「え? 何、今って何年? みんなもスマホ持ってんだけど」
今回の凄惨な事件は、そんななんの緊張感もない言葉から幕を開けた。
「いやいや、これみたらいいじゃねぇか」
彼は自分で解決した。……のだが。
「じ、16年後!?」
は!? どういうこと!? え!? まだ事件起きんの!?
「一のやつ、もう今は……何歳だ.…? えっと……33歳か.…。つかここどこだよ……」
そう呟いていたら、突然声をかけられた。
「あの〜すみません。アイドルとかって興味ありますか?」
「は!?」
思わず往来の真ん中で大声を上げてしまう。スカウトマンは思わずやばい人を目撃したかのような目を向けて去ろうとする。しかし……。
(こんなの……絶対必須イベントじゃん!)
「待って下さい!」
一は去ろうとする男の腕を力強く引っ張る。
「俺、なります! アイドル!」
###
「みんなの背中を押せるような、そんなアイドルになれたらなって思ってます」
舞台上で笑顔を振りまく一。しかし裏では……。
「アイドルって、地下アイドルかよぉぉおおお!!!」
「うるさいぞ一。ちっさいハコなんだから聞こえたらどうすんだよ」
と一に注意したのは同メンバーの岡倉純。
「大体なー、スカウトをメンバーにやらせるとかアホだろうが。やけに顔がいいスカウトだと思ったらよー」
「うっせ、俺のお陰で売れたってゼッテー言わせてやるから覚悟しとけよ」
「だといいな〜」
小さいハコでの小さいキャパのライブ続きだった俺たちスカイウォーカー。しかしある日、転機が訪れる。
「俺が、変身ヒーロー!?」
なんと、一が大人気TVシリーズのレギュラーに大抜擢、さらにスカイウォーカーの海外進出。しかし……。
「人気は俺の方が上になっちまったな。悪ぃ」
なんて笑いながら一は岡倉を煽る。
「はぁ〜!? うるせぇよ〜」
しかしいつからか、岡倉は煽られても本気で怒ることはなくなり、笑顔も増えていった。
###
そんな折、ある噂が一の耳に入ってきた。ストーカーして知った岡倉とその婚約者の話と、その婚約者の事務所のきな臭い話。
「多分これ……事件の動機……だよな。能條タイプかよ……あいつ……」
正直、岡倉と長くいすぎたせいで彼に対して友情を感じていた。だから……。
「もしもし──────────」
###
「てか話変わんだけどそういやさ……知ってるか? カリプロの新人。女囲ってヤリ部屋作ってるっつーヤツ」
「!?」
岡倉の表情が見るからに青ざめる。
「あ〜安心しろ。俺は関わってねーから。何度か誘われてんだけどさ、ほら? 俺スキャンダルとか嫌いじゃん?」
しかし、岡倉の表情は変わらず、どこかに電話をかけ始めた。
「あ〜そっち? 碧さんのことなら心配しなくていいぞ? 文秋にチクッといたから。アイツらのこと」
「は? おま、なんでそれを……」
「いやーあんなダイヤの原石いるなんてな。あんな美人で売れてないなんて信じられねぇよ。……んで、なんで知ってるかだったよな。それがさ、聞こえちまったんだよお前と社長が話してんの」
「盗み聞きかよ気持ちわりぃ」
しかし岡倉の表情は明るいものとなる。
「だけどさぁ、お前の彼女、もうおめでたなんだって? 結婚式は友人代表で絶対呼べよな」
「いやそこまで……って、碧から聞いたのか。だけど悪ぃ、友人代表は他にいるんだ。お前はスペシャルゲスト枠で来てくれないか?」
「いや普通に傷つくからやめてくれない?! そのガチ拒否」
(てかこの時代の金田一、何してんだろ.…)