【本編完結】ガンダム種運命 RTA ザフト軍人チャート   作:Damned

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#12 う お あ …

 

 

 

 ガイアを生け捕りにするRTA、もう始まってる!

 前回連合のラボに行ったレズちゃんですが、二回目の捜査は不参加で。警備のためとかなんとか言って残りましょう。先程押収してきたデータを確認する必要がある為です。

 

 部屋に入ったらプライベート用に支給された端末にアクセスします。ここのデータは基本誰も見ることができないようになっていて、メイリンほどの腕でなければハッキングは不可能です。そもそもプライベート端末のためにわざわざそんな手間をかける方がおかしいですが。

 まずディスクをブスリ。読み込みに多少の時間はかかりましたが、とくにマルウェアなども検出されず、ドキュメントファイルが沢山見えますね。えー……これはエクステンデッドの作り方と調整の方法に関するものが多数です。そこまであると踏んでの行動ですがやりますねぇ!!

 次はUSBをブスリ。こっちは……投与した薬と拮抗剤の内容ですか。あとはブロックワードについてですね。こっちも有用です。

 どちらもコピーしてメモリースティックにインしましょう。バックアップとして端末の深いところにも隠します。これで、ステラ生存への布石は完了です。

 スティックの方も、使用するタイミングまでは恥ずかしい所さん──具体的には、下着や服の詰まった中にはさんでおきます。こ↑こ↓漁るのなんて変態さんしかいないので、(今までに見つかったことは)ないです。それにしても、今回は円滑でしたねぇ。これにかまけて特大ガバとかなければいいんですが。

 

 そうこうしている内に、ガイアに乗ったステラが向かってきたという情報が入ります。証拠品の集まりと言える施設を破壊されるわけにはいかないということで、鹵獲含めてアンヘラに命令が飛んできましたね。今回はシンとレズちゃん二人ですか。へぇ、戦争(デート)かよ。

 艦長の命令で【アビエルト】を背負います。今更なんですけど、鹵獲のために使われたのこれが初めてでは? だって前回は鹵獲じゃなくて牽引のためでしたし……。

 

 行くぜ! グゥルもありますし、多少飛び回るには難儀しません。ガイアは殺意丸出しでこっちに向かってきますが、人数有利なうえに捕縛用の装備があるテセウスなら問題ないでしょう。

 シンちゃんには前を張ってもらって、どうぞ。ガイアは重力下での戦闘にて最強ですが、まぁどうしようもないですね……。ヒートロッドもどき……もとい、ワイヤーをひっかけて引き寄せ、からのネット射出で問題なく捕獲できましたね。自爆させないため、という名目でコクピットを開けます。セカンドステージシリーズは外部からハッチを開ける方法が共通しているので可能です。

 

 気絶を確認できたので、ネットはどけてしまっても問題ないでしょう。しまっちゃおうね~。かわいい女の子も、ミネルバにしまっちゃおうね~。

 

>な、なんで……。

 

>どうされましたか? 女性のようですが──って、シンくん!

 

 シンが飛び出していきましたね。お姫様抱っこされているステラが見えます。

 失神は一時的なものだったらしく、すぐに意識を取り戻しましたが……「死ぬのは駄目」「怖い」「守る」というような単語を呟きつつ咳き込んでいます。例によって連れたままインパルスに乗って飛び立ってしまいましたね。

 

>シンくん! シンくん、ちょっと──何をしているのです!?

 

>どうしたのアンヘラ? シンは?

 

>分かりませんっ。ですが……敵パイロットを連れてミネルバに……。

 

>何ですって!? ……分かりました。貴方はガイアを鹵獲して帰って来られる?

 

>ええ、大丈夫です。少々お時間をください。

 

>ゆっくりでいいわよ。こっちにはアスランとレイもいることだし。

 

 ゆっくりでいいとのお墨付きをもらったので、医務室のくだりをカットするために適当な時間を持たせて帰りましょう。

 ガイアのコクピットは閉じて、ネットに納めたら飛んでいきます。飛行速度は低下していますが、今回の場合は利点となりますので問題ありません。

 ミネルバに帰投したら、ガイアを離れたところに設置しておきます。

 

>シンくんは? 先に帰ったと思いますが……。

 

>シンならさっき、連合の女の子を連れて医務室に……それで、艦長に連れていかれて。

 

>何ですって? 艦内への搬送を許可したのですか?

 

>いや、無許可でのようだ。艦長室に呼び出されている。軍法違反が複数あることから考えても……あれは相当絞られているだろうな。

 

>教えて下さりありがとうございます。

 

 特に変わったこともないようなので、今回も話だけ聞いて帰りましょう。

 どういうことか知らないかとか何とか聞かれていますが、こっちだって知りたいよ(すっとぼけ)。めんどくさいので、部屋に入ったら服を脱いで寝転がります。このままイベントごとがないのであれば寝られますが、今回は艦長に呼び出されましたね。シンの手綱を握れなかったお叱りでしょうか?

 

>アンヘラ。さっきはお疲れ様。少し来てほしいのだけれど、いいかしら? 医務室よ。

 

>はい。五分ほど待っていただければ。

 

 お叱りではなかったようですが、ステラの病状……いや、病状ではないのですが、その説明でしょうね。適当に話を聞いたら、改めて引きこもることにしますが……。

 

>どうやらこの子は──

 

 ウン(生返事)

 

>様々な体内物質が──

 

 ウン(生返事)

 

>ともかくそんな状況ですので──

 

 ウン(生返事)

 

 そろそろステラが起きてしまうのですが……そろそろ起きてほしいのですが。いや起きましたね。薬切れで苦しいのは分かってんだよオイ! オラァァァァァァ!!(虚勢)YO!(涙目)

 

>彼女は脳波にも奇妙なパターンが見られ──

 

 このシーンのステラ、あんまりにもかわいそうで見ていられないんですよね。記憶とかいろいろ弄られているのもそうなんですが、桑島さんの演技がうますぎて本当に……。

 シンが頑張って落ち着けようとしてもどうしようもないので、また薬を打たれて眠ってしまいましたね。後はひとしきり話をして──

 

>アンヘラ?

 

>…………私は……、わた、しの……は。

 

>アンヘラ、どうしたの?

 

>どう……て、どうしてこうも、あ……はこんな……っ。こんな、わたし……私が、ごめんなさい、わたしが……!!

 

 ちょっと待ってくださいこれ蹲ってぼろぼろ泣いてるんですけど大丈夫ですかねレズちゃん。

 

 

 

 

 ──どうやらこの子は、あの連合のエクステンデッドのようなのでね。

 

 医者の言葉に、自分が息を詰めたのを感じた。

 簡易検査でもありえない数値ばかり。人間が本来持たない体内物質も、体内から検出されている。おそらくは薬の投与だろうと。治療と言っても何がどう作用するかがわからないため、手の付けようがない。

 

 淡々とした説明は、連合の狂気をより引き立たせるだけだ。彼女の肉体の危うさと、そして何より──血を分けた兄の罪を。

 かすかな声が鼓膜を震わせる。眠る彼女──ステラと言ったか──が、目を覚ましたようだった。

 

 シンは普段の言動からは考えられないような穏やかな声で、ステラを呼ぶ。だが彼女は、その姿からは想像できない言動でもって拘束から抜け出そうとする。

 僕だ、落ち着いて、大丈夫だ、となだめようとするも、彼女の言葉は、しかし。

 

「……しらない」

「え──」

「あんたなんか、知らない!」

 

 ネオ、ネオ、としきりに誰かの名前を呼び、泣き叫ぶステラに、シンだけでなく、アンヘラも言葉を失った。

 救いを求めるような、否、子供が親と離れ離れになった時のような脆さを抱えている声に、胸を切り裂かれるような痛みを覚える。この少女がブーステッドマン──否、エクステンデッド。つまり、連合の生体CPUと推測していた時から、覚悟はできていた。それでも、実際にそうであると突き付けられると、その現実感は自らを締め上げるような重さでもってのしかかってきた。

 

 意識や記憶までもが操られ、ただモビルスーツを動かす部品でしかないとされたエクステンデッド。()が生み出したものが、いまだこうして命を弄んでいる。いずれ、すべてを明るみに出した時には、いずれと。そんな甘い計画でもって走り続けている間にも、ステラのような存在は生まれては消えていくというのに。

 

 兄が死んでから二年。

 その名を背負うことから逃げ、ザフトに属し、その罪を清算するための努力をしてきたはずだった。連合にいては、きっと自分は殺されてしまうから。それでも、こうして兄の罪が生み出した存在が質量を持って存在し、叫び、苦しんでいるのを見せつけられては。

 

 泣いたり謝罪したりする権利もないと分かっていながらも、震える自身を押さえることができなかった。

 

 ──私は。私の、兄は。

「アンヘラ?」

 ──どうして、どうしてこうも酷いことを、私の兄は。

「アンヘラ、どうしたの?」

 

 艦長が、俯いた彼女に声を掛ける。震える体と途切れ途切れの声が、アンヘラが尋常でないことを示している。

 

 ──見て見ぬふりをしておいて、許される気はなかった。それでも、ごめんなさい。私があの人の狂気を止められていれば、彼女のような存在を増やすことには。

 心のダムが決壊する音が、どこか遠くで聞いていた。

 

「アンヘラ! 貴方……」

 艦長の言葉が、どこか遠かった。視界には冷たい床と、自らの目から流れ落ちたらしい水分が染みを作っているのが見える。

 泣き叫ぶステラの声が、耳にこびりついている。それだけではない。二年前に訪れたこの場所での光景も、明確に。

 

 誰も助けてくれやしない。

 誰も止めてくれやしない。

 大人たちは、これが正しいものだと笑っている。

 それならば、いっそ。

 

 眼前に広がる異常な光景に、これが宇宙の化け物を殺すために必要なものだと、アンヘラは感覚(ものさし)を狂わせることができなかった。しかし、これをおかしい事だと反対することさえできなかった。

 自分が生まれた理由を否定するようだから。

 兄の計画を否定するようだから。

 ──愛していた兄に、捨てられるのが怖かったから。

 

 自分が、愚かだったから。

 そして、彼らの行動を肯定できるほど狂ってしまえるほどの異常性も、おかしい事だと指摘できる正常性もなかったから。

 

 それでも、戦って戦って戦って、いずれ兄のいた組織を潰すのが──それが、己のやるべきことだと考えていた。兄が死んだと知ったあの日から、あの男が台頭し始めたあの日から。立ち止まることを許さず、振り返ることも許さず、ずっと、やるべきことだけを見ていた。

 

 立ち止まった瞬間、振り返った瞬間、その名に縛られるような気がしていた。

 

 彼女たちを救うのが、兄に逆らえなかった己の贖罪だ。この身のやるべきことだ。兄の犯した罪は、兄のために作られた己が償う義務と権利がある。

 その覚悟が、足場を失った建物のように崩れつつあった。

「アンヘラ……」

 

 心配げなシンの声が、彼女にかかる。どうやらステラの方はどうにかなったようだ。どうにか、と言っても、また薬で眠らせただけであろうが。

 衝動的に、すべて話してしまおうか、と思ってしまう。しかし、彼にだけは絶対に口を開くわけにはいかない。ステラを含めたエクステンデッドを生み出す原因になったのは、自分の兄である。それに何より、シンは兄によって──兄の指揮した作戦によって、家族を失っている。そんな彼が事情を知ったら、どうなるか。

 

 彼はきっと、アンヘラを心の底から軽蔑するだろう。覚悟だなんだと言いながら、結局はわが身可愛さである自身に、心底から嫌悪感を覚える。

 声を掛けてくれる二人に、アンヘラは何も答えられない。ただ嗚咽し、涙を流し、肩を震わせるだけだ。彼らに適当な事を言って誤魔化し、ただのアンヘラ・レズルタートに戻る必要があるというのに。

 

 明らかに憐れみ以上のものを含んだアンヘラの反応に、艦長がシンを制す。そうして彼女に歩み寄ったグラディスは、泣いているアンヘラを引き寄せた。

「大丈夫よ。少し外に出ましょうか」

 その言葉に、彼女はゆるゆると首を縦に振った。

 

「先に失礼するわね、シン。貴方も戻って大丈夫よ」

 気を使ってか、耳打ちされた言葉に了解の返事をする。ここにいても大丈夫だと言外に含まれた艦長の言葉に、内心感謝する。

 アンヘラはそのまま、艦長に支えられるようにして医務室を出ていく。

 

 残されたシンは、アンヘラの態度の急変に眉を顰めつつも、何もできることはないと小さくため息をついた。

 

 

 






タイトルは言葉遊びです。わかってくださる方がいれば嬉しいですね

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