鬼と平和は紙一重 作:αスタイル
謎の刀に追われる白夜だったが、刀だけでなく謎の人物までもが白夜達に襲いかかる。
︎︎ローブを着た人物は何も言わずに急接近し、刃物を白夜と夜鹿の2人に突き出す。
白夜「避けろ!」
夜鹿「……!」
︎︎抱きしめられて混乱していた夜鹿にそう言いながら突き放すと、別れた2人の間にローブを着た人物が入り込む形になる。
︎︎襲われていることに気づいた夜鹿は瞬時に蹴りをその人物に叩き込むが、ローブを着た人物はそれをもう片方に持った刃物で受け止める。
夜鹿「二刀流!?」
︎︎二刀流使いは夜鹿の足を弾くと片手の刃物を夜鹿に振り下ろす。だが、それを白夜が後ろから二刀流使いにタックルすることで軌道がズレ、二刀流使いと白夜は転倒する。
乗客「キャアアア!」
︎︎白夜達の戦闘を見た乗客達が悲鳴を上げて逃げていく。それでも二刀流使いはそんなことは構いもせずに自分に覆い被さる形で倒れている白夜に刃物を突き刺そうとする。
夜鹿「避けて!」
︎︎夜鹿はそう言いながら二刀流使いではなく、その上に倒れた白夜を蹴り飛ばして二刀流使いの刃から白夜を逃がす。
白夜「いで!?もっと優しく出来ないのかよ!」
︎︎立ち上がった二刀流使いの刃物を避けながら夜鹿は「出来ない!」と叫ぶと二刀流使いの攻撃を躱したり足の金属製のブーツで弾きながら隙を伺う。
︎︎二刀流使いの刃物を振り上げた隙を突いて夜鹿は相手の脇腹に蹴りを一撃入れた。
二刀流使い「……ッ!」
︎︎脇に一撃を食らった二刀流使いの体は浮き上がり、1列に並んだ奥の座席の背もたれにぶつかりながら車両の床に転がる。
白夜「アイツ何者だ!?」
夜鹿「さぁ?呪いの術者本人かコンカラーの追っ手のどっちかよ!」
︎︎起き上がった二刀流使いに夜鹿が通路の真ん中を走り近づこうとすると二刀流使いは持っていた刃物2つの尻を合わせてはめ込むように回して接続すると2つの刃物はたちまち1つの弓に姿を変えた。
白夜「……!弓も使うのか!?」
︎︎二刀流使いが弓を構えると輝く弦が弓に張られ、二刀流使いがその弦を引くと弦が出現した時のように光が集まり矢の形を形成して二刀流使いの引いた弓に収まる。その一連の動作に無駄がなく、たった2秒程で射撃体制を整える。
夜鹿「……くっ!」
︎︎二刀流使いが弦を離すと光の矢はスピードを出して真っ直ぐと夜鹿に向かって飛んでいく。
︎︎夜鹿はスライディングをして姿勢を低くし、光の矢をギリギリで避け、そこから起き上がると二刀流使いに蹴りを繰り出す。
︎︎二刀流使いも持っていた弓を盾にして夜鹿の攻撃を防ぐと弓を回して接続を解除し、再び二刀流に戻ると夜鹿に向けて刃物を振る。
夜鹿「厄介すぎるわねっ!」
︎︎二刀流使いの斬撃を避けるも、二刀流使いは姿勢を低くし夜鹿の足を蹴ってバランスを崩す。
夜鹿「しまっ……」
︎︎足を払われ床に倒れた夜鹿に二刀流使いは2つの刃物を突き刺そうとするも、白夜が二刀流使いを蹴って邪魔をする。
二刀流使い「……」
︎︎二刀流使いは2人から距離を取ると再び刃物を接続して弓にし、白夜に狙いを定める。
白夜「向こうは二刀流にプラス弓、こっちは素手と足……分が悪すぎるだろ」
︎︎白夜が苦笑いをしながらそう言うと座席の背もたれに寄りかかりながら夜鹿が起き上がる。
夜鹿「それに矢は恐らくアイツのエネルギーで作り出してるから向こうがエネルギー切れにならない限りは何発でも撃てる……ってこと……」
︎︎そう言いながら息が荒くなっているのに気づいた白夜は「おい、どうした?」と聞いた時、夜鹿の脇腹から血が流れているのに気がついた。
白夜「夜鹿!お前!!」
夜鹿「問題ないからっ……」
︎︎血が流れる傷口を手で抑えながら立ち向かおうとする夜鹿を白夜が後ろから抑える。
白夜「馬鹿野郎!死ぬぞ!」
夜鹿「……やらなきゃどちらにしても2人とも死ぬわよ……」
︎︎白夜は夜鹿の肩を掴み座席に座るように誘導する。
︎︎抵抗しようとした夜鹿だったが、力が入らずに座席に力無く座り込んでしまう。
二刀流使い「…………」
︎︎二刀流使いは弓を構えてはいるものの、何故か夜鹿を気にして隙だらけな白夜の背中に矢を放つことをしなかった。
︎︎白夜は着ていた服を脱いで破ると夜鹿の傷口を圧迫するように胴に強めに巻き付ける。
︎︎「……ッ!」と痛そうにする夜鹿の顔を見ながら「ここにいろ」と告げた白夜は立ち上がって弓を構える二刀流使いの前に立った。
白夜「いつ刺しやがった?」
︎︎白夜が赤い瞳で睨むと今まで無言を貫いていた二刀流使いが口を開いた。
二刀流使い「さっき倒れた時です」
白夜「……!?女?」
︎︎二刀流使いの声から白夜は目の前の人物が女であることを知る。
︎︎二刀流使いの顔はフードで覆われていて見えないが、僅かな口元から褐色肌である事だけは分かる。
白夜「コンカラーの手先って訳か?」
二刀流使い「これから死ぬ貴方には関係ありません」
白夜「言ってくれるな」
︎︎白夜は怒りから拳を強く握る。
白夜「アイツに怪我させたこと、後悔させてやるよ」
︎︎怒りの表情で笑う白夜を見た二刀流使いは構えていた弓から矢を放った。
︎︎放たれた矢は白夜の頭に飛んでいくが、距離が残り僅かになった途端に白夜は首を逸らして矢を避ける。
二刀流使い「……!」
︎︎あまりの瞬発力に二刀流使いが驚くが、そんなことは気にもとめずに白夜は二刀流使いに向かって走り出した。
︎︎二刀流使いは再び矢を生成すると今度は白夜の胴体を目掛けて放つ。その矢は真っ直ぐと飛んでいくが、それを白夜は目を見開くと飛んでくる矢を手で掴んで止めた。
二刀流使い「無茶苦茶な……!」
︎︎白夜が掴んだ矢は光となって消え、白夜の手は掴んだ時の怪我で血を流していた。
︎︎白夜は二刀流使いに一気に近づくと拳を握り二刀流使いに振り下ろす。しかし二刀流使いはそれを弓でガードした。
白夜「オラァ!」
二刀流使い「!?」
︎︎二刀流使いがガードしたタイミングで白夜は片足で二刀流使いの腹に蹴りを繰り出した。二刀流使いはその衝撃とダメージでよろけ、白夜は追撃しようと二刀流使いの懐に入り込もうとするが、二刀流使いは既に弓を刃物に切り替えており、突っ込んでくる白夜に振り向ける。
白夜「クソっ!」
︎︎白夜は体を後ろに逸らして何とか二刀流使いの刃物を避ける。
︎︎距離を取った白夜と二刀流使いはそのまま硬直状態になる。
白夜(あの2つの剣を出されちゃ近づけねぇ!)
︎︎防具も着ていない白夜が刃物を持つ二刀流使いに無策に突っ込んでいくのはあまりにも無謀だった。仮に白夜が二刀流使いより動けたとしてもあの刃物を防ぐものが無ければ二刀流使いに攻撃を入れるのは難しい。
白夜(何か固いもの……何か無いか!?)
︎︎顔は二刀流使いに向けたままで白夜は周りに使えそうなものがないか探す。すると、視界に『何度も見た』ものが入る。
白夜(アレを使うのか?でも得体が知れねぇんだぞ!?)
︎︎白夜は目に入ったそれを使うことに抵抗を覚えるが、そんな時に座席に座って苦しそうにしている夜鹿の顔が視界に入る。
白夜(……ッ!迷ってる場合か?いやっ……!)
︎︎白夜が息を吸って吐くと二刀流使いが刃物を構えて走り出す。
︎︎接近してくる二刀流使いに白夜はただ突っ立っているだけだった。そして二刀流使いが飛び上がり白夜の頭を狙って刃物を振り下ろした瞬間だった。
白夜「チラチラ視界に入りやがって……」
︎︎そう呟くと白夜は横の座席に手を伸ばして何かを掴むとそれを思いっきり振り上げた。
︎︎それは黒く長い刀だった。振り下ろされた二刀流使いの刃物と白夜が振り上げた刀が激しくぶつかり、火花を散らした。
白夜「そんなに使って欲しいんなら使ってやらぁ!」
︎︎白夜が刀を持つ手に力を入れて飛びかかってきていた二刀流使いの刃物をを弾きながら振り切った。
︎︎着地した二刀流使いが顔を上げると、白夜は二刀流使いに向けて立っていた。