TS美少女のロボゲーライフ 作:リナ
「あなたが、クロちゃん」
「うん……」
俺はノコノコやって来ていた。
ヒカルちゃんとは、アイゼンフランメのイベントに参加する上で、会うことは必至。そう、いつか必ず会うのである。だからこそ、まぁ、遅いか早いかの違いだ。
「かわいー! すっごくかわいい。美少女!」
銀髪サラサラの美少女たる俺だ。まぁ、こんな反応になるのも仕方がない。俺も初めて鏡見たとき、あまりの美少女っぷりにびっくりしたし。
ちなみに、今、リアルで会ってる。
そう、フレンド申請について来た座標データはリアルのものだった。出会い系で通報できたかもしれないなと、今になって思う。
「ヒカルさんもすごく可愛いっす」
ヒカルちゃんは実況者だが、VRのアバターで実況してる系の実況者だ。そんなヒカルちゃんのリアルの姿は、眩しいくらいに可愛かった。
清楚系黒髪美少女である。キラキラのおめめが特徴的だ。
「そうでしょ? 私、超絶美少女!」
「というか、アバターとあんまし変わらないんすね」
わりと、VRアバターそのまんまだったりする。初期設定だと、リアルをほとんどコピーしたような見た目になるから、それだろう。俺も、アバターメイキングとか面倒でやらなかったから、それだ。
「でも、VRアバターだと、私の魅力全部伝えられないからねー。クロちゃんには特別に、私の魅力全部伝えちゃう!」
「そっすか」
「もー、冷たいー。私とクロちゃんの仲でしょ?」
「そっすね」
初対面の仲だ。一応、ゲームのイベで会ったこともあるけど、あれ、アバターだったし、今、俺、シロじゃないし。
それとも、女の子ってこんな感じなのだろうか……いや、違うよな。
「それじゃあ、私のお家に案内するよ?」
「マジっすか?」
こういうのって、即お家なのか。外でおやつとか食べていくもんだと思ったんだけど。
「もうすぐ撮影なんだ。早く行こ」
「撮影っすか」
これは、あれか? 俺も一緒に撮る感じなんだろうか。
俺はヒカルちゃんに引っ張られていく。
***
「はーい、みんなー! 今日はゲストを連れて来たよー」
おつおつー
はじまた
ゲスト?
VR空間。配信モードでコメント欄が、宙に表示されている。
そんな大仰な言い方をして大丈夫だろうか。俺って、いまんとこ無名なプレイヤーだし。
「はい、はーい! 私の彼女のクロちゃんです!」
「へ……っ!?」
あんまりな自己紹介に、とっさにヒカルちゃんの顔を見てしまう。いたって真面目な顔だった。
彼女!? 冗談だろ?
百合……だと……!?
誰、この子。知らない
かわいいー
「ほら、クロちゃん。自己紹介」
ざわめくコメント欄だが、至って冷静にヒカルちゃんは進行していく。これでいいのだろうか。
「えっと、クロです。軽量機使ってます。シロの妹です」
シロの……妹!?
シロって、あの?
妹いたのかよ、あいつ
へぇ、軽量機ね
「ねぇ、クロちゃん。シロの妹って、私、それ知らないんだけど」
じとーっとした目で、ヒカルちゃんは俺を見つめてくる。
「聞かれなかったから」
「じゃあ、なんで今言ったの?」
「配信、盛り上げないといけないかなぁって思って」
普通に考えて、なんにもない一般人がゲストとして呼ばれるのはあり得ないと思う。
だから、なんとなく言ってみただけだ。
リハ不足っすか?
破局の危機
まさかの情報
シロって、普段どんな感じなんだろ
「ちなみにクロちゃんとの出会いは、RRのチーム練習で、ランダムマッチしてたらボコボコにされたことなんだよね。この間、動画上げたやつ」
「え、動画で……?」
あれ、動画にされてたんだ。
俺の独り言とか、動画にされちゃったのか? 後で確認しないといけない。
「いやー、もう一目惚れだよね。捕まえて来ちゃった」
行動力……
あのRR解散の危機の動画か
ツバメちゃん可哀想だった
仲間を置いて逃げるヒカルちゃん……
「な、仲間を置いてったわけじゃないもん。無理だと思ったから、少しでも損害を少なくしただけで……」
「中量機一機じゃどう頑張っても、重量機二機には勝てないから、最悪、盾になるべきだった……」
どんなに上手く立ち回っても、弾数的に、中量機が重量機二機を倒すことはできない。
俺が軽量機に積んでる一撃必殺武装を中量機が積んで、一撃必殺を中量機で決めるって手がないわけでもないが、これはまぁ、中量機の移動速度的に無理だ。そもそも軽量機を処理する役割の中量機に、一撃必殺の武装なんて滅多に載せないし。
あとは、例外的に中量機でも重量機をすり潰せる弾数の武装はあるが……それでもうちのチームのシュリンカーが上振れでギリいけるくらいだから、ヒカルちゃんには無理だろう。
「うぅ、わかってますよー。反省してます」
言われてる
反省できて偉いね
マジでなんであのとき逃げたの?
トラウマ? シロのトラウマ?
「それじゃ、クロちゃんとランクマッチやっていきまーす」
「あ、ランクマなんだ」
俺も、この姿になってから、ランクマッチは朝と夜だけだけど、やり続けている。
今では、そこそこランクが上がって、二人でまでなら組んで参加できるところにいる。
このゲーム、ランク差が広いとチーム組めなかったりするけど、ヒカルちゃんも多分そこくらいだから、大丈夫だろう。
「いくよー、マッチング!」
チーム結成からの、マッチング待機だ。
数秒待つと、マッチングが成立する。タッチ連打で承認する。
いつものブリーフィングルームだ。
「あ、ヒカルちゃんだ!」
「ヒカルちゃんだよー」
マッチした人にも、愛想を振り撒く配信者の鑑の姿だった。
「えっと、もしかして、撮ってますか?」
「あ、撮ってる撮ってる。生配信」
ヒカルちゃんに反応したのとは別の人が、そう尋ねてくる。
一応、配信モードだから、配信を拒否する設定の相手の場合は、アバターの外見と名前と声が、変化して画面に映ることになる。
「嫌だなぁ。失敗できないじゃん」
ちなみに、普通にプレイしてたら、そんな配信拒否の機能なんて知らないし、説明もない。面倒でいじりもしない。
だから、大半のプレイヤーは配信にそのまま映されてしまう運命にあった。この間の俺みたいに。
そんな情報を知らなそうな彼に、俺は話しかける。
「あ、えと。設定に、配信拒否のモードがあるんで、映るのが嫌だったら、今度から配信拒否をオンにしといたらいいですよ」
「え!? そんな機能あったの!!」
「ほら、この、設定のオプションをスクロールして、だいたい三分の二くらいスクロールしたあたりです」
「あ、ほんとだ……知らなかった」
配信画面に映るアバターが変化する。映ってから変更しても、もう遅いよね、これ。
そんな機能あったん!?
あぁ、あんまり知られてないよね
もう、配信に映った後っていう
俺も、さっきオンにして来た
一応、ヒカルちゃんが配信拒否試してみた動画もあるから
「じゃあ、自分、軽量機やります」
俺じゃない。真っ先に、ヒカルちゃんに飛びついた人が、軽量機を選ぼうとする。
「待って、待って! 軽量機なら、クロちゃんにやらせてあげた方がいいと思うけど……」
「大丈夫。軽量機得意だから」
このランク帯になれば、当然、軽量機を扱える人間は出てくる。義務のように軽量機に一枠割く雰囲気もある。だけど、まぁ、使えるってレベルだ。
軽量機自信ニキ
ま、軽量機他人に任せられないのはわかる
ヒカルちゃんの前でカッコつけたいってとこ?
いいから、その子に任せてみろって
ちょっと、コメント欄の雰囲気がよろしくない。
「じゃあ、俺、重量機やります。スナイパー使って」
ここは妥協だ。本来なら、俺は被っていても軽量機を使う。いつ何時でも軽量機でランクマだった。ランクマッチのシロの対戦履歴は、100パーセント軽量機、100パーセントWINだった。
だけど、これは配信だ。無駄な揉め事はやめておいた方がいい。
シロなら、迷わず軽量機被せるのに!
優しい!
妹はなんて、謙虚なんだ
シロに爪の垢を煎じて飲ませたい
お前ら、俺のことなんだと思ってんだよ。勝つためのランクマなんだから、普通一番勝てる機体を選ぶじゃん。
テンプレ編成って、要するに勝つためのものだ。テンプレ編成をすることがゴールじゃない。俺が軽量機を使えば勝てる。それだけの話だろう。
まぁ、ただ、テンプレ編成じゃないと、揉めるのも事実。他人の配信で揉め事を起こさない良心くらいはある。
「じゃあ、私、中量機ね!」
ヒカルちゃんは中量機を選んだ。
このランクはそこまで強い軽量機がいないから、中量機は割と楽といえば楽だ。
それはそうと、重量機をセットアップする。急がないと。適当にネコネコの真似ればいいか……やっべ、パーツ揃ってない。
急いで使う分のパーツだけかき集めたのが、仇となった。
「えっと……クロちゃん?」
「重量機。パーツ……ない」
バトルスタート、と鳴り響いた。
無情。
あの、一人未完成機体な方がいるんですけど
もしかして、軽量機分しかパーツなかった?
これは、戦犯
とりあえず積めた武装を確認する。スナイパーライフルのブラストライフル。あとは適当に積んだヒートロケット。特殊武器の対人型汎用機用遠隔式地雷。
武器は、これでなんとかなるとして、肝心のカメラとか、そういうのだが、ほとんど何も積めていなかった。コックピットガードさえない。
「ヒカルちゃん。守って……」
「あ、うん」
心なしか、通信の画面に映るヒカルちゃんの顔が、残念なものを見るような目だった。
とはいえ、始まってしまったものは仕方がない。全力でできることをするだけだ。
まず、動くのは軽量機だ。
「ヒカルちゃん。偵察、行ってくる」
「そうだね。頑張って」
武装はといえば、ロックオンジャミング用のミサイルに、あとはブレードか。こんなもんだろう。ジャミングして、近づいてってことだろう。
上位帯になると、ジャミングされても近距離ならそれなりに当ててくるから、過信は禁物だ。
「じゃ、私たちは、籠城作戦で」
陣形を保ちながら、西の城砦跡に向かう。
まぁ、だいたい三十秒だった。マップに映る軽量機が爆散した。
「マジかよ……。あいつ、なんの情報も残さず死にやがった……」
映るのが嫌な人が、そう悪態をつく。なんの通信もなく、誰にやられたかの情報もない。状況として、かなり悪い。
軽量機、ダメだったじゃん
ツバメちゃんが死んだときより、悪いなこれ
切り替えて、次の試合行こうか
おつかれー
コメント欄は、もう負けたものとして扱っていた。
軽量機は死んだし、俺の機体こんなんだし、まず無理だろう。
とりあえず、やれるだけやってみようか。
「よいしょ……よいしょ」
「クロちゃん、何してるの?」
「ん? 地雷設置。射程範囲と障害物の配置から考えて、ここは多分踏みますから。あとは、軽量機の接地ポイントに置いておきたいです」
「地雷って、そんなに使わないけど……持ってきたんだ」
「地雷、強いですよ」
上級者になるに従って、行動がパターン化されていくからこそ、地雷が刺さりやすくなる。
地雷自体はマイナーな武器だけど、ネコネコは使いこなそうと頑張ってた。俺はそれを真似ているだけだ。
たまにやる俺の地雷対策の動きは、ネコネコに鍛えられたようなものだった。
問題は設置の瞬間を軽量機に見られているかだけど、見られてたら負けってだけだろう。
地雷って……
当たれば強いけど、解除されるからなぁ
意識されてないなら、ワンチャンあるでしょ
コメント欄も意見が分かれるところだった。
刺されば強いけど、使い所も難しく、対策も簡単な武器だ。ただ、今のような状況なら、試すしかない。
地雷を設置し切って、籠城を始める。
問題は攻めて来てくれるかだ。
このゲーム、地形を味方につけた方が有利だが、当然、相手も地形を利用しようとしてくる。
籠城戦ができる場所として、このマップだと、今、俺たちのいる西の城西跡、南東の灯台とか、まぁ、一つじゃない。必然として、睨み合いが発生するわけだ。
そんなことになれば、面白くない。永遠に睨み合いで先に回線の切れた方が敗北とか、ゲームとして有り得ないだろう。
そのために、最後に発生した交戦から三分でペナルティチェックが行われる。このペナルティチェックで選ばれた一方のチームの機体には、攻撃と防御にデバフがかかってしまうのだ。
このペナルティチェックのルールとして、機体の数が同数の場合は、最初はランダムなチームにペナルティがかかり、三分ごとにペナルティは交代となる。
最初にどちらがペナルティを受けるかは、当然、運任せだ。これはルームマッチの場合は設定可能で、ちゃんとした大会はペナルティがどっちが先かで交互に、二回は戦うことになる。デュースありの二本先取制だ。
ともかく、今回の場合、ペナルティチェック時に、機体数に差がある。こうなると機体数で勝っている側にペナルティがかかる。
ゲームとして、逆転要素は必要ってことでこうなってるんだろう。だから、籠城が成立する。ペナルティがかかる前に、相手は攻めてくるからだ。
ただ、機体数が多い側がペナルティを甘んじて受けて、ガン待ちしてくる場合もある。機体数差に応じて、ペナルティの強度は上がるわけだが、まぁ、ガン待ちな機体数の多い側と戦って、少ない方が頑張ればギリ勝てるくらいのペナルティのかかり具合だ。
さらに時間が経てば、ペナルティの交代で、少数側が逆に弱体化する。つまり、城攻めか、籠城かは勝ってる側に選択権があると言ってもいい。
そして、今回の場合――、
「来たよ、クロちゃん」
籠城の方が勝率高いのになぁ
若干だろ? ランクなら早く試合回したいし
大会なら、まず攻めてこないよね
人数差に勝る相手は、ペナルティがかかる前に、攻めてくることを選択していた。
俺もこんな中途半端な重量機で睨み合いたくないし、助かる。
見えるのは、重量機の姿だった。
「クロちゃん! 撃て撃てー」
ヒカルちゃんの号令で、敵の重量機に撃ち始める。
「ヒカルちゃん。軽量機の警戒。エントリーポイントはわかる?」
「うん。籠城戦は得意だからね」
敵の軽量機の姿が見えない。裏どりをした軽量機が、襲ってくるだ。ろう。当然、それを警戒しなければならない。それは中量機であるヒカルちゃんの役目だった。
俺の相手はダメだったが、このランク帯の軽量機なら、なんとかなるだろう。
「あ……っ」
俺の攻撃がヒットしたと通知がくる。タイミング的に、遠距離で相手をしている重量機じゃない。
あぁ、だから、俺の仕掛けた地雷だった。
敵の軽量機は、上を取ろうとする際の接地地点での地雷警戒を怠ったわけだ。地雷につまずいたたところを、ヒカルちゃんに狩られる。
「やったね! クロちゃん! こっちは終わったよ!」
「こっちも、もうすぐかな」
今、俺の使う武器はスナイパーライフルだった。
スナイパーライフルと撃ち合う際、恐れるのはコックピットヒットだろう。横を向けば、コックピットにはヒットしないとはいえ、横向きでは応戦することはできずに、一方的にやられるのみだ。
だからこそだ。
今、敵は障害物に身を隠しながら、こちらと撃ち合おうとしている。
スナイパーライフルを撃ち合う大前提として、障害物にコックピットはまず隠すだろう。ただ、攻撃のために銃口は出したい。そこから、視界を得るためにカメラも出さなければならない。
そうだ。そんなふうにして、今、俺が隠れている位置を狙えるポジション取り……そんなのは一つしかない。
つまり、そこには地雷がある。
地雷を踏んだ重量機一機が、爆発に飲まれて動きを止める。
「ヒカルちゃん! 守って!」
その瞬間、俺は上へと飛んだ。
軽量機ほどではないが、重量機も飛行が可能だ。上に飛ぶことで、今まで見えなかった敵重量機のコックピットがモロに見える。動きを止めた相手ならば、ブラストライフルで百発百中だ。
ただ、上に飛んだことにより、俺の機体は無防備だった。敵の重量機は二体。一機は地雷を踏んでフリーズしているが、もう一機は空中で隙を晒すこちらを狙う。
「させない!!」
射線に割り込むように飛び出したヒカルちゃんだった。ヒカルちゃんは、敵の軽量機を倒すという役割を、すでに終えている。身を挺して、俺を守ってくれる。
重量機の高火力を浴びながら、耐久値が溶けていくヒカルちゃんの覚悟を受け止め、俺は地雷を踏んでフリーズしている重量機に銃口を向ける。
二発。重量機ゆえに可能な間髪入れないダブルタップで、敵を殺す。
「ワンキル」
おお!!
地雷、すごいな
俺も地雷試そうかな
やば、これ勝てる?
ちゃんとヒカルちゃんが守った!?
これで、並んだ。
こちらはヒカルちゃんが死んだから、重量機二体。そして、相手は重量機一機に、あとは中量機。
ん? 中量機……?
「まずった……?」
完全に、見誤っていたかもしれない。
俺たちは一度も中量機の姿を見てはいない。そう、敵が中量機を編成していない可能性だ。
ヒカルちゃん亡き今、ここから軽量機が現れて、全滅という可能性もありうる。
いや、だが、相手が軽量機だろうと、こちらがスナイパーライフルを当てれば勝ちだ。そう、俺なら当然それができる。
敵の重量機の相手は、生き残ったもう一人に任せて、俺は周囲を警戒する。
ふと、気がつく。
接近は、密かだった。宙に舞う、いくつかの金属片……というよりも形としては銃に近いそれらに囲まれていた。
銃口はすでにこちらを向いている。
ホバリングレーザーガン……要するにオールレンジ攻撃が可能なそれだ。そのピーキーすぎる性能から、俺はこの武器を使いこなせる使い手を一人しか知らない。
俺のよく知る相手だ。それがわかれば、どこに隠れているかはだいたい検討がつく。中量機を俺は視認する。
――シュリンカー。
ヴァイス・ゲーミング……世界最強のチームで中量機を務める彼女。最強の中量機使いだ。
とっさに、本体をライフルで撃ち抜きにかかる。
俺のわずかな予備動作に反応し、ホバーするレーザーガンのうち数個が、射線へと割って入る。あたり判定が吸われてしまう。その分、個数を減らせばする。
「うわぁあああ」
レーザーの一斉照射により、なにも反応できなかった、もう一人いた重量機が完全に溶ける。
俺はスナイパーライフルで子機を減らせたおかげで、全損を免れていた。
ホバリングレーザーガンの理論上の最大火力は、重量機をも溶かせるものだ。しかし、それは理論上の話で、こんなに簡単に重量機を溶かせるようなら、俺はブラストライフルやシデンブレードを捨てて、ホバリングレーザーガンを使っている。
「シュリンカー! お前、最上位じゃないのかよ!」
「……? 最近リーグ戦とチーム練習してた。それに、シロのいないランクマッチは優先する理由がない。暇ならやるけど」
独立して宙に浮く銃の数々を従えて、こちらに接近してくる。俺が撃つ攻撃は、軽量機ほどではない機動力をカバーするように、ホバリングレーザーガンのいくつかを身代わりにして受けさせることにより、しのいでいた。
「く……ぅ」
重鈍な重量機では避けられない。
シュリンカーの持つサブウェポン……パイルバンカーを振ったことによる超加速からの突撃を受ける。
「おしまい」
衝撃音と共に、ユールーズと、声が聞こえた。