ヴォートゥミラ大陸伝承記〜想念の姫と放逐の箱舟〜   作:?がらくた

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作品に目を通していただき、ありがとうございます。
作者のモチベーションと、作品を継続するか否かに関わるため、よろしければ評価、ブックマーク登録、お気に入り等お願いします。
当初の目標は話数=総合評価(10話=総合評価10pt)でしたので、なるべくそれに近づけるよう、支持していただければ作者冥利に尽きます。

気力が完全に失せたので、20話以降の投稿は不定期更新です。
一応これにて完結ということで。
ありえない話ですが3000万アクセス程度されたら金になるでしょうから、100万文字でも200万文字でも執筆し、創作に人生を賭すと約束します。
今は750PVなので、夢物語でしかないですが。
逆に言えばそれくらいの対価がなければ、執筆活動のモチベーションはありません。


第19話 呪いの特効薬 第20話 神を名乗る者

第19話 呪いの特効薬

 

 

「う、ぐぅ……」

 

担架から寝台に移されたセスは相も変わらず、唸るばかり。

皮膚を食い破るかのように呪痣の黒蛇は頻りに口を開き、その度に彼は陸に上がった魚のように震える。

一向に快復しない容態にトマスとジェレミーの両名は、静かに彼を見守った。

 

「呪刻人に弓を向けた、と。軽率だったね。彼らの感情を逆撫でしてしまうと、呪われるの当たり前だよ〜」

「でも呪刻人が害意を持っていたのは、事実なわけで……」

 

現場にいない彼は、第三者として何とでも言えるだろう。

あくまで威嚇目的で行ったセスも。

度重なる不幸と排除に人間を毛嫌いし、侵入者に対処した呪刻人も。

どちらが悪だと決めつけるのも傲慢だと、トマスは喉まで出かけた言葉を呑む。

 

「ああだこうだ言っても仕方ないね。治療に入るよ。といっても患者の負担にならない、対処療法しか方法がないわけだけど」

「はい、お願いします。ジェレミー衛生隊長」

 

頭を下げたトマスを見るや否や、ジェレミーは彼をまじまじと眺め

 

「大尉と同じ顔で礼儀正しくお願いされると、違和感があるね〜」

 

と、笑ってみせた。

呪いという非科学的な現象に対しても、人間は多くを語り継いできた。

呪いには大別して2種ある。

人形を使って間接的に身体の一部を負傷させる呪い、そして被害者の体毛や体の一部を用いた呪いだ。

しかし呪文によって刻まれたこの痣は、どちらにも当てはまらない。

呪文を唱えてもたらされたこの痣は、邪悪なる神や霊の類の力が原因ではないかと、一説には囁かれている。

 

「貴重なマンドラゴラだ。今はこれが最も呪いに有効とされている。少なめの用量でしばらく経過を観察するね」

 

ジェレミーは鞄から瓶を取り出すと、二股に伸びた根がまるで人の形のような奇妙な植物が、水に浸されていた。

絞首刑に処され、無念に逝った者の念が、呪いをも跳ね除けるのだろうか。

薬草師は指先に水をつけると、呪痣をなぞっていく。

 

「大丈夫、痛みはないかい? こういうこと可愛い子にやってもらいたいと思うけど、我慢してね〜」

「……確かに。今際の際だし、美女に介抱してもらいたいな」

「うわ〜、せっかく治療してるのに酷いな〜。元気になったらぶん殴ってやろうかな、君のこと。にゃはは」

 

ジェレミーが飄々とした態度を崩さずに云うと、セスも和やかに微笑んだ。

 

「エンバーも気掛かりだな。呪刻人にやられていなければいいけど。でもセスをこのまま置いていくのも……」

「ライリー大尉の弟さん、だったっけ? 君は君の為すべきことをするだけさ。ここは俺に任せてよ〜」

「……ここにいても、俺にできることはない。大切な仲間で友達なんです。少しでも楽にさせてあげてください」

 

ジェレミーはトマスの言葉に、力瘤を作る仕草で答えた。

軽薄でいまいち信用ならないが、常に余裕綽々とした振る舞いが、今だけは頼もしく思えた。

 

 

 

第20話 神を名乗る者

 

 

 

「……ハァハァ、待ってろよ。助けにいくからな!」

 

一息つく暇もなく、トマスはエンバーの元へと駆け出した。

エンバーは今頃、どうしているのか。

彼女は勿論、呪刻人にも何事もなければいいが。

足を止めずに落としたパンの屑を辿り、鬱蒼と繁茂した木々に身を投じると、前方に何かが蠢いた。

動物かと思い目を凝らすと、白の服を着た女性らしき人物が目に映る。

素足でゆっくりと徘徊しており、不可解だ。

危険極まりない樹海で、しかもあのような軽装で、何をしているのだろうか。

少なくとも調査隊の人間ではないのは確かだろう。

何か事情でもあったのか。

見て見ぬ振りをするのは忍びなく

 

「そこの人、大丈夫ですか?」

「……」

 

声を掛けるも、その女は無言を貫いたままだ。

獣の叫びが方々から聞こえる森は、いつの間にか閑静な樹海へと様変わりしていた。

五月蝿いので耳に届いていないと判断したトマスは、接近しながら声を張り上げる。

すると、ようやく彼女は彼の方へ顔を向けた。

―――邪悪としか形容できない毒笑を満面に湛えて。

間近に寄ると服は所々紅の液体に染まり、物理法則に従って地面に滴っていた―――この女、普通ではない!

視線を上げて再度彼女と目が合うと、咀嚼していたものを吐き出す。

口から出てきたのは何かの肉だ。

毛も混じっていて動物を貪っていたのではと、想像が膨らんでしまう。

 

「何者だ、お前は」

「アハハッ、私は神だ!」

 

訊ねたトマスの問いを嘲笑うと、歯の代わりに生えた鋭い針を覗かせる。

明らかな敵意に、青年には戦う以外の選択肢は残されていなかった。




神名乗る人形 エクスプレッションレス

種族·無機物
アライメント 中立·中庸

血塗れの白地の衣服を着た、人間の不安、好奇心が生み出した、異世界の口承で語り継がれる、無表情、無口の狂気的な女性型人形。
生物の肉片を噛み、神を自称するなど、常軌を逸した行動を取るという。
歯の代わりに生えた鋭く尖った針を武器に、敵対する冒険者や軍人を次々と強襲。
関わらなければ無害だが、拘束すると激しく抵抗するようだ。
神には触れてはならない、という戒めなのだろうか?

「……うぅ、なんか苦手だなぁ。何考えてるのか、全然わからない所とかさ」
「リースちゃんの怖がる瞬間が見れるなんて、ラッキーだねぇ」
「ジェレミー衛生隊長は、いつもそんな感じだね。襲われたら助けてくださいよ〜」
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