【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第74話 大人と子供

「そもそもお前は、無闇矢鱈に人を傷付けたいという意志はあるか?」

 

「いや無いですけどぉ……万が一を考えなきゃ」

 

「あの親族でさえ殴らなかったお前が、何故無関係な人間を傷付ける?それこそあり得ない選択だ」

 

やけに自信満々に言われると、確かにそうかも……って思わされる。自分の事なのに、俺以上に俺を信頼してくれてる羽場さんに、頭を下げる。

 

「……すいません」

 

「謝罪する必要は無い。お前はまだまだ伸びる。今後お前が自身の価値を更に高め、誰にも文句を言わせん実績を積み上げていけば良い」

 

あ、なるほど。まだ俺に利用価値はあるって事ね。確かに、マナや気の流れを視て操れる流気眼っていうエクストラスキルは、可能性の塊だ。纏魔気鱗みたいなスキルや吸魔の墓だけじゃなく、他のダンジョンやスキルの更なる解明に繋がるのは間違いないだろう。

 

そうなれば、DAGも俺に手が出しづらくなる。今後ダンジョンに関する研究に必要な人材となっていけば、羽場さんや山櫛支部の皆さんに、迷惑以上のモノを返せる。

コレを狙って、羽場さんは俺を使っていきたいのか。まあ、組織の長としての立場から見れば、使える道具は出来るだけ長く使いたいもんな。

 

「……分かりました。羽場さんに迷惑かけない為にも、DAGからドナドナ指令が来るまで何とかやってみます。ありがとうございます」

 

「はぁ……オレに対して、一々メリットや迷惑などと考えるな。こういう事は承知の上だ。お前は、好きな事ややってみたい事をして良いんだ」

 

「え?羽場さん……?」

 

思った以上に人間味のある言葉をかけてくれる羽場さんに、失礼かもしれないが驚いた。だって、所詮成り行きで後見人になってくれただけで、利害関係だけの繋がりだと思ってたし、今でもそうだと思ってる。それに、俺自身が得体の知れない存在だと理解しているからこそ、こんな化け物にここまで肩入れされる意味が分からない。

他に、何か考えでもあるのか?

 

「それに、お前を半殺しどころかダメージを与える事の出来る人間は、この支部にいないからな」

 

「絶対それが1番の理由でしょ」

 

いくら俺でも、無抵抗で攻撃されれば……あ、刃の方が折れそうですねハイ。

……あ、俺を殺せないから懐柔しようとしてるのか。手間と時間はかかるけど、ある意味殺すより楽だしな。納得。

 

「……照真」

 

「はい?」

 

「お前は人間だ。必死に生きようと悩み、もがく奴が、化け物である筈がない。配信を観ていた誰もがそう思っている。お前を信じている者は多いんだ。安心しろ」

 

「っ……!」

 

「オレはお前の後見人だが、その選択に後悔はしていない。もしお前が、自身のせいでオレの負担が増えていると自己嫌悪しているなら、今まで通りに笑って生きなさい。それが、オレ達への恩返しだと思ってくれ」

 

「……あ、りがとうございます…」

 

上っ面だけの言葉かもしれない。けど羽場さんは、まるで己へ宣言する様に、俺を諭す様に両親と同じ事を言ってくれる。

……もしかして、打算だけの関係だと思ってたのって俺だけなのか?この大人の人は、利害関係なんて関係なく、真剣に俺の事を考えてくれてるのかもしれない。

 

……だとしたら、俺も少しだけ信じてみるべきかもしれない。

 

「落ち着いたか?なら、幾つか伝えておく内容があるんだが」

 

「あっ、じゃあちょっと聞きたいんですけど」

 

とりあえず、羽場さんを信用するしない以前に、一つだけ聞かなきゃいけない事がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の右手の薬指にウェポンリング(指輪)付けたの誰ですか?」

 

「伽藍堂叶だ」

 

「何で??」

 

「曰く、()()()だそうだ」

 

え?ウェポンリングが虫除けになるなんて聞いたこと無いけど。というか、虫除けグッズくらい自分で買いますよ?

 

「それと、お前がパーティを組んだ二人だが、それぞれ正式なパーティ結成申請の書類を受け取っている」

 

「あ、ありがとうございま……え?それぞれ?別々でってことですか?」

 

「そうだ」

 

「何で???」

 

あまにゃんさんと先輩と俺で一緒にパーティ組んだ筈なんだけどなぁ。確かにあの二人、時々凄い怖い空気でお互いを見てたけど、結局理由は分からなかったなぁ。

 

「……なあ。一応、本当に念の為確認するが、あの二人とは昨日、吸魔の墓で、初めて知り合ったんだよな?」

 

「当たり前じゃないですか。俺、D災前まで福平から出たこと無かったんですよ?そもそも、ダンジョンアタッカーになろうと思ったのだって……ねぇ?」

 

「……だよな」

 

「え、何ですかその間。怖いんですけど」

 

とりあえず、二人はいないからパーティの件は保留させてもらって、羽場さんに預かってもらおう。この指輪は、別に無くても大丈夫だから取って……取っイダダダダッッ!?かった!?俺の肌に張り付いて取れないんだけど!?何これ呪いの装備!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりです叔父……いえ、お義父さん」

 

「どうした急に」

 

「はっ初めまして!照真君のお嫁さんになりました、戸張心輪(とばりころん)です!」

 

「勝手に姓を名乗るな。お前と照真は付き合ってすらない」

 

昔馴染みの孫娘と、DAGの看板ダンジョンアタッカーが、共に義息子の妻を自称して羽場の前に現れた。

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