GODZILLA・REBOOT   作:トライアゲイン

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第15話 闇の胎動

その後、ゴジラはまたしても軍の追撃を振り切って何処かへ行方をくらました。

 

軍移動指令センターには多数のマスコミが押し掛け、ゴジラの行方やら何やらについてインタビューを試みたが、軍からはノーコメントという返答しか帰ってこなかった。

 

チャールズ・ケイマンとビクター・パロッティも指令センターの前でその旨を伝える報道を伝えていた。

同じ場所にはオードリー・ティモンズもおり、何かを探しているかのように周囲を見回していた。すると前方にカメラを抱えたビクターと報道するケイマンがいたため見つからないように人ごみの中に紛れ込んだ。

 

すると新たに一台の軍用車が入ってきたため、報道陣たちはそちらのほうに向かった。中から出てきたのはヒックス大佐で、彼は次々とむけられるマイクにこう伝えた。

 

「怪物はまたしてもどこかに消えました!しかし確実に追い詰めているので被害は沈静化に向かっています!!なのでどうかご安心ください」

 

するとオードリーは、すぐ後ろにニックがいることに気が付いた。彼女の目的は当然彼である。ニックはヒックスから離れ、別の場所へ移動しようとしていた。彼女も後を追った。

 

ーーーーーーーーーーー

指令センターからいったん離れ、ニックが訪れたのは小さな薬局だった。

 

「いらっしゃい。何が欲しいのかしら?」

 

薬局の女性店員はニックに気が付くと明るく声をかけた。

 

「はい。あの、家庭用妊娠検査薬をください」

 

店員はニックの要求に答え棚から薬品の入った箱を取り出して、カウンターに並べた。

 

「御免なさい。うちにはこのタイプしかないの」

 

「ああ、それでいいです」

 

いくつか種類があったため、ニックは全種類を購入することに決めた。するとニックの耳に懐かしい声が聞こえた。

 

「貴方ハーレムにでも住んでるの?」

 

ニックが声に気が付き、振り向くと彼にとっては数年ぶりの姿があった。

 

「…オードリー!?え、どうして…」

 

ニックは驚いたが、彼女の首から報道関係者のIDが下がっていることに気が付いた。

 

「そっか。やっと、夢を叶えたんだね」

 

「え…まあそんなところよ。あなたもその…頑張ってるみたいね」

 

何せ大学時代以来の再会となるのだ。双方会話がしどろもどろになってしまっている。

 

するとニックは薬局の店員を待たせていることに気が付いた。

 

「あ、いくらですか?」

 

「40ドルよ」

 

ニックは代金を支払うと、薬品が入ったレジ袋を掴んで言った。

 

「あの、お茶でもどう?研究所にあるし、少しなら出せるよ」

 

 

 

 

 

 

 

移動指令センターには、ニック用のラボが用意されておりニックはここでゴジラの研究を行っているのだった。

 

「ねえ、まだあの事怒ってるの?」

 

出されたお茶を飲みながら、オードリーはニックに尋ねる。彼女が言っているのは二人が別れた事で、話を切り出したのはオードリー側だったのだ。

 

「まあ、少しね。いきなりだったから驚いてた」

 

ニックは回収したゴジラの肉片から血液を採取し、プレパラートに付着させていった。机の上には妊娠検査薬が置いてある。血液はこれでの検査のために使用し、肉片は電子顕微鏡で見るために使っていた。

 

「でも驚いたわ。原子力反対集会に出てたあなたが放射能の研究をしてるなんて」

 

「まあ、集会に出たのはあくまでも資料を集めるためだからね。僕は今、原子力規制員会にやとわれ、放射能の影響を受けた生物のカタログを作ってるんだ」

 

「この怪物もその一種なの?」

 

「多分そうだね。でも僕としてはあの怪物を殺すのには少し抵抗があるんだ」

 

「どうして?」

 

「考えてもごらんよ。怪物は巨大化する前は人畜無害な小動物だったのさ。それを巨大化させたのは僕たち人間の方。あいつには何の落ち度もないよ。生物学者の立場から考えれば、サンプルだけは採取してあの怪物を何とか返してやる方法はないかと考えてるんだ…何だこれ?」

 

電子顕微鏡でゴジラの細胞を見ていたニックの眼に、とんでもない光景が飛び込んできたのだった。

 

ニックは長い間、ゴジラの事を一種類の生物、主にイグアナ種が巨大化したものだと思っていた。しかし顕微鏡に映ったゴジラの細胞には確かにイグアナの細胞が映っているのだが、一部分にワニの細胞が検出されたのだった。それだけならまだいいほうで、また一部には何と鳥の細胞も発見されたのだった。

 

「どうかしたの?」

 

「あ、ああ。こいつについて、いくつかわかったことがあってね」

 

「何?」

 

「ええと、魚を山ほど食べて、両生類で、それで…」

 

ニックは動揺を覚られないように採取した血液を妊娠検査薬に垂らす。オードリーに今のところ自分の考えを喋ろうとしたとき、またしても驚くべき光景が現れた。

 

検査薬に陽性反応が出たのだった。

 

「…妊娠してる」

 

「ええ?あいつメスなの?」

 

「いや多分オスだよ。かなり珍しいタイプだけどね」

 

ニックの頭に悪い予感が浮かぶ。もしもコイツの卵が孵化してしまったら、大変なことになってしまう。何せ両生類や爬虫類は一度に複数の数の卵を産むからだ。

 

「ねえ、一匹だけで卵って産めるもんなの?」

 

「無性生殖なら珍しくないよ。厄介なのはこういった種類はたくさん卵を産むんだ。知ってるかい?トカゲは一度に12個も卵を産むんだ。それに卵を産むために長い旅をして別の土地で出産する動物もいる。コイツもその特性を受け継いでいたら…」

 

そう考えればゴジラがニューヨークに上陸した理由もわかると思ったニックは、さらにあることに気が付き、机の上にあった新聞をひっつかんだ。記事の内容はゴジラによって沈められたポリネシア近海を航行していた客船のものだった。ニックが目を付けたのは記事の一文だった。

 

この客船には、中国の上海で行われる予定の世界宝石店に展示する予定の宝石が積まれていたという事だった。

 

「そうか、これなら…オードリー、ちょっと悪いけど急用が出来ちゃった。また今度話そう!」

 

ニックはそれだけ告げると、ラボから出ていった。

 

一人取り残されたオードリーは、飲み終わったコップを片付けようと机に近づく。そこには写真が貼ってあった。自分たちが交際していた時の写真。

 

つい懐かしくて見入っていた彼女は、ふとトップシークレットと書かれたビデオがあることに気が付いた。

興味本位で再生してみる。それはあの小林丸の生存者、加藤雅也の映像だった。

 

「…ゴジラ…ゴジラ……ゴジラ」

 

ゴジラ?何のことだろう。そう思ったオードリーの眼に、破壊された家屋が映った。

 

映像が切り替わったためだ。それはパナマの現場のもので、巨大な足跡の周囲の村や町が全て廃墟となっている。

 

ゴジラとはあの怪物の事なのだ。これを世間に公表できれば…

 

オードリーは少し迷ったが、そのビデオを失敬してしまった。

 

「(…ごめんなさい。ニック…)」

 

 

 

 

 

 

一方、ゴジラが通ったと思われる地下道ではふたりの軍人が捜索をしていた。

 

軍部はてんてこ舞いだった。大規模な防衛線を敷いておきながらゴジラを逃がしたのだから。聞いた話ではこの作戦にANEB(Anti Nuclear Emergy Bacteria 抗核エネルギーバクテリア)ミサイルの導入が決定されたらしい。これを使えば仕留められるとヒックス大佐は意気込んでいた。

 

軍人の一人であるアレックスが右に回った通路を通る。しかしそこは行き止まりだった。

 

「どうする?壊して進もうか?」

 

「いや、そこまでする必要はないだろう。ゴジラの行方調査が先決さ」

 

もう一方のベイカーが言ったため、アレックスは去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふたりは気が付かなかった。

 

アレックスが行き止まりだと思っていた場所は、ゴジラの口の部分だという事に。

 

それがゆっくりと上に上がって行ったことに…

 

つづく

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