GODZILLA・REBOOT   作:トライアゲイン

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第7話 破壊者の正体

雷鳴が鳴り響く雨雲の中を、一機の輸送機が飛んでいく。

 

中に乗っているニック・タトプロスはパナマで採取した肉片を顕微鏡を使って眺めていた。生物学者としての長年の感覚から、これは生物のものだという事は解っているが、問題はこれは一体何の生物のものなのかが解っていなかった。

 

そんな彼の様子を眺めていたヒックスの横に、彼の部下が近づいて報告した。

 

「大佐。トロール漁船が3隻沈没しました」

 

「何。客船に続いて今度はトロール漁船が?」

 

大佐の言葉に、エルシーとクレイブンも驚いた。

 

「それが今回の事件と何か関係があるのか?」

 

「何者かによって海底に引きずり込まれ、あっという間に…」

 

他の調査員たちも興味津々に聞いていた。ヒックスは部下の持ってきた地図を広げ、エルシーとクレイブン、さらにニックを近くに呼んだ。

 

「こりゃあ大変なことだ。アメリカから360キロのところにいるはずなのに正体が一切掴めん。一体どういう事なんだ」

 

ポリネシア近海の客船の沈没からわずか数時間しか経っていないというのに。その間にアメリカ近海にいるトロール漁船を襲ったとなればものすごい速さで泳いできた計算になる。しかしそんな速さで泳げる海洋生物はいないはずだ。

 

「…セロポドアロサウルスだわ。白亜紀に棲息していた恐竜よ、今回の事件は恐竜の生き残りなのかもしれないわ」

 

「冗談。6000万年もの間一体全体どこにいたんだい?」

 

「放射能の痕跡はありましたか?」

 

今度はニックが尋ねた。あるのだったら同一犯で確定だろう。

 

「恐竜の生き残りだけじゃ説明できませんし、物的証拠がありませんよ。第一こいつは恐竜の変種としては大きすぎる。まったく未知の存在です」

 

ニックが言うと、今度はヒックスが彼に尋ねた。

 

「要するに、今の段階でお前はこいつが何だと思うのかまずそれを説明していただきたいな」

 

「解りました。まず整理してみますと…」

 

ニックは地図に近づき、一点を指さした。

 

「犯人はまず、フランス領ポリネシア近海で出現した。ここはフランスの核実験場で、多くの核実験が行われてきました。放たれた放射能と、降り注ぐ死の灰の影響で現地にいた生物が突然変異を起こした」

 

「あなたが研究してるミミズみたい」

 

エルシーが言うと、クレイブンがふっと笑った。

 

「その通り。こいつはチェルノブイリのミミズとまったく同じなんだ。…新種誕生だよ」

 

「ではその新種がどうして漁船や客船を襲ったのかね」

 

「客船についてはまだ解りませんが、漁船を襲ったという事は魚食性の生命体なのかもしれない。現に先ほどトロール漁船が襲われたじゃないですか」

 

おまけに放射能の影響で突然変異を起こしたという事は、核エネルギーを狙うかもしれないとニックは追加で説明した。

 

「君の言い分は解った。だが放射能で生物が突然変異を起こすという事は、本当にあることなのかね?あんな巨大な足跡を残せるほど成長するというのは、科学的に証明されているのか?」

 

「…あの、証明されているんです」

 

すると研究員の一人が口を開いた。彼はヒックスに書類の束を差し出した。

 

「日本の山根という研究者が、放射能が生物の成長に与える影響について、すでに調査しています。立証済みです」

 

ヒックスは報告書をさらっと読んでみたが、信用できるものらしかった。

 

「さらにあのビデオに言っていたゴジラという単語についても、どうやら正体が解りそうなんです」

 

研究員はノートパソコンの画面を見せた。そこには一つのサイトが映し出されていた。

 

「何々…大戸島呉爾羅記談。著者は伊佐山?何だこれは。こっちと違って信用できんぞ」

 

ヒックスの眼には、その物語は物好きが書いたオカルト物語にしか見えなかった。

 

ーーーーーーーーーーー

所変わって、ニューヨーク。

 

この眠ることのない大都会の喫茶店に、オードリー・ティモンズはコーヒーをやけ飲みしていた。前にはルーシーが、横にはビクターが座っている。

 

「もー、マジ最悪」

 

「そんなことないわよ。最悪なのはケイマンのほうよ。あいつはあんたのことをニュースを読み上げるオッパイとケツぐらいにしか思ってないんだわ」

 

「あんなにつくした私にちょっかい出すなんて、信じられる?」

 

「マジで本物のクズだわ。能無し、ペテン師、泥棒、チンピラ、ゴロツキ、犯罪者よ」

 

「そこまでは思ってないけど…」

 

「いいや、言えてるよ。俺からしてもあいつはマジ最悪。権力与えちゃいけないタイプさ」

 

横でサンドイッチを食べているビクターが口をはさんだ。

 

「ほかに例えるなら、便器、ヘドロ、犬の糞、洗面器の…」

 

「おい、食事中にそんな話止めろよ」

 

ビクターが怪訝な顔をして言った。

 

「アンタは人が良すぎるのよ。今時お人よしは損するだけなのよ。食うか食われるか、人を踏み台にして初めて成り上がれるのよ」

 

オードリーはビクターのほうに顔を向けて言った。

 

「ねえ、今のひどくない?」

 

「いいや、正解だね。お人よしは負け組に落とされるのが昨今さ」

 

「私やる時はやる女よ。やるわよ、やってやるわよ」

 

そういうと、パロッティ夫妻は含み笑いを始めた。

 

「…何よ。文句あるの?」

 

「嫌、無いよ」

 

ふんだ。オードリーはそう言ってテレビのニュース映像を見て驚いた。

 

「驚いた!あの人だわ!!ねえ、テレビの音大きくしてくれない?」

 

オードリーは駈け出してテレビのすぐ近くに向かった。ニュースの内容はジャマイカの漁船座礁事件で、映像で出たのは輸送機に乗りこむニックの姿だった。

 

オードリーは客の対応で忙しい店主に変わり、テレビのボリュームを上げた。

 

『…情報によると、ここ数時間の間にアメリカ陸軍の一部がジャマイカに出動したとのことです』

 

キャスターの読み上げるニュースより、オードリーの眼は映像に映っているニックにくぎ付けだった。

 

「…ああ、ニックだわ。本物よ」

 

「だあれ?」

 

ルーシーが質問する。オードリーは学生時代の恋人だと説明し、画面のニックにうっとりと見入った。

 

ーーーーーーーーーーー

またしてもお話変わって、マンハッタン・フルトンフィッシュマーケット。

 

ここでは今、出荷される魚が箱に詰められていった。この雨の影響で誰も漁には出ないためあまりにぎわってはいなかった。

 

そんなマンハッタンの桟橋に、釣り道具を持った一人の男が向かおうとしていた。

 

金網越しに見ていた知人の男は、釣り人に声をかけた。

 

「おーいジョー。こんな日に何が釣れんだよ?」

 

「へっへっへ。釣れたらいいなァ」

 

ジョーと呼ばれた釣り人は、それだけ言うと桟橋の先のほうに歩き始めた。

 

「やって見なけりゃわかんねえ。運がよけりゃあ大物が来るかもしれねえぞ」

 

「でかい風邪ひくのが関の山。やめときな」

 

知人の言葉を無視し、ジョーは雨の降りしきる海面に釣り糸を垂らした。

 

ジョーは折り畳み式の椅子に腰を下ろし、口笛を吹きながら獲物がかかるのを待った。そのまま買ってきた缶ビールに口を付けようとしたとき、釣糸が引いた。

 

お!っと思い、ジョーは後ろにいる知人に言った。

 

「見ろよ。早速かかったぞ!」

 

知人は驚いた顔をした。ジョーは早速糸を巻き取ろうと思ったが、引きが異様に強いのだった。

 

「すっげえ。こりゃ大物だな」

 

しかしいくら力を加えて引っ張っても糸がどんどん海の中に入って行くばかりだった。

 

「くっそ…」

 

ジョーは何とか頑張って竿を引こうとした。すると遥か彼方で何かがはねた。

 

「おい見ろよ。でかいのがはねたぞ」

 

「待て。魚にしちゃあでかすぎるぞ…」

 

ジョーは必死になって釣糸を巻き上げようとしたが、引く力が異様に強くついには竿を持っていかれてしまった。

 

一体なんだこれは。不安になったジョーが目線を上げたとき、何かがこちらに迫ってくるのが解った。

 

それはどんどん大きくなり、しまいには巨大な波の壁となってジョーに迫ってくるのだった。

 

ジョーは恐ろしくなり、慌てて逃げ出したがその瞬間桟橋が砕け始めたのだった。

 

先ほどジョーが座っていた場所を皮切りにどんどん爆砕していく。ジョーは悲鳴を上げて必死で逃げたが桟橋はどんどん速度を上げて砕け散って行く。

 

ジョーの知人は腰を抜かし、一体何事かと思っていた。フィッシュマーケットの人々も大きな爆発音に気付いたらしく、音のするほうを向いた。

 

そして知人二人の前に現れたのは…

 

 

 

 

つづく




次回、いよいよゴジラ上陸!
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