「すごいよ、シン! 昨日、投稿した動画、もう200万再生超えたよ!」
「すごいですね!」
キラの部屋で、男子二人が盛り上がる。動画サイトでは、ものすごい勢いで再生数が伸びている。……と、言うのも、動画にするのにアスランの許可を得たわけだが、アホほど堂々としていた結果「俺がカメラに銃を撃つまで使って良い」と言い切られた。怖いもの無しである。
勿論、アスランはカガリに超怒られていたらしいが、キラもシンも知った事ではない。
さて、その二人は、子供みたいに動画を喜ぶ。
「なるほど……確かに、再生数が増えるのって嬉しいね。なんか見られてるんだなって感じがする」
「そうですね! オレも正直、やる前は『オレと隊長が楽しければ良いや』とか思ってましたけど……こうして結果が出ると別の楽しみが出てきます!」
ちなみに、この前のドッキリは一応、動画である。仕込んでおいたカメラを遠隔操作し、録画は済んでいる。……もっとも、アスランは生放送だと思い込んでいたみたいだが、おかげで尚更良い動画になった気がする。
そのキラの元にディアッカから連絡が来て「イザークは怒ってたけど俺は超笑ったわ」との事だ。
「こうなると、次のゲームも選ばないとだよね」
「ちょうど今、地球にいますし、ゲームショップいきませんか?」
「そうだね。探しに行こう」
そんなわけで、ミレニアムを出た。二人で歩いてゲームショップまで車で移動する事にする。
「ハインライン大尉、車借ります」
「どうぞ」
格納庫の車に乗り込み、助手席にシン……ではなくアグネスが乗り込んだ。
「? アグネス?」
「あたしも行きます。どうせゲーム選びでしょ?」
「ありがとう」
「あれ、アグネスも行くのか?」
「あんた達にゲーム選ばせてどうなるか分かりませんか。世の中には配信しちゃダメなゲームとかもあるんですよ?」
「そうなんだ……でも、良いの? 部屋で休んでても良い時間なのに……」
「大丈夫です」
すると、後部座席にシンが乗ってきた。不満げな表情で前の席の間から顔を出す。何故か後頭部を押さえている。
「おい、アグネス! なんでお前が助手席座ってんだよ。隊長の隣はオレだろ!」
「あんたがタラタラ乗ってんのが悪いんでしょ?」
「お前がオレを後ろに突き飛ばしたからだろ!」
「じゃあ……ルナマリアも呼ぼうか?」
みんないるのに一人だけ呼ばないのは良くない……と、この前アグネスが拗ねたことで学習したので、声をかけた……のだが、アグネスが隣からニヤついた様子で答えた。
「ルナマリアなら来ないと思いますよ?」
「? なんでだよ」
聞いたのはシン。そのシンの顔を見て、何故かまたニヤついた様子でアグネスは応えた。
「さぁ? ただ、昨日の動画を見てから『我ながら完璧なメイク……シン可愛すぎ……!』とか言って太ももをモジモジさせてましたからねー。今頃、罪悪感で不貞寝してるんじゃないですか?」
「っ、あ、あいつー! オレはオレで恥ずかしかったんだからな⁉︎ ……まぁ、アスランの方が明らかに恥部晒してたけど……」
「あの人、怖いものなしですよね……あたし、あの人には好きになられたくないです……」
アグネスがそう言うあたり、相当な危険信号を発していると見て良いだろう。アレと付き合えるカガリがすごいのかもしれない。
「じゃあ、行こうか」
「あ、はい」
「あ、てかキラさん、オレ運転代わりますよ!」
「大丈夫」
そのまま走らせた。
×××
場所は、家電屋。ラクスがその店のポイントを集めているので、買うならそこだろうという判断だ。
そんなわけで、そこのゲームフロア。子供用のおもちゃやゲーム、プラモデルが売っているそこで、キラは顎に手を当てる。
「広いね、思っていた以上に」
「まぁ、最近はようやく平和になってきましたからね。こういう趣味に没頭出来るフロアこそ大事なんじゃないですか?」
シンのセリフに少し感慨深くなりながらも、そのまま三人でフロア内を見て回る。
「すっげー! 恐竜のおもちゃもありますよ!」
「あんた……ほんと何処まで子供なのよ。何で喜んでんの?」
「う、うるせーな! 良いだろ別に。隊長も好きですよね? 恐竜」
「え? うん、まぁ……あ、じゃあシンとルナマリアのトリィとブルー、恐竜にしようか?」
「マジですか⁉︎」
「やめときなさいよ……あんたは良いかもだけど、それ持ち歩くのルナマリアよ?」
どこまでも子供である。
さて、そのまま三人はゲームが並んでいる棚に向かう。こうして見ると、本当にいろんなゲームがあるものだ。
てっきり闘いとかレースものばかりだと思っていたが、冒険、アクション、ヒーロー、スローライフ、恋愛、育成……などなど、とにかくたくさん。
これは、確かに配信をやるネタには困らなさそうである。
「色々あるね……でも、二人プレイとなると限られそう」
「別に二人プレイに限らなくても良いんじゃないですか? それこそ、一人用の……あれ、ちょい古いカービィとかを二人でとか? 死んだら交代とかーみたいな」
「え……そんなのも出来るの?」
「好きにやれば良いんじゃないですか。ゲーム実況なんて」
えっ、とシンとキラは顔を見合わせる。どんなゲームでも良いの? と言わんばかりの顔だ。
「え、でも……」
「もうここまで話題になったらなんでも良いと思いますよ。禁止されてる奴以外なら。もしくは、協力プレイのマリオとかも面白いのでは?」
「協力……オレと隊長が?」
「対戦ばかりであんたが大声出すだけでも面白いかもしんないけど、やっぱワンパターンになっちゃうし。それなら多少、スタンスとか変えても良いんじゃない?」
それなら……実を言うとキラにはどうしても気になるゲームがあった。まぁどんなゲームなのかは知らなかったからあまり言えなかったけれど、今ならシンに提案出来る。
「じゃあさ、シン」
「なんですか?」
「あのハインライン大尉の声にそっくりな子が出るゲームやってみたくない?」
「……ああー!」
ジョーカーというキャラクターがスマブラにいたが、スマブラは他のゲームに出ていたキャラクターたちが集まっているものだと聞く。
つまり、あのキャラクターも他のゲームのキャラクターということだろう。それが出るゲームに興味があった。
「アグネス、あれなんてゲームのキャラなんだ?」
「ペルソナ」
「じゃあペ……ペロソナ? やりましょう!」
「うん。じゃあ決まり。アグネス、どんなゲームなの?」
「RPGですけど……え、本気で言ってます?」
「なんで?」
何か問題あるのだろうか? まぁ、RPGがレースとか大乱闘とかと違うのはなんとなく分かるけれど……今、何やっても良いと言われたばかりだ。
「……いや、RPGって基本長いしクリアするまでやるものだから、シリーズ化せざるを得ませんよ?」
「クリア? ゲームをってこと?」
「そうですよ。ペルソナは長いから今の週一のペースだと……多分、40週間くらいはかかりますよ」
「よっ……ま、マジ?」
流石にシンも冷や汗を流す。まぁこの実況自体、いつまでやるのかなんて知らないが、流石にそんなに長く同じゲームをやっていられない。多分、途中で他に興味が移る。
「特に、ペルソナは長いですよ?」
「そうなんだ……」
現在、シンキラは週一でしか活動していない。その一週間に一回の活動でそんなに長期に渡り同じゲームをするわけにはいかない。
なんて思っているときだった。キラの端末が震える。着信が入った。ラクスからだ。
「ごめん、二人とも。電話」
「あ、はい」
「良かったら、シンもやってみたいゲーム選んでて」
「分かりました!」
そのまま少しその場を離れ、人気の少ない階段のあたりで応答する。
「もしもし?」
『ふふ、キラ。こんにちは』
「うん。どうしたの? お仕事は……」
『そんな事よりも』
「え? う、うん」
ラクスが食い気味に答えるなんてレア中のレアだ。一体どうしたのか?
『とうとう配信にカガリとアスランとメイリンさんまで巻き込んだのですね。私はいまだに一緒にゲームやる約束さえ果たされていないというのに』
「…………あっ」
しまった、と冷や汗を流す。確かに最近、全然帰れていないし、一緒にゲームやるタイミングも訪れていない。……とはいえ、まさかラクスがそこまで拗ねるとは。
「ご、ごめんね。中々、帰る時間が……」
『怒っていませんしキラが悪いわけでもありませんわ。だから怒っていません。ちょっと羨ましいだけです。なので、全然怒っていません』
繰り返している……怒りを表に出さないように表に出している……と、冷や汗が大量に流れ落ちる。こうなったら、もう後が怖い。何が怖いって、料理の量が更に増えることだ。
「で、でも配信は金曜の夜だし週に一回だし、その時に偶然、帰れるような予定はそう簡単には……」
『私は配信がしたいのではありません。キラとゲームがしたいんです。……それに、仮に配信をするとしても、一週間に一回と確定する必要はないでしょう?』
「それは、そうだけど……」
ていうかその仮定、自分もやっぱり配信したいと言っているようなものな気もする。
……いや、だが……ちょうど良い機会なのかもしれない。週一の縛りがなくなるならば、週に……例えば3回、配信するとして、曜日ごとにどのゲームをやるかを決めてしまえば良い。
それならば、同じゲームばかりになることもないだろう。
「わ、分かった。じゃあ……ラクスの予定がない日に連絡くれる? その日に帰れれば何かしようか」
『はい。では、来週の水曜日にお願いします』
「何のゲームがやりたい?」
『なんでも結構です』
「えっ」
いやそこは自分で選ぼうよ、と思ったけど、まぁ忙しいから選ぶ時間なんてないのだろう。
「……分かった。じゃあ、考えておくね」
『はい♪ では、失礼致します』
「うん、お仕事頑張ってね」
そう言って通話を切ろうとしたときだった。
「ヤマト隊長〜! まだですかー?」
アグネスの声が響き渡る。なんか、こう……いつもなら少し高い感じのトーンで。
「早く次にやるゲーム選びましょうよー」
「うん、今行くよ」
『……キラ? まさか、アグネスさんとも一緒にゲームをやっていらっしゃるのですか?』
「え? いややってないよ。色々と配信のアドバイスを……」
『あとでお話がたくさんあります』
そのまま通話は切れた。もしかしたら、自分は今日、死ぬのかもしれない、と思ったが……まぁ、大丈夫だろう。何とかなる。
さて、アグネスに呼ばれるがまま、ゲーム選びに戻った。
「シン、何かやりたいものはあった?」
「あ、いやまだ考え中で……」
「シンの奴、たまには隊長と協力ゲームやりたいそうですよ? いつまでもウジウジと男らしくなく優柔不断で……」
「う、うるさいな!」
そこまで悩んでくれるのは嬉しい。だからこそ、一つ朗報がある。
「今、ラクスからだったんだけど配信は週に2〜3回でも良さそうな感じだったよ」
「マジですか!」
「うん。だから、ペルソナも協力? ゲームも出来る」
「じゃあ、尚更気合い入れて選ばないとですね!」
「とりあえず、選び終えたら計画を立てよう。計画的にやらないと、もしかしたらクリア出来ないかもしれないからね」
「そうですね!」
との事で、ゆっくりと選ぶことにした。
×××
さて、三人は一度、ミレニアムに帰還。会議室に集まって、ルナマリアを連れて来てどうするかを話し合い始める。
「だからなんで……」
私も呼ぶの……と、ルナマリアは少なからず思ったが、もう仕方ない。言ってどうこうなるものでもなさそうだし。
「と、いうわけで、一週間のうちにどの曜日に配信をやるかを決めたいと思います。アグネスさん、セオリーをお願いします」
「なんでちょっと先生みたいな口調になってるんですか……まぁ良いですけど」
もう普通にまずアグネスに意見を求めるようになっていた。まぁ、別に経験者に頼るのは間違いではないのだろうが……。
で、アグネスも慣れた様子で解説を始める。
「ターゲットをどの層にするのか、にもよりますけど……まぁより多くの人に見てもらうには、やっぱり金曜や土曜日の夜じゃないですか?」
「なんで?」
「次の日休みだから。夜中まで起きてても平気でしょ? 大抵の社会人は」
「あー……なるほどな」
シンの質問にも丁寧に答えた後、アグネスはそのまま言う。
「けど、月曜日から金曜日まで社会人は連勤しないといけないでしょ? クソなことに。だからその勤続週間の間に、一日だけ楽しみを差し込む、という意味で水曜日か火曜日に生放送を差し込んでも良いかも?」
「……なるほどな……楽しみになる、か。MSで戦闘に介入する時は怖がられるオレ達が……」
それはちょっと嬉しいかもしれない。なんだかそう思うとソワソワして来てしまう。ちょっとアイドルみたいだ。
「あ、いやでも楽しみって言ってもシンがボコられる所とかをみんなは見たいわけだから、その辺弁えなさいよ。無駄に格好つけたり、なんか歌とか歌い出したら確実に終わりだから」
「わ、分かってるよ!」
危なかった。変な妄想する前に止めて良かった。ついうっかり夜中にトラウマとして思い出す所だった。流石にアイドルはない。
「……じゃあ、水曜日にしようか。金曜日にペルソナやって、水曜日にシンと協力か対戦ゲーム。土曜日は……まぁ、ランダムにやろうか」
「良いですね!」
「それが良いと思います」
……なんか勝手に予定が決まってしまった、と一言も喋っていないルナマリアはため息を漏らす。いや、別になんでも良いけれど、なんで自分を呼んだの? と思わんばかりだ。
「とりあえず、次の金曜日の放送はペルソナ。で、土曜日はシンがやりたいゲームやろっか」
「はい! オレ、モンハンやりたいです!」
「じゃあ、モンハン。で、次の水曜日はみんなで桃鉄やろう」
「「えっ」」
「よっしゃ!」
と、サクサク予定が埋まっていった。勝手に。
さて、とりあえず今日の所はペルソナ5 。購入したソフトを手に持ったキラは、それを全員に見せる。
「じゃあ……早速、これについてだけど……アグネス、どんなゲームなの?」
「システムの話なら、RPGですけど……ストーリーはネタバレになるので言わないです」
「えっ、ストーリーって……マリオがクッパ倒すとかそんな感じじゃないの?」
「ファンに今の発言を知られたら八つ裂きにされるわよ、シン」
「誰が来ようとやられるもんかよ。オレをやれる奴なんて隊長しかいないから」
そう言いつつも、少しシンは気になった。たかがゲームだろうに、そんなにブチギレられるようなことなのだろうか? あるいは、そまで人気なのか。
「そんなに人気なの? ペルソナ」
「それはもう……特に3〜5はすごいですよ。彼らには派閥があり『3派』『4派』『5派』がすでに激闘を繰り広げてますから」
「タケノコとキノコみたいな?」
「はい。そういうの」
……なるほど、確かに厄介そうだ。とはいえ、そんなにファンが多いということは、それだけ人々の心を掴んでいるということだろう。
「とにかく、余程のことがない限り『クソゲー』だの『つまんねぇ』だの言っちゃダメよ? そういうのが許されるのは、FPSで余程の不運に見舞われた時とか、そういう時に冗談半分で言うときだけ」
「いや、流石に言わねーよ。オレだって。隊長だって言いませんよね?」
「うん」
「分かってるなら良いけど……」
「アグネスはよく言うものね?」
「う、うるさいわよそこ!」
アグネスはA○EXでよく言う。特に終盤リングで不幸に見舞われまくって人数も二人まで減って物資不足の中、狭い小屋に逃げ込むしかなくなった所にアークスターとフラググレネードが5個飛んできたときとか、渾身のクソゲーが出る。
しかし、そんなことはシンには知ったことないわけで。
「え、アグネスお前そんなこと言うのか? ダメだろそれは。それ、お前のギャンの設計した人に『クソMS』って言うのと同じだぞ」
「あたしのは良いのよ! でもペルソナとかはダメ!」
「なんだよそれ! 『あたしは良いの』なんて通ると思ってるのか⁉︎」
「そ、そうじゃなくて……!」
自分の配信を見てもいないし、A○EXをやってもいない二人に事情を説明するのは難しい。
「とにかく、あんたらは絶対に言っちゃダメ! あたしがどうとかどうでも良いから、そこだけ聞きなさい!」
「まぁ……それはそうだけどよ……」
「一応、ついこの前配信期間が伸びて全部出来るようになったから、やっちゃダメなところとかは気にしなくて大丈夫です」
それはありがたい。その辺を忘れてしまいそうだから。やってたら、気が付いたら過ぎていました、なんて言うのは笑えない。仮にもコンパスの配信なのに。
「どうやって配信をするのか、は二人で考えて。一人用ゲームでRPGだから、片方が実況で片方がプレイとか、色々やりようはあるから」
「うん、分かった」
そんなわけで、次はペルソナをやることになった。ハインライン大尉そっくりの声が出るゲーム、というだけで少しワクワクしているキラは、次の配信が楽しみになっていた。
×××
最後にアグネスが言ったこと……シンは少し気になる。一人用ゲームのRPGを二人で配信というのが、少し難しいらしい。
しかし、考えてみれば当たり前のことだ。何せ、もう片方は手を動かすことがない。
コントローラを交代でやるにしても、ドラクエみたいなターン制バトルの場合はプレイヤーのスタイルは必要でもスキルは必要ない。つまり「どう攻略するか」を二人で決めないといけない。将棋を1対2でやるようなものだ。
「うーん……もしかして、難しい……のか?」
そう思うと少し悩んでしまう。失敗を自分だけがするなら構わないが、隊長も失敗させるわけにはいかない。もう既に結構しているっぽいし。
とりあえず、ルナマリアに色々聞いてみることにした。部屋を出てルナマリアの元へ会いに行くと、ルナマリアの部屋の扉は開いていた。
「……?」
どうしたんだろ、と思って中を覗くと、掃除中のようで音が出ない静かな掃除機を使っていた。
「何してるんだ? ルナ」
「見てわかるでしょ?」
「いや、ルナの部屋ってあんま汚さないのに、珍しいなって」
「最近、アグネスがよく来るのよ。お菓子と飲み物持ってきて勝手に食べ散らかして片付けずに帰るの。私が散らかしたりはしないわよ」
「そうなんだ。じゃあ、手伝うよオレも」
「……ありがと」
部屋に入ってから片付けを始める。まぁ、ゴミとかを拾って袋に入れればとりあえず大丈夫だろう。
さて、そのまましばらく掃除をしながら、シンはルナマリアに声をかける。
「そういえばさ、ルナ」
「何ー?」
「ルナって実況とかよく見んの?」
「んー……まぁ暇な時とかたまに」
「じゃあさ、RPGの実況ってどんな感じなの?」
「ああ……いや、別に普通よ? 人によってその中のキャラになり切ったりとか、最速クリアを目指したりとか、単純にストーリーの進行の度に感想を言ったり……色々?」
「なるほど……なりきり」
「いや無理よそれは。初見プレイじゃない人達が悪ふざけでやるようなもんだから。笑いを取るために」
それ面白いのだろうか? なんか下らない芸人みたいな空気がプンプンする。そんな考えが顔に出ていたのか、ルナマリアはパソコンをいじって動画を出し始めた。
「これ、見てみなさい」
「どれ?」
映されたのは「【FF7】クラウド&バレット【幕○志士】」というタイトルの動画。まぁルナマリアが見ろというのなら見るが……あまり期待はしないでおこう。
〜17分29秒後〜
『ぺぇ』
「「あっはははははは‼︎」」
最後のオチでシンとルナマリアは大きな声をあげて笑う。最初のステージで死亡した主人公と相棒の様を見て、思わず笑わずにはいられなかったのだ。
「こ、こいつら……モンー! とか、ペェ! とか……どっから声出してんだよ……!」
「ほ、ホントよね! あはははっ」
「なぁ、ルナ。こいつら他の動画も面白いのか?」
「面白いわよ。見る?」
「見る!」
こうして、部屋の掃除は何一つ進まないまま二人の動画視聴は続いた。