鬼と平和は紙一重   作:αスタイル

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【前回のあらすじ】
コンカラーとの戦いの末、謎の容器を手に入れた白夜と夜鹿だったが、コンカラーとのいざこざで警察に目をつけられてしまう。


Episode3:目的

 ︎︎犬の顔の警官達から何とか逃れた白夜と夜鹿は狭い裏通りに来ていた。

 

 

夜鹿「……ここまで来れば大丈夫そうね」

 

 

 ︎︎辺りを確認しながら夜鹿がそう言うと、息を切らした白夜が「それで……」と話を切り出した。

 

 

白夜「詳しく教えてくれよ。ここの事、今の連中のことを」

 

 

 ︎︎白夜は息を整えながらそう言うと夜鹿は少し考えてから口を開いた。

 

 

夜鹿「まずはここの事だけど、セントラルワンは世界の中心とされているって言ったわよね?」

 

 

白夜「あぁ、それって都市だからって意味か?」

 

 

 ︎︎白夜がそう聞くと「それもあるけど」と夜鹿は言葉を繋げた。

 

 

夜鹿「この世界には様々な人種がいるのよ。

さっきのコンカラー兵は『ヒューム』って人種だし、あの警官たちは『ノーマッド』っていう人種。そして私は『ディアス』。とにかく上げたらキリが無いほどよ。

正直な話、セントラルワンの行政だって全ての人種を把握しきれていないって聞くわ」

 

 

白夜「都市を管理してる行政が把握しきれてないのか?」

 

 

夜鹿「それだけ人も人種も多いのよ。

そして何よりここセントラルワンはさっきも言ったけど『世界の中心』。その意味は様々な人種が住む場所の中心に位置するからよ。

元々は何も無い平地だったんだけど、その位置の性質上、様々な人がここにやってくるようになったわ」

 

 

 ︎︎そこまで聞いて白夜はセントラルワンの現状を何となく把握する。

 

 

白夜「つまりは人の行き来が多い上に数え切れないほどの人種がいる。

んでもって集まってくるからここが都市になったって感じか?」

 

 

夜鹿「そう。そして今はこの世界の経済や文化、ありとあらゆるものが集まるようになったのよ」

 

 

 ︎︎そこまで聞いてセントラルワンがどんな場所なのかを白夜は理解した。

 ︎︎それにこの世界は多くの人種が存在し、それも互いに交流が活発にあるということだ。つまりは犬の顔を持つ人がいてもこの世界ではおかしくないということだ。

 

 

白夜「分かった、こことこの世界については何となく理解した。それで、あの黒装束の連中……コンカラーをなんでお前は追ってたんだ?

確か、これが必要なんだよな?」

 

 

 ︎︎白夜はそう言いながら持っていた容器を夜鹿に渡した。

 ︎︎容器は円柱の金属で出来ていて、その円状の面に持ち手がある程度しか特徴が無かった。

 ︎︎夜鹿は容器を手探りで調べながら自分の目的を話し始める。

 

 

夜鹿「私が受けた依頼は「コンカラーに殺された夫の願いを叶えて欲しい」って依頼よ」

 

 

白夜「……!殺された?」

 

 

夜鹿「コンカラーはこの世界に『真の自由』を与えるという名目で動く武装組織、でもその実態は世界に混沌をもたらそうとしているだけ。

依頼主の事は詳細には話せないけど、依頼主の夫はコンカラーを止めるために戦ってた人だったらしいわ」

 

 

 ︎︎実際に白夜達が戦ったコンカラー兵も確かに持つ武器はバラバラだったが、統一された装備を着ていた。そういう意味では組織としてまとまってはいるようだ。それにしても初めて見た白夜から見ても真の自由なんて叫んでいそうな見た目では無さそうだった。

 

 

白夜「自由を謳う奴らが物騒なもん持って襲いかかってくるの悪夢すぎるだろ」

 

 

夜鹿「コンカラーの言う自由は秩序の崩壊を指してる。奴らの目的が達成された時……それはこの世界が崩壊する時ってことよ。そして……」

 

 

 ︎︎夜鹿が持っていた容器の取っ手部分を回すと、中身が真空だったのかプシュ!と言う空気が入る音がし、容器のロックが外れた。

 ︎︎筒状の容器から引き抜く感じで取っ手部分を引っ張ると中には何やら楕円形の黄色に光る宝石が取っ手から中に伸びた板に固定される形で入っていた。

 

 

夜鹿「奴らはこれを使ってこの世界を壊そうとしてる」

 

 

 ︎︎楕円形の宝石はその模様が動いており、まるで黄色く光り波打つ海面のようだった。

 

 

白夜「何だこれ?中が動いてるぞ?」

 

 

夜鹿「ただの宝石って訳じゃなさそうね」

 

 

 ︎︎夜鹿は恐る恐る指を宝石に伸ばして警戒するようにつついてみる。

 ︎︎しかし何か起こる事は無く、触れても問題無いと判断した夜鹿はその宝石を掴んで板から取り外した。

 

 

白夜「……お前すげぇな。よくそんな得体の知れないもん触れるな」

 

 

夜鹿「この容器に入れて持ち歩いたら目立つでしょ?今の私たちはコンカラーだけじゃなくて警察からも追われてるんだから」

 

 

 ︎︎それを聞いて白夜は「え?」と間抜けな声を出す。

 

 

白夜「俺何も知らないのに警察と悪党に追われてるの?」

 

 

夜鹿「警察にはさっきので顔がバレてるし……コンカラーも多分私たちのことを調べてるはずよ」

 

 

白夜「冗談じゃねぇぞ?こちとら何も分からねぇってのにその上追われるのか?」

 

 

 ︎︎白夜がそう愚痴ると夜鹿はため息をつきながら持っていた宝石をポケットに閉まった。

 

 

夜鹿「本当はアンタを警察に任せるつもりだったけど……こうなった以上、警察は頼れないわね」

 

 

白夜「じゃあどうしろってんだ?」

 

 

 ︎︎夜鹿は白夜の顔をまっすぐと見る。

 

 

夜鹿「警察がアンタのことを被害者だって認めるまで一緒に行動しましょ」

 

 

白夜「……警察に目ェつけられてる奴と行動するの?」

 

 

夜鹿「私はまぁ……いつもの事だし、今回の件はブルースが担当してるみたいだから多少は大目に見てもらえるかも?それなら下手に単独で動いて今の警察に捕まるよりは私といる方がマシじゃないかしら?」

 

 

 ︎︎などと言われても夜鹿とブルースの関係も知らない白夜にとっては納得する理由にはなっていなかった。しかし、かといってここで夜鹿という頼りの綱を離せば、白夜は何も分からないこの世界に放り出されることになる。

 ︎︎しばらく悩んだ白夜だったが、他に方法が見当たらなかったので大きなため息をつくと夜鹿に手を差し出した。

 

 

白夜「分かった、お前について行くよ。その代わり俺をお前の便利屋の臨時スタッフとして雇ってくれ」

 

 

夜鹿「雇う?なんで?」

 

 

白夜「金がねぇから」

 

 

 ︎︎白夜の答えを聞いてキョトンとした顔をした夜鹿だったが、面白かったのか手を口に添えてクスクスと笑う。

 

 

夜鹿「なるほどね、良いわよ。よろしく臨時スタッフさん?」

 

 

 ︎︎夜鹿は笑いながら白夜の差し出した手を握って握手をした。

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