ヴォートゥミラ大陸伝承記〜想念の姫と放逐の箱舟〜   作:?がらくた

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作品に目を通していただき、ありがとうございます。
作者のモチベーションと、作品を継続するか否かに関わるため、よろしければ評価、ブックマーク登録、お気に入り等お願いします。

丁寧に前書きで伝えても誰も評価しないのを、愚痴っても仕方がないので、率直に今の感情を吐露します。
評価されなくとも作者に時間とモチベーションさえあれば、作品は完結するので、つまるところ作者の意思が創作において、最も重要な要素なのでしょう。
けれど時間は有限で一切の評価もされず、世間から冷笑されても挫けない、無限のモチベーションの持ち主の作家など存在しません。
だからこそ作者自ら努力の一助となりうる評価、ブックマーク登録、お気に入り等をしてほしいと再三主張しても、読者がそれをしないのだから、もう続けないでいいのだと判断しました。
キリのいい10話まで続けて反応がなければ辞めるので、作者の決断への、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


第8話 謎の男 第9話 食うか食われるか

第8話 謎の男

 

青年が冒険者らを連れて拠点へと戻ると、帝国軍は魔物との交戦の真っ最中であった。

 

「帝国の威光にかけて、敵は排除あるのみ!」

 

抵抗した銃士が冷徹に発したと同時に、硝煙の匂いが周囲に立ち込める。

だが、それが罠であった。

彩り豊かな自然に紛れた怪物は薄桜色の花弁を広げると、花粉を舞い散らせ―――突如軍人たちが苦しみ出したのだ。

 

「うぅ、な、なんだ、急に……」

「ぐ、う、う……」

 

喉を抑え、息苦しそうにした彼らを救う手立てはあるか。

だが今は一刻も早く、魔物を殺さねばならない。

花畑に混じる怪物を見定めようと、ライリーは目を凝らす。

その時である、何者かの気配を感じたのは。

 

「……」

 

視線の先には虎柄の皮を被り、帝国軍の動向を見据える男が一人。

……まさかあの男が魔物の指揮を!?

ライリーと虎柄の男が目が合うと、逃げるように茂った樹海へと姿を消した。

確かめるように別の隊員へ訊ねると

 

「先も待ち伏せるように、リース伍長と私を魔物が襲ってきた。裏で誰かが指揮していると、勘繰っていたが」

「……もしや、あの男が?」

「すまないが、ここは君たちを信頼し任せよう。私は部下数名と彼奴を追う。ローレン少尉、ジェレミー衛生隊長、同行したまえ」

 

青年は的確に状況判断し、足早に駆けていく。

あの男が元凶なのかという、深まる疑念に答えを出したいがために

 

 

 

第9話

 

悠遠なる刻を過ごした苔むす木々の中、息を吸い込むと、穏やかな気持ちになるものだ。

しかしライリー一行は、虎柄の毛皮の男を見失い、焦燥に駆られていた。

 

「……チッ、逃がしたか。逃げ足の素早い男だ」

 

舌打ちする青年の横で、きょろきょろと辺りを見渡す少尉。

だがそんな2人へ間延びした、気の抜ける話し方で真っ白の茸を指差した。

 

「いろいろな植物が自生してるね〜。おお、〝愚か者の茸〟。いわゆるバカキノコと近縁の一種に似てるね〜。毒があるかもだから、食べたら駄目だよ〜。2人共」

「……バカキノコ? それは自虐かね、ジェレミー衛生隊長」

 

ライリーが彼に小言をいうと

 

「よっ、嫌味の天才にして悪態の王子。ライリー大尉。そんなんだから人から嫌われるんだぞ〜」

 

口を緩めてジェレミーは言い返す。

 

「……あまり私を愚弄するようなら、上官命令で君を最前線に送るぞ」

 

ジェレミーの軽口に、眉一つ変えずライリーは呟くと、青年は再び歩み出した。

冗談ならばおどけるか、陽気に笑って云うものだ。

それに青年はつまらないジョークを飛ばすタイプではない。

一蹴されたジェレミーはうなだれ、その場に立ち止まる。

早くあの男を探さねばならぬというのに。

苦虫を噛み潰したように、ライリーは顔を歪めた。

 

「何をグズグズしている、さっさと来い!」

「いや、もう無理だって〜。それより足跡があれば辿れると思うし、地面を調べてるんだけどね〜」

 

そういうと彼は四つん這いになり、見落とすまいと双眸を見開く。

ジェレミーの発言にも一理ある。

人や魔物の痕跡があれば、いずれあの男の元へと着くやもしれない。

 

「それよりさ〜、可哀想な俺に何か一言ないの? 『さっきは悪かったな、ジェレミー衛生隊長』とかさ〜」

 

ジェレミーは首を傾げ、瞳を潤ませ、ライリーへ訊ねた。

異性がやれば普段は冷徹な彼も、少しは考えを改めただろう。

だが大の男がぶりっ子をしたところで、余計に腹が立つだけである。

 

「……まずは軽薄な態度と馬鹿を治せ。それから口を利いてやる。阿保と話すと、私の知能まで落ちるからな」

 

眠たげに半分開いた瞳で一瞥すると、冷淡に吐き捨て、青年は目を背ける。

 

「いや〜ん、辛辣っ! この上官、怖いんだけど! 慰めてよ〜、ローレン少尉〜!」

 

唐突に名を呼ばれた彼女は困惑し、青年に助け船を求めるように

 

「ええと、どうすればいいんでしょう。大尉。ああいう人は初めてで対処がわかりません」

 

と、聞いた。

 

「少尉、あの馬鹿男と絡んでも何も得られまい。薬草師であるから、樹海探索に多少の役には立つかと考えていたが……見込み違いだったらしい」

 

溜め息をついて暫く付近を探すと、大木の根元には生物の出入りできる穴を見つけた。

おそらくは魔物の巣だろう。

 

「ここにいる魔物が、襲ってきたとは限りませんが……」

「拠点の近くに棲み着く魔物は、殲滅せねばなるまい。我らの安全の為にもな」

 

青年が腰のサーベルに手を掛けるや否や、四方八方から唸り声がした。

彼らの敵意を察知した獣が、徒党をなしてきたのだ!

 

「おいおい、やばいんじゃないの。俺、あんまり強くないのに〜! ここで死にたくねぇよ〜!」

「大尉、これは……」

「……魔物に敵と認識されたのだろうな。よかろう。貴様らの骸は、我々が有効に利用してやる」

 

不敵に微笑み、青年は群れの狼と対峙した。

自然の中では人も、弱肉強食の一部に組み込まれる。

―――食うか食われるか。

どちらかの死でしか争いの終わらぬ世界に、彼らは自らを捧げたのだ。

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