ヴォートゥミラ大陸伝承記〜想念の姫と放逐の箱舟〜 作:?がらくた
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当初の目標は話数=総合評価(10話=総合評価10pt)でしたので、支持していただければ作者冥利に尽きます。
あと先日はぱかライブを鑑賞していたので、昨日は執筆作業の暇はありませんでした。
明日は新シナリオを遊ぶのに忙しく、投稿できないかもしれません。
「ヒヒヒヒヒッ!」
何が可笑しいのかわからないものの、不気味な勧笑を上げる兎面の狂人。
鉤爪を装着した、もう1人の男は腰を抜かしたジェレミーへと向かう。
無抵抗な弱者を狙う、戦闘の定石だ。
「大尉や衛生隊長に危害を加えないで、ソムス」
ローレンが詠唱すると、睡魔に襲われたのか。
鉤爪の男と兎面の狂人は眼をこすり、突然の眠気を堪える。
やがて彼らは羊羹色の自然のベッドの上で横になり、眠り始めた。
「何とか切り抜けたか」
「オマエタチハ、平気デ人モ生物モ殺ス。生命育ム想念ノ姫二対スル冒涜ダ。恥ヲ知レ、悪党」
想念の姫とは、彼らの信奉する神だろうか。
狼面の男には単なる殺人鬼とは違い、樹海の秩序を重んじる者としての使命と責任、知性が感ぜられる。
対話にも応じてくれそうだ。
「貴様ラガ手ヲ下シタ、血染メノ狼ヲ見ロ。人間二悪魔ト蔑マレ、無念二息絶エタ無数ノ生命ヲ。心ガ痛マナイノカ? オマエタチノ身勝手、断ジテ許サレン」
どうやら彼の主張は無闇に殺すな、という至極まっとうな内容のようだ。
だが樹海の法など知り得なかったライリーらが、自らの所業を反省できるはずもない。
「私たちは魔物を退けたのみだ。生憎むざむざ死んでやるほど、高尚な精神など持ち合わせてはいないのでな」
青年が悪態をつき反感を示すと、狼面はどこからともなく穂先に装飾のなされた大刀を精製し
「長キ歴史ノ中デ拷問ヤ迫害サレタ、罪ナキ者ノ生命ヲ奪イ、マダ殺シ足ラヌ罪深キ人間。自ラヲ戒メ、懸命二生キヨ。サスレバ想念ノ姫ハ、愚カナオマエタチヲモ、慈愛ニ満チ満チタ抱擁ヲスルデアロウ」
と言い放ち、ライリーへ迫る。
まずい、このままいけば殺されてしまう。
青年が魔狼を殺害した事実が覆りはしないが、何とかこの場を切り抜けられれば。
ローレンは狼面に命を乞うた。
「すいませんでした。我々が悪事を働いたのは認めます。ですがそれは樹海での法を知らぬが故の行い。許してはいただけませんか?」
「ソモソモ貴様ラガ気ニ入ラン。忌ミ嫌ワレ疎マレタ者ガ集ウ樹海デ暮ラス我々ヲ、散々否定シテオキナガラ、今度ハ土足デ踏ミ入ルカ。馬鹿ハ死ナネバ治ランノダナ」
彼女が説得を試みるも、狼面は敵対的な姿勢を崩さなかった。
しかし調査隊が樹海へ侵入したのを、部族の仲間へ報告するのを優先したのであろうか。
「異界ノ口承≪フォークロア≫デ語ラレタ、身モ凍ル殺人ノ数々。オマエタチガ次ノ被害者ダ。忠告ヲ無視シタ報イ、ソノ身デ受ケルガイイ」
そう言い残すと木によじ登り、ぶら下がる蔦から蔦へと飛び移って、狼面は去っていく。
一行の胸の鼓動とは裏腹に、樹海は生命の存在を感じられぬほどの静謐(せいひつ)に包まれ、三人は拠点へと戻ったのであった。
「リース伍長とジェレミー衛生隊長のドキドキ♡ワクワク☆魔物図鑑」
魔狼 デビルウルフ
種族·動物
アライメント 中立·中庸
湾曲した山羊の角が生えた狼。
鋭い犬歯で獲物の肉を食い千切る、群れを形成し狩りを行うなど、概ねの生態は一般的な狼に類似する。
特段強力な魔物ではないものの、数の暴力で押し切られないよう注意が必要。
ただ通常の狼と異なる特徴として自我を持つかのように行動し、魔女等の悪魔と縁深いとされる人物の集会に、参加する点が挙げられる。
長い歴史で狼は悪魔の遣いという、事実無根の罪が着せられた。
だが樹海で遭遇した彼らによって、根も葉もない嘘は真実へと塗り替えられた。
「……ハァ、残念だな」
「あれ、どうしたんだい。可愛い狼の魔物だから、リースちゃん、喜ぶかと思ってたけど」
「……アタシのふわもこコレクションに加えるには、ちょっと厳ついかな。いや、そこは魔物使いの力の見せ所よ、リース!」