遊戯王の世界に転醒したけど握ってるデッキがバトスピだった   作:みかんこ、アーイイ。実にイイ。

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第13話 多分5話後半くらいの話-前編-

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

Toa

4000

Toa

4000

VS

Kanon

4000

Kanon

4000

 

 よし、デッキの調子は上々!

 遊陽から貰った汎用札をメインとEXにちょっとずつ入れたけど、デッキが機嫌を悪くしてない。ほとんど無かった魔法と罠(バック)触れる札だもんね、許してくれたらしい。よかったよかった。

 あとは先手さえ取れれば万々歳なのだが──

 

「先攻は私」

 

 ──そうも都合よくはいかないらしい。

 車椅子に座る膝の上、展開されたデュエルディスクに先攻の権利は譲られていた。デュエルは非情だ(ミラフォ並感)

 

「メインフェイズ1開始時、EXデッキから6枚のカードを裏側で除外し[強欲で金満な壺]を発動。チェーンがなければカードを2枚ドローする」

 

「チェーンはないよ」

 

「そ、なら遠慮なく」

 

 うららがあれば。そう思わずにはいられないが、多分いまのあたしじゃ積んでても引けないのは理解している。

 何せこの[天星12宮]デッキは、元々『私』のデッキだったものを『僕』の知識で無理矢理回しているだけ。まだ『あたし』のデッキとは言えないから。

 

 だけどこの時点で、彼女のデッキについて分かったことがある。

 

 この加速した現代遊戯王環境において、わざわざ強金なんてドロソを使ってる以上EXデッキへの依存率はかなり低いはず。速くてラビュリンス、遅ければメタビ、速度で封殺される事はない!

 

「続けてフィールド魔法[夕影の小麦畑(ダスクセット・ハーベスト)]を発動」

 

「……くっ」

 

 そんなあたしの思考を遮るように発動されたのは、見たことも聞いたこともないフィールド魔法。きっと遊陽の使っていたヴィジョンズのようにこの世界固有のカード、そしてテーマなのだろう。

 

 世界が夕焼けの小麦畑へと染まっていく中、確認したカードテキストは。

 

夕影の小麦畑(ダスクセット・ハーベスト)

フィールド魔法

自分フィールド上にモンスターが存在する場合、このカードの効果は無効化される。

①:1ターンに1度、自分は「夕影」モンスターの効果を発動する際に、代わりにデッキのモンスターをリリースできる。

②:このカードがフィールドに存在する限り、お互いのプレイヤーはモンスター1体でしか攻撃できず、自分のターンで数えて2ターンに1度しかバトルフェイズを行えない

 

 リリースの補助効果と攻撃の抑制効果、そして自分のフィールドにモンスターがいる場合無効になる制約効果。

 所感としては、多分デッキのメインエンジン。世壊系フィールド魔法と比べると低スペックだし、制約と補助と制限効果が衝突事故を起こしてるように見えるけど……多分、歯車が噛み合うのだろう。知らんけど。

 

「へぇ、随分とお洒落なテーマじゃん」

 

「否定はしない。これで強ければ、私もきっと相棒にしていた」

 

 えっ。

 

「続けて魔法カード[刻を捻る星瞳(アイオライト)]を発動する。

 [星瞳(アイオライト)]の効果は3つ。

 1つ『私はモンスターの通常召喚・セット・EXデッキからの特殊召喚ができない』

 2つ『自分ドローフェイズの通常ドローは2枚になる』

 3つ『私は魔法カードをメインモンスターゾーンでも発動する事ができ、手札の枚数制限がなくなる』

 コレをデュエルの終了まで適用する」

 

 続けて発動されたのは、正しく遊戯王を捨てると言わんばかりの強烈すぎる自己制約カード。名称からして[時を裂く魔瞳]の系譜、そしてあちらと違い手札に制約が掛からない。

 

 なにか嫌な……とてつもなく嫌な予感がする!

 

「更に永続魔法[悪夢の鉄枷]をメインモンスターゾーンに配置」

 

 そのカードがフィールドに置かれた瞬間、あたしの手に無骨な鉄の枷が嵌められた。

 

「このカードの効果もまた、3つ。

 1つ『相手は1ターンに3回までしか召喚・特殊召喚・モンスターのセット・反転召喚を行えない』

 2つ『相手は200LPを払わなければカードをプレイできない』

 古いテキストだから補足すると、『プレイ』の範囲は禁止令の適用範囲と思ってくれていい」

 

 緩めの[サモンリミッター]と緩めの[魔力の枷]を内蔵した永続魔法!?

 

「なにそれ!? 幾らなんでもオーバースペックが過ぎるよ!!」

 

「そう、だから制約効果がある。

 3つ『相手エンドフェイズに発動する。相手は手札を1枚捨てることでこのカードを破壊出来る』

 どう? 少しは弱くなったでしょ?」

 

「どこが……!!」

 

 確かに3つ目の制約効果を考えれば、それこそ[一時休戦]や[大熱波]のような1ターンを凌ぐ効果に見えなくもない。むしろロックの緩さと主導権がこちらにあるのを考えれば、[増殖するG]や[マルチャミー]シリーズが1番近いか?

 だがそれらのカードを弱いと断ずる者が決闘者(デュエリスト)に……少なくとも、あたしの知る『僕』の世界(OCG次元)にはいない。それが答えだ。

 

「それじゃあ、私はターンエンド」

 


 Prayer:海音 手札:3

 LP:4000【Tern1】

 

 フィールド魔法:夕影の小麦畑

 ⑦:悪夢の鉄枷

 

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 

 

空白

空白

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 

 

 LP:4000

 Prayer:トア 手札:5


 

「私のターン、ドロー!」

 

 細く息を吸って、改めて手札と盤面を見る。

 

 相手の盤面は2枚。こちらに制約をかける[悪夢の鉄枷]と、恐らく②の攻撃制約効果をメインとする[夕影の小麦畑]。残りの手札は内容不明が3枚。

 1ターン目の動きは遅く、手札補充を重視していた。加えて態々手札に制約をかけない魔瞳(モルガナイト)系列の効果を使っている辺り、デッキタイプは割れたと言っていい。

 

 シンクロすらも通り過ぎて加速した現代遊戯王において、それはとうに忘れられたデッキタイプ。

 大量の原義的な意味のカウンターで行動を妨害し、除去やバウンスによってデュエルを支配するコントロールのご本尊。

 

 名を、パーミッションという。

 

 ちょっと崇光なる宣告者(アルティメット先輩)は座ってて、ステイ。

 

 こういったデッキタイプの特徴は、現代遊戯王にあるまじき1ターン目の貧弱さ。まだ攻撃制約と安いバーンによる緩いロック、そして手札と伏せの3枚による妨害しか相手にはない。

 

 対しこちらの手札は6枚。

 遊戯王らしからぬ区分だけど、あたしのデッキは分類するならコンボ。コントロールの格好の獲物だ。だけどこのデッキは、コンボを無視して小型に耐性を撒いて速攻するアグロにもなれる。

 

「残り20秒」

 

 もう10秒も考えていたらしい。厄介な。

 だが方針は決まった。なら後はルートを決めるだけ。

 

(あたしの手札には除去はなく初動が2枚、ベラとヴァージニア。本来ならベラ→リリア→ヴァージニアでリソースを稼いで展開したいけど、枷のせいでダメージが嵩むし、召喚制限のせいでリリア着地からダメージを伸ばせない)

 

 なら答えは1つ!

 

「あたしは手札から[天星12宮 光星姫ヴァージニア]を召喚!」

 

 トア LP4000→3800

 

 光星姫ヴァージニア 「はぁい!」

 ATK1300

 

「更にヴァージニアの召喚時効果! このカードに「星座カウンター」を1つ置き、自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中からテキストに「星座カウンター」と記されたカード1枚を手札に加える!」

 

ダメ。チェーン、手札から[灰流うらら]。その効果を無効にする」

 

「でも効果処理として、星座カウンターはヴァージニアに置かれる!」

 

 トア LP3800→3600

 

 うふふ、と聞き覚えしかない笑い声が響きサーチ効果は封殺された。

 そりゃあ持ってるのは想定してたし、前提として動いていたけど、なんか……なんか釈然としない。

 

「バトルフェイズ!」

 

「ふぅん、本当にデュエルは強いんだ」

 

 感心するような視線を受けながら、バトルフェイズに突入する。

 幸いにもデュエルのライフは4000制、ヴァージニアでも4発殴れば決着する!

 

「ヴァージニアでダイレクトアタック!」

 

 トア LP3600→3400

 

「こっちの手を暴きにくるのはいいね。でも、易々とは通さない。

 手札の[速攻のかかし]の効果を発動。このカードを捨てて、バトルフェイズを終了する」

 

「くっ……」

 

 ヴァージニアはカウンターが乗っている間、罠カードの効果を受けない耐性をばら撒ける。かかしはかかしでも、くず鉄の方なら良かったのに。

 

「メインフェイズ2、私は手札から[スターリードロー]を発動!」

 

 トア LP3400→3200

 

「自分の星座カウンターを1つ取り除いて、デッキトップ3枚を確認。そのうち「星座カウンター」の名前が記されたカードを1枚、今回は[天星12宮 鋼星騎スコルリッター]を手札に加え、残りをデッキボトムへ送る!」

 

 文句を言っていても仕方ない。

 手札誘発に対するカウンターは引き込めたことだし、これでヨシとしよう。

 

「カードを1枚セットして、エンドフェイズ!」

 

 トア LP3400→3200

 

「[悪夢の鉄枷]の効果を適用して、手札を1枚墓地へ送り枷を破壊する!」

 

 これで次のターン以降、あたしに対する連続バーンは発生しない。妨害も2枚は吐かせた、序盤の動きとしては上々と言えるだろう。

 

「あたしはこれでターンエンド」

 


 Prayer:海音 手札:1

 LP:4000

 

 フィールド魔法:夕影の小麦畑

 

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 

 

空白

空白

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 

 

 ⑫:天星12宮 光星姫ヴァージニア

 ⑲:伏せカード

 

 LP:3200【Tern2】

 Prayer:トア 手札:3


 

「私のターン、2枚ドロー」

 

 ここまでどうにかリソースを削ったはずなのに、彼女の顔に焦りはひとつもない。悠々自適に手札を繰っていた。

 

「手札から魔法カード[発見された先行研究(ディスカバリー・シーシス)]を発動。手札から「魔導学士」カードか永続魔法カードを1枚墓地へ送り2枚ドローできる。

 制限は名称ターン1、サブ効果で論文カードとしても扱うけど、使わないから気にしないでいい。それで、通る?」

 

「妨害はないよ」

 

「なら継続。手札から[戦場の惨劇]を捨てて2枚ドロー」

 

 魔導学士に論文、また見たことのないカードだ。

 こんな状況でのデュエルじゃなければ、もっと突っ込んで色々聞きたいのに!

 

「続けて手札から魔法カード[悪夢の鉄錠]を発動」

 

 先ほど枷が外れたばかりの腕に、今度は無骨な錠前が施された。

 

「鉄枷じゃ、ない?」

 

「そう。鉄錠の効果も3つ。

 1つ『相手は1ターンに3枚までしかカードを手札に加えられない』

 2つ『相手は200LPを払わなければ攻撃宣言・カードの効果を発動できない』

 3つ『相手エンドフェイズに発動する。相手は手札を1枚捨てることでこのカードを破壊出来る』」

 

 今度はドロー&サーチロックと攻撃・効果発動で誘発する小さなバーン。どうしよう、気持ちよくなるために始めたデュエルだった筈なのに、ものすっっっごく息苦しい!

 

「そして[悪夢の鉄錠]を対象に[魔導複製術]を発動。その永続魔法と元々の名前・効果が同じ「複製トークン」1枚を、永続魔法扱いで自分フィールドに置く」

 

「んな!?」

 

 また遊戯王にあるまじき、MtGみたいなカードを……!!

 

魔導複製術

通常魔法

このカード名の①②の効果は、1ターンに1度いずれか1つしか発動できない。

①:自分フィールドの永続魔法1枚を対象として発動できる。その永続魔法と元々の名前・効果が同じ「複製トークン」1枚を、永続魔法扱いで自分フィールドに置く。

②:このカードが墓地に存在し、自分フィールドで永続魔法が発動された場合に発動できる。このカードを手札に加える。この効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。

 

 しかもよく見てみれば、再利用効果までついてるし……

 

「私はこれでターンエンド」

 


 Prayer:海音 手札:1

 LP:4000【Tern3】

 

 フィールド魔法:夕影の小麦畑

 ④:悪夢の鉄錠(複製トークン)

 ⑦:悪夢の鉄錠

 

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 

 

空白

空白

 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 

 

 ⑫:天星12宮 光星姫ヴァージニア

 ⑲:伏せカード

 

 LP:3200

 Prayer:トア 手札:3


 

 もう! どうしてあたしに気持ちよくデュエルをさせてくれないんだ!! もう!!!

 あたしとデュエルをしろおおおおおお!!!!




【本日のテーマ紹介──魔導学士編】
 テーマ内のカードに「魔導学士」「論文」「魔導書」含む効果モンスターと永続魔法をメインとしたテーマ。ある程度の学歴と年齢を重ねたプレイヤーに対する精神的攻撃力が極めて高い。

・モンスター
 魔導学士バテル──つよつよのサーチャー。目が死んでいる。

・魔法
 論文カード──永続魔法、複数ある。
 査読の審判──速攻魔法、まだ大丈夫
 発見された先行研究──死、手札交換
 学会討論会場──フィールド魔法、処刑場
 
・罠
 致命的な素人質問──死、万能無効
 リジェクト─────全体破壊
 

デュエルの強度(難解さ・戦術等)は

  • このままでいい
  • もっと難しくていい
  • もっと簡単でいい
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