あの後、アクアはどこかに去ってしまった。おそらくカミキヒカルの後を追ったのだろう。
私達もその後を追いたかったが、つい先程アクアに掛けられた別れの言葉に皆ショックを受けたのだろう。誰も彼を追うために脚を…体を動かそうとしなかった。いや、できなかった。
しばらくして、私達は足取りの重くなった脚をなんとか動かして苺プロの事務所に戻った。
* * *
「「「「……」」」」
「……?」
そうして事務所に戻ってきた私達だが、空気は最悪。終始お通夜ムードと化していた。
さっきからずっとこんな雰囲気の私達にミヤコさんは首を傾げつつも何も言わずにホットドリンクを作ってきてくれた。
「はい、これ。暖かいわよ。何があったのかは聞かないけど、早く仲直りしなさい」
「ミヤコさん……」
ミヤコさん、ホットドリンクはありがたくいただきます。けど、別に私達喧嘩したわけじゃないです。
そんな時だった。帰ってきてから何気なくつけていたテレビのニュースで衝撃的なことが報道されていた。
「え? カミキヒカルが殺された……?」
私達がアクアを抑えている間に逃げ出したはずのカミキヒカルが何者かに殺害されたらしい。
「……ねぇ、あかねちゃん。これってお兄ちゃんがやったのかな……」
「……どうなんだろう。テレビの報道だと映画を見たアイのファンが犯行に及んだってあるけど……」
テレビの報道に驚きを隠せないあかねとルビーが口を滑らせてしまったためか、今の今まで何も聞かないでくれたミヤコさんが反応した。
「え? どういうこと? アクアが何かしたの?」
こうなったら隠しておけないと思ったのだろう。元より隠す気などなかったが。
「ミヤコさん、かなちゃんとめむも聞いてほしいの。とても大事なこと」
そう言って、先程まで考え込んでいたあかねが話し始めた。とても暗い表情でアクアの復讐に関する話を包み隠さず喋ってくれた。
私やメムの知っていることはアクアのお母さんがB小町のアイであることとアクアが復讐をしようとしてたことしか知らない。あかねが話してくれた話には、私たちの知らない信じられないような話がたくさんあった。
アクアが復讐の対象である父親を見つけるために芸能界に入ったことやDNA検査にたくさんのお金をかけたこと。なによりアクアがあかねと恋リア以降に付き合い始めたのも、アクアがあかねの能力を利用するためだったらしい。それ以外にもたくさんの話が出てきた。
あかねが話を終えた後、事務所内は帰ってきた時と同じような気まずい空気に包まれていた。しばらくして、話を聞いてる間押し黙って下を向いていたミヤコさんが顔をあげた。
「あの子はまったく……って私も人のこと言えないわね。私もあの子の気持ちに気づいてあげられなかったわ。……親失格よ」
「そんなことないよ。ミヤコさんはママが死んじゃってからも私達を大切に育ててくれた。私達にとっては大切なもう一人のお母さんだよ! お兄ちゃんもきっとそう思ってるよ!」
ルビーの言葉にミヤコさんは涙を浮かべた。
「ありがとう、ルビー」
そしてミヤコさんはルビーの元に近づいていき、熱い抱擁を交わした。
「ねぇ、あかね。このニュースって本当にアクたんがやったと思う?」
「う〜ん、私も考えてみたんだけどそれはないと思う。アクア君がもしやったのだとしたらこんなに早く話題になったりはしないはずだよ。アクア君からしてみれば、今話題になるわけにはいかないはずだから」
「どういうこと?」
私とMEMは疑問を浮かべる。
「アクア君は優しいから。きっと復讐の目的はルビーちゃんを守ることでもあったんだよ。アイさんと同じようなことが起こさせないためにも」
「お兄ちゃんが……私のために……」
「うん。だけど、アクア君が復讐を果たしてもルビーちゃんを守れないケースがある。それはアクア君が人を殺したことが世間にバレてしまうこと」
「そっか……ルビーが世間から殺人犯の妹って扱いを受けることになるのね」
「そう」
確かにあの超がつくレベルのシスコンがそんなことを望むとは到底思えない。
「これから、あーくんは一体どうするつもりなんだろう……」
その言葉にみんな押し黙ってしまう。
今、復讐を不本意ながらに終えてしまったあーくんは帰ってくるのだろうか? 最悪の場合、自ら命を絶ってしまう可能性もある。
沈黙に耐えかねて窓から外を眺める。気づかぬうちに外では雨が降り始めていた。
最近あらすじが雑になってきているのが考えものだな……
てことで、今回はアクアに別れを告げられた四人のお話です。やっぱり雑じゃねえかっていうツッコミは受けません。
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