【俺、坂本竜司な。見掛けたら声掛けっから、シカトすんなよ? じゃあな】
そのセリフを最後に、坂本竜司という金髪の少年とのやり取りは終わった。そこで、キリが良いので放送も終わることにした。
「では、シンキラでした。ご視聴いただき誠にありがとうございます」
「See you again! バイバイ☆」
「え、シンどうしたの急に?」
「あ……いや、やべっ。好きな人の真似をつい……今のは無しで! もう二度としませんごめんなさい!」
と、放送を終了させる。
さて、椅子の上に座った二人は……思いっきり伸びをした。
「うおー! 超面白かったー!」
「うん、すごかったね。ペルソナ。まだ何も分かってないのに何でか面白い」
「そうっすね!」
まださわりもさわりの部分なのだろうが、それにしても何故か面白い。最初、主人公が捕まるというインパクトと、シナリオがいきなり過去に戻るという斬新さ、そしてやっぱりなんかよく分かんないけど捕まるという展開の早さ故だろうか?
その怒涛の勢いに加え、あまりにも男心をくすぐるカッコいい演出。それらの渦によって引き込まれてしまう。
「ちょっと、色々整理しよう。シン」
「そうですね」
物語の序盤から情報量がフルスロットルだったので、二人でキラの部屋にいたまま情報を整理する。寝ないで。
二人で机の上に向かい合い、ここまでの組織図を確認する。
「まず、現在が主人公とカジノと警察。この辺はまだ何も分かっていないからとりあえずスルーだね」
「そうですね。で、半年前。秀尽学園高校と、謎の城と鴨志田と、シン・ヤマトと竜司」
「あの謎の城の城主が鴨志田だし、それで最初のターゲットが鴨志田って辺り、繋がりあるんだろうね。あの変な世界の城と普通の学校」
「はい。あの先生がまだ普通の世界で何やらかしてんのか知りませんけど……ていうか、王様の鴨志田は本人なんですかね? 鴨志田と」
「さぁ……実際、竜司は現実でも鴨志田の事を『変態教師』って言ってるし、王様の鴨志田はマントの下、パンツ一枚だったし、多分同一人物なんだよ。あのナビで、なんかこう……現実とは少し違う世界に行ける、みたいな?」
「あーなるほど」
「うん……」
「……」
「……」
ダメだ、早く続きをやりた過ぎる。どうしても先を見たい。どうなってしまうのか、あの後に何が起こるのか、主人公は現状、良い人そうなのに何故、捕まってしまうのか? 鴨志田をとっちめることが出来るのか、考えれば考えるほど、気になることが増えるだけだ。
「明日の放送……続き、やっちゃう?」
「良いですね! やっちゃいましょうか!」
もう子供に戻っている二人がそんな事を言いながら、とりあえず早めに解散した。何せ、続きをやってしまえば先はすぐに分かるのだから。
×××
翌日。今日は宇宙に戻る日。メイリンとカガリの挨拶を終えたルナマリアとシンとキラとアグネスは、発進に伴って会議室で今後の話をする。
「で、今日もペルソナ5 やりたいんだけど……どうかな?」
「えっ、連続で……ですか?」
別にその辺、詳しいわけではないルナマリアが思わず声を漏らす。まぁ別に悪いわけではないのだろうが、考えものな気はする。アグネスの方を見ると。アグネスは頷いた。
「別に良いんじゃないですか? シリーズものだし、サクサク行かないとクリア出来ませんよ?」
「あ、良いんだ」
「まぁ、まだ最初だし」
「じゃあ……今日もペルソナだね」
決まった。これでこの意味のない会議は終わりらしい。かつてない速さで終わったが、まぁ次にやるゲームとか決めるだけだし、当然と言えば当然だろう。
そんな時だった。ふと会議室の電話が鳴り響く。ホワイトボードのボタンを押すと、ボードが画面に変化してテレビ電話がついた。映されたのは、コノエ艦長だ。
『お疲れ様です、ヤマト隊長。急にお電話して申し訳ありません』
「お疲れ様です。どうなされましたか?」
『総裁からお電話が入っております。今、お繋ぎしますがよろしいですか?』
「あ、はい」
わざわざ艦長に掛けてから繋いでくるあたり、仕事の話だろう。すぐに許可をすると、ラクスの顔が映された。
『こんにちは、ヤマト隊の皆様』
その挨拶に、全員が立ち上がって敬礼で応える。それを見てラクスは笑顔で返しつつ、そのまま続きを話し始める。
『昨晩は実況、お疲れ様でした。アスカ隊員はヤマト隊長とのコンビ、そしてホーク隊員とギーベンラート隊員は放送内容の発案及びレクチャー、感謝しております』
総裁モードなのか、呼び方が硬い。そのままラクスはSNSのコメントの一部を抜粋したものを画面に表示した。
そこには「コンパスの隊長意外と優しそう」「てかシンくん犬っぽくて可愛くない?」「化け物だと思ったけどこうして見ると普通の人っぽい」などが流れている。
『皆様のご活躍のおかげで、こうしてコンパスも危険な装備を持つ危険組織というだけではない評価を少しずつでも世の中に浸透させることに成功しつつあります。私の思いつきにお付き合いいただき、誠に感謝致します』
「じゃあ、ボーナスくださーい」
「コラ、アグネス」
「元々そういう話だったし」
アグネスのセリフに、相変わらずニコニコしているラクスが頷いた。
『では、そうですね。近いうちに特別手当も支給いたしますわ』
「やった! 総帥、太っ腹♡」
わざとらしいアグネスのぶりっ子くさい言い回しにも、ラクスはニコニコ微笑んだままスルー。
そのままラクスは本題に入った。
『皆様は本日、プラントにお越しになる予定がございましたね?』
そういえばあった。コノエとマリューと総帥で色々と話す予定があるそうだ。そのために、自分達も同行するわけだが……それにしても少し急に話題が変わった気がする。
『よろしければ、今晩のディナーに皆様を招待したいと思うのですが……如何でしょうか?』
「えっ、絶対に嫌」
速攻で断ったのもアグネスだった。即答も即答。キラの早撃ちより速いレベル。
当然、その場にいるルナマリアが慌てて口を挟むしかない。
「ちょっと、アグネス……!」
「いや……絶対に嫌でしょ。なんでカレカノ2ペアと1人で浮いたままご飯食べなきゃいけないのよ。なんの罰ゲームな訳?」
「それは……まぁそうかもだけど……あ、じゃあ他に誰か呼んだら?」
「誰を呼べってのよ」
「あー……えー……ほら、実況手伝ってくれてる、ハインライン大尉とか」
「もっと嫌よ!」
我ながらルナマリアも今のは無いな、と思った。すると、その中でラクスがニコニコ笑顔を浮かべながら続けた。
『勿論、無理にとは言いませんわ。急なお話ですし、各々予定もあると思いますので』
「じゃあ、あたしはパスで」
アグネスがそう言うと、キラも声を漏らした。
「総帥、申し訳ないのですが、今日は僕とアスカ隊員も……」
『ただし』
実況がある、と言おうとした。実際、あるから。ペルソナの続きを一刻も早く見たいしやりたい。
だが、ラクスが今までニコニコしていたのに、急に目元だけ鋭くさせたことにより、空気が一転する。
『キラは必ず出席するように。何が何でも。これは、総帥の命令です』
「えっ?」
『お話は以上です』
そこで通話は切れた。凍りつくような空気だけがその場に残されて。
なんか……最後のあのオーラ、どう考えても普通じゃない。生意気な口を叩いていたアグネスでさえ背筋を伸ばしてしまったほどだ。
「……」
「え、隊長。何したんですか?」
「何もしてない、はずなんだけど……」
とはいえ……致し方ない。総帥命令まで使われて事こうなった以上は、とりあえず参加せざるを得なかった。
とはいえ、絶対来いと言われたのはキラだけだ。ならば、シンもルナマリアも予定があるのなら行く必要はない。
「じ、じゃあ……シン、私達も遠慮しよっか?」
「え、なんで? この前、食べた晩飯超美味かったじゃん! オレらも行こうぜ!」
このバ彼氏〜っ! と、奥歯を噛み締めてしまう。こいつホントいつかやってやる。
そして、そのルナマリアの一瞬の硬直を逃すキラではない。
「じゃあ、ルナマリアは参加してね。隊長命令で」
こいつ、またあの大量の料理を食わされることを予見して部下を巻き込むつもりだ。少しでも自分の食べる量が減るのなら、という気持ちは分からないでもないが、命令まで使うなよ、と強く思ってしまう。
「……り、了解……」
こういうとこ、こいつら似たもの夫婦だよ、と思いながら、とりあえずまたダイエットに備えることにした。
×××
さて、プラントに到着。議会やら何やらで少し会議をした後、夕方には空き時間が出来たので、ラクスとキラの邸宅に到着。
招かれるがままに、ルナマリアとシンはお邪魔した。
「この短い期間で2度もお邪魔してしまってすみません」
「いえいえ、構いませんよ」
「お邪魔しまーす!」
「シン、まずは手を洗おうね」
と、各々が家に入る。手洗いうがいを終えると、ラクスはすぐにエプロンを装備した。
「では、ただいまお作りしますね」
「すみません、手伝いましょうか?」
「大丈夫ですわ。ゲームでもしてゆっくり待っていてください」
ルナマリアが気を使うが、ラクスが微笑みながら首を横に振るう。総帥に食事を作らせるのは一兵士として申し訳ないが……まぁ、招かれた側だしひとまずは良いだろう。
シンと一緒に歩いているキラが、微笑みながらソファーに座って声を掛ける。
「何する? 一応、色んなゲーム揃えてあるけど……」
「キラは手伝って下さい」
「え?」
が、それを制するようにラクスが声を掛ける。なんかちょっと声に違和感があって、ルナマリアは怪訝な顔でラクスを見る。ニコニコ微笑んではいる……微笑んではいるのだが……なんか、違う。ちょっと怖い。
「ぼ、僕も?」
「そう、僕もです」
……あ、目の下に何か陰が……やっぱりかなり怖い。ここで余計な口を挟めば、ハイマットフルバーストのロックオンの一部にされそうだ。
「ま、待った! 隊長の手を煩わせるわけにはいかないです! オレが代わりに手伝います!」
そして余計な事を全開でぶちかましに行くシンだった。このままでは彼氏が地に落ちた赤い彗星にされかねない。
すぐに後ろから腕を回し、首をロックする。
「すみません〜何でもないです〜」
「グェッ、る、ルナ⁉︎ なんだよ急に……!」
「構いませんよ? 私は」
「えっ、良いんですか……?」
まさかのオッケーが出た。思わず手を緩ませてしまいシンを逃してしまったが、ラクスはニコニコと微笑んだまま頷く。
「はい。シンとキラが二人きりで一緒にゲームをするようなことがなければ、一先ず構いません」
「あっ……」
察した。そういえば、最近実況で「その苗字も他の誰かのものなのでは? (怒)」とか『ラクス・クラインという人の方が綺麗では? (怒)』とか見たような気がするのだが……もしかして? と、大量に冷や汗を流す。
なんてこった。うちの隊長、予想を遥かに上回って総帥を怒らせている。
「じゃあ、オレが手伝います! ……でも、オレあんま料理得意じゃないですけど……」
「ふふ、大丈夫ですよ。私が教えて差し上げますから」
「マジですか!」
「……」
……なんだそれ。なんでまだルナマリアもしていない「親子プレイ」をシンとラクスがしようとしているのか。いくら総帥でも許されない。
「私も手伝います」
「あら……ですが、お招きした手前、キラはともかくルナマリアさんにまで手伝ってもらうわけには……」
「でないと私と隊長が二人でゲームやることになりますよ」
「お願いします」
即答だった。というか、ラクスも割と分かりやすい。もう少しこう……機械的な人だと思ったけれど、そんな事もなさそうだ。
そして当然、そうなれば取り残されたキラだって何もしないわけにはいかないわけで……。
「え、じゃあ僕も……」
「結構です」
しかし、ラクスはそれをシャットアウト。まるで目の前にアカツキが現れたかのように何も通さない。
「ぼ、僕だって料理少しは出来……」
「結、構、です」
アカツキは何も通してくれなかった。あまりにも硬すぎる。
そのままキラを放っておいての料理が始まった。
×××
完成した。大量の料理が。文字通り山盛りの揚げ物が食卓に並び、キラは途方に暮れている。
「……これは、一体……?」
「すみません、隊長! 総帥の教え方が上手過ぎてつい興が乗っちゃいまして!」
「大丈夫ですわ、シン。キラは部下のご厚意を無下にするような方では有りませんから。……ねぇ?」
「……う、うん……」
まるで恐喝である。女の裏番を前にした表の番長みたいだ。ちらりと、唯一普通の人のルナマリアに目を向ける。すると、申し訳なさそうな顔をして目を逸らした。
「……止めたんですが」
「うん……ありがとう」
何も成果は得られていないけど、奮闘した形跡は見え隠れしている。肩で息をしていたり、冷や汗の量が尋常ではなかったり。
何にしても、覚悟を決めなければ。
コホン、と咳払いをしたラクスが、改まった様子でニコニコ笑顔のまま告げた。
「では、配信お疲れ様でした。今後ともよろしくお願いいたします」
「「「「かんぱい」」」」
ジュースだが、全員でグラスを静かにぶつけ合った。
さて、さっそく実食。美味しい。外はサクサク、中はモチモチのいつも食べているコロッケの味だ。
「美味しいね」
「誰が作ったコロッケだと思いますか?」
「え?」
ラクスから挨拶がわりのジェネシスが放たれた。
ルナマリアには、とことんキラを追い詰めようとしているようにしか見えず、思わずドン引きしてしまう。
これ、間違えたらキラは明日の晩御飯にトリカブトが混入した食事が出される可能性も無きにしも非ず……。
キラはこれ、状況分かっているのだろうか? ルナマリアも不安げに顔色を見ると……キラは爽やかな笑みで告げた。
「うーん……分からない。いつものラクスの味だよ。きっと、ラクスの教え方が上手だからだね」
誤魔化して言っているわけではないのだろう。分からない時に使える言い訳の中ではベストな答えに見えるが……それで満足するラクスではない。
「ふふ、そうですか。いつも食べてる私の味と、初めて食べるシンの味の差が分からないと?」
「? だって同じレシピでしょ?」
「同じモビルスーツで同じルートを同じ操縦をして移動してもパイロットによって多少の癖が出るものでしょう?」
「それを見て誰が操縦しているかわかるのは、余程の熟練者だけだよ。アスランとかムウさんみたいな」
「あなたは毎日、私の手料理を食べていたでしょう」
「え、そうかな。最近はあまり帰れてなかったから久しぶりじゃない?」
「その程度で忘れてしまうのですね、私の手料理など」
「ラクスの手料理を忘れた事なんてないよ? ミレニアムの食事も美味しいけど、効率的且つマニュアル的だから何か物足りなくて。ずっと食べるの楽しみにしてたんだよ」
「その割に覚えてないんですね」
「誤差はね?」
すごいピリピリしている。すごくすごくピリピリしている。もうシンの手料理を初めて食べているのに全然、味がしない。
「どう? ルナ。今、ルナが箸で取ってるのオレが揚げたんだ」
「美味しいこの世の何より」
「だろ⁉︎ へっ、へへへっ……!」
この日のルナマリアはこの嬉しそうなシンの顔をマナコに焼き付けておかなかったことを、後日死ぬほど後悔したらしいが、本当に生きた心地がしない空気だった。
何が怖いって、キラが全く悪気なく喧嘩中のような空気になっていることにさえ気付いていないことだ。この人の天然煽りはある意味アスランの煽りより威力が高い。
「ねぇ、シン」
「なんだ? 明日から毎日食べたいならオレが……」
「場の空気を変えて」
「? 揚げ物の時、換気扇つけ忘れてた?」
……ダメだ、こいつマジで役に立たない。後でぶっ飛ばすしかない。
こうなったら、自分がなんとかするしかない。やんわりと二人の間に入ろうと声を掛けた。
「あっ、あのっ、ラクスさん本当にお料理教えるのお上手でしたよ! 料理の経験なんてまるでないシンが同じ味作れたんですから……!」
「そうなんだ。シン、料理の経験ないのに同じ味再現できるなんてすごいね」
「へへっ、ありがとうございます!」
そっちじゃねーよ隊長この野郎! と、キャラじゃなく奥歯を噛み締める。さらにギスギスが強まる中、アホのシンは普通に楽しそうにしているし、ルナマリアだけが居心地が悪かった。
……いや、でもシンだけでも楽しくしていてくれて良かったのかもしれない。二人揃って気まずくなっていても無駄だし、なんだかシンが笑っているのを見るとこっちの気も紛れる。
ホント……自分の彼氏がバ彼氏で良かったかもしれない。
そんな風に思っている間に、食事が終わった。かなりの山盛りをみんなで山分けしたわけだが、それにしても食べすぎたからそろそろ帰る時間だろうか?
とはいえ……このままギスったまま帰るのは少し良くない気もする。シンに声を掛けた。
「ちょっと、シン」
「どうした? デザート欲しいのか?」
「ちっがうわよバカ。このまま帰っちゃって良いの?」
「? なんで?」
「せっかくの機会だし、みんなでゲームして帰ったりしない?」
そう言うと、シンはさらに目を輝かせた。確かに、それは面白そうと言わんばかりの目だ。
「キラさん、良かったらみんなでゲームとかしませんか⁉︎」
「え、みんなって……ルナマリアとラクスも?」
「はい! 4人いるし……チーム戦とかどうですか?」
ナイス提案だ。そうなるならば、カップルずつでチームになれば自然に仲直り出来るはず……と、思ったのだが。
「分かりましたわ。では私、シン、ルナマリアの料理チーム対キラでやりましょう」
「えっ」
「そ、それは厳しいかな……何のゲームか分からないけど……」
それはそう。ていうかなんでそうなるの、とルナマリアは頭を抱える。
そこで、さらにシンが手を上げた。
「オレ、隊長と敵チームが良いです! 前のマリカーからまだ負けっぱなしなので!」
「じゃあ、私とシンのチームですね」
「どう足掻いてもラクスさんは隊長と別チームなんですね……」
もうこうなったら仕方ない。可能な限りマイルドなゲームを選ぶ必要が出てきた。
「どんなゲームならあるんですか?」
「スマブラ?」
「やめた方が良いです」
速攻で拒否した。ラクスがどれほどの腕前なのかは知らないが、キラのバカみたいな腕を見るとどう考えてもキツい。
「隊長、ソフトどこあります?」
「テレビの下の棚に入ってるよ」
「見て良いですか?」
「うん」
そのままシンはソフトを漁りに行った。テレビの下をしばらく眺めていると、ひとつソフトを手に取った。
「これにしましょう! マリパ!」
「! ナイス、シン!」
「え、ルナそんなにマリパ好きなの?」
「いやそうじゃないけどナイス!」
それならばやんわりしたゲームだし、ミニゲームの勝利=ゲームの勝利でもないし、何よりワイワイ楽しめる。結構、初見のゲームが多いから、上手くいかなくても苛立つことない。基本「出来なくて当たり前だよね」ってスタンスでやるのだ。
それに、このゲームはチーム戦がある。だから、お互いをお互いにフォローし合えたりもするから、割と良い勝負になるのではないだろうか?
「じゃあ、私と隊長、シンと総帥チームですね」
「ふふ、負けませんわ。キラには」
「僕も負けないよ」
「今度こそ勝ちますよ俺も!」
結局、その日は割と深夜まで遊び倒した。
×××
夜中、ふと目を覚ましたキラは、周囲を見渡す。全員、テレビの前で寝てしまっていた。それは、ラクスも含めての事だ。
こんな風に普通の学生っぽく遊んでしまったのは久しぶり……と言うより、初めてかもしれない。
「楽しかったけど……しょっちゅうこんな遊び方してたら、ダメだよね……」
そう反省しながら、みんなを寝かしつけてあげることにした。招いた側だし、一つしかない寝室でシン、ルナマリアを寝かせてあげて、自分とラクスはソファーで眠る。もちろん、布団は予備があるのでそれらをかける。
まずは二人を運んだ後、ラクスの上に毛布と掛け布団をかけてあげた。このソファーで二人で寝るのは無理があるが、予備の布団はこのセットしかない。
少し寒いけど、キラはタオルケットだけかけて寝ることにした。テレビの電源と机の上に放置された飲み物等の食器だけ片付けて寝転がろうとすると、背後から声をかけられる。
「一緒に寝ませんか?」
「?」
振り返ると、ラクスが少し眠たげに瞼を半分だけ閉ざした様子でコチラを見ていた。
「そうしたいけど……狭くないかな?」
「ふふ、でしたら……一つになってしまえば良いのです」
そう言いながら、寝ぼけているのか少し強引に腕を引かれ、しがみつかれる。いつものラクスらしくないが、まぁたまにはそんなことがあっても良いだろう。
そのまま二人でハグしたままソファーに倒れ込んだ。
そういえば、こんな形になってしまったが一つ伝え忘れていた。
「ラクス、前に約束してたゲームだけど……ごめんね、こんな感じの大会になっちゃって」
「あら……覚えていらしたんです?」
「忘れるわけないよ。ラクスとの約束を」
すると、少し嬉しそうにラクスは頬を赤く染める。
「このような形でも構いませんわ。私は、シンと楽しそうにゲームをするあなたが羨ましかったのです」
「ごめんね、いつも出来なくて」
「お互い、忙しい身ですもの。仕方ありませんわ」
とはいえ、ラクスとゲームをするのも割と面白いものだった。ならば、やはりやりたい時にできるようにしたいものだ。
「ラクス、今度はまた何かオンラインのゲームを一緒にやろう。それなら、ミレニアムとプラント、別の場所にいても出来るだろう?」
「ふふ……そう、ですね……」
そのままラクスは眠たげに瞳を閉ざしていく。キラも、その様子を眺めながら笑みを浮かべて、目を閉じた。