遊戯王の世界に転醒したけど握ってるデッキがバトスピだった 作:みかんこ、アーイイ。実にイイ。
「契約の巫女、トアの名において命ずる。
ゲートオープン、界放!」
再び眩い光が世界を包む中、6色の輝きが輪となって俺たちを包み込む。そうして気がついたら時には──
「ここ、は……?」
円形の闘技場……が一番近いだろうか?
巨大なフィールドの端と端の対角線上、片方にはディスクを構えたトアと俺が。もう片方には、虚な表情の聖が立っていた。
「安心して、ここはあたしが呼び出した専用のバトルフィールド。半分、闇のゲームみたいなものだと思ってくれていいよ」
「全くもって安心出来ないんだが!?」
──と、反射的に叫んでから気付いた。
自分の身体かある。さっきまでは幽体離脱していた様な感覚なのに、今は半透明ながら自分の手が見える。足が見える。しかも割と自由に動ける。
「おぉ〜、アストラルみたいでカッコいいじゃん!」
「アストラルって……まあ確かに
「まあ大丈夫。あたしの仕事はね、勝つ事だから」
しかしこちらの意見もどこ吹く風、ニヤリと笑みを浮かべてトアはデュエル・ディスクを構えた。
闇のゲーム……噂には効いたことのある、ソリッド・ビジョンが実際にデュエリスト本人へ危害を及ぼす程のデュエル。今までは所詮都市伝説としか思ってなかったが、今となっては疑えない。
「遊陽とキミのライバル、どっちも助けてあげるから!」
トアに合わせる様に、抜け殻のような聖もゆらりとディスクを構えた。いつか、まだか、いや今か。緊張感の満ちる中、遂に──
「「デュエル!!」」
デュエルの火蓋が切って落とされた。
「先行はもらった、あたしのターン!」
どうにか先行は取れた。
だが相手は
「あたしは手札よりレベル2[ワイバーン・ベラ]を召喚!」
ワイバーン・ベラ「ギュオオ!」
ATK800
現れたのは、見たことも聞いたこともないモンスター。
「召喚時効果を発揮、手札の[天星12宮
そしてそのまま、ベラ第2の効果を発動! ターンに1回、あたしの場に永続魔法が置かれた時、このカードに《星座カウンター》を1つ置きデッキから1枚ドローできる!」
ワイバーン・ベラ(星座C0→1)
紅鱗の竜が嘶くと、光に包まれた天使のような存在が出現する。
そのどれもが[カルマギア]と同じ、異様な雰囲気をまとっている。なのにああ、デュエリストとしての
「うらら無し! 泡影よし! 増Gは来ませんよーに!
あたしは[ワイバーン・ベラ]をリンクマーカーにセット。
アローヘッド確認、召喚条件は『《星座カウンター》が置かれたモンスター1体』──サーキットコンバイン! リンク召喚、現れよリンク1!
[
創界神 星文学者リリア ATK0
バトルフィールドではなく、俺たちの後ろに現れたのは2つの杖を持つ4つ腕の女性。
攻撃力が0なのを鑑みるに、恐らくは[
「リリアのリンク召喚成功時の効果を発揮!
自分の場に自身と同名のカードが存在しない場合、自分のデッキトップから3枚のカードを破棄し《星座カウンター》を3つこのカードに置く!」
創界神 星文学者リリア(星座C0→3)
「リリアは攻撃対象・リンク素材に出来ず「創界神」カードを対象とする効果以外を受けないモンスター。そしてカウンターの数により効果を得る!
カウンターの増加条件は《星座カウンター》をテキストに持つモンスターの召喚・特殊召喚。そして今、カウンター3つの場合に於ける効果を発揮する!」
トアが天に手を掲げると同時に、リリアの持つ杖が片方打ち鳴らされた。
「ターンに1度ライフを500支払い、手札・墓地より《星座カウンター》がテキストに記されたモンスター1体を特殊召喚できる」
トア LP4000→3500
「来て、[天星12宮
星文学者リリア(星座C3→4)
光星姫ヴァージニア 「はぁい!」
DEF1200
「ヴァージニアの特殊召喚時の効果発揮!
このカードに星座カウンターを1つ置き、デッキトップからカードを3枚オープン。その中にある同じカウンター名が記されたカードを1枚手札に加える。
あたしが手札に加えるのは[光導創界神アポローン]」
光星姫ヴァージニア(星座C0→1)
手札に加わったのは、再び創界神というカテゴリのカード。ならきっとその効果は──
「そのまま永続魔法[光導創界神アポローン]を配置!
リリアと同条件により、更にデッキトップを3枚破棄しカウンターを3つ置く!」
光導創界神アポローン(星座C0→3)
現れたのは、黄金の鎧を纏い弓を構えた男。
リリアと合わせて巨大な人が2人いるのは、なんというか落ち着かないものがある。
「更にあたしはカードを1枚セットして、ターンEND!」
Prayer:聖 手札:5
LP:4000
LP:3500【Turn1】
Prayer:トア 手札:3
❶:創界神 星文学者リリア(↓)(星座C4)
⑪:天星12宮 光星姫ヴァージニア(星座C1)
⑱:光導創界神アポローン(星座C3)
⑲:伏せカード
⑳:天星12宮 聖星使ジェミニック(♾️魔扱い)
「なんか、意外だな」
「んえ? 何が?」
「トアの性格からして、もっとド派手なデッキを使いそうだと思ってたんだが……」
実際に使っているデッキは堅実も堅実。
見た限り、テーマ内に直接的なサーチカードがない代わりにドローがし易いデッキなのだろう。
盤面には置き物が3、伏せが1、守備が1。手札は3枚、墓地は6枚。墓地リソースを利用できるテーマである以上、1ターン目で供給されたリソースは圧倒的だ。
見える妨害こそ伏せの1枚くらいしか……うわ、創界神系の効果なっが。半分くらい制約とカウンター関連とはいえ[
それが凄く、らしくないように感じる事を除けば。
「んー、確かにあたしも武装ガチャとか列車の方が好きではあるけどさ。今はね、これがいいんだ!」
ニッと笑って答える姿は、こちらの心配なんて余計と言わんばかりの明るさだった。まるで太陽の……よう、な?
『いえーい、私のかちー! ジュース、お兄ちゃんの奢りね!』
全く似ていない筈なのに、妹と……朝陽の姿とトアが重なったような気がした。
「俺、の、ターン」
そんな奇妙な思考を遮ったのは、精気が抜けたような聖の声。
やはり尋常な状態ではない。そう、ない筈なのに……
「なんだ、この圧……!?」
殺気とか闘気、いやデュエル中なことを踏まえれば“フィール”だろうか。異様な気配は益々強くなっている。
「あちゃー……完全にキャンサードに飲まれてるね。しかも、よくない気配だ」
「さっき言ってた、汚染云々の話ってことでいいんだよな」
「そだね。それよりも構えて、来るよ!」
デュエルで力を取り戻してでもいるのか、緩慢な動作だった聖の身体に力が戻っていく。闇のゲーム、その本性がいま牙を向こうとしていた。
「俺は手札から魔法カード[召集の聖刻印]を発動! デッキより『聖刻竜トフェニドラゴン』を手札に加える」
この流れは、いつもの聖刻の黄金ムーブ!
「そのまま、トフェニドラゴンを特殊召喚する」
現れた白いドラゴンは、普段とは何処か様子が違う。緑のモヤに包まれて、心なしか苦しそうだ。
「止めなきゃマズイぞ?」
「知ってる。聖刻はリリースから展開して、アトゥムス,レダメ,ロムルスってドラゴンリンクで宇宙展開する厄介なテーマ──だから、ここで枕を潰す!
トフェニドラゴンの召喚時、罠カード[天星12宮
伏せカードが表になると同時に、現れたのは船とも魚とも取れそうな影。それがトフェニドラゴンの白い竜体を包み込んでいく。
「相手モンスターの召喚・特殊召喚成功時または効果の発動時に、そのモンスターの攻撃力・守備力を-2000し、いずれかが0になった場合、その効果を無効にし破壊する!」
トフェニドラゴン「ウルルル……」
ATK2100→100
DEF1400→0
「トフェニドラゴン、消滅!」
魚の影が姿を消した後には、既に何も残っていなかった。
癖が強めだけどいい罠だ……けれど、聖の手札はまだ5枚もある。目に見える妨害を使い切ったいま、まだ即死の可能性は十分残っている。
「ならばオレは、手札より[聖刻竜ドラゴンゲイヴ]を通常召喚! 続けて手札の──」
「させないよ! 召喚時にリリアの効果を発揮!
あたしのライフを500支払い、墓地から[天星12宮
トア LP3500→3000
創界神 星文学者リリア(星座C4→5)
光導創界神アポローン (星座C3→4)
「そのまま召喚時効果を発揮。シュタイン・ゴイルに《星座カウンター》を1つ置き、デッキトップをオープン。そのカードのテキストに《星座カウンター》が記されている場合、手札に加える。
オープンされたのは[天星12宮
魔星人シュタイン・ゴイル(星座C0→1)
DEF900
「そして2つ目の効果が誘発。カードを1つ目の効果で手札に加えるか、このカードとのダメージ計算後に相手モンスターを1体破壊できる。当然、対象は[ドラゴンゲイヴ]!」
マッシブな姿をした竜が、紫色の魔法陣に囚われ爆散する。
しかしドローと破壊を同時にこなすカード……汎用札を入れれば入れる程弱くなるが、純構築だと恐ろしいアドを稼いでいる。
「ぐっ……ならばオレは、手札より魔法カード[サンダーボルト]を発動する。その並べたモンスターには全滅してもらう!」
空から太い雷がトアのフィールドに降り注ぐ。
後手向きの、一発逆転すら狙える全体除去カード。アレが入っている以上、聖のデッキが実戦調整されたものというのはわかった。リリアは無事だろうけど、モンスターの全滅は流石に痛い……と、思っていたのだが。
降雷による粉塵が晴れたフィールドには、未だ現在なトアのモンスター達が鎮座していた。
「残念だけど、あたしの場に[聖星使ジェミニック]が存在する限り《星座カウンター》を持つあたしのカードは、相手の効果で破壊されない。ついでに、ヴァージニアは罠カード耐性を付与する効果もある」
「くっ……」
歯噛みする聖の気持ちもよく分かる。
破壊効果と罠が通らず、戦闘できるモンスターは着地で狩られた。
「手札が透けて見えるな」
「だね」
聖の手札は残り3枚。
そのうち1枚は、ゲイヴから動こうとした辺り聖刻竜。こちらのターンに動かなかった以上誘発はなく、光属性のヴァージニアの蘇生を許したことから深淵の獣や指名者も抱えてない。
最初に撃ったのがサンボルな辺り、羽箒等の魔法罠の除去はない。このタイミングでドロソ抱えも有り得ない。
「あと怖いのは、黒白ドラゴン's*1とか渓谷だけど」
「…………ならば、手札から[竜の霊廟]を発動。デッキから[ラブラドライドラゴン]を墓地に送り、通常モンスターが送られたことで[聖刻竜ネフテドラゴン]を墓地に送る」
「潰しきれたみたいだね」
聖刻竜に1枚で動けるカードはない。ワイバースターやコラプサーペント、竜の渓谷による追加展開もない。
霊廟でドローの質を上げる動きをした辺り、聖の動ける手足は潰しきれらしい。
「ターン、エンド」
Prayer:聖 手札:2
LP:4000【Turn2】
LP:3000
Prayer:トア 手札:4
❶:創界神 星文学者リリア(↓)(星座C5)
⑪:天星12宮 光星姫ヴァージニア(星座C1)
⑭:天星12宮 魔星人シュタイン・ゴイル(星座C1)
⑱:光導創界神アポローン(星座C4)
⑳:天星12宮 聖星使ジェミニック(♾️魔扱い)
「なら遠慮なく。あたしのターン、ドロー!」
これは……決まったか?
「手札から[天星12宮
星文学者リリア(星座C5→6)
光導創界神アポローン(星座C4→5)
「ぐぅ……」
「そしてヴァージニア、シュタイン・ゴイルを攻撃表示へ変更!」
雷星獣ドラグ・タウラス
ATK1900
光星姫ヴァージニア
ATK1300
魔星人シュタイン・ゴイル
ATK1600
ステータスは小粒も良いところだが、付与されている耐性の量は圧倒的だ。そしてトアのフィールドの総攻撃力は、既に4000という初期設定されたライフポイントを上回っている。
「バトルフェイズ!」
なのにどうしてだろうか?
「[雷星獣ドラグ・タウラス]でダイレクトアタック!
攻撃宣言時に効果発揮。このカードに《星座カウンター》を1つ置き、デッキトップを1枚オープン。そのカードのテキストに《星座カウンター》が記されていれば手札に加える……オープンされたのは[スターリードロー]、そのまま手札に。
本来なら破壊効果もあるけど、対象がいないため不発。ダイレクトアタックを続行するよ!」
「ライフで、受ける」
聖 LP4000-1900→2100
何かまだ、終わるはずがないと直感が警鐘を鳴らしていた。
「オレは、俺は。我は……まだ、負けてたまるかぁぁぁぁ!!」
そしてどうやら、その直感は正しかったらしい。
『
「手札から速攻魔法だと!?」
聖の手札から、完全に未知のカードが姿を現した。
『このカードは自分のライフが減らされた時、相手ターンでも手札から使用できる。その効果により、バトルフェイズを強制終了させる!!』
バトルフィールドに聖を護る形で、巨大な氷の盾が競り上がった。
「あちゃー……持ってたか」
「持ってたって、トアはあのカードの事を」
「予想はしてたかな。ただで終わるはずがないからね」
少し準備不足だったかも、と笑うその表情に絶望はない。
むしろこれから先の展開を待ち遠しくしているような、そんな挑戦的な雰囲気だ。
「メイン2、だけどあたしにできる事はないかな?
そのままターンEND」
Prayer:聖 手札:1
LP:2100
LP:3000【Turn3】
Prayer:トア 手札:5
❶:創界神 星文学者リリア(↓)(星座C6)
⑪:天星12宮 光星姫ヴァージニア(星座C1)
⑭:天星12宮 魔星人シュタイン・ゴイル(星座C1)
⑮:天星12宮 雷星獣ドラグ・タウラス(星座C1)
⑱:光導創界神アポローン(星座C5)
⑳:天星12宮 聖星使ジェミニック(♾️魔扱い)
『
瞬間、ぶわりと聖から発せられた膨大な圧。
様子が変わった。何かが来る。言葉すら必要なくそう理解した。
『
「うげっ!?」
『そしてナナフシの効果を発動!
「は……?」
現れた未知のモンスターの効果は、デュエルモンスターズのアドバンテージの稼ぎ方を大きく逸脱したものだった。
トアの嫌そうな反応も理解できる。だって、いや、駄目だろうそれは。殆ど無条件で5枚もデッキからドローするなんて、そんな。
『デッキから5枚のカードをドローする』
理不尽なまでに、リソースが補給された。
手札5枚、そのアドバンテージは圧倒的だ。
一手でも対応を間違えば、瞬く間にライフを消し飛ばされる。
『
その効果により、墓地より蘇れ[聖刻竜ドラゴンゲイヴ]!』
トアの手札に誘発は…ない。
『そしてドラゴンゲイヴをリリースし[聖刻竜シユウドラゴン]を特殊召喚! リリースされたドラゴンゲイヴの効果を発動し、デッキより[神龍の聖刻印]を特殊召喚する!』
現れた青い竜と巨大な球体。
繋げる先が天球だとバウンス耐性がある……なら。
「トア、ロムルスと渓谷からの宇宙展開を防ぐ手立ては!?」
「ある……けど、見てて。多分、違うのが出てくるから」
「いや、聖のデッキならそれしか捲る手段は──」
『
!?
知っている……が、それはシンクロ黎明期のカード。レベルを2つ下げる以外の効果を持たない、リンク召喚が成立した今となっては──あ。
「レベル6が、2体」
「来るよ、遊陽!」
何故かとても楽しそうなトアの宣言と同時、聖が両手を組み合わせた。
『
猛り立て、星喰らう豪腕!
天に輝く星座よりいざ招かん、12宮Xレアの輝きを!』
渦を巻く混沌の中に2つの輝き吸い込まれ──爆発する。
『現れろランク6!
巨蟹武神キャンサードX、エクシーズ召喚!!』
緑と金の鎧を纏った、見上げるほど巨大な武者。
巨大なハサミの両腕を構え、背からは2対4本の細いアームのようなものが伸びている。
あの時見た、精霊と全く同じ姿が顕現した。
Q.なんで契約デッキ使わないの?
A.作者が光導(旧)好きだから
あと幻契約しか使ったことないので