鬼と平和は紙一重 作:αスタイル
突如知らない世界に来た白夜は訳も分からないまま夜鹿と名乗る女性と謎の黒装束の戦いに巻き込まれてしまう……。
︎︎白夜と夜鹿を乗せたトラックに並走する2台の別のトラックからコンカラーの手下が次々と2人の乗る荷台に飛び乗ってくる。
コンカラー兵「死ね!」
︎︎白夜は剣を振り向けてくるコンカラー兵の一撃を交わしてからコンカラー兵が付けているガスマスクなんてお構い無しに拳を叩き込んだ。
白夜「大体なんでこんな連中追っかけてるんだよ!?」
︎︎倒れたコンカラー兵の後ろから更に別の兵が白夜に襲いかかる。
︎︎広い荷台とは言え、5〜6人も乗ったらかなり狭くなる場所で白夜と夜鹿はコンカラー兵の相手をする。
夜鹿「私は仕事でコイツらを追ってるの!」
白夜「仕事?どんな仕事してたらこんな目に会うんだよ!?」
夜鹿「便利屋!困ってる人の依頼を受けて回ってるの!」
︎︎夜鹿の回し蹴りがコンカラー兵2人の顔に当たり、荷台から外へ放り出される。
白夜「こんなヤバい仕事持ってくる奴相手にしてるのかよ!もっとクライアントは選んだ方が良いだろ!」
︎︎白夜のいる荷台に飛び乗ろうとしたコンカラー兵を蹴って押し戻しながら白夜がそう言うと夜鹿は「そうはいかないのよ!」とコンカラー兵の武器をかわしながら叫ぶように言った。
夜鹿「本当に困ってる人達がいる。誰かの助けを求めてる人がいるのよ……。私はそんな人達から目を背けない!!」
︎︎夜鹿の決意を戦いながら聞いていた白夜は少し間を置いてから「そうかい!」と言いながらコンカラー兵を殴り倒す。
︎︎すると、今まで白夜達の乗るトラックを運転していたコンカラー兵が窓から何か筒のような容器を隣のトラックのコンカラー兵に渡そうと腕を伸ばす。
夜鹿「……!それを奪って!」
︎︎夜鹿が運転席の方を指さし、白夜がそれを視認する。
白夜「あんなところに取りに行けってか!?」
夜鹿「お願い!ここの奴らは私が抑えるから!」
︎︎少し躊躇ったが「あぁクソ!」と言うと白夜はトラックの屋根に登り、コンカラー兵が渡そうとしている容器を上から奪おうと掴んだ。
コンカラー兵「引きずり下ろせ!」
︎︎コンカラー兵は容器を掴む白夜を落とそうと持っていた容器を強く引っ張る。落とされまいと踏ん張る白夜に向けて対面のトラックの助手席に座っているコンカラー兵が銃を構える。
白夜「銃!?」
︎︎コンカラー兵が白夜の額めがけて引き金を引くと派手な発砲音が鳴る。
いち早く銃に気づいた白夜はコンカラー兵が引き金を引く前に動いたお陰でギリギリ銃弾をかわす。
︎︎しかし、それにより足を滑らした白夜は屋根から落下してしまう。
白夜「うおあぁ!!」
︎︎ギリギリのところで元から掴んでいた容器とトラックのサイドミラーにしがみついたことで落下することを防ぐ。
コンカラー兵「コイツを落とせ!」
︎︎容器を持っているコンカラー兵がそう言うと銃を持っている方が白夜を狙おうとしてドアを開く。容器を持っている方のトラックのドアにぶら下がる白夜に銃を向けた瞬間、白夜は腕に力を入れて体を持ち上げると半開きになったドアを思いっきり蹴って閉める。
コンカラー兵「ぐえっ!?」
︎︎体を少し外に出して白夜を狙っていたコンカラー兵は蹴られたことで閉まったドアに挟まれてしまう。しかも、白夜はそこからその蹴って閉めたドアを足場にして体を更に持ち上げて屋根の上に戻る。
︎︎その時に持っていた容器を両手で掴んで思いっきり引っ張り、コンカラー兵から奪い取った。
コンカラー兵「しまった!」
︎︎容器を奪われたコンカラー兵が取り戻そうと助手席のコンカラー兵に合図を送る。
︎︎助手席のコンカラー兵が白夜のいるトラックの屋根によじ登ろうとするが白夜は登ってくるコンカラー兵の顔を容赦なく蹴る。
白夜「おい!奪ったぞ!これどうすれば良い!?」
︎︎夜鹿はコンカラー兵を次々と蹴り倒してからジャンプし、白夜の横に着地する。
夜鹿「逃げるわよ!」
白夜「逃げるってこのスピードで走ってるのに!?」
︎︎トラックはかなり良いスピードで走行している。下手に降りたら無傷では済まなそうだ。
︎︎すると、走っていたトラックの前輪タイヤが突如破裂音を鳴らしてパンクし、速度を出していたトラックは制御を失い派手に蛇行し始めた。
白夜「なんだ!?」
︎︎バランスを崩したトラックはそのまま横転し、白夜と夜鹿は外に放り出されてしまう。
︎︎投げ出され、背中から落ちた白夜は呼吸が苦しくなり咳き込みながら痛みに悶える。
︎︎一体何が起きたのかと痛む体に喝を入れながら起き上がろうとすると夜鹿が走り寄ってきて立とうとする白夜の手を掴んで引き上げる。
夜鹿「無事?」
白夜「ゲホッ……あぁ」
夜鹿「容器は?」
︎︎白夜は持っていた容器を夜鹿に見せつける。
︎︎すると「全員動くな!」と言う声と共に青い警官服の『犬』が複数姿を現す。そう、人間の体に犬の頭を持つ警官たちがサーベルを持ちながらあちこちに転がっているコンカラー兵を次々と拘束していくという光景が広がっていたのだ。
白夜「犬?」
︎︎白夜は目の前の警官達を見ながらそう言うと背後から「また派手にやったな」と渋い声がかけられる。
︎︎その声を聞いた途端、夜鹿の顔がしまったといった風な表情になる。
夜鹿「えっと……どうもブルース警部」
︎︎白夜と夜鹿が後ろを振り向くとそこには他の犬の警官より少し階級の高そうな服を着たブルドッグ顔の警官が立っていた。
︎︎ブルースと呼ばれた警官は笑いながら持っていた葉巻を夜鹿に向ける。
ブルース「コンカラーと喧嘩か?相変わらず元気のいい事だな?」
夜鹿「ブルース、私は止めに来ただけで問題を起こす気は……」
︎︎夜鹿がそう言い訳するもブルースは背後の横転したトラックをチラリと見ながら「そうか?」と尋ねる。
ブルース「お前が何かに首突っ込んでるのはいつもの事だが、今回は派手にやりすぎたな」
︎︎ブルースはそう言うと夜鹿の隣にいる白夜に視線を向けた。
ブルース「んでそっちは……新人か?」
夜鹿「いや、彼はその……」
︎︎夜鹿が白夜の説明にモタついているとブルースは「まぁいい」と言い、葉巻を吸ってから再び2人を指すかの様に葉巻を向けた。
ブルース「どちらにせよ、2人ともご同行願おうか、ん?」
白夜「え?これ逮捕される流れ?」
ブルース「まぁそんなところだ」
︎︎白夜と夜鹿の周りに警官が少しづつ集まり始める。
︎︎それを見た夜鹿は白夜の手を掴むと走り出した。
夜鹿「逃げるわよ!」
白夜「おい!?」
︎︎逃げ出した2人の後ろを何人もの警官がサーベルを持ちながら「待ちなさい!」と言い追いかける。
︎︎しかし、ブルースは追うこともせずに葉巻を吸って逃げていく2人の背中を見ていた。
警官「追わなくてよろしいのですか?」
︎︎チワワ顔の警官がそう聞くと、ブルースは煙を吐きながら葉巻を指で叩いて燃えカスを落とす。
ブルース「捕まえられたら捕まえとけ。どうせアイツら捕まえても大した収穫にならねぇさ。
それより、全員確保したか?」
警官「いえ、トラック3台の内2台は抑えましたが1台は現在も逃走中です」
︎︎報告を聞き、ブルースは「引き続き追え」と指示を出した。
︎︎警官は敬礼をして去っていくのを確認してからブルースは白夜達が逃げていった方を再び向いた。
ブルース「これから面倒なことになるぞ?」
︎︎逃げていった白夜達に言うかのようにブルースはそう呟いた。