【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第159話 超大規模スタンピード

「殲滅隊は外周に配置。飛行能力のあるモンスターを優先的に排除し、街から決して出すな。名前を呼ばれたナイトのジョブは、殲滅隊の護衛を」

 

『はい!』

 

「遊撃隊は人命救助を最優先。救護班のポイントはマークしてあるから、最短距離で救出してくれ」

 

『了解』

 

「前衛隊は街に溢れたモンスターの排除。秋鹿、犀党、陸虎、百々馬は私と共にスタンピードを起こすダンジョンの鎮圧を行う。それまで皆耐えてくれ」

 

『OK!』

 

「福平は既に壊滅的な被害を出している。これ以上街に被害を出す訳にはいかない。必ず止めるぞ!」

 

『了解!!』

 

DAGから緊急招集の通達。そして福平の惨状。

三鶴城がそれを耳にし、現場へ駆け付けた時。福平は既に半壊していた。

 

「散開!!現着した班から随時行動せよ!無線の回線はスタンピード対策本部に繋げろ!」

 

未だに各所から聞こえる悲鳴。咆哮を轟かせながら狂った様に暴れ回るモンスター達。控えめに言っても、今の福平は地獄と化していた。

惨状に怒りを滲ませながら、三鶴城自身も最前線で指揮を執りながらスタンピードの原因、その一つのダンジョンへ仲間と乗り込む。

 

「んだこりゃ!?ガチで数多い!!どうなってんだ一体!?」

 

三鶴城達が入ったのは、『碇の湖畔』。魚系統のモンスターの棲家である。

普段は水面から何処からともなく奇襲してくるのであろう広大な湖は、溢れ出す大量のモンスターで覆い尽くされ、奴らが暴れのたうつ余波で地面が少しずつ削り取られていた。

 

「考えるのは後!まずはとにかく数を減らす!!」

 

「分かってるよ糞!!コイツは飛ぶぞ、ぜってぇ外に出すな!」

 

明らかに異常な数。とはいえ、三鶴城を含む五人は歴戦のダンジョンアタッカーである。この場所が三つ星ダンジョンという点を鑑みても、彼らにとって敵ではない。

スキルを放ち、武器を振り、コアを破壊する。

どこに打っても敵に当たる戦場で、唯ひたすらに敵を滅する。

無心でモンスターを殲滅し続け、時間の感覚が分からなくなってきた頃。絶えないモンスターの数が減ってきたのを見て、三鶴城が号令をかける。

 

「秋鹿!後は私達だけで大丈夫だ!お前は外の救援を頼む!」

 

「おう!任せろ!」

 

「私達はこのままボスモンスターへ向かう!」

 

『了解!』

 

返される言葉から感じる信頼。それが三鶴城を強くし、また味方の能力をも向上させる。

軽くなった身体を動かして、奥へ突き進む。そこにあったのは、信じがたい光景だった。

 

「あれは……オーロウェーガ!?」

 

オーロウェーガ。顔から歪に捻れた五本の角を生やし、ゴムの様に伸びる手足を振り回す、鬼系統に分類されるコアモンスター。

間違っても、魚系統のモンスターが蔓延るダンジョンにいて良い存在では無かった。

そのオーロウェーガが湖を割り、六本の触手それぞれにフジツボで覆われた武器を携えたモンスターと、そして三鶴城達が殲滅していたモンスターの群れと戦っていた。

 

「……イーキップシュと、戦っている……!?」

 

「何でだよ!何でここで縄張り争いみてえな事してんだ!?」

 

「あり得ない……これがスタンピードの原因か?」

 

「他のダンジョンも」

 

「複数のモンスターがいるダンジョンでは、共生関係がある筈だ。そんなダンジョンでさえ殆ど無い。どうなっている……」

 

目の前の異常事態を理解するのに数秒かかる、それ程あり得ない光景。

しかし、すぐに再起動する。原因があるならば、対処するだけの事。

 

「オーロウェーガとイーキップシュを討伐する!皆は雑魚散らしを!」

 

「了解!」

 

「【レーザーハロー】!」

 

出し惜しみはしないとばかりに、三鶴城の背に光輪が現れる。その光輪から幾本ものレーザーが前方に放たれ、モンスターを消し飛ばし、湖を蒸発させ、地面を焦土の道へ塗り替える。

そのまま瞬時に、争い合っていたモンスターの前まで肉薄する。

彼のマジックスキルを受け、二匹共身体が焼け焦げている。しかし全てのコアには当たっていなかったようで、再生が始まろうとしていた。

 

「はっ!!」

 

剣閃が閃く。オーロウェーガとイーキップシュがバラバラに切り刻まれ、マナとなって霧散する。

それを皮切りに、怒涛の勢いで現れていたモンスター達の攻勢が途切れる。

 

「今だ!!」

 

「【ユニフレア】!」

 

「【天雷】」

 

紫の炎が、天から降り注ぐ雷によって巨大な爆発を起こす。その爆発を受けたモンスターが、連鎖的に紫色の爆発を起こしていき、ダンジョンを揺らした。

 

「……やったか?」

 

爆炎が収まる。ダンジョンは、今までの騒々しさが嘘の様に静まり返っていた。

そのまま数分様子を見ていた彼らだったが、モンスターのスタンピードが起きない事を確認して無線を飛ばす。

 

「スタンピード対策本部。こちら三鶴城礼司。先程『碇の湖畔』のダンジョンアタックを終了させた。スタンピードの原因は、恐らくダンジョン内に別の種族のモンスターが入り込んだ為と考えられる。福平のダンジョンは全部で幾つある?」

 

『ッ!?み、三鶴城さん!?こちら対策本部!了解しました、ありがとうございます!福平には、合計八つのダンジョンがあります!』

 

「なら、出来る限り早くそのダンジョンへ人を集めて向かわせて欲しい。私達は、街の人を助けながら近くのダンジョンへ向かうから、ここから近いダンジョンの座標を教えてくれ」

 

『す、すいません!それなんですが、市街地での戦況が予想以上に悪く、市民の方の救援をお願い出来ますか!?』

 

「何?」

 

逼迫した声に、思わず眉を顰める。

今や『至強』は、国内どころか世界でも有数の規模である。その人数は言わずもがな、質だって小規模なパーティのリーダーを努められる者達が揃った猛者ばかりだと自負している。

そんなメンバーが戦いに赴いているというのに、一向に状況が改善されていない。嫌な予感が、三鶴城の脳裏に過ぎる。

 

「了解した。すぐに救援に向かう」

 

思考は一瞬。迷いは無かった。

仲間達と出口へ向かいながら、先に外へ救援に向かった秋鹿に連絡する。

 

「秋鹿、今から近くの仲間を連れてダンジョンに向かってくれないか。救援は私達が引き継ぐ」

 

『……』

 

「……秋鹿?」

 

彼からの応答は無かった。

 

 

=====

 

書籍版1巻発売中です。手に取っていただけると嬉しいです。

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