【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話   作:ゲスト047562

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第96話 今明かされる衝撃の真実が多過ぎる

「………」

 

絶句。DAGが用意したというマンションの部屋の大きさに、俺は呆然としていた。

 

「え、これリビング……?キッチンってこんな広……奥にまたリbゔぉえっ」

 

「しっかりしろ、まだ序の口だぞ」

 

羽場さんがよろめいた俺を受け止める寸前、先輩が割って入って支えてくれる。

 

「う、すいません……こんな、超金持ちみたいな部屋に入るの初めてで」

 

「済まない、事前に説明していた方が良かったかな。用意出来る最高の部屋でサプライズをさせたかったんだが、刺激が強すぎたらしい」

 

「用意って……先輩が用意してくれたんですか?こんな立派な部屋を」

 

()()()()()()()()()()()()。ファンとして、君が東城での暮らしに不自由な思いはしてほしくなかったからね」

 

「それは……ありがとうございます」

 

先輩の厚意に、思わず頭が下がる。

けどここまでしてくれるなんて、やっぱり前のガーランドウェポンズがやらかした件について、まだ罪悪感があるのかもしれない。俺はもうあまり気にしてはいないけど、彼女からしたら自分の会社が起こした不始末だからな。今もGWは炎上の火消しが続いてるらしいし、俺がここで変に気を揉ませる様な事をするべきじゃないか。

 

「……はい!もう大丈夫です、ありがとうございます」

 

「もう大丈夫かい?このまま支えてあげたまま案内してあげても良いんだよ?」

 

「いえ、これ以上先輩の負担にはなりません。大丈夫です」

 

何故か残念そうにしながら、先輩が離れて部屋の案内を続けてくれる。

しかし、ホントに広いな。リビングが三つもある上に個室?これ普通に住もうとしたら一月の家賃何十ま……考えるのは止めよう。また倒れそうだ。

 

それより、気になるのは……。

 

「間取りは分かりました。唯、()()()()()()機械とかは、回収しない方が良いんでしょうか?」

 

コンセントの裏に、何やら小さな気を感じる。前にテレビで見たけど、こういう場所には盗聴器が隠されている事があるらしい。俺を監視する為の物だとしたら、取り外したらDAGに余計な疑念を持たれてしまうかもしれない。

 

「……そうだね。そればかりは外さないで欲しいな」

 

「なるほど、分かりました」

 

先輩の言葉に快く頷く。既にこんな良い部屋を用意してもらって、更には必要最低限の家具まで置いてあるんだ。これ以上我儘を言ってしまうのは、先輩にもDAGにも申し訳ないだろう。

 

「何か他に分からない事があれば、遠慮なく聞いて欲しい。大丈夫かい?」

 

「うーん……はい!大丈夫です、ありがとうございます」

 

思えば、伽藍堂さんの暴走から始まり、先輩が自ら続きを買って出てくれたとはいえ、学校をサボらせて新居までの案内をさせてしまった。今は感謝以上に申し訳なさが勝つし、後は自力で頑張ろう。

 

「ホントに、何から何まですいません」

 

「気にしないでくれ。私と君の仲じゃないか」

 

先輩は嬉しそうに優しく微笑んでくれる。

ホントに良い人だ。被害者と加害者から始まった関係だとしても、ここまで気にかけてくれる人なんてよっぽどGWの件を心苦しく思ってるんだなぁ。

 

「……ありがとうございます。吸魔の墓の時から、ホントに感謝してます。この借りは必ずお返しします。後は俺一人でも大丈夫なので」

 

「……別に貸したつもりも無いんだがね。分かった、それじゃあ今日はお暇させてもらおうかな。玄関まで送ってくれるかい?」

 

「はい!喜んで」

 

先輩をエスコートし、玄関先で再び向かい合う。

 

「お邪魔しました。では、君と東城で過ごせる日を楽しみにしてるよ」

 

「あはは、ありがとうございます。先輩も、DAGや他のダンジョンで会ったらよろしくお願いします」

 

お互いに社交辞令を済まし、先輩が去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣の部屋に。

 

「ん???」

 

「ああそうそう、今私は一人暮らしをしていてね。今日からお隣さんという事だ。それも踏まえて、よろしく頼むよ」

 

「あ、はい」

 

そう言って自室に引っ込んでいく先輩を見届け、その場で呆ける。久方ぶりの静寂が訪れ、空白だった思考が回り始める。

……凄い、凄い濃い一日だったな。東城初日がこれって、これからどうなるんだ?

 

「はぁぁぁあああ……」

 

「おい、どうした」

 

玄関の扉を閉め、精神的な疲労からつい溜め息が漏れる。そこを羽場さんに見られてしまった。

しまった。そういえばまだ羽場さんがいたんだった。DAGでもここでも、案内を他の人に任せて気配を殺してたから、忘れてた。

それにしても、羽場さんもいきなりトラブルに巻き込まれて災難だなぁ……あ、俺のせいでしたね。ホントにすいません。

 

「あはは、ちょっと疲れちゃって……」

 

「……まあ、一日で体験するには多過ぎたな。無理もない」

 

「あの、羽場さんは……」

 

「オレはまだ仕事が残っている。お前にこれからの事を伝えなければならないしな」

 

一緒にリビングまで行き、羽場さんが冷蔵庫にあった『ウェーイwwwお茶』を渡してくれる。テーブルを挟んで座り、お茶を一口飲んで気分を落ち着ける。

 

「……っプハ、ありがとうございます」

 

「ああ。予定に無かった事態が続いたが、お前にとっての本題はこれからだ」

 

その言葉に、思わず背筋が伸びる。

そうだ。俺が山櫛から東城に来たのには、大事な目的があるんだ。伽藍堂さんや先輩ダンジョンアタッカーの襲撃で忘れかけていた。

 

俺が東城に来た理由。それは……!

 

「編入試験ですね」

 

「ぶん殴るぞ」

 

「すいません」

 

「お前の持つエクストラスキルの検証だ。加えて、お前は吸魔の墓でモンスターという疑惑が浮かび上がっている。その件についても精密検査を行う予定だ」

 

「あ、吸魔の墓の配信観てくれたんですね。ありがとうございます」

 

「!ッチ……殺す可能性のある奴と接するんだ。敵の手を知っておくのは当然だろ」

 

苦々しいという表情を隠そうともせず、羽場さんは舌打ちする。

……うーん?伽藍堂さんに向けていた程ではないが、そこには微かに俺への敵意を感じるな。俺と彼女は初対面の筈だけど、何か嫌われる様な事したか?……いや結構してるな、主に迷惑をかけているという点で。ホントにすいません。

 

「とにかく、だ。早速明日からお前の検査を行う……と言いたいところだが、DAGからお前にダンジョンアタックの依頼が来ている」

 

「え?でも俺、今ダンジョンアタック禁止中で……」

 

「それはお前とクソ……オレの父が交わした口約束だろ。こっちは……まあ、()()()()()()()()()()とかいう馬鹿による職権濫用だが、正式な要請だ。クソ親父にも話は通してある」

 

DAGが、たかだか二つ星のダンジョンアタッカーにダンジョンアタックの要請?普通、それは三つ星になってからの筈だが、さっき羽場さんが言ったように権力を使って無理矢理押し通したのか。

羽場さん(親)にも話が行ってるなら、俺も久しぶりに頭じゃなくて身体を動かせる。お金もちょっと心配だったし、ありがたい提案だ。

 

「分かりました、それなら行きます。羽場さんも一緒に行くんですか?」

 

「いや、オレもいきなり別件が入った。代わりをすぐ用意したいが、知っての通りダンジョンアタッカーは不足しているからな。明日はソロで行ってくれ」

 

「なるほど。何かやったら駄目な事とかあります?配信とか」

 

「禁止行為は一つ。『DAGからの要請だと言うな』、これだけだ。後はダンジョンアタックにおけるルールとマナーを守れば良いだろう」

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

DAGからの要請って言っちゃ駄目?寧ろ「俺、DAGから正式に案件貰っちゃいましたー」って大手を振って言った方が、宣伝効果あると思うんだけどな。

そんな事を考えながら、羽場さんから明日挑むダンジョンの資料を受け取る。簡単な縛りがあるといえど、久しぶりのダンジョンアタックだ。否応無しに気合いも入る。

……ところで、予定を話し終えた筈なのに、羽場さんの帰る気配が無い。冷蔵庫をまた漁ってるし、まだ何か大事な事があるのか?

 

「あの、羽場さん?どうしたんですか?」

 

「暫くここに住むんだ。食料や飲み物がどれだけあるか確認していた」

 

「あ、そうなんですね。ありがとうございます。けど俺の問題ですし、そこまでしてもらわなくても……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………ん?」

 

二人分?何で?そこは明日の分では?

 

「……お前、まだ分かってなかったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレの仕事は『案内』と『監視』だと言っただろ。案内は終わったが、まだ監視の仕事は続いている。暫く共に住む事になるから、変なことしようとするなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーそうなんですかー」

 

あまりにも多過ぎる情報、終わらない脳内処理。それは永遠に等しい刹那の時間を俺に与え、しかしいつまで考えても分からないので、その内俺は考えるのを止めた。

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