機動戦士ガンダム SEED 運命の繭   作:ドクトリン

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見えない真実

 

 ガルナハン攻防戦を終えたミネルバは、現在ディオキアにあるザフト駐屯地でしばしの休憩を取っていた。

 近頃ミネルヴァは連戦続きであり、艦の補給やクルーの疲労を鑑みての小休止、との考えである。

 

 そんな駐屯地にて、ラクス…ミーアが出張ライブを行う予定があろうことなど、アスランは当然把握していなかった。ピンクに彩られたザクの手のひらで飛んだり跳ねたりしながら楽しそうに歌っている。脚にスリットが入ったきわどい衣装を身にまとっており、観客の男性陣はその美貌も相まって目を離せずにいる。しかし、衣装の少なさからも察するように、パット見たところ命綱などはしているようには見えなかったアスランは独りごちる。

 

「どういう安全体制なんだ…」

 

 今では彼女がラクスの代わりとしてプラントの民やザフト軍の安寧の象徴となっている。故に、あの杜撰なセットにひやひやを隠せないというのが本音であった。

 

「ご存じなかったんですね、ラクス様がいらすこと」

 

 赤毛の少女、ルナマリアに話しかけられる。体面上、彼とラクスは婚約者のままとなっているため、連絡を取り合っていなかったことに違和感を覚えられているようだった。

 

「まあ、連絡する暇もなかったしな」

 

「忙しかったですもんね」

 

 その隣にたたずむもう一人の少女。メイリンも会話に入ってくる。彼女はルナマリアの妹であり、ミネルヴァの情報管制官として、普段はブリッジで働いている。彼女は姉とは少し毛色が異なる赤毛をアップツインにした髪型が特徴だ。

 

 姉妹で同じ戦艦に乗り込み戦争をしているという業の深さに、初めてその話を聞いた時は少しばかり眩暈がしたものだ。

 憐憫というわけではないのだが、少しだけ悲しい気分になり、話しづらさを覚えていた時もあった。

 

 しかし、なんやかんや同じ戦艦で共に過ごすうちに、両方ともそれなりに打ち解けたと感じている。今では廊下ですれ違った際などにも雑談をするようになった。

 

 彼女たちもラクスの歌が好きなのだろうか。少し身体でリズムを取りながらニコニコと聞いている。

 

 ライブは大盛況。沢山の歓声に包まれながら、惜しまれつつ閉幕の時を迎える。

 

『勇敢なザフトの兵士の皆さん!!いつも、平和のためにありがとう!!

 一日でも早く戦争が終わるように、皆さんこれからも頑張っていきましょう!!!』

 

「平和の歌、か…」

 

 皮肉なものだ。それが戦士の士気を高め、更に戦火を広げていくのかもしれないのだが。

 

 

 ショッキングピンクに塗装されたモビルスーツの手のひらの上で、桃色の女が歌っているのを後目に、黒いオープンカーが三人の男女を運んでいる。年齢は大学生くらいだろうか。十代後半くらいの三人組だ。

 黒光りするスーパーカーは、海岸線に沿った道路を南下している。ちょっと目を横にすると、美しい海と夕日が見えるロケーションだ。ドライブをするには絶好と言えるだろう。

 しかし、彼ら三人の様相は、楽しいドライブをしている様にはあまり見えなかった。

 

 三人の髪色もカラフルなもので、水色、緑色、金髪と嫌でも目立つ三人組だ。

 

「楽しそうじゃん!ザフトの連中さ…俺たち、まだあの艦を追うの?」

 

「ネオはそのつもりだろうな…まあ、俺たちにとって重要なのは、戦争の行く末なんかじゃあない…つまるところ殺るか、殺られるか、だろ?

 ファントムペインに、負けはこれ以上許されない」

 

 二人の少年の声が鎮まる。これまで彼らは負け続きだ。このままでは、彼らの命の価値がなくなってしまうかもしれないという恐怖と焦りを覚えるが、見えないように蓋をして隠した。

 

「きれい!!」

 

 もう一人の少女は我関せずといった様子で、海岸線に沈みかけている夕日を嬉しそうに眺めている。夕焼けに霞む碧の波の上にはカモメが群れを成して飛んでいる。とても楽し気に、歌うように鳴いている。

 鳥は自由に空を飛ぶ。まるで、戦争なんかないみたいに。辛いことなんてみじんもないように、自由に空を駆ける。

 彼らも、あの鳥たちのような自由を欲しているのだろうか。それは、あまりわからなかった。

 

 

「元気そうだね。活躍は聞いているよ。…久しぶりだね、レイ」

 

「ギル…お久しぶりです」

 

 レイが、デュランダルと久方ぶりに顔を合わせ、とてもうれしそうに顔をほころばせる。そんな二人を見て、少しばかりほほえましく思うグラディスは、やはり性根がとても優しい人なのだろう。

 

 プラント最高評議会議長であるギルバート・デュランダルがディオキアの街に姿を現すということは、ミネルバのクルーの中でも、ごく一部にしか通達されていなかったことだ。立場が立場故に、誰から狙われているのかわからぬ身であり、至極全うな情報統制といえる。

 

「大西洋連邦に何か動きでも?」

 

「ああ。とりあえず、ミネルバのパイロットたちと話したい。席を設けてくれるかな?」

 

 

 デュランダルが会談の席を設けていると聞いた時、アスランは少しばかり驚いた。彼がここにいるということもそうだが、自分たちミネルバのパイロットと顔を合わせて話したいなどと言い出すとは思わなかったからだ。

 多忙を極める彼がわざわざそんなことをするのだ。きっと、何かあるだろう。

 キラから、プラント上層部に襲撃事件を画策した者がいるのではの報告があったのは記憶に新しい。デュランダルが犯人について知っているかもしれない。…考えたくはないことだが、彼が犯人である可能性は、まだ残っているのだ。

 気を引き締めて、アスランは会談の席に着いた。

 

「久しぶりだね、アスラン。それに君達は…ルナマリアと、シンだったかな。

 このところは大活躍だそうだね。特にシンには、叙勲の申請も届いていたよ。早晩、手元に届くだろう」

 

 デュランダルは、ミネルバのローエングリンゲートやアーモリーワンでの活躍をほめたたえている。

 シンやルナマリアも、まんざらではなさそうで少し照れつつ、緊張しながらデュランダルに受け答えしていた。

 

「いえ…あれは俺…じゃなくて自分の活躍というよりも、アス…ザラ隊長の作戦のお陰でうまくいったんです」

 

 シンがここまで素直にアスランを褒めるというのも珍しい。いつもより少し跳ねっ返りの弱くなったシンを、ほほえましそうにアスラン含め他のクルーは眺めている。

 

 デュランダルの話は続く。戦争のこと、平和を望むこと、それが難しいこと…

 

「宇宙の方では、何か動きがありましたか?」

 

「月の基地では、相変わらず小規模な小競り合いが続いている。幸いなことに、大きな戦火には至っていない。

 地球の方は、もはや何が何やら…この辺りの地域のように、連合に反発しプラントに助けを求めてくる国もあるのだ。停戦…終戦への働きかけも、連合は何一つ譲歩しない姿勢を崩してはいない。これでは、何も変わらんだろうね」

 

 デュランダルは悲しそうな表情を湛えて、話を続けている。彼の話し方や声色は、聞いている方に、これでもかといった説得力と協調、同調の念を覚えさせる。流石はプラント議長と言ったところか。パフォーマンスがうまいのだ、とアスランは素直に感心した。カガリにも、これくらいの演技が必要なのかもしれない。

 

「軍人の君達にいう話ではないのかもしれないが、戦争など本当はするべきでないんだ。

 しかし、戦いを終わらせるということや、戦わないと選択することは…戦うことよりも、はるかに大変だということだ」

 

 シンが、その言葉に対し、何か言いたげなことがあるような態度を示し、少しそわそわしている。それを目ざとく見つけたデュランダルは、シンの方を見つめて話す。

 

「シン、君の意見を聞かせてほしい」

 

 デュランダルは優しく、まるで子どもを諭すようにして、シンに意見を求めている。

 シンも、じっくりと考えた後で、自分の考えを語りだした。

 

「確かに、戦わないようにするのは大切です。でも、もし敵の脅威が来たら…

 戦うべき時には戦わないと。じゃないと、何も守れない…」

 

 普通に平穏に暮らしている人の平和が当たり前のように侵害される理不尽。これをきっと、シンは思い返しているのだろう。シンの一番根深いところにあるものは、これなのだろうか…

 

 デュランダルがアスランの方に視線を少しだけ向けた気がしたので、彼は素直に応じて口を挟むことにした。

 

「それはきっと、その場では正しいのかもしれません。

 …しかし、そうやって戦い、憎み合っているだけで本当に平和が創れるのか、と以前問われました」

 

『殺されたから殺して、殺したから殺されて…それで最後は本当に平和になるのかよ!』

 

 カガリが、泣きながら語りかけた言葉を思い返す。

 キラを殺したと思っていた時に食らった、どでかい一撃だった。あれから、少しずつ彼は変わっていったのだ。

 

「私は、未だに考え続けています。まだ、答えは出ていませんが…」

 

 デュランダルもその言葉に満足したのか、頷いて同意するように言葉を続けた。

 

「なぜ我々は、未だに戦い続けるのか。なぜ、戦争はなくならないのか。

 戦争は嫌だといつの時代も叫び続けているにも関わらず。シン、どうしてだと思う?」

 

 シンは、まさか自分にまたしても発言の機会が回ってくるとは思っていなかったようだ。

 授業中にぼうっとしていた学生が、突然教師に当てられた時の様に慌てて、返答を紡いだ。

 

「それは…いつも時代も身勝手で馬鹿なやつがいて。ブルーコスモスや、大西洋連邦みたいな…

 そういう奴らが、戦争を起こすからだと、思います…」

 

「それは半分正解だね…

 『あれが欲しい。彼らは自分たちとは違う。憎い。怖い。間違っている。』

 …こうした感情の積み重ねが、戦争を起こす火種となるのだ。このような理由でも、人は戦ってしまう。

 しかし、戦争には…もっとどうしようもない、救いようのない一面があると言ったら?」

 

「救いようのない、一面…?」

 

 デュランダルが指をさしながら話す。指の先にはモビルスーツがたたずんでいた。アスランが戦場で未だ見かけたことがないものであり、最新鋭の機体なのだろう。

 

「あの機体…あれは最近、新規にロールアウトされたばかりの機体『グフイグナイテッド』。あれだけではない。戦場には多くのモノが必要だ。銃弾、ミサイル、戦車、戦艦…

 これらの値段は、まあ、馬鹿にならないものが多い。そして、消耗品だったり、すぐに壊れてしまうモノもある」

 

 戦争特需。戦争をするには、金がかかる。人員が要る。技術が必要である。これらは当然だが誰かが仕事をして生産し、販売しているれっきとした商品である。つまり、戦争をするためには、そもそもとして大きな産業がついて回るのだ。

 それは必然。人類の戦争は、とうの昔から…石を投げ合うだけではなくなってしまったのだから。

 

「戦争が儲かると知っている者たちがいる。懐が温まると実感してしまった者がいる。故に、人々に戦争を起こさせたいと、本気で考えている存在がいるのだ。

 人類の歴史上、裏で存在し続けた死の武器商人…、影に潜む、戦争発起人…『ロゴス』。

 今回の戦争の裏でも、間違いなく彼らが手を引いているだろう。彼らこそ『ブルーコスモス』の母体でもあるのだから」

 

「『ロゴス』…」

 

 シンがつぶやいた。そんなひどい奴らが本当にいるのだろうか、とシンは怪訝な表情と、悲し気な表情を湛えている。複雑で、ぐちゃぐちゃな感情になったシンの表情は、きっとものすごい様相を呈していただろう。

 

「彼らに踊らされている限りプラントと地球は一生戦い続けることになる。それを何とかしたいと私は思っているのだ。難しいのだがね…」

 

 デュランダルが遠い空を眺めながらぼやく。夕日はやがて沈むだろう。そうなれば、もう夜だ。昼行性の動物たちは活動を停止し、次の夜明けまでじっと身体を守るようにして眠るだろう。

 

 しかし、夜を克服した人類は決して眠らない。闇を克服したその時から、ともすれば人は…神の御し切れる存在ではなくなったのかもしれない。

 

 戦争の機運は収まらない。

 日は没しようとも…人々の怒り、憎しみは昂り続ける。

 

 

 デュランダルが主催した会談が終わり、夜も更けてきた。アスランはもうじき眠ろうかと思い、与えられたホテルの自室に向かっていると、デュランダルに話しかけられる。どうやら、二人だけで話したいことがあるようで、人気のないところに誘われた。

 

「アークエンジェルがオーブを出立したことは、君も耳にしているだろう?

 もしかしたら、何か知っていることがあるのではと思ってね」

 

 デュランダルから、案の定、かの艦について尋ねられる。その眼の鋭さと声色からは、一切の嘘を許容しないと言わんばかりであり、高い上背からはとてつもない迫力を覚える。

 辺りの空気が少しばかり凍てついたような錯覚をアスランは肌で感じていた。

 

「…いえ。私の方には何も。私の方こそ、議長に何かご存じか伺いたいと思っていたところでした」

 

 アスランも歴戦の戦士。この程度のことでは決して動揺はしない。回答をごまかしつつ、デュランダルがどこまで知っているのか探りを入れることにする。

 本当はキラから連絡を受けているのだが、100パーセント信頼できているわけではない彼にそれを話すわけにはいかない。

 

「…そうか。アークエンジェルと『フリーダム』が供に出立したということは、もしかしたら…“本物の”ラクス・クラインも、一緒なのではと思ってね」

 

 やはり、彼はラクスについて知っているようだった。彼女がオーブで隠居していることは非常にレベルの高い機密事項であった。プラントでも最上部の権力層しか知りえぬ情報。当然、議長である彼が知っていても全くおかしくはない。

 

「…おそらくは間違いないでしょう。あの艦が、彼女を置いていくとは思えません」

 

 アスランとしても、尻尾を出すわけにはいかない。回答を躱しつつ、決して態度に不自然さは出さないように心がける。

 しかし…百戦錬磨の腹芸をしてきた男と、純粋で嘘を吐くのが下手な青年の化かしあい。どちらに天秤が傾くかなど、自明の理であった。

 次にデュランダルが紡ぐ言葉で、アスランは動揺をせざるを得なくなる。

 

「ここだけの話だが…ラクス・クラインが何者かに襲撃された、という情報がプラント上層部で出ている」

 

「な…!」

 

 アスランは完全に虚を突かれた形となってしまい、眼を少し見開き、つい口から声が漏れてしまう。

 

 なぜ、それを…いまこの場でいうのだ?この人は、黒幕ではないのか?

 そんな要らぬ思考が一瞬だけ頭を駆け巡る。それにより、適切な反応をし損ねたことに、アスランは気づいていない。

 

「彼女のことを、本当に心配しているのだよ。私としては、彼女にはプラントに戻ってきてほしいと常々思っている。そうすれば、私が直々にあらゆる危険から守ることができるのだが…

 しかし、愚かな戦争を繰り返す我々に、彼女は呆れてしまったのかもしれないな…」

 

 今後何か新しい情報があれば互いに連絡を取り合うことを約束し、デュランダルはアスランの前から去っていった。

 アスランは、なんとか平生を保っていたが、デュランダルの背中が見えなくなった途端、大きなため息を漏らしてしまう。

 

 自分のあっけなさにやるせない気持ちになった。

 

 

 デュランダルはアスランと別れた後。

 ホテルの自室で独り、ウイスキーを嗜んでいた。

 今日の一品は、北米のコーンから醸造されたシングルモルト。ロックで口に入れると、深い香りが鼻腔をくすぐる。咽頭の形が分かるほどに喉が熱くなり、喉奥からむせ返ってくるような燻製の香りが、鼻道を通り抜ける感覚。わざわざ自宅から持参した甲斐があったと、独り満足気に月を眺めている。

 

 気を休めるときは、こうするのが彼の日常だった。

 

「君は、嘘ばかりだね…アスラン」

 

 琥珀色の液体を海に見立て、空に浮かぶ月に向ける。月が丁度ロックアイスの位置に見えた。美しい月を犯している錯覚を覚え、より一層気分が良くなる。

 

 彼も歴戦の政治家だ。十代の青年の吐く嘘や一瞬の動揺やなど、見破れぬはずもない。あの態度、それにその後の会話は…

 アスランの人となりを掌握し始めていたデュランダルからしたら、あまりにも違和感のある内容であった。

 

「何も知らない君ならばきっと、すぐに彼女の安否を確認するだろうね…」

 

 きっといろいろな質問を投げかけてくるだろう。

 しかし他の何かで頭がいっぱいになり、それをする機会を逸したのだ。

 つまり…アスランは既に事件のことを知っている。そして、それをデュランダルの口から話されることが、彼にとっては想定外であったということ。

 

「残念だよ、本当に…」

 

 月を飲み込むようにグラスを呷る。氷のように冷徹な彼に熱を与える、数少ない趣味であった。

 

 

 自室で独り、『ロゴス』とデュランダルの言について考える。

 前々から『ロゴス』については、噂程度の情報は耳にしていた。しか本当に実在していたことが、まず驚きであった。そして、『ブルーコスモス』の母体組織でもあるとは。

 さすがにそこまでは知りえなかったため、正直に言えばかなり驚いた。

 

 デュランダルがラクスとアークエンジェルを追っている様な雰囲気だった。キラから受け取った情報を加味して考えると、デュランダルが裏で手を引いている可能性はもちろんある。

 

「なぜ、議長は自分から事件のことを明かしたんだ…」

 

 この状況で、デュランダルがアスランに襲撃事件の情報を開示するメリットについて整理する。

 

 一つ目は、デュランダルはこの件に関わっておらず、本心からラクスを助けようとしている場合。

 これは未だに否定できていない。彼は表面上はとても誠実で、優しく、正しいようにしか見えない。大多数の人間は、彼を善き指導者と捉えるだろう。

 彼を怪しいと思っている自分に自信が持てないほどだ。

 それでも、彼を怪しんでしまう自分を否定できないのは、単にアスランの勘と、キラからの情報のお陰であった。

 もしもの話だが、キラからのメールがなければ、疑うことは難しかったかもしれないだろう。

 

 それに…傲慢さと正しさを振りかざす人に、ろくな人はいないという経験則。

 こんなことは言いたくはないが…薄っぺらい仮面で、表面上だけ取り繕っている人だと感じてしまっていたのだった。

 

 そして二つ目の可能性。これは最悪のシナリオだが…議長が単独で、ないしは議長を含めたプラント上層部が襲撃事件の黒幕であるという可能性。

 この状況で、アスランに情報開示する理由は一体何だろうか?

 既にアスランがラクスとの内通者であると知っており、カマをかける目的でこの話をした?

 だとしたら、自覚はしていないが、きっと何かしらの尻尾を出してしまっただろう。

 これからは、より一層プラントへの警戒を強めねばならない。

 

「議長は…ラクスを処理し、ミーア(彼のラクス)で、その力を簒奪しようとしているのか…?

 そして、それが失敗したから、追跡をしている…」

 

 ラクスやキラは、ザフトの最新鋭機が襲撃をしたことを知っている。故に、口封じが必要なのか。

 しかも、自分のマリオネットであるミーアを十全に有効活用するには、本物のラクスに生きていられる方が迷惑だろう。

 

 しかし、解せないことが一つある。

 なぜ、マユも襲撃されたのだろうか?

 普通に考えればラクスへの襲撃に、同じ場所に住む少女が、不幸にも巻き込まれたと考えるのが自然だろう。

 しかし、キラからのメールにはわざわざ『ラクスとマユが』襲撃されたと記載されていた。

 

 当時の状況をはっきりイメージすることができないが、別動隊を用いてマユを襲ったのだろうか?

 だとしたら、その理由がさっぱりわからない。

 死体をイタズラに増やすことは、メリットには決してなり得ない。何か、襲われる所以があったということ…

 

「あんな、か弱い少女をなぜ…」

 

 これ以上考えていても、一向に考えが纏まらないことを察した。諦めて眠りにつくことにする。

 

 彼は、周囲を警戒しながら床に就く。戦士になってからは当たり前のようにできることであった。

 熟睡はしない。少しの物音があれば彼はすぐさま飛び起き、1秒以内に傍に隠してある拳銃の安全装置を外して銃口を構えることができるだろう。

 戦士としての究極形。人を殺すことに特化した人間は、人として必要な機能でさえも作り変えることができる。

 

 そんな彼が安心して眠れる夜を迎えるのはいつになるのだろうか。

 

 ともすれば、永遠にやってこない未来なのかもしれない。




投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

話のテンポが悪くなっている気がするので、アンケートを設けました。よろしければ、回答の程お願い致します。

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