲストとして君に従おう。それより、私が他の案件を抱えていて、中々時間を取れなかった事をお詫びしたい」
「いやいやいや!全然気にしてないんで!ホントに!分かりましたから、とりあえず配信の準備をしてもらっても良いですかね」
「ああ、分かった」
……い、良い人だぁ……!何というか、最近出会う人は皆個性が強過ぎて(超
そういえば、伽藍堂さんも似た雰囲気をしてたな。あの人はパーティとか入って無さそうだけど、どうなんだ?
……っと、いけない。三鶴城さんも準備終わりそうだし、そろそろ配信するか。
【DAG】遂に!待ちに待ったあのパーティと!!【至強コラボ】
“来た待ってた”
“1コメ”
“きちゃ!”
“winner:やあ”
“検査終わった?”
“リーダー!リーダー!”
“やっとか”
“おいまたスパチャ出来ねえじゃねえか!”
“いい加減スパチャ機能解放しろ”
「やっほーですスレ民の皆さん、初めましての人は初めましてー。ダンジョンアタッカー兼高校生のスイッチでーす。スレでも言いましたけど、今日はいよいよ、やっと、遂に、待ちに待った、あの超有名パーティと案件でコラボする事が出来ましたー!」
“いえええええええええええええ”
“勿体ぶるなwww”
“草”
“ゼッターでも言え”
“案件言うなや!ww”
“ゼッターは!?w”
“ビジネスコラボで草”
“案件なのかよwww”
“案件ならマジでスパチャは解放しろよ”
おお、凄い。一気に同接が増えていく。普段はあまり意識してないけど、開始からまだ数分も経ってないのに十万も同接数がいるのは初めてだ。
『至強』の知名度凄いなぁ……始まったばかりでこれって、続けてたらどこまで伸びるんだ?凄すぎてちょっと気になってきた。
「ちょっといつもより観てる人が多いので、何も説明とか無くてすいません。とにかく今回のゲストは、ホントに凄いですよー。前にハプニングで出て下さった事もありますけど」
“説明しろ”
“多いなら説明必要やろ”
“説明ハブいてて草”
“はよ!はよ!”
“誰やろなぁ(すっとぼけ”
“おい今までのゲストもヤバい奴ばっかだろ”
“確かに同接めっちゃ多いけど雑過ぎぃ!”
“こいこいこいこいこい”
“伽藍堂ブラザーズが凄くないと……?”
「いや先輩とかあまにゃんさんは、きっかけ自体が謎の偶然とハプニングですし。はい!ずっとスレ民のコメントを捌いててもキリがないので、とにかく早速紹介しましょう!国内最強のパーティ『至強』、そのリーダー!『勇者』三鶴城礼司さんでーす!!」
「ふははははは!良く来たな!待っていたぞ!!」
「待って待って待って」
いつの間にか付けていたマントを払ったポーズで固まっている三鶴城さんを押さえつける。
「ッスーーー……え?聞いてない。急に何ですか?どうしたんです?」
「む?なに、動画サイトの配信に顔を出すのは初めてだから、色々調べた結果最初はインパクトが大事だと聞いてな」
「そんな真剣に考える事ですか!?そして考えた結果が今のですか!?」
“ファーーーーーーwwwww”
“wwww”
“草草の草”
“winner:ええ……”
“何してんだリーダーあああああああああああ”
“【悲報】至強リーダー、天然”
“先輩も困惑しとるwww”
“初手放送事故ってマ?”
“メンバー泡食ってるだろこんなんwww”
「いやまああの……確かに!確かに最初はインパクトを残す方が大事ですよ?けどそれは、その人が無名だからするのであって、既に超有名人な三鶴城さんは別に必要無いんですよ」
「そうなのか?」
「そうなんです。三鶴城さんは普通で良いんです。素材そのままで充分美味しいんですから」
「分かった。画面の前の視聴者の皆、先程は失礼した。改めて自己紹介をさせて欲しい。
私はダンジョンアタッカーズギルド、通称DAGという組織で『至強』というパーティのリーダーを務めている、三鶴城礼司という者だ」
“うわぁ!急に真面目になるな!”
“開幕からおもしれー男過ぎる”
“winner:流石に反応に困る”
“↑それはそう”
“エンタメに理解のある男で安心した”
“テンションの落差で風邪引くわwww”
“良いのか勇者と魔王の邂逅がこんなんでw”
“もう腹痛いwww”
配信をする前は、ホントに唯の良い人だったんだけど。そんな画面映えを気にして立ち回る必要無いんですよ?
というか、確かに段取りを確認してない俺も悪いけど、やるならやるで相談してくれません?そうしたら俺もノれたのに。
「今回は、私が彼……スイッチ君に、『至強』のパーティの事を紹介したいと思い、こうして案件として話を振らせてもらった。今日はありがとう、よろしく頼む」
「いえいえ、三鶴城さんのお陰で既に同接の人数が十万超えてますから。こちらこそ、配信に来てくれてありがとうございます。それとですね……ほら、スレ民。椅子の上で正座な?俺は石畳の上でするから」
暑い地面の上で膝を付き、バッグから菓子折りを取り出す。
“またやるのかw”
“前したじゃねえかよ”
“結局俺らも巻き込んでて草”
“覚悟完了!”
“スライディングも付けて”
それを三鶴城さんに差し出した後、深呼吸する。そして、丁寧に両手を地面に付けて土下座した。
「最初の配信の時から、BOT呼びをしてすいませんでした。大先輩をイジる形になってホントにごめんなさい」
「……うむ、確かに受け取った。君達の謝罪を受け入れよう。そしてこれからは、同じ道を歩む友としても、よろしく頼む」
“おお……”
“大人やなぁ”
“ワイならイビリ散らかす”
“ちゃんとしてるなスイッチ”
“良かったな!”
“いやースレ民の分まで頭下げてくれてサンガツ!”
“スレ民の鑑やお前は”
“↑これが掃溜めと言われる奴らです”
“winner:へえ”
感謝の言葉と共に立ち上がり、再び深呼吸する。
……ふうううう、良かったー。やっと肩の荷が下りた感じがする。ちゃんとした謝罪を出来てホッとした。
「……はい!ここまでがケジメを付けた会話です!ここからは、このビルみたいな『至強』のパーティハウスを見学したり、パーティ制度についても軽く説明していくので、一緒に行きましょう!」
「ああ、任せてくれ」
“え?ハウス?”
“デカアアアアアアい!”
“これパーティハウスなの!?”
“デカ過ぎんだろ……”
“ハウスじゃなくてオフィスビルや”
“明らかにハウスの大きさ超えてて草。いや草じゃないが”
“マジで金持ちの家やん”
スレ民の皆さんも、俺と同じ反応してる。分かる、これが一パーティの所有物だって思わないよな。
序盤にハプニングはあったものの、無事に軌道修正に成功した俺達は、『至強』のパーティハウスに足を運び始めるのだった。
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『スレ主がダンジョンアタックする話』10/17発売予定です。
特典ショートストーリーを書かせていただきました。
メロンブックス様では『こうして呪物は出来上がる』
ゲーマーズ様では『支部長にスレッドが見つかってしまったお話』
が付いてきております。手に取っていただけると嬉しいです。