【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第52話 続・吸魔の墓B2

マナ枯渇症は、ソーサラーがよくなる症状って聞いてるけど……前衛職のモンクが、吸魔の墓の2層目序盤でなるなんて初耳だ。

 

“マジか”

“マナウェポンにそんな持ってかれてたのか?”

“スイッチマナ少ない?”

 

「マナ臓はモンスターを倒す程上限が上がるが、現在のマナの量がすぐ増える訳じゃないんだ。それに、君はモンスターを3桁も倒してないだろう?」

 

「……そう、ですね」

 

「吸魔の墓は3層あるが、1層下りるごとに吸われるマナも増えるんだ。熟練のダンジョンアタッカーでも、ここではマナ枯渇症が起こり得るからね。君はまだ上限の低いマナ臓のままOWを使って、ノンストップでこのダンジョンを踏破したから、マナの回復量が吸収量に追いついていない、という訳さ」

 

「なるほど…」

 

“サンキュー先輩!”

“サンキュー先輩”

“優しいなw”

“まあマナ枯渇症は早い内に経験した方が良いらしいからな”

 

言われて流気眼で先輩の足元を見れば、さっきよりもマナがダンジョンに早く吸われている。先輩のマナ臓は、この程度じゃ1年経っても枯渇しそうに無いけど。

 

「ありがとうございます先輩。俺、慢心してました」

 

「うんうん、反省できるのは良い事だよ。マナ枯渇症は、マナポーションを飲む以外にもダンジョンの食材を食べる事でもある程度回復出来るよ?」

 

「あ、だったら俺マッハショットの肉をジャーキーにしてもらったんですよ」

 

“ええやん”

“美味そうやな”

“スイッチのお気に入りの肉”

 

「ダンジョンアタッカーやDAGの支部員になると、ダンジョン産の素材で作った料理が食べれる食堂があるので、皆さんDAGに入りましょうね」

 

“思い出したかのようなダイマ”

“そういや宣伝も兼ねてマナドローン買ったんだったなww”

“でもダンジョンの食材で料理は憧れるな”

 

「日中スレにいるスレ民に言ってるんですよー?分かってるな?」

 

“お前もじゃろがい!”

“ごめん俺夜型だからさ…”

“ゴリラ煽りの仕返しかな?”

 

「コホンッ。さ、長居してもマナが吸われていくだけだからね。食べながら進もうか」

 

「あ、はい」

 

気を引き締め直して、マッハショットのジャーキーを食べながらダンジョンを進んで行く。

そしてすぐ、ミイラソーサラーやパラディンゾンビの群れに出くわした。

 

「はっ!」

 

先手必勝。パラディンゾンビの攻撃をかわし、ミイラソーサラーの頭蓋にあるコアを砕く。フォグマミーがマジックスキルを放つ前にトンファーで顎を打ち砕き、後ろにいたパラディンゾンビの大盾を受け止める。

 

「オラアッッ!!」

 

トンファーを捨て、大盾を掴んでパラディンゾンビをフォグマミーに叩きつける。バラバラにされた骨に残るコアを踏み潰して、再生を阻止。

 

“凄えwww”

“どんどん乱戦に慣れてくなー”

“やっぱゴリラは素手が最強。はっきりわかんだね”

 

「ふぅ……流石におお、い…?」

 

三度飛んでくる気配に抱いた、微かな違和感。先輩もそれに気付いたのか、何かを考える様に顎に手を当てる。

 

「………」

 

「……おかしいですよね?」

 

“おん?”

“何が?”

“真面目な奴か?”

 

「既に他の人がダンジョンに入ってて、俺達はまだ姿を見てません。地図もDAGから支給されてますし、俺達はその人と同じルートを辿ってる筈ですよね?」

 

「そうだね」

 

()()()()()()()()()()?」

 

「多いね。間違いなく」

 

“あっ!”

“確かに”

“あまにゃんが倒した後なら、寧ろ今いる敵は少ない筈だよな”

“迷宮型ダンジョンは素材の奪い合いも起こるしな。倒してもすぐ湧くのはあり得ない”

 

そう、そうなのだ。

1層目から抱いていた疑問。まるでダンジョンが、()()()()()()()沢山湧き出していた。今も、暗がりから新たな敵意が飛んできている。

そして、この層で最初に戦ったパラディンゾンビ。

 

「あのパラディンゾンビ、近くにいた先輩じゃなくて俺を狙ってきましたよね?」

 

「……そうだね」

 

襲いかかってきたミイラソルジャーの剣を手で受け止め、押し返す。剣の腹でミイラソルジャーのコアを潰し、破壊する。

 

 

“つまり?”

“ダンジョンがスイッチを狙ってる?”

“片手間に倒されるコアモンスター君可哀想”

“何かしたんか?”

 

「……考えられるとすれば、『魔猪を統べる者』の効果だね」

 

暫く考え込んでいた先輩が顔を上げる。先程までの余裕がある顔付きではなく、やや厳しい顔で。

というか、何でここでそのスキルが?

 

「もしあのスキルが()()()()()()()()()()()()()スキルだと仮定すれば、今の状況にも説明がつく」

 

“は?”

“待て待て待て”

“付いていけなくなったぞ?”

“スイッチお前……”

 

「…………えーっと?」

 

「君は、このダンジョンにモンスターと思われてるのかもしれない」

 

「は?」

 

“草”

“【悲報】スイッチ、やっぱりオークだった”

“やーいお前の分類オークキング!w”

 

ダンジョンとは、基本的に一つのエリアを単種族のモンスターが縄張りにしている事が多い。魔猪の塔なら豚や猪系統、鬼の口と呼ばれるダンジョンなら鬼種、といった具合だ。

では、もし他の種族のモンスターがそのダンジョンに現れた場合どうなるのか。答えは、『他種族からの侵略』と見なされ、ダンジョンが排除しようと動くのだ。ダンジョン内のモンスターが、ダンジョンアタッカーを無視してその他種族のモンスターを襲い始める事を、DAGは『ダンジョンの防衛機能』と呼んでいる。

 

「つまり、その『ダンジョンの防衛機能』が、俺に向いてるって事ですかね?」

 

「恐らくね。今の所君以外に害は無いが、これ以上居続けたらどうなるか分からない。ここは…」

 

「分かりました。先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、このダンジョンを理解さ(わから)せます」

 

「は?」

 

“ファーーーーーwww”

“良いぞ!やったれスイッチ!!w”

“このダンガキ……!おら!ゴリラパンチ!!”

“ダンジョン分からせRTA実況、はっじまーるよー!!”

 

「いえーい、スレ民見てるー?今からこのダンジョンに、俺が歴とした人間だって事を分からせるからねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶっ潰してやるよ、クソが」

 

“怖E”

“スイッチの地雷踏んだなこのダンジョン”

“あーあ”

“モンスターに間違えられたら、そら誰だってキレるよ”

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