Laughing at the blue sky   作:ロリコン先生

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ミレニアム編です
そんなに長くならない予定です


vol.2 ミレニアムランナーズ
session1 神は死んだ


 

「爆発だあぁぁぁぁ!」

 

 誰かの叫び声が聞こえる。

 そして、轟音が鳴り響いた。

 黙々と煙が上がり、ごうごうと炎が燃え盛る。バタバタとその周囲には生徒たち慌てふためいていた。

 しかし直ぐに天井に着いているスプラリンクラーが起動し炎は鎮火。あわや火事となるところだったが未然に防がれたようだ。

 そんな、ボヤ騒ぎが起きたここはミレニアムサイエンススクール。

 キヴォトスにおいて「最先端」「最新鋭」と評されるものは大凡がここで作られたものである。そう呼ばれるほどに、キヴォトス中の優れた技術を持つ生徒たちが結集した、まさに叡智の学園。

 トリニティ、ゲヘナと並ぶこの学園都市の中でも大きな影響力をもつ学校である。

 そんなミレニアムでは、今とあるコンテストの表彰式を控えていた。

 その名も「ミレニアムプライス」。ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合い品評し合う、ミレニアムの中でも最大級のコンテストだ。

 その為か生徒達は(主にセミナーを筆頭とした面々であるが)皆忙しそうに忙しなく働いている。爆発騒ぎというちょっとした騒ぎもあったが、キヴォトスでは日常茶飯事であり誰もがそこまで重く受け止めていなかった。

 あることが発覚するまでは。

 

「ユ、ユウカ会計!」

「……なにかしら?」

 

 近代的な外見の成果高層物が多いミレニアムの中でも一際高いミレニアムタワー。

 ミレニアムサイエンススクールにおいての重要な施設はほぼこの中にあり、セミナーと呼ばれているミレニアムの生徒会が活動場所としているミレニアムタワーの最上階。

 その一室で、セミナーの会計である早瀬ユウカは後輩であり、そしてセミナーの一員であるとある生徒に声をかけられていた。

 この忙しい時に何?とは内心思いつつ、妙に焦った声色で声をかけられたものだから仕方がナシに振り返る。

 

「お忙しいところすみません。その、ひとつ報告したいことがありまして……」

「はぁ、別にいいわよ。それで、何があったのかしら?またどこかの部活が暴走でもした?」

「それがその……」

 

 最初はたた訝しげな顔をしながらも、大したことではないと高を括っていたユウカだったが後輩からされる報告を見ているうちに、その顔色がみるみる変わっていく。

 そしてある言葉を聞いた瞬間思わず彼女は我慢できずに叫ぶのだった。

 

「賞状が盗まれた!?」

 

 

 

Laughing at the blue sky

vol.2 ミレニアムランナーズ

 

 

 

「ミレニアムに行く?」

 

 便利屋のオフィスに置かれている黒革のソファーに座っているカヨコがそうボクに聞いてくる。ボクはゆっくりと頷いた。

 

「おう。そろそろボクの相棒のメンテナンスが必要でね。ボクが自分でやってもいいけどもよ、やっぱ相棒に関しては信頼するマイスターに任せたいだろ?」

「あぁ……エンジニア部に用があるのか」

 

 カヨコは納得したように先程まで読んでいた音楽雑誌らしきものに視線を戻した。

 何も言わないあたり特に問題はないようだ。

 まぁ、それも当然の話だ。何しろ、ウチに来ている依頼は今のところ一つもない。

 暇も暇。閑古鳥がよく鳴いてるぜ。

 だから金もない。その日の飯を食うので精一杯だ。一億円も使い切ったぜ。ボクの入院費でな。

 その証拠にカヨコの読んでる雑誌は読み返しすぎて皺ができている。

 そんな事務所の現状に嘆いていると、社長用のデスクに相変わらず偉そうに座って、後ろにかけてある掛け軸を見ていたアルがくるりと椅子ごとこちらへと振り返った。

 ちなみに掛け軸には『一日一悪』と書かれている。ムツキ曰く天賦の才。実際よくかけている。内容に目を瞑ればだけどな。

 そんなアルはボクに向かって鋭い目(当社比)を向けてきた。

 

「主任?フラフラとどこかへと行くのは構わないけれど、依頼が入ったら直ぐに戻りなさい?」

「ああ?そりゃもちろんわかってるけどよ。バイクのメンテが終わらない限りはすぐには戻れないぜ」

 

 そう言えば、アルは机に両肘を着いて指を組んだ。そしてしばらく黙り込む。

 その後、ヘナヘナと声を出した。

 

「……メ、メンテナンスってどれくらいかかるの?」

「いやボクも詳しくは知らねぇけどよ。半日はかかるんじゃねぇのか?ほら、向こう行ったらよ、ボクは何時も日帰りじゃねぇだろ。忘れたのか?」

 

 何故か押黙るアルに、ボクはムツキの姿を探した。こういう時に茶々を入れるのがムツキなのだが、どうもその姿が見当たらない。

 ハルカはさっきめちゃくちゃ謝りながら外行ってたの見えたから、後で戻ってくるだろ。

 

「おいカヨコ。ムツキのやつはどこいったんだ?」

「え?や、知らないけど」

「そうかァ。どこ行ったんだ、アイツ」

 

 特に何も言われた覚えがないもんで、皆をして首をかしげる。

 アルも特に聞いていなかったみたいだが、どうも特段驚いていないようだ。

 

「いつもの事よ。そのうち戻ってくるわ」

「そうか。お前がそう言うなら気にしないでおくぜ」

 

 ムツキがフラフラとその辺ほっつき歩くのは良いのかよ。と若干思うものの、彼女らは古くからのダチって話だし、信頼してるんだろう。

 実際、ムツキがアルのことを裏切ったりするような事はしたことはないからな。

 

「んじゃ、そろそろボクは行くぜ」

「ええ、気をつけなさい」

「お土産はミレニアムのお菓子でいいから」

「いいぜ、事務所の経費で買ってくるわ」

 

 カヨコの軽口に軽口で返しつつ、ボクは扉を閉める。

 いや、つっても経費で落とせるだけの金がうちにあるかっていや、微妙だけどな。ないだろ。絶対。

 

 

「いーい、天気だなァ」

 

 ミレニアムスタディエリアをバイクを押して歩きながらボクはそう呟く。

 スタディエリア。要するに学び舎。

 名前の通りミレニアム自治区にある、ミレニアムサイエンススクールが置かれているエリアってわけだ。

 そして、ボクはエンジニア部がいるであろう工房までたどり着いた。

 ただ、ここ。一応ミレニアムの技術者が集まるそれなりにすごいところだからかは知らねぇが、かなり厳重なセキュリティになっている。

 ミレニアムの生徒なら首から下げている学生証をタッチすればすんなり入れるがボクみたいな部外者は違う。

 

「面倒だ」

「そう思うなら、他のところでメンテナンスして貰えばいいんじゃないかい?」

 

 ボヤいていると背中に若干ハスキーな声がかかる。

 

「おお、ウタハじゃねぇか。ちょうど良かった」

「まぁ、来るとは聞いていたからね。そろそろかなと思って待っていたんだ」

 

 振り返ればそこには、微小を湛えるミレニアムのエンジニア部の部長兼3年生である白石ウタハが立っていた。

 相変わらずヘイローの隣に浮いているナイフみたいなのは健在なんだな。

 

「そりゃ助かるよ。開けてくれ」

「うん。少し待ってくれるかい」

 

 ウタハはそう言って、扉の隣にあるタッチパネルのようなものに近づく。

 そして学生証を近づければ、ピッという音の後機械音声が鳴る。

 そして数秒もしないうちにその扉が開いた。

 

「それと、これも。いい加減セミナーに自分で行って貰ってきたらどうだい?」

「悪いな。あそこは苦手でね」

「ユウカに小言を言われる身にもなって欲しいな」

「それが嫌だからお前を通してるんだろ」

「まったく……」

 

 軽口を言い合いながら、ボクはウタハから入校許可証を受け取る。

 実はこれがないとここを歩いちゃいけないんだが、ボクは事前にウタハに声を掛けてるのでその辺顔パスだ。

 本当だぜ。

 エンジニア部の工房に入ると、どうも数は多くないが部員皆が忙しなく動いている。

 各々が工具を持ったりとか、PCを触っていたりとか。騒がしさも含めてどうも火急なことが察せられる。

 

「随分と忙しそうだな」

「ああ、爆発があってね。それの修理でてんてこ舞いさ」

「爆発?へぇ、そいつは物騒な限りだ」

 

 とはいえココではいつも通りと言えばいつも通り。相変わらず治安が悪いな、本当に。

 ボクは相棒を持ってきてそのままいつもの所に置いた。

 ここに置いておけば後はウタハが勝手にやってくれる。

 

「んじゃ頼んだぜ」

「ああ、それなんだけど」

「あん?」

「物事には優先順位というものがあるだろう?」

「ああ。そうだな。ボクも今はなによりも飯が食いたいね」

 

 グゥと自己主張が激しい腹を擦る。

 腹が減りすぎてお腹と背中がくっついちまいそうだった。

 

「しかし、容量を得ないな。何が言いたい?」

「結論を焦らないで欲しい。これも順序というものさ。今の私たちにはキミのバイクを治すよりも優先しなければならないことがある」

「それは?」

「先の爆発で壊れた機械類さ」

「なるほどね」

 

 まどろっこしい言い方をしているが、要するに後回しにしても良いか?って聞いてるんだろう。

 まぁそれくらいは構わないんだが、念の為どれくらいかかるかは聞いておくか。

 

「どれくらいかかる?」

「ざっと三日」

「三日ァ!?さすがに時間がかかり過ぎだろ!?」

「仕方がないだろう?だってほら、火事にはならなかったけどあの爆発結構な大きさでね。爆発が起きた周辺の機械類が全部ダメになってしまったんだ」

「おいおい……マジかよ」

 

 僕は唖然とする。

 一日かかるとかならまだ分かる。二日かかるでもまだ許容できる。

 三日はダメだ。

 

「そんなにここにいたらユウカのやつに見付かっちまうだろ……!」

「ああ、ソラ。それなんだけどね」

「あ?なんだよ」

 

 ボクがそういった瞬間、シュパッとスライド音がなって背後の扉が開いた。

 誰が入ってきたのかと思って振り返ったボクは「あ」と口から間抜けな声が漏れ出たのを自覚した

 

「ちょっとウタハ!?まだかか……」

「遅かったか。すまないねソラ。そういうわけなんだ」

「ウタハ、てめぇ!」

「ソ〜ラ〜さ〜ん〜???」

 

 ウタハに掴みかかろうとした瞬間、背後から鬼が迫っていることに気がついた。

 身が竦み上がるようなそんな悪寒が全身に走った。逃げなくてはならないが、何処に逃げれば良いのだろうか。

 分からねぇが、一つだけわかることがある。

 ボクは死んだ。

 

「この忙しい時によく顔を出せましたね?フフっ、色々と話したいことがあるんです。なのでちょっとお時間頂けますか?」

 

 ジリジリと迫り来る重苦しいおーラーにボクは後退りをする。そして何とかこの場を凌ぐために口の回転数をあげる。

 

「や、ちょっと今忙し」

「ちょっとお時間頂けますか?」

「だから、今っ結構忙し」

「ちょっとお時間頂けますか?」

「無限ループって怖ぇよ!なぁ!?ウタハァ!?」

「そうだね」

 

 ウタハはそういった後我関せずとばかりに何処かへと歩いていった。

 ちくしょう!薄情者め!

 ジリジリと距離を詰めやがて目の前までやってきたユウカ。

 ボクより背が小さいはずなのに何故かボクよりも大きく見える。でか過ぎんだろ……!

 

「ちょっ、待てユウカ。話を……!」

「もちろん。たっぷり聞かせて貰いますから」

「いやそういう話じゃなくて」

「だからちょっとお時間頂きますね」

「待っ」

 

 どうやら神は死んだらしい。

 ボクの目の前は真っ暗になった。

 




(ふとももが)太過ぎんだろ……!
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