【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第89話 ダンジョンアタッカーズギルド極東本部

「あの……ホントに配信して良いんですかね」

 

恐る恐る先輩に尋ねる。彼女は依然変わらぬ笑みを俺に向けてくれるが、今はそれが只々怖い。

 

「ああ、構わないとも。大きく時間は取れないが、これも一つの宣伝だと思ってほしい」

 

「いやそっちじゃなくて……」

 

「戸張君、僕の事なら大丈夫だよ。これは僕自身が蒔いた種だからね」

 

「誰が私の照真君と喋って良いと言った?」

 

「すいません」

 

「人質と会話してるわけじゃないんですよ先輩」

 

後俺は先輩のでもないです。というか、いつ俺の名前を……あ、俺が倒れて運んでくれた時ですか。緊急事態でしたもんね。

 

そういえば、先輩の右手の薬指に俺と同じウェポンリングが嵌められている。前は中指だった筈だけど……女子はおしゃれが大事って聞くし、今日はそういう気分なのかもしれないな。

 

「羽場さん、今から配信をさせていただきたいんですけど……」

 

「別に良い。オレの目的は『案内』と『監視』だ。お前の交友関係や活動には、一切口は出さん。唯、配信するならオレの名前や姿は出すなよ」

 

「あ、分かりました。ありがとうございます」

 

皆さんの許可が降りたところで、いそいそと配信に準備をする。

それにしても監視、ねえ……まあ羽場さん(親)の目が届かない範囲にいるんだから、羽場さん(娘)に俺の動向を監視してもらうのは当然か。

 

そういえば、一瞬先輩が睨んだ方向にいた女性の人、こっち見ながらスマホ弄ってたけどスレ民の人かな?手を振ってみたけど、気付いてくれてたら嬉しいな。

 

 

 

 

 

【緊急】ワイは無事やでーっていう配信【DAG】

 

“お”

“始まったわね”

“実況から来たぞ”

 

「スレ民の皆さんさっきぶりでーす。スイッチですよー」

 

“いきなり何か映ってて草”

“ファーーーーwww”

“オイオイオイ”

 

「えー色々ありましてですね。とりあえず、これをご覧下さい」

 

身体をずらし、俺の後ろにあるモノの全体を映す。

そこには、先程も見たDAGの看板。そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら、DAG極東本部と先輩作『愚か者』です」

 

『私は妹の大切な後輩に手を上げようとした駄目な兄です』というプラカードを首からぶら下げた伽藍堂さんが、DAGの前で正座していた。

 

“www”

“オブジェになってて草”

“マジで伽藍堂結城やんけ!!”

“うわああああああ顔面偏差値の暴力だああああああ”

 

「視聴者の皆さん、初めまして。伽藍堂結城と言います。銀星ダンジョンアタッカーである伽藍堂叶の、不肖の兄です。お騒がせして申し訳ありませんでした」

 

“キエアアアアシャベッタアアアアアア”

“めっちゃイケメンなのにあまりに無様すぎるww”

“不肖というか不審”

 

「えー……っと。そして、ですね……前回に引き続き」

 

「伽藍堂叶です。この度は、そこの屑がご迷惑をおかけしてすいませんでした」

 

“ヒエエ”

“し っ て た”

“叡智ね…”

“分かる”

 

先輩が伽藍堂さんの頭に手を当て……いや思い切り鷲掴みしてるな。そして、二人一緒に頭を下げ……いや叩き付けてるな。お兄さんへの嫌悪っぷりが徹底してて怖い。

 

“怖い怖い怖い!!”

“エグい音したぞ今”

“叡智ネキニキ湧くの早すぎんよ”

“てか近くにもう1人いんだろ?誰?”

 

「まあそんな訳でですね。俺は無事に東城に着くことが出来ましたーっていう報告です。後、DAGの正式な案内人の方は顔見せNGという事なので、突っ込むのは無しでお願いします。というか、やっぱギャラリーにスレ民の方いたんですね」

 

“おk”

“そりゃいるよw”

“東城であんな派手な事してたらスレ民の1人や2人釣れるわw”

“よく見たら後ろ手足縛られてるw”

“伽藍堂さんのイメージ崩れちゃ〜〜う”

“トップダンジョンアタッカーの姿か……?これが…”

 

皆さんの反応に、ふと違和感を覚える。

伽藍堂さんは、自分達の世代を『黄金世代』と表現していた。羽場さんもその一人で、相当な実力者の筈だ。しかし思い返してみると、他の黄金世代の人達の話題は、今まで聞いたことがない。勿論、羽場さんも含めて。

 

スレ民も、羽場さんの顔を知らない感じだったよな……凄い人達ばかりの筈なのに、何で話題に上がらなかったんだ?

 

“てかスイッチ的に伽藍堂兄妹のこの惨状って良いんか?”

 

「うん?」

 

そんな事を考えていたら、質問が飛んできていた。

……ああ。先輩、伽藍堂さんに酷い扱いばっかしてるからな。確かにヤバいとは思うけど、俺はこの関係に口を挟める様な人間じゃない。

ここは一つ、スレ民に俺の家族の金言を授けてあげようかな。

 

「スレ民の皆さんに良い諺を教えてあげましょう。『よそはよそ、ウチはウチ』です」

 

“ことわざじゃねえよクソガキ”

“何なら皆知ってる”

“教わるのはお前だろどう考えても”

“本当に勉強してんのか”

“こっちもフルボッコで草”

 

えっ、諺じゃない!?昔から口酸っぱく言われてるから、ずっと諺だと思ってたんだけど!?

 

「べ、ゔぇべ勉強してますよ!ゴホン!!というかですね、俺は他の人の家庭について思うことは、スレ民の皆さんと変わらないと思いますよ?」

 

“はぐらかしたwww”

“ほんとかぁぁぁあ???”

“意外な返答だな”

“家族蔑ろにしてる先輩の好感度下がると思ってた”

 

「家族の在り方は皆違うって知ってますからね、俺の考えを一方的に押し付けるなんて出来ませんよ。だから、他の家庭に何か思ったりはしません。それよりも、俺を沢山愛してくれた家族に感謝する方が、ずっと幸せですからね」

 

“すげえ……”

“マジで急にカッコよくなるな”

“普段頭おかしい癖に何でカッコいいんだコイツ”

“純真過ぎてこっちが脳焼かれるわ”

 

これまで出来た友達だって、それぞれ色んな家庭事情を持っていた。親が弟妹ばかり構って相手にされない人、虐待を受けてた人、将来を押し付けられずっと反抗してた人……皆が皆、家族に愛されて育った訳じゃないって事ぐらい、馬鹿な俺でも分かる。俺の父さんと母さんだって、俺を挟まないと会話をしないような冷えた関係だったから、決して褒められた家庭とは言えなかっただろうし。

だから俺には、その人達の『家族』のあり方を否定する事は、どうしても出来なかった。

 

「はい!次にいきましょう。実はですねー、お詫び的な内容として、伽藍堂さん達がDAGの極東本部を軽く案内してくれるそうです!」

 

「今はこの程度しか不義を詫びる手段が無くて申し訳ない。本来ならば兄の時間は貴重なのだが、今回は無報酬でやらせるから心配しなくて良いよ」

 

“めっちゃ豪華で草”

“命狙われた詫びとしては安くないですか?”

“まあ出演料タダなら…”

“てか妹の方は学校はどうした”

 

あ、そうだった。すっかり忘れてたけど、今は平日の昼間なんだ。先輩は学生の筈だし、学校もあるよな?流石に、これ以上俺のサボらせる訳にはいかないよな。

 

「先輩、今回も助けてくれてありがとうございました。伽藍堂さんとも仲良くなれましたし、俺の方はもう大丈夫なので、先輩はそろそろ学校に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

「さあ皆さん一緒に行きましょう!仲間はずれは良くないですからね!!スレ民お前等も道連れだ……!!」

 

“おいふざけんな”

“躊躇なく俺たちを売るなバカ!!”

“先輩怖すぎるッピ…”

“俺は俺自身をリリースして伽藍堂結城をアドバンス召喚!!”

“リリースエスケープしようとすんな”

“何で唯の施設案内にホラー演出があるんですか?”

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