人類が核兵器という名のパンドラの箱を手に入れたのはほんの数年前。
決して開けてはならない禁断の箱、食してはならない禁断の果実。
愚かなことに、人類はその箱を開けてしまった。
その箱に入っていたのは炎を放つ諸刃の剣。相手を傷つけることは出来るが、逆に己の身を斬りつけることもできる。
人類はその刃を解き放ってしまった。
刃から放たれた炎はあらゆるものを焼き尽くし、使用した人類たちの強さを見せつけた。
この強さを見るや、人類たちはこの炎の力を求めた。
人類たちは刃を調べ上げ、その炎の力を強めた。
しかしその力は人類の想像を超えていた。
その力は、ある時には勝利と栄光を与え
ある時には死と恐怖を与え
そしてある時には、恐ろしいものを生み出す…
ーーーーーーーーーーー
西暦1995年。炎の力で数多くの犠牲を払ったことを懸念した人類は決意した。
だが悲劇は繰り返されてしまった。
一部の国が、一度封印しようと決めたはずの炎の力を再び使い始めた。
フランスが自身の核実験場・ムルロア環礁で5回にも及ぶ大規模な核実験を行使した。
巨大に打ち上げられた炎の風と雲の柱はあたり一面を覆い尽くし、炎の地獄に変えた。
この区域にはいくつか島があり、少数ではあるが生き物も住んでいた。
その生物たちは目の前で何が起こったのか解らなかった。
一瞬にしてあらゆるものを焼き尽くす炎の風が吹き付け、起こったことを理解できぬまま炎の風に焼かれたのである。
数日前までは平和な島で穏やかに暮らしていた生物たちは、この一瞬の、本当に一瞬で平和を壊され、滅ぼされたのである。
この区域は虫一匹、草一本生えない死の世界となってしまった。
この実験の後、フランスもこの過ちに気が付きこの実験を中止。
こうしてこの世界は、一部を除いて炎の力を封印・隠ぺいし、完全に消滅した。
しかし、どんなに包み隠そうとも、無かったことにしたとしても
あらゆるものが語ってしまう。浮き彫りになってしまう。
歴史は語る。
自然は語る。
物が語る。
人が語る。
数年の月日が流れ、核実験のあったムルロア環礁の環境は多少は改善された。
しかしこの場所に生命体が完全に戻ってくるにはまだ年月が必要だろう。
人類にとってはほんのわずかの犠牲に、致し方のない犠牲に過ぎないのかもしれない。
あの日。
生命体たちが住んでいた平和な島は、今は見る影もなかった。
沢山の動物、とくに海生爬虫類たちが生活を営んでいたあの平和な島の面影は残されていなかった。
生命体たちはなすすべもなく焼き尽くされていった。
しかし…
数年後、あの風に耐えきった生命体の存在が明らかになったのである。