なんかバッドエンド世界線ぽかったので死ぬ気でコンティニューさせてみた   作:予備肉食

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最終回(大嘘)


あまねく奇跡の〜……うーんなんだこれ

あの激動ともいえた日を超えた次の日、私はシャーレに向かった。

部屋は私がいなかったにも関わらずホコリが被ることなく綺麗な状態を保っていた。

それがつい昨日までカナエが生きていたということを嫌でも想起させられる。

 

私の席の向かい側が、彼女の席だった。

疲れて顔を上げると、同じタイミングで顔を上げたカナエと目が合い、一緒に休憩する。

2人でこっそり買ったおもちゃの領収書がユウカに見つかって、2人仲良く怒られたこともあったっけ。

 

ああ、だめだ。

自然と思い出に縋ってしまう。

ちゃんと、受け入れなければいけないのに。

自分の席の背もたれにもたれ掛かり、軽くため息をついた。

そうしていると、ふと誰かが部屋に入ってきた。

 

「先生…退院おめでとうございます。ご無事でなによりです」

 

”アロナ…ただいま”

 

入ってきたのはアロナ連邦生徒会長だった。

しかし退院を心から祝う笑顔には、少し陰りが見えた。

 

「……」

 

”……”

 

沈黙。

窓から見える気持ちのいい快晴の空とは打って変わって、暗い沈黙が部屋を支配する。

私だけじゃない、彼女もまた、カナエの死を受け止めきれていないのだろう。

 

”あの後、カナエはどうしたの?”

 

「…このサンクトゥムタワーの地下に、遺体を厳重に保管しています」

 

”そっか……まだ、受け止めきれてないね。私も、アロナも”

 

「そう、ですね…」

 

”……”

 

「……」

 

再びの沈黙。

しかし俯いていたアロナが、意を決したように顔を上げた。

 

 

「先生、ごめんなさい」

 

「私ではカナエちゃんを、止められませんでした」

 

”アロナは悪くないよ”

 

「いいえ、それだけじゃないんです」

 

「カナエちゃん1人の犠牲で先生が戻ってきて、滅びを一時的に回避できたことに、ホッとしてしまっているんです」

 

”アロナ…”

 

いつも気丈に振る舞うアロナとはかけ離れた姿だった。

大変なことをしてしまい親に許しを乞うて泣く子どもようだ。

その姿は普段の姿も相まっていっそう弱々しく見える。

 

「先生。私は、カナエちゃんがあの奇跡を行使する1週間ほど前に、カナエちゃんにその計画を知らされていたんです」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

自分の内に眠る膨大な神秘を使い切ってこの滅びかけているキヴォトスにもう一度だけ再起するチャンスを作る。

その計画を聞いた時、私は猛反対しました。

 

「何を言っているんですか!そんな危険なこと、私が許すとでも思っているんですか!?」

 

「思ってないから説得しに来たんです!どうか納得してください!」

 

「だめです!まだ手はあるはずです。それらを実行していけば自ずと──」

 

「アロナ連邦生徒会長!!」

 

「─っ!」

 

カナエちゃんの目は真っ直ぐと私を貫いていました。

一つも迷いなどない、覚悟などとうに決めているという意志を感じました。

 

「このキヴォトスはもう、限界なんです…。私もアロナ会長も、それぞれの自治区の生徒も、皆全力を尽くしました」

 

「その上で、今の惨状なんです…」

 

「それは…」

 

それは、その通りでした。

私たちがどれだけ力を尽くそうとも、根本的な解決、良い方向への転換ができていませんでした。

それどころか、勝手に悪い方向に情勢が傾いていく。

そんな現状に、少し限界を感じていたのも、また事実でした。

 

「アロナ会長。私は、最高の未来を知っています。誰もが一生懸命に生きて、絶望を仲間と共に乗り越え、笑いあって青春を謳歌している、そんな未来を」

 

「でも未来を勝ち取るには、先生が絶対に必要なんです!大人としての責任と義務を負える先生でしか、全ての生徒に寄り添ってあげられる先生でしか、救えないものがある」

 

「だからどうか止めないでください!お願いします!」

 

カナエちゃんはそう必死に頭を下げていました。

この時点で私の答えはもう出ていました。

頷くべきだと。

でも頷いてしまえばそれは、私が彼女に…大義のために死ねと言うのと同義。

それが、私の喉から出かかっていた答えを阻んでいました。

 

でもカナエちゃんは、それさえも見抜きました。

 

「アロナ会長…ううん、アロナさん。これは貴方のせいではないんです。これは自己満足です。本来このまま捻れて歪んだ終着点になるはずだったこの世界を、烏滸がましくも救いたいと願った、私のわがまま。例えもしここでアロナさんを説得できなかったとしても、私は無理矢理実行するつもりでいました」

 

カナエちゃんはゆっくりと私の元に歩み寄ってきて

 

「だから、アロナさんが背負う責任は、何も無いんです」

 

そのまま、抱きしめてきました。

涙が、溢れて、止まらなくなりました。

何も出来なかった不甲斐なさ、ここまで追い込まれてしまった責任、いままでの失敗、それら全てを彼女は背負い、持っていこうとしている。

それの辛さが分かっているのに、私には、頷く選択肢しかありませんでした。

 

「ごめんなさい、ごめんなさいっ…!」

 

「謝る必要もないんですよ、アロナさん。むしろ謝るべきはこちらです。責任を感じさせるようなことをさせてごめんなさい。そしてありがとう、頷いてくれて」

 

カナエちゃんに感謝されることなんてこれっぽっちもないのに、彼女はありがとうと言いました。

こんなにも胸を締め付けられる『ありがとう』は初めてでした。

 

「…アロナ会長、落ち着いて聞いてくれますか?」

 

「うん」

 

「これはアロナ会長に対する私の最後のわがままです」

 

「うん、聞く、聞くよ」

 

「私が計画を実行した後、先生は再起します。だから今度は、先生を信じて委ねてあげてください。先生が生徒と真摯に向き合うことができなければ、役割は全うできません。生徒を、救うことはできません。だから、どうか」

 

「…うん、わかった。信じてみる。カナエちゃんがそこまで信じる先生なら、私は委ねてみる」

 

「その言葉が聞けてよかった。…じゃあ、またね、アロナさん」

 

「…!うん、またね、カナエちゃん」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

”そっか、そんなことがあったんだね…”

 

「私は先生を信用したつもりでいました。だけど、あの時アビドスの問題に深く関わるのを阻んだのは、私が心の底では先生を信用しきれていなかったからだと、気づきました。先生、ごめんなさい」

 

”いいよ、まだ、これからがある。カナエが作ってくれたこれからが。私もアロナのことをもっと理解して、もっと信じるから。だから、アロナも”

 

「っはい!もちろんです!」

 

自然と互いに手を差し出し握手をする。

そこには確かに深い信頼と絆を感じられた。

 

ポーン

 

突然電子音が部屋の中に響き渡った。

今のはメッセージが届いた時の音だ。

 

『先生、メッセージが、届い、て……?』

 

”アロナ?誰からのメッセージ?”

 

『先生、このメッセージは…カナエさんからです』

 

”なっ、カナエ!?”

 

「でもカナエちゃんは…」

 

『恐らく、予め今日のこの時間に送られるよう設定されていたのだと思います。メッセージの内容は音声ファイルだけです。再生しますか?』

 

”…お願い、アロナ”

 

 

 

───────再生開始

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト。うん、大丈夫そうですね。こんにちはでいいかな、先生?』

 

『このメッセージが届く頃には恐らく私は死んでいる、もしくはそれに類する状態になってるはずです。なので、まぁ、ごめんなさい』

 

『今思い返してみると、先生との付き合いは今日までのたった半年程度なんですよ。びっくりですよね、もう1年くらい一緒にいた気分でいました』

 

『先生、初めて会った時を覚えてますか?あの日私を拾ってくれてありがとうございました。全部の情報が無い無い尽くしでかなり怪しかったと思うんですけど、それでも受け入れてくれた時は、あまりにもお人好しが過ぎると思いました。それが先生のいい所でもあるんですけどね』

 

『懐古するのはここまでにしましょうか。先生、そちら今の状況ですが、私の奇跡を行使しても、恐らくまだまだ危機的状況です。すぐにでも、動いた方がいいです』

 

『かなりの綱渡りになると思います。それでも私は先生なら、皆を最高の未来へと導いてくれると信じています』

 

『さて、最後のお願いはアロナ会長に使ってしまいましたし、一生のお願いもこの後使う予定が入っていますから…これは私の先生への最後の我儘です』

 

『私が夢見た最高の未来を、成してください。最高じゃなくてもいい、なんて私は絶対に言いません。妥協無しで、私は最高の未来を見たかった』

 

『もう時間ですね。…じゃあね、先生。後は頼みます』

 

 

───────再生終了

 

 

『音声ファイルの内容は、以上です』

 

“最後の我儘、か。この図々しさはカナエらしいね“

 

「ええ、ですが、応えないわけにはいきませんね」

 

“うん、そうだね“

 

ここからだ。

ここから、私は再出発をする。

ちょっと長すぎる休憩だったけど、もう立ち止まらない。

カナエが繋ぎ止め、耐え忍び、打開したこの今を最高の未来へ繋げるために。

 

 

いってらっしゃい、先生

 

 

“…いってきます、カナエ“

 

 

 

まだブルーアーカイブは、終わらせない(Blue Archive Re:start)

 

 

 




って感じでこの後先生はなんやかんやあって本来の先生としての役割を果たして無事最高の未来へと辿り着くわけですね〜、いやーめでたい。
え?辿り着くまでの過程を書け?どうして書かなきゃいけないんですか(絶望)
まあ過程のストーリーは上手く辻褄が合うものが作れれば書きます。
連邦生徒会長の名前はもう何書いても後々角が立つかもしれないのでとりあえずアロナとしました。
この後シッテムの箱のアロナはプラナに改名されます。同名(オリジナル)がいるからね、しょうがないね。

それはそうと今回の癖はボイスメッセージです。
SAOのサチのボイスメッセージでドバドバ泣いた思い出があるのでボイスメッセージを入れてぇなぁと。今回は曇らせというより激励みたいになってしまったのが不満点ですね。

誤字あったらすんません。
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