推しの子 光を失った星は再び輝きだす   作:星電輝

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第1章 星の記憶編
#0.5 生放送


「みんな〜! おはよう〜!! ルビーだよ〜!」

「おはようございます……有馬かな」

「こんめむ〜! MEMちょだよ〜!」

「お、おはようございます。黒川あかねです」

「ロリ先輩テンション低いな〜」

「こんな朝っぱらからそれだけテンション高いことがまずおかしいのよ……」

 

 私達は今、B小町のチャンネルで朝早くから生放送をしていた。

 そうそう、ロリ先輩は久々に事務所に来るからお兄ちゃんに会えるのを楽しみにしてたみたい。あかねちゃんが来ることは知らなかったみたいだけど。

 

 

〔確かにw〕

〔こんめむーー!!!!〕

〔うるさ!元気やなぁ〜〕

〔今回はかなちゃんとあかねちゃんもいるんだ!〕

 

 

「ね、ねぇ、私も来てよかったの?」

「いいんだよぉ。あかねは私から誘ったんだからさ」

「で? なんでこんな朝早いのよ。私まで呼び出されるし」

「よくぞ聞いてくれました!!」

 

 めむちょがとても大きな声で元気よく答えてくれた。

 

「今日はアクたんをモニタリングをしていこうと思うよ!」

「「モニタリング?」」

「モニタリングというよりはドキュメンタリー動画になるのかな? アクたんを朝から本日行なわれる15年の嘘の試写会が終わるまで、どう過ごしているのかをカメラに収めます!」

 

 今日は15年の嘘という映画の試写会当日。そのタイミングでやる企画ということもあって、試写会でのオフシーンまで生放送しちゃおうっていうのが今回の企画の全貌だ。

 決して! せんせのあんなとこやそんなとこまで見たいっていう邪な気持ちで、企画提案したわけじゃないんだからね!! いや、すいません。見たいです。心の中で血の涙を流す勢いで企画提案しました。

 

「そう! どうせそのまま試写会に行くんだし、ロリ先輩はついでにって思って。あかねちゃんはついでじゃないよ?」

「私ついでだったの!?」

 

 

〔ついでだったw〕

〔こんな朝早いってことはアクアは早起きなのか〕

〔試写会いいなぁー〕

〔俺、試写会行くよ!〕

〔モニタリング楽しみ〜!!〕

 

 

「そういえば、ちゃんとアクたん本人に許可とったよね? ルビー?」

 

 めむちょが神妙な顔つきで私に聞いてきたから、私も神妙な顔つきになってこう返した。

 

「え? 許可なんて取ってないよ?」

「え?」

「え?」

「「……」」

「てことでお兄ちゃんの部屋に事前にカメラを仕掛けておいたので見ていきたいと思いまーす!!」

「ごめん……アクたん……」

 

 めむちょが上を向き、何かを祈るように小声でそう呟いた。

 

* * *

 

『んーん……』

 

「可愛い〜!! お兄ちゃんの寝顔マジ天使!!」

 あ〜可愛い!! せんせの寝顔がやばい火力してる♡ これは私が未来永劫守っていかないと♡

「あんた……そのブラコン具合、マジでいい加減に治しなさいよ……」

「これは永遠に治ることはないですぅ〜」

「まったく二人とも……」

 

 呆れたような顔してるめむちょ。

 しょうがないじゃん! お兄ちゃんの顔は何から何まで国宝級なんだから!

 

「ねぇ? アクア君の様子がおかしくない? なんかうなされてるっていうか」

 

 あかねちゃんに言われて私達は再び画面に目を移す。

 最初はいい顔をして寝ていたお兄ちゃんだったけど、あかねちゃんの言う通りうなされているようで苦しそうにしている。

 

『はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! ア、アイ……アイ!?』

 

 アクアはベットから飛び起きる。とても顔色が悪いように見えた。

 映像だから細かい表情までは分からないけど。

 

『はぁ……またか。汗だくだ……シャワーでも浴びるか』

 

 そう言ってアクアは部屋を後にする。おそらくお風呂場に向かったのだろう。

 

 

〔アクア大丈夫か?〕

〔アイって言ってなかった?〕

〔無理もないよなぁ、アクアは目の前で母親が刺されるの見てるわけだし〕

〔またってことはずっとこんな調子なんだ〕

〔こういうのってカウンセリングを受けたりするんじゃないの?〕

 

 

 コメント欄はお兄ちゃんを心配するような声でいっぱいになっていた。

 

「お兄ちゃん……やっぱりまだ治ってなかったんだ……」

「アクアってカウンセリングとか行ってなかったの?」

「行ってたよ。当時、私とお兄ちゃん二人ともカウンセリングに通ってはいたんだけどいつの日からか、私を元気付けるために治ったふりしてたみたい。そして私がカウンセリングを終わると同時に辞めちゃったの。本人は『大丈夫。もう治った』の一点張りだったし」

「アクア君らしいね」

「うん…そうだね」

 

* * *

 

 しばらくしんみりした空気が続いていたが、シャワーから帰ってきたと思われるアクアが映ったことによってそんな空気は吹き飛ばされた。

 綺麗な肌に流れる水滴を我が家のもふもふなタオルを使って拭き取りながら、上裸の状態で部屋に帰ってきたのだ。水も滴るいい男という言葉があるが、それが当てはまる人間がいるのだとしたらそれはアクアだけだろう。そうに違いない!

 せんせ……カッコよすぎ♡

 

「ちょっ!? な、な、なんであいつ上裸で部屋戻ってきてるのよ/// 服ぐらい着なさいよ……///」

 

 そう、今のお兄ちゃんはズボンまで履いてはいるものの上は何も着ていない。

 そう、何も着ていないのだ!!

 

「お兄ちゃん♡ 駄目だよ♡ そんな姿を世間に見せちゃ♡」

「アクア君って意外と筋肉あるんだ♡」

「ルビーもあかねも駄目だよぉ〜。そんな顔を世間様に見せちゃぁ」

 

 またもや呆れたような顔してるめむちょ。

 分かってる。分かってるけどさぁ! でもしょうがないでしょ!? 何度でも言うけど、お兄ちゃんの体は何から何まで国宝級なんだから!

 

 

〔こいつ顔良すぎだろ〕

〔アクアさんかっこよすぎ♡〕

〔水も滴るいい男とはこのことか〕

〔重度のブラコンすぎるw〕

〔こいつらまじなんで別れたん?ってぐらいメロメロやな〕

〔それな〕

 

 

* * *

 

 その後はアクアが朝ご飯を作って食べて、出掛ける準備をし終える姿まで生放送された。

 今はアクアが机で何かしているようだけどよく見えない。

 

「アクたん、何してるんだろう?」

 

 

〔何かを机に入れてる?〕

〔なんかの紙かな?〕

〔白い封筒みたいにも見えたけど〕

 

 

「うーん。分からないなぁ。気になるぅ〜!」

「お兄ちゃんが家を出たタイミングで覗きに行く?」

「え!? ルビー、流石にそれは駄目じゃない?」

「いやまぁ、大丈夫でしょ! 妹の私が許す!」

 

 お兄ちゃんシスコンだし大丈夫でしょ!!

 

「まぁ、ルビーちゃんが言うんだし」

 

 しばらく時間が経ち、お兄ちゃんが家を出た後に私達はモニターを設置して撮影していた事務所からカメラだけを持ってお兄ちゃんの部屋に入り込んだ。

 

「お邪魔しまーす! さーてと、アクたんは一体何を隠してるのかなぁ〜??」

 

 部屋に入ってすぐ引き出しに手を掛けためむちょ。私達もめむちょのそばに駆け寄り、引き出しの中身を確認する。

 

 

 

「え?」

「は?」

「なにこれ……」

「アクア君………」

 

 

 

〔は?〕

〔嘘だろ?〕

〔おい〕

〔マジかよ〕

 

 

 その引き出しの中身に私達はおろか、視聴者達も驚きを隠せなかった。

 

 

「ちょっと……一回カメラ止めて……」

 

 

 そこには遺書と書かれた白い封筒があったのだ。




全員幸せエンドを迎えてほしいというIFストーリーを想像して、自分が半月以上考えていた物語を文字に起こすことしました!
アクフリも好きではありますが今作にはそのような要素はありません……ないと思います。
……あと、下手したら甘々のツクヨミが出る可能性がこの作品にはあります。まあ、それもIFストーリーの醍醐味ということで。
てことで、今回のお話はB小町の生放送中にとんでもないものを見つけてしまうというお話でした。このお話は一話目の数時間前のお話……一体どう繋がっていくのでしょうか?
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