Laughing at the blue sky   作:ロリコン先生

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タイトル通り、某リスペクト先アニメの曲でも流して聞いてくだせぇ。


session6 ラッシュ

「っ!」

 

 ホシノが引き金に指をかけたと同時にボクは目の前の机を蹴り上げた。

 瞬間、彼女は散弾をぶち込んでくるが、ボクは横に転がることでそれを回避。彼女のショットガン、見た目はパッと見セミオート。なら次弾を撃ち込まれる前に移動する。ま、ボクに直撃させたら死ぬので多少は手加減してくれるはずだ。足とか、手とかを狙うんじゃないだろうか。いや当たったら死ぬほど痛いけどな。

 転がった勢いを使用してわざと開けっ放しにしていた扉から廊下へと転がるように出た。

 

「待て!」

 

 ズドン!と音を立てて次弾が撃ち込まれたが、これも間一髪で回避。いや、ちょっと背中掠めたかもしれんな。思わず冷や汗が垂れた。

 本来ならセリカちゃんの時のように格闘戦に持ち込んでもいいが、実は以前ここに来たばかりの頃、彼女とはやりあったことがある。今回と似たようなシチュエーションだったのだが、普通に負けかけた。キヴォトスの人間は身体能力に差があるらしいが、こと彼女、小鳥遊ホシノにおいては素の身体能力が高すぎた。筋力の方もさながることながら恐ろしいのはその俊敏さだ。一撃一撃を最小の動きで受け流そうと試みられるもんで鬱陶しいことこの上ない。しかも以前はマジで撃つ気だったからな。なんだったら打ち込まれたし。目もいいし勘もいい。怖いもんだね。

 となれば徒手空拳の間合いは分が悪い。それに散弾相手だ、15m以上の距離感には入りたくない。

 対策委員会の会議室があるここは二階。後ろを振り返ればホシノは既に廊下から出て、僕との距離を詰めている。

 ……行けるか。ボクは手首に着けている腕時計を見る。これは唯一、彼女たちに没収されなかったボクの持ち物。予備の拳銃とか、手榴弾なんかは全部持ってかれちまった。ちくしょうめ。

 かぶりを降ってボクは小さく口を開いた。

 

「ショータイムだ」

 

 それと同時にボクはホシノが照準を定めたタイミングを狙って窓から飛び降りる。ズドンと再びなる銃声、そして窓ガラスが割れる音を背景に、ボクは太陽によってきらりと輝くガラス片を纏うようにしながら、グラウンドへとダイブ。

 着地の衝撃を前方に転がって逃すことでなんとか走り出そうとするが、さすがに無理があり手足に一瞬痺れが走る。直ぐに衝撃による痺れがなくなったので走り出す。

 背後を振り返ればホシノも同様に飛び降りていた。しかも軽やかに楽々と着地してるんだぜ。マジで身体能力どうなってやがるんだキヴォトスの生徒はよ。

 直線距離間での追いかけっこなら、ボクよりホシノの方に分がある。しかし距離感は未だに開いている。なら未だ優勢なのはボクだ。

 それにそろそろ、来るはずだ。

 背後を振り向けばそこにはいた。

 

「いい加減お縄についてよ〜!」

「っとやべぇな!」

 

 悠長にしていたせいか、ホシノが既に散弾の射程距離内まで近づいていた。相変わらず、すばしっこい奴だよ!横に大きく跳んだ瞬間、ズドン!と再びの銃声。

 放たれた弾丸は横に走ることでなんとか躱すが、避けそこねたペレットの数発がつなぎの裾を貫通したのがわかった。

 こりゃ、二発目を避けるのは無理か……!?

 執拗に足に当たるように狙われているが、さすがにそろそろ動きを読まれるし、何より向こうは僕の動きに合わせて撃てばいい。拳銃やフラッシュなんかよ誤魔化しもない。距離も近い。散弾の拡散したペレットのうちどれか当たればボクはそれでチェックメイトだ。

 詰まるところはこの先は読み合いでしかなく、それも長くは続かない。

 

「万事休す……ってとこか」

 

 冷や汗が垂れた。

 ボクが動かなくなったのを見て、ホシノは銃口をこちらに向けたまま、ゆっくりと距離を近づけた。

 

「……いい加減諦めなよ〜。それに出来ればソラさんのこと、撃たせないで欲しいな」

「悪いな。生憎とボクは諦めが悪いのさ」

「……抵抗しても無駄だよ。この距離なら動くタイミングがよくわかるから、絶対に外さないよ」

 

 ホシノの言葉通り、ボクが徒手空拳の距離感まで近づく前に、彼女に撃たれて動けなくなるのは明白だ。

 さて、どうするかね……。

 

 

 詰みに近しい状況に対してソラは一瞬思案していた。ホシノも王手飛車取りと言った状況に油断はしないがソラが白旗を揚げるのを待つといった状況であった。

 しかし、なにかの走行音が二人の耳に入る。そして一緒に聞こえてくるズンチャカズンチャカと鳴り響くアラビア風の音楽。それに反応したのは両者とも同じだったが、その反応には違いがあった。ホシノは驚き、対してソラは口角を上げた。

 

ズンチャズンチャビーヨヨーン

 

「え、何?なんの曲?」

 

 謎の音楽にホシノは一瞬の硬直を見せる。しかしそれを見逃すほどソラは甘くはない。それと同時にこれら予想していた展開でもあった。

 

「ウタハの趣味も役立つもんだなぁ!」

 

 ソラは大きく笑いながら駆け出す。一瞬、反応が遅れたホシノはすかさずショットガンを撃ったがその散弾は大きく外れてしまう。ホシノは内心舌打ちをしつつ、ソラのことを追いかけようとするが、その駆け出した先にあったのは鮮やかな赤が目立つバイクだった。

 

「グットタイミングだぜ相棒!」

 

 ソラはそのまま走行を続けるバイクに飛び乗る。危険極まりない行為だが、身体能力が人並み以上であるソラであれば可能なのだろう。一瞬バイクがふらつきはするものの、体制を立て直し走行を続けた。

 

「いかせないよ!」

 

 ホシノは先んじて駆けだしてバイクの進行方向へと立ち塞がる。もちろんその銃口はバイクへと向こうとしていた。

 向こうでバイクに股がったソラと目が合った。ソラは相変わらずニヒルに笑っていた。

 

「やってみな!」

 

 ソラはバイクのハンドルのグリップを捻ると同時に、その横に着いているボタンを押した。

 すると突然、ソラが乗るバイクのマフラーが轟音をあげる。そして、火を吹き出しそのままバイクが急加速。

 いわゆる、ニトロというやつだろう。一時的にエンジンの出力を上げたバイクは轟音を上げながら急加速し、急速にホシノへと迫る所か追い越そうしとしている。

 

「は!?ちょっ、う、おおおおおおおお!?」

 

 しかしとうのソラはその加速具合が予想外だったのか目を見開き大声を上げながら何とかグリップを握りしめていた。

 

「え、ちょっ速っ、うわっ!?」

 

 その速さには流石のホシノもぶつかればひとたまりもないと判断し、照準を定めることをやめて横に転がるように飛ぶことで回避を試みた。砂埃を上げながら走り去って行くバイクを何とか回避はできたが、砂煙と轟音によってソラが何処にいるのか定かではなく追撃が難しかった。

 

「ウタハアアアああああああ?!」

 

 そんな叫び声と共に、バイクの走行音が遠くへと遠ざかっていくのがホシノにはわかった。

 砂煙がモクモクと広がるアビドス高等学校のグラウンドでポツンと彼女はしばらく唖然としながら立っていた。

 その後、自身の制服に着いた砂を軽く払ったあと困ったように眉を下げた。

 

「うへ〜。ほんとに逃げられちゃったなぁ……」

 

 彼女にとってソラは警戒するべき相手だったが為に、今回も本気で捕縛しようと試みた。しかし、相手は普通の人間。弾丸に当たれば簡単に怪我をしてしまう。となれば、散弾の直撃だけは避けなければならず、その意識がソラの捕縛の難易度を上げていた。

 それは過去も同様であり、そして現在もまた同様だった。

 

「……ホント、困ったなぁ……。セリカちゃんになんて説明しようかな〜」

 

 ホシノは小さくため息を吐いた。きっと大目玉を食らうだろう。それを考えればまた、ため息を吐いた。




バイクの整備に出したら色々と余計な機能つけてくるのがエンジニア部だと思うんですよね。
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