スグリ「アオイはやっぱりおかしいべ」   作:kfdos

1 / 1
第1話

おれの憧れていたアオイだけど、関われば関わるほどおかしい人だということがわかったべ。

 

思い出と一緒に語っていきたいと思う。

 

 

 

1.最短距離

 

「スグリくーん!」

アオイはいつも元気がいい。

外見の可愛らしさも相まって、自分が惹かれていることにもすぐに気が付いた。

 

活動の一環で看板で写真を撮ることになった時、恥ずかしさから別行動を申し出、場所を伝えて先に行くことにした。

 

 

 

「遅かったね!スグリくん!」

 

……おかしい。

なんで土地勘もなく自分より後に出発したアオイが自分より先にいるのだろう?

 

「崖、よじ登ってきたから!」

 

溌剌とした顔で告げるアオイ。

この子、都会っ子じゃなかったっけ……?

 

確かに崖をよじ登ったら最短距離だ。

グルりと回るより直線の方が近い。

 

でも、そうはならんべ。

 

 

 

2.鬼さまより鬼さま

 

アオイはポケモンバトルが強い。

おれも姉ちゃんも何度も挑んではやられた。

まさに鬼神のごとし強さだ。

 

ある時、鬼さまを苦しめた元凶を全て倒し、鬼さまことオーガポンが力比べをしたいと言った。

 

「いいよ!さっそくやろうか!」

 

アオイはためらうこともせずバトルを快諾。

力を取り戻したオーガポンに勝てるのか?

 

「あ、さっきレイドまわってたし…ま、これでいっか!」

 

アオイはブツブツと呟きながら黄色いハリテヤマのようなポケモンを出した。

 

ちょっと近未来な見た目だけど強そうだ。

グローブもつけてるし、文字通りオーガポンと力比べをするのだろう。

 

「テツノカイナ!はらだいこ!ドレパン!」

 

タイプなんて、戦略なんて関係ない、そこにはレベルと能力の暴力があった。

オーガポン怯えてる……。

 

「そっか……絶対的な力さえあればおれもオーガポンを従えられたんだ……

もっと力があれば!!」

 

 

 

3.どこにやったの?

 

アオイがどうオーガポンを育てるか見たい。

でも顔を合わせづらい。

 

ある時、姉ちゃんがアオイにオーガポンとバトルしたいと言ったようだ。

 

アオイはこれに承諾。

これ幸いとおれもこっそり広場のバトルを見に行った。

 

でも、何か様子が変だぞ?

 

「あんた、手持ちにもボックスにもオーガポンどこにもいないじゃん……」

 

「あ、ごめん!ちょっと待ってね!」

 

何かを操作し始めるアオイ。

オーガポン、どこやった?

 

「ごめんごめん!ちょっとオーガポン艦隊でカジュアル潜ってて!今連れてきたよ!」

 

「がお………」

 

艦隊ってなんだよ、カジュアルってなんだよ……。

 

さみしがりのオーガポンをさみしがらせるなよ。

 

やっぱりアオイおかしいだろ。

 

 

 

4.頂上決戦

 

アオイに勝つために、文字通り血反吐を吐きながらポケモンを育て、戦略も磨いた。

 

とにかく力が全てだ。

そして俺はチャンピオンになった。

 

アオイは学園に交換留学生として来てリーグに挑戦し、破竹の勢いで勝ち上がり遂にリベンジの機会がやってきた。

 

結果は惨敗だった。

先鋒二匹は眠らせられ、腹を叩きながらオボンの実にかじりつく悪魔二匹に全抜きさせられた。

 

チャンピオンたるもの、滅びの歌以外で交換を禁じられていることを知っての悪魔の諸行だ。

 

最初に起きたニョロトノが眠ったままのカイリューにてだすけする場面は今にも夢に見る。

 

「スグリくん……」

 

「アオイ、俺……おれ……」

 

「スグリくん……

 

 

 

賞金足りないよ?ほら、おまもりこばん。知ってるよね?たくさん勉強したもんね?最初エルフーン持ってたよ?こういう時どうするか、わかってるよね?まさかチャンピオン様が約束守らないとか無いよね?決まりだから仕方ないよね?ほら、出すもん出してよ」

 

アオイはやっぱりおかしい……というか人の心が無いべ。

 

 

 

5.前の学園の日常

 

アオイは元の学園のトップの実力者だったそうだ。

友人を連れてきた時に色んな話をペパーやボタンから聞いた。

 

「アオイの話?やつぱりあれだよな!たった一匹だけで学園最強を決める大会を勝ち抜いた伝説があるんだぜ!」

 

「ウチも戦ったけど、全然歯が立たなかったよ。同じポケモン使っているのにさ」

 

どうやらアオイは学園最強を決める大会でたった一匹だけで無双したらしい。

 

「そうなんだべ。こっちはダブルバトル主流だし、考えられねな」

 

「しかも持ち物も戦闘にまったく関係ないアイテム!思わず感動していつもの倍渡しちゃったよ」

 

「俺も俺も!アオイも満足そうだったし全然よかったちゃんだけどな!」

 

……アオイ、君は何を持たせていたんだい?

やっぱり君はおかしいよ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。